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2016年6月10日金曜日

ニホニウムという新元素の名前について(追補)

昨日、ニホニウムの名前が国名を誇示的に使っていると書いたが、ちょっと考察が不十分だったかもしれない。その理由の一つは、ゲルマニウム(Germanium;ドイツ)、フランシウム(Francium;フランス)、ポロニウム(polonium;ポーランド)など、国名を元素名にしている例がかなりあり、今はそれほど奥ゆかしくなる必要もないだろうということである。http://mh.rgr.jp/memo/mq0112.htm

前回の記事では、「ユカワニウムが相応しいかも」と書いたのは、科学を純粋で政治抜きの国際的な世界として考える姿勢を貫きつつ、原子核構造の解明について最も基本的な業績をあげたのは日本人である(中間子理論の湯川秀樹)と世界に宣伝するチャンスだと思ったからである。

政治的な意図を匂わるのは、あまり好ましくない(補足1)と思うのは、科学の世界は政治や宗教からは独立しており、それが科学をここまで発展させた重要な条件だからである。(政治と宗教から科学の独立を保った例として、地動説を唱え裁判にかけられたが屈しなかったガリレオ・ガリレイを思い出す。)

今回の研究では、理化学研究所の最新鋭の線形加速器が最も重要な装置として使われており、昨年のノーベル賞で話題になったニュートリノ研究などと同様“ビッグサイエンス”としてなされたものの一つである。科学と政治の関係は基礎科学といえども、20世紀以降大きく変わったのかもしれない。従って、日本国の支援を意識して、ニホニウムの名前をつけたという考えは十分理解できると思う。

補足:
1)森田教授は記者会見の中で、「国家の予算として多額の支援金をもらって研究したことを、“国民の支援を受けた”と表現し、その謝意をニホニウムという名称に反映した」という趣旨のことを言っておられたたと記憶する。

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