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2016年6月27日月曜日

現代の皇帝は会社の創業者である: 政界の人材不足

1)人間は利己的且つ社会的動物である。天下を取って、多勢の人間を支配下に置き、宮殿にすみ快楽のままに生きるのが、本音の目標である。豊臣秀吉や徳川家康の立派な宮城や離宮、そして多勢の女官を置いた後宮などを見れば明らかである。ごく最近では、舛添都知事が遥かに小さいスケールだがそれを実行した。都庁は宮城であり、湯河原の別荘は離宮であった。多勢を従えてのリオデジャネイロへの行列も、結局”殿”が失脚すれば中止せざるを得ない。

その様な目標設定は、道徳や宗教などでごまかされない、並より上レベルの知性を持った者の多くのライフスタイル設定である(補足1)。その意味で、舛添氏はそのレベルの知性を証明した。大統領や首相の地位は、世界各国での”立身出世”の頂点であったが、それが今や多くの先進国では頂点ではなくなったと言っていい。飛び抜けた知性と勇気を持った人間の目指す目標は、グーグルやマイクロソフトレベルの会社の創業者の椅子になったからである。暗殺の危険に身を晒し、方々で味噌糞議論の対象にされ、倒産間際の中小企業社長の給与と変わらないレベルの待遇でもなお、世界の平和という目標と世界的知性が同居するとは思えない。

地位と名誉と待遇は、強い相関を持って然るべきであるし、ほとんどの人はそう理解する。

2)先週、EU離脱に関する国民投票の実施を決めた英国のキャメロンとかいう首相の無能さに呆れた。そして、もっとデカイ国の大統領選挙の様子などをみると、これらの国の政治は地球全体に影響を及ぼす筈だが、それよりかなり小さい世界での出来事のように思える。日本の野党党首の支離滅裂な言葉を聞くごとに、国家(政治)のトップを争う人間が小さいのは、日本特有の現象だと思って嘆いていたが、実際はそうではないようだ。名実ともにその国のトップに位置するのは、ロシアや中国だけではないのか。(中国でも政治家の地位低下は、時間の問題かもしれない。)

先週の実業界での大きなニュースはソフトバンク副社長だったニケシュ・アローラ氏の退任だった。ソフトバンクに在籍したのは一年間余りで、手にした報酬は200億円以上だろう。グーグルで2012年に得た報酬の50億円を遥かに超える高給で迎えたのだが、孫正義氏の経営方針とは合わなかったようだ。その孫氏の資産は1兆円を超える。米国では、ビルゲイツ氏のように8兆円を超える資産を持つ人もいる。彼らは終身膨大な資産と世界的名誉を保つだろう。

ニケシュ・アローラ氏の高いサラリーマン役員としての給与も、米国では棒を振り回して毎年数億円の給与を得る人間がたくさんいるのだから、びっくりするには当たらないだろう。孫会長の給与は数億円レベルだろうが、配当利回り最低のソフトバンクの株配当だけでも、毎年90億円以上の収入はあるのだから。(補足2)

現代では、米国大統領と雖も8年間過ぎれば、そのような資産も名誉もない人がほとんどだろう。これから青年期に入る優秀な子供が、どちらになりたいか? 日本の元総理のみっともない姿を見なくても、答えは明白だろう。

補足:
1)この文章に異論がある人が非常に多いだろう。「なんというコセコセした理屈だろうか」そう思う人がほとんどだろう。それは自分に無関係だから、カッコイイ考え方に洗脳されているだけだと思う。
「国民の将来を犠牲にした政界の権力闘争は何故存在するのか?」を考えて欲しい。例えば、英国保守党のボリスジョンソン氏が何故EU離脱派を支持したのか?移民受け入れに賛成だったはずだ。http://bylines.news.yahoo.co.jp/bradymikako/20151019-00050591/ 結局、自分が首相になる最後のチャンスを掴みたかったからだろう。政治家のほとんどが国家の為と自分の名誉とが衝突した場合、国家の為のストーリーを自分の名誉に合う形に歪めて主張するのだ。
2)「実力で稼いでいるのだ」という人も多いだろう。しかしその舞台は、この地球という奇跡の星の上に、過去数百億人以上の人間によって築かれた現代文明の上に存在し、その事業は、現代生きている人間数十億人を背景にして存在する。演劇の興行収入全てを取る権利が俳優に無いように、創業者と雖も、その企業の収益を全て自分のものとすることは本来おかしい。

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