国会議員の質の向上を国家の大計とすべきである。それには、①一票の格差の完全撤廃、大選挙区制の採用と、②国会議員間の双方向の総合的政治討論を公的に行い、それをテレビ放送する。
1)政治議論と政治家の質の現状について:
現在の政治家の議論は、政府の施政方針や予算案に関して、国会議員が質問するタイプがほとんどである。昨年8月に江崎鉄磨・沖縄北方担当相(当時)の発言でも分かるように(補足1)、内閣の方針は概ね従来の方向で官僚が作るか、方向から外れたタイプの方針については官僚のフィルタリングを通してつくられる。
現在日本の政治は”保守政治”とよばれるが、それは官僚独裁政治の包装紙に過ぎない。つまり、今の保守政治とは、日本の与党内閣を精一杯持ち上げて付けた政治名称である。鳩山内閣や菅内閣は、政治の主人公を誤解してしまったため、革新内閣というより自壊内閣であった。官僚のフィルターを通らないことばかり言っていたのでは、自然崩壊するのは必然である。
そんなわけで、国民が聞いている国会の審議とは、官僚対野党議員の討論に過ぎない。国民は、官僚の脚本で喋る内閣閣僚(とそのトップ)を見ているので、政策討論のように感じているが、誤解だろう。また、野党議員がやっていることは、国家の政治を創造的に議論するのではなく、単に政治の粗探しである。
2013年から話がややこしいくなった。それは、俳優である内閣が、官僚の人事権を握ってしまったことである。(補足2)そのために、まともな脚本をもらえなくなった内閣は、外交においてもひどい失態をすることになりそうである。今回の北朝鮮問題で、日本に対する配慮がほとんどされていないのは、外務官僚がまともに働かなかったからだろう。佐藤優氏はそのような解釈をしている(と私は感じる)。https://www.youtube.com/watch?v=Oc0t8EgvE2I&t=157s
(動画の最初の7分間)
2)国会議員の質の向上の為の二つの改革:
表記実現のためには、以前書いたように、日本全国から政治家を選ぶ方向で選挙制度を改めることが大事である。それには、①一票の格差の完全解消と、大きな選挙区から議員を選ぶことである。国会議員は国家の政治を考えるのであるから、我が県に新幹線の駅を作るとか、大学の獣医学部を作るなどという下らないことに関わらせないことが大事である。
その次に、国会議員に勉強をしてもらうことである。一旦官僚の支援が得られないと国会答弁がどうなるかを、田中直紀防衛大臣の時に見た通りである。(補足3)https://www.youtube.com/watch?v=3Nj8oqH7G6Q
勉強は、議論を経て身についた知識になる。それは、大学の研究室のセミナーでだれもが知ることである。つまり、そのセミナーに代わる議論の場を現状行われている施政方針とそれに対する質問という形以外で、公的に作るべきだと思う。②それは与野党一緒に、官僚抜きでテーマを決めて議論し、それを電波に乗せて日本中に配信する。
例えば、チャネル桜では、3時間かけて一つのテーマを決め、七人程度の代表が総合的議論している。https://www.youtube.com/watch?v=16qNbZU3yuc&t=7189s
そこでのテーマが、広い裾野からの議論を要するために、参加した人の総合的な視点からの論理展開力や専門的知識のレベルが表に出る。国民はそれを見て、一緒に考えるとともに投票すべき国会議員を決めることができる。
現在類似の場として、NHKの政治討論がある。しかし、そこでなされているのは具体的問題に対する国会答弁類似の議論であり、与野党議員の役割があらかじめ決まっており(補足4)、想像力も創造性も発揮される議論の場ではない。上記チャネル桜の議論のように、「激変する世界の真実」などの大きなテーマについて、総合的な議論をすべきである。具体的政治課題についての討論では、あらかじめ脚本がある政治劇に過ぎず、議論とは言えない。
それらの結果、国会議員の力は飛躍的に上昇するだろうと思う。如何でしょうか?
補足:
1)江崎鉄磨・沖縄北方担当相(当時)は、昨年8月、今後の国会答弁で間違いを避けるためとして「役所の原稿を朗読する」などと発言した。
2)官僚組織が自己完結した組織として維持されるには、組織の論理で人事が決定される必要がある。
3)質問者の佐藤正久氏は防衛大学校を出て2009年には自由民主党国防部会長をやっている。防衛問題の専門家が、素人上がりの大臣に、専門知識を問うている。つまり、この時の質疑には別の意図があったとしか思えない。
4)そこでは、犯人が内閣であり、弁護人が与党議員、検事側が野党議員が務める劇に似ている。
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