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2018年4月1日日曜日

トランプの米国とどう付き合うか? 北朝鮮問題と貿易戦争

1)トランプと金正恩の駆け引きをマッドマン理論で考えてきた。マッドマンの勝負は、何方の化けの皮が剥がれるかで決まるのだが、それはあくまで理論が当てはまる場合に限られる。マッドマン理論で分析が可能な前提は、両方ともまともな人間だということである。片方が本物のマッドマンなら、結末は予測できない悲劇的なものだろう。

最初にマッドマンの仮面を脱いだのは、北朝鮮の金正恩であった。その正体は、老練とも思える政治家であった。一昨日夜、NHKの21時のニュースで報道された、ロシアプーチン大統領の評価の通りである。金正恩を成熟した政治家だとプーチンが評価した理由は、あの情況下で世界のどこにでも届く核兵器を開発し、外交力を得た実績である。

しかし、トランプ大統領は未だにマッドマンの仮面を脱いでいない様に見える。米国は正面から、そして中国は背後から、北朝鮮に非核化の圧力を掛けていた筈だった。しかし、予定している米朝会談の一ヶ月少し前に、その戦略を台無しにしている。貿易戦争を中国と始めてしまったのである。そのチャンスを見て、金正恩は恐らく以前から進めていたと思われる中朝会談開催交渉をひと押しして実現し、中国を味方に引き入れた。

ティラーソン国務長官のクビを切り、マクマスター安全保障担当補佐官を超鷹派と言われるボルトンに換えることで、北朝鮮に最後の圧力を掛けたと思った矢先、それを打ち消すことになる貿易問題を持ち出して、圧力を掛ける役割だと思っていた中国を反対側に向かせてしまった。 これでは、トランプは本当にマッドマンであり、米国の余剰武器を使うために戦争をやりたいのかもしれないと、思う人も多いだろう。本物のマッドマンなら、マッドマン理論で上手くやっているとトランプを評価していた人たちの立場は根底から覆ることになる。

2)モノゴトがわからなくなった時、すべきことは視野の拡大である。つまり、思考の前提や自分の眼も疑う方向で、思考範囲を拡大すべきだろう。我々日本人は、どうしても北朝鮮非核化を最重要課題という前提で考えてしまうが、本当はそうではないのかもしれない。

そのように考えると、直ぐに一つのモデルが頭に浮かぶ。つまり、米国のトランプにとって重要なのは、北朝鮮問題よりも、貿易赤字問題の方だということ、そしてそれを言い出すことで次期選挙を有利にすることである。(補足1)

その場合、トランプは北朝鮮と和平を実現し、金正恩はその代わりに今後ICBM開発に向けた核兵器開発の放棄と、絵に書いた核兵器全廃プロセスを差し出すだろう。それをトランプは大成果として国内で宣伝するが、日本は核保持国の北朝鮮と付き合って行く最悪の結果になるだろう。その事態に対する対策を考えるべき時に、日本で出されている蚊帳の外論とか乗り遅れなど全く意味のないどころか、有害無益だと言うことになる。

今回の米中朝韓の外交問題は、元々日本に無関係な朝鮮戦争の後始末であり、蚊帳の外が当然である。それよりも、米朝和平後に核保持国となった北朝鮮が実質的に韓国を併合する(補足2)時、日本の防衛をどう実現するのかを考えるべきである。

この時点でも、日本はトランプの米国と友好関係を深める努力をすべきだと思う。友好関係とは両者にとって利益となる関係であり、それを冷徹な計算で実現すべきだと思う。日本人は、外交まで情緒的に考える傾向があるが、それは間違いだろう。

そして、米国の支援を得て、核抑止力を出来れば自前の核武装により、当面は米国の核配備により実現すべきである。友好を深めるためには、米国の貿易赤字の解消に一層の努力をすべきである。牛肉などの農産物の輸入、シェールガスやオイルなどの輸入など方法はいろいろあるだろう。

日本人は、米国の車をもっと積極的に評価すべきである。(補足3)また、レクサスで十分なのに、下らないドイツ車を輸入する悪癖を改めるべきだ。それらの草の根運動を始めるのも良いだろう。


トランプはマッドマンかもしれない。しかし日本がすべきことは、自分のことは自分でするという基本中の基本をより強く自覚することだろう。そして、マッドマンならそのマッドマンを如何に利用するかを考えるべきである。

最後に繰り返しになるかもしれないが、短くまとめる。

日本はこれまで北朝鮮と外交はなかった。一方、米国とは濃厚な外交関係にあった。そこで第一に考えるべきは米国との外交であり、それに比較した場合北朝鮮問題など小さい。拉致問題は存在するが、それは一億三千万人の生死よりも遥かに小さい問題であり、外交が拉致問題に拉致されてはいけない。米朝開戦となれば、日本で数十万人死亡するだろう。それを回避すべく行う外交は、北朝鮮相手ではなく米国相手の外交であると思う。 (以上は、素人のメモです。)

補足:

1)トランプはアマゾンを攻撃している。アマゾンはこれまであった中小の商店などを破壊し、それにも拘らずまともに税金を支払っていないと言っている。つまり、経済構造の変化或いは進化を否定するような発言をしているのである。本当のマッドマンの可能性は残っている。
2)おそらく、中国と香港のような一国二制度で、連邦制を取るだろう。そして、韓国民にとって、香港人のような苦しい時代が始まるだろう。文在寅は、戦争を避けるべく米朝の間を取り持つことに成功したが、主役としての出番は無くなった。金正恩の方が、役者が一枚も二枚も上だった。
3)どうでも良いことだが一言。これまで私が乗った最高の車は、1980年代に買ったシボレー・マリブ(two door coupe)であった。その次が今乗っているトヨタのアベンシスである。

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