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2018年7月31日火曜日

GDPの増大と世代間の分断&第二次人間復興の可能性

1)既に指摘したように、近代経済の発展の中に、家族内や大家族内のサービスや労働などを、その外に持ち出してGDP統計の額を増加させるプロセスを見ることができる。家族内の手仕事を奪いとり集合させて、法人(株式会社等)がより能率的に機械を用いて行うことになったのである。

大量生産方式での経済発展には、一定の規格化(画一化)が要求される。あらゆる活動とその目的をひとまず人間から取り上げて、規格化(画一化)し機械化する。そして、新しく変形した活動(目的)とそのプロセスを、人間に再配分するのである。その方法と動機(或いはエネルギー)は、機械技術と資本主義による法人(と一部富裕層)の利益を上げる本能(存在メカニズム)である。大多数の人間は、労働からの開放(補足1)の面から単純にそれを歓迎してきた。

製品やサービスの規格化或いは画一化は、必然的に人間及びその生活を規格化或いは画一化することになった。(補足2)勿論、全体を画一化することは流石に無理なので、世代間など人間とその生活に境界を設けて分断し、その境界内部を均一化規格化するのである。

分かりやすい例として、世代間の分断を考える。早くから子供を親から取り上げて、保育所に収容する。そこで、保育児童に対して均質な生活を能率よく提供するのである。それが子供にとっても、親(特に母親)にとっても、必ずしも良い状況とは言えないだろう。しかし、「女性の自律」という思想を与えられ、多くの人はその世代分断を歓迎するだろう。保育制度が発展し、関与した法人の利益となりGDPの増大となる。

介護をとっても同様である。先日のNHKテレビ番組で、入所金3500万円を支払って入所する豪華な海の見える老人ホームが放送されていた。全国から入所希望者が、この神奈川の巨大な老人ホームに集まるそうである。そこには新しい出会いもあるし、趣味の世界もある。(補足3)ただ、サービス提供者以外は全て老人の特別区域である。一言で言えば、不自由なく死を迎える日を提供する老人収容施設である。 http://sumikichi52.hatenablog.com/entry/2017/07/31/211108 (このブログは、NHKの放送内容をうまくまとめているので引用させていただく)

これも上記考え方を採用すれば、大家族から老人を取り上げ、彼ら老人に画一化した「老後」を提供するのである。それは、画一化した保育を実現する上でも大事なプロセスである。何故なら、年寄りの仕事として保育が大家族の下に残る可能性があるからである。

大家族を作り、老人が孫の面倒を見て農作業を手伝うと、そこに法人(資本)の介入する余地はない。しかし、老人を大家族から取り上げることで、その入所金の3500万円も、毎月支払う経費も、全て法人の稼ぎとなりGDPに算入される。農作業も次第に法人が支配するようになるだろう。

2)結論として、「現代文明は、世代間の分断でGDPを増大させた」ということになる。この経済(経世済民)は、人間中心ではない。このGDP的に豊かになった社会は、人間を人工的に改造する試みとともに進んできたのである。もし人間が自然界の存在であり続けるべきだとしたら、この社会は病んでいる。その病状の一つが晩婚化であり少子化である。

上に述べたように、世代間だけでなく全ての人間とその活動が、法人(資本)の利益のために分断され、境界内部は均質化規格化されるだろう。

しかし、この見方は本末転倒であると考える人がほとんどだろう。私もその一人であったし、現在もそうかもしれない。しかし、事件などの原因と結果を結ぶ論理を作り上げる時、「誰が得をするのか?」が鍵となる。何が巨大化し、巨大な得(利益)をあげているか?

この当たりで、数百年ぶりに人間復興の運動が起こる可能性と、それが不都合な法人や資本の連合によるもみ消し工作が行われる可能性がある。或いは、それは既に起こっているかもしれない。

米国などを中心とした、国家とその軍事を重視する風潮を高めるのが、そのもみ消し工作の正体かもしれない。人間を分断するには、先ず地域ごとに国家として分断しなければならない。その分断を確実にする為には、国家間に揉め事争い事を絶やさないことである。

補足:

1)一神教の考えでは、労働は神からの罰である。日本のように労働に生きがいを見出す文化は世界からみて特異である。
2)チャーリー・チャップリンのモダン・タイムズは、それを描いた映画である。
3)番組では、いきいきとした老人を中心に紹介していた。予断に支配されたのか何らかの意図を隠しているのか分からないが、施設の紹介において全体像を描こうという姿勢は全く無いようだった。

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