0)現在の筆者の考え方について:
以下の記述(最初に書いたのは2014年)の考え方(理論)は現在でもそのまま正しいのですが、現在筆者が支持している結論はかなり変化しています。つまり、現在では人工的に発生さた二酸化炭素による地球温暖化は事実であると考えています。最新の記事を参照してください。海水温のデータから、それほど大きくはありませんがこの20年ほどの温暖化が事実であることを確認し、紹介しています。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/10/blog-post_27.html
1)年々気温が上昇しているというのは事実だろう。そして、年々空気中の二酸化炭素濃度が増加しているのも事実だろう。しかし、それでも、現在の大気の高温化は、二酸化炭素の増加が主因だと断定するのは非科学的態度である。広い範囲から犯人探しをしないと、取り逃がしてしまうことになり、問題を解決できない可能性がある。この重要な問題について、市民一般も一定の知識と関心を持つべきである。そこで、すこしイントロ的な記事を書く。
太陽からのエネルギーが地球に注がれ、現在の気温が保たれている。その際のエネルギーの流れを示したのが次の図である。(htpp://ja.wikipedia.org/wiki/地球エネルギー収支)
この図の右端、太陽エネルギーが地表で熱になり、その6%が空気中を赤外線の形で障害なく通って、宇宙に放出される。この放出口(大気の窓)を幾分狭くするというのが、現在二酸化炭素濃度増による地球温暖化説の主な部分である。
太陽から地球に来るエネルギーのほとんどは紫外から可視光であり、紫外線の短波長部分は上空オゾン層などで吸収されると考えられている。その後、上空から地表に降り注ぐ可視光や紫外光の一部(30%)は、途中で大気、雲は空中微粒子(エアロゾル)、更に地表(補足1)で反射され、宇宙に戻される。(黄色の矢印の数字を足し合わせると30 %になる。)
地表で吸収された太陽光(紫外光から赤外光まで)のエネルギーは、物体による吸収と熱エネルギーへの変換過程を経て、地球をあたためる。加熱された地表から宇宙への熱の放出は従って、赤外線で行われる。最終的には太陽エネルギーのほとんど全ては宇宙に戻されることで、地球の温度はほぼ一定(名古屋なら、絶対温度270-300度)に保たれる。
可視光は、地表と宇宙の間をほとんど障害なく通過することができるが、赤外線での放射は大気中のさまざまな成分ガスが邪魔をする。その中で一番大きな役割をするのが水蒸気である。それを示したのが下の図である。
上の青い山が、地表から宇宙まで障害なく通過できる赤外光の波長範囲である。それを覆うように書かれた3本の山形の線は、左からそれぞれ摂氏37度、氷点下13度、氷点下63度の地球から放出される赤外線の分布である。この青い山形が生じる理由は、それ以外の波長の赤外光をほとんど水蒸気が吸収してしまうからである。
この図の上から2番目が、大気層を通らない波長を黒く描いたグラフである。(上の青い山の部分が白くなっているのは、その領域の赤外線は素通りすることを示している。)この大気を黒くしている(赤外線も光だから、“暗く”とも表現できる)原因ガス成分とその寄与部分を示したのが、上から3番目以降である。
水蒸気、二酸化炭素、オゾン、メタン、NOガスと続く。一番底には、光吸収とは無関係な大気による“レイリー散乱”を示しており、最初の図の大気による太陽エネルギーの反射に寄与する部分である。
確かに二酸化炭素は、大気の窓を狭くしている。しかし、本当にこの部分が、現在進行している地球温暖化の主役かどうかは、この部分の知識からは全くわからない。図の3段目にある水蒸気の赤外吸収への寄与を見ればわかるように、地球の温室効果への寄与の大部分は水蒸気による。
ここまでを短く要約すると:太陽光エネルギーの30%は雲、エアロゾル、地表などで反射され宇宙に戻される。赤外線の形で最終的に宇宙に戻される70%の熱エネルギーのうちの6%が大気の窓(赤外波長8-14ミクロン)を通って、赤外光の形で直接放出される。残りの64%は、大気の対流、地表水分の蒸発と降雨によるエネルギー運搬、赤外線の吸収と放射の繰り返し、などで最終的に宇宙に放散するのである。これらプロセスの主役は水蒸気である。
大気の窓(赤外波長8-14ミクロン)経由の赤外放出に対し、二酸化炭素の吸収(波長15ミクロン)の裾野が濃度増加で広がって来る効果を、全て且つ唯一の原因のように考えるのは、おろかだと思う。
2)この問題は、アルゴア氏の本により大々的に誇張された形で持ち出された。以下私個人の考だが、その背景には先進国が資源を保存したいという政治的思惑があると思っている。従って今、より科学的の視点で研究を進めるべきである。IPCCから出されたデータなども、一から取得すべきだと思う。
そこで重要なのは、人類の経済活動の活発化による地表面の都市化や原野の開発と砂漠化の効果だろう。(補足2)
下の図は、長野と飯山の年平均気温のここ100年ほどのデータである。50kmほど離れた現在人口2万人の田舎町と人口40万人近いかなり大きな都会は、100年前には同じ程度の年平均気温であった。しかし、この100年間に、長野市の年平均気温が約一度高くなったのである。(補足3)
更に、エネルギー消費量の増大がそのまま直接地表面の温暖化に寄与するだろう。
我々は、これらの地球温暖化の諸原因を、冷静に客観的に長い時間スケールでそして何よりも科学的に考えなければならない。例えば、ここ数日気象台観測開始以来の最高気温を記録したからといって、すぐに二酸化炭素を悪者にするのは、科学的態度とは言えないと思う。
なお、フルバージョンの記事は、既に以下のサイトに4年前にアップロードしている。そこには原野の利用とそこの砂漠化を考えていないのは落ち度だったと思う。
http://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2014/08/blog-post_26.html
2019/7/24/am5:30加筆修正
補足:
1)太陽電池を設置した場合、反射して宇宙に返されるエネルギーが減少するだろう。つまり、発電した電力の何%かは地球温暖化に直接使われる。つまり、細かい話をすれば、太陽電池は原子力発電と同様に、地球温暖化の原因となる。
2)原野は太陽光を吸収して、光合成で木材等として蓄積する。砂漠化した場合、そのような効果はない。ただ、砂漠により太陽からの入射光の反射係数なども変化するので、温暖化の方向に効くかどうかはわからない。ただ、気象変動の原因になることは十分考えられる。
3)IPCCは、温度測定ポイント近傍の都市化による温度上昇分を、地球全体の温度を見積もる際に、差し引いているかどうかは大きなポイントである。その点についてIPCCは明確にすべきであるとおもう。
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