1)オリンピック開催の議論に無いオリンピック哲学と世界的視野
このままオリンピックを開催すれば、参加しない国の数、観客の数、国内外での開催反対の意見、オリンピック開催に関連した関係者等の感染者数などにおいて、オリンピックの歴史の中で特異な例として、2021東京オリンピック&パラリンピックは語り継がれるだろう。
オリンピックは何の為にやるのか?オリンピックは、人類の文化の発展と、その結果としての世界平和を謳歌する祭典ではないのか?オリンピック憲章の基本の第二項に以下のように書かれている。
オリンピック哲学(オリンピズム)の目標は、 人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである。(補足1)
現在世界は、疫病の世界的大流行で、平和には程遠い。インドなどの様子をテレビ等で見ると、人間の尊厳保持に必要なのは、酸素ボンベでありスポーツの演技ではない。恐らく、南米、インド、アフリカなどの発展途上の国々は、冷ややかな目で開催されたオリンピックと日本を見るだろう。
日本政府が今やるべきことは、オリンピックの中止を宣言して、オリンピックに用いる筈だったエネルギーと資源を、国内外の疫病に苦しむ人々を出来るだけ救うようにに方針を転換することである。それが、上記オリンピックの哲学に沿った決断である。
昨日朝、フジテレビ系の番組で、橋下元大阪市長と自民党のワクチン対策PT座長・鴨下一郎氏の議論を聞いたとき、自民党&公明党の政府は、何が何でもオリンピックを開催するつもりのようだ。その理由は、わからないが与党内の様々な事情だろう。
橋下氏が「たとえ6月にステージ3、4でもやるんですか」と質問したところ、鴨下氏は「ステージ3でも4でも、オリンピックの管理は別のエリアで、別の管理でやる。全員が感染の中にさらされているわけではない」と、市中での感染拡大とは別だと説明した。https://news.yahoo.co.jp/articles/c2d3f46f7fcb332b925c60f4485820b45a4b7af1
2)世論を無視する与党の政治家
4月に共同通信が行った世論調査によれば、国民の72%がこの夏のオリンピック開催を望んでいない。https://www.bcnretail.com/market/detail/20210502_223158.html
それでも、政府与党がこのようにオリンピック開催の強い意志、全体主義的意志、を持つのは、恐らく日本国民の命や日本国の国際的地位よりも、現政権の権力維持と自分達の政治的地位が大事なのだろう。その姿勢は、北京オリンピック開催の強い意志を持つ隣国の中枢と瓜二つである。
東京五輪開催の強い意志は、「外圧を感じてのものではないのか?」というのが、昨日書いた記事の内容である。与党の中には、東京オリンピック開催を支持する隣国の顔を何よりも重視する人達が多いようだ。
上記フジテレビ系の昨日の議論、更に今朝の橋下氏出演のテレビ番組でも、決定的に欠けているのは、国際的視点である。このままでは、本来開催すべきでないとする国際的雰囲気の中で、完全には程遠いオリンピックを開催して、日本が汚名を着せられることは確実だろう。
そのエネルギーと資源を、国内外の疫病対策に充てることで、その汚名は名声に換わるだろう。今、その外交的決断のときである。国民も心ある政治家も声をあげるべきである。
補足:
1)オリンピック憲章の中にあるオリンピズムの根本原則第二項の文章である。
https://www.joc.or.jp/olympism/charter/pdf/olympiccharter2020.pdf
0 件のコメント:
コメントを投稿