ワクチン接種の目的には、二つある。一つは個人がその病気に罹らないようにすること、もう一つは集団免疫の獲得である。前者の目的からは、医療関係者の他に、集団で生活する施設での老人やその職員に対する接種が優先されるべきである。そして、後者の目的からは、社会での活動度が高い20代から40代の若手が、優先的な接種対象となるべきである。
多くの都道府県での実効再生産数は2より下であり、世代別人口を考えると、20代から40代の人たちが接種を済ませて免疫を得た場合、実効再生産係数は50%以上下がることになる。(補足1)
活動度の高い若手感染者の実効再生算数への寄与は、老年の感染者(施設を除く)より大きいとすれば、実効再生算数の下落は感染者の構成比の51%より相当大きくなると思われる。(補足2)
図は東洋経済オンラインが公表している世代別の感染者数である。https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/
この数値を用いると、20代、30代、40代の感染者の概数は、132000、90000、87000人である。前感染者数が601000人だとすると、20代〜40代の感染者数約31万人は、半分以上を占める。この世代の人口は約4348万人であり、人口の35%程であり、他世代に比較して感染率が高い。
それは彼らが仕事で社会を支える年代であることと関係しているだろう。そして、その高い活動度は、感染拡大への寄与も大きいことを示している。現在、日本での実効再生算数は1.0であり、4月頃の最高値が1.3ほどである。もし、この実効再生産数を半分に抑えられれば、日本での新型コロナの感染をゼロに近づける事ができる。
最近、人口密集地でのワクチン接種を優先すべきであるとの意見を取り入れて、東京等で大規模接種場をつくる話がでている。それよりも、医療関係者、20代〜40代、施設の老人やその職員、などへの接種を優先すれば、少ないワクチンで迅速な効果が期待できるだろう。
補足:
1)20代、30代、40代の人口は、夫々約1268、1384、1796万人である。この合計4348万人は全人口の12600万人の約35%を占める。その一方、その各世代の感染者数は夫々、132000、90000、87000人であり、全感染者の51%以上である。
2)各世代の実効再生産数への寄与は、詳しく考察したわけではないが、感染率の2乗に比例するだろう。それは、施設に居て動かない老人の感染が、訪問者である若い世代の感染者との接触によることを考えれば直感的に解るだろう。
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