オリンピックの開催まで60日も残されていない。今回のオリンピックは、日本の国際社会に於ける将来の位置を決める重要なイベントである。何故なら、東京オリンピックは北京の冬季オリンピックと一体となってしまったからである。
東京オリンピックの開催は、対コロナの問題だけではない。日本国の、米国を中心とした世界の民主国連合と中国共産党を中心とした全体主義連合の間の選択になる。その事を十分考えて、日本国民は東京オリンピックの中止デモやあくまでゴリ押し的にオリンピック開催に拘る菅首相の更迭に向けた運動をすべきである。
1)新型コロナとオリンピック:
新型コロナ(COVID-19)に感染する人数は、未だに世界で毎日60万人以上いる。その2%の人たちが毎日死亡している。その数は統計に載ったケースだけのものであり、実態はそれ以上だろうが、誰も知らない。
統計に一定の信頼が置ける国々の中では、インドでは毎日20万人、ブラジルでは6万人、米国でも2万数千人が新たに感染している。https://www.worldometers.info/coronavirus/country/us/
そんな中で、オリンピックを開催しても、発展途上国は参加できな国も多いだろう。また、参加できたとしても、選手たちは十分な準備が出来ておらず、実力を発揮できないだろう。
世界が新型コロナと戦争している状況で、「平和の祭典」オリンピックの開催に意味があるのか?この内容の投稿を本ブログで何度もしてきた。その直近の再録記事が5月13日のものである。
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12674242110.html
更に、このオリンピックは国際政治の中で重要な意味を持っていることを5月24日の記事に書いた。その部分を再録させて頂く。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12676414706.html
日本政府が中国共産党政権に対する忖度を続けるのは、自民党幹事長の周辺や公明党などの親中勢力の所為だろう。この日本の姿勢が続く結果、日本の民主国の中での地位低下或いは孤立に繋がる。
中国への忖度の例として、私は菅政権が東京オリンピック開催に拘っていることを考える。習近平主席は、2022北京冬季五輪を国際的地位や評判を高める機会と捉え期待している。そのため、コロナ肺炎でオリンピックが中止になることを警戒し、東京での開催を支持している。菅政権のオリンピック開催に拘る姿勢は、その中国に対する上記親中派の忖度が反映した結果だと思う。(一部編集)
今日本は、開催の意味をオリンピックの精神から考察するだけではなく、オリンピックが国際政治のフロンティアにあることを考えた上で、その開催中止を決断すべきである。
現在、米国を始めとする民主主義国は連合を成して、ウイグル人、法輪功の人たち、香港の人たち、そしてチベットや内モンゴルの人たちの人権を無視し、国際的な標準である「人権重視と法治主義」を無視する中国共産党政権とそれに取り込まれた途上国や東アジアの国々との冷戦に突入している。
その勢力争いの中で、中国はオリンピックを利用して日本も自分達の勢力範囲に取り込もうとしている。このまま東京オリンピックが開催されれば、中国は大選手団を組んで東京に送り込み、世界中に放映されるテレビを利用して、中国を国際協力を推進する国として宣伝するだろう。そして、閉会の時には、世界に向かって北京で再会しようと呼びかけるだろう。
2)北京オリンピックボイコットの環
ポンペオ前国務長官は、中国共産党政権によるウイグル人の非人道的な虐待を「ジェノサイド」という言葉を用いて非難した。更に、トランプ政権は一貫して、今回の新型コロナウイルスをチャイナウイルスと呼び、中国のP4実験室から故意又は事故的に漏れ出たものだと主張していた。
就任当初のバイデン新大統領はその考えかたを否定して、トランプ政権が行っていたウイルスの出所調査を中止させた。しかし、最近米国全体がバイデンの考え方よりもトランプの考え方を継承する様になり、大手メディアも意見を180度替えることになった。その姿勢を、バイデンも渋々取り入れて、調査機関に90日以内にウイルスの出所に関する調査をして報告するようにという命令を出した。
https://www.bbc.com/news/world-us-canada-57260009
その昔、米国を中心とした自由主義圏とソ連を中心とした共産主義圏の間の冷戦が半世紀続いた。自由主義圏にとってそれよりも遥かに荷の重い冷戦が、ソ連の代わりに中国を置く形で始まったことになる。今後対中貿易に関しても、嘗てのココムのような制度が持ち込まれ、制限されることになるだろう。
仮に自由主義圏の冷戦勝利となれば、その終結後出来上がる新しい戦勝国連合(United Nations)は米国と民主主義を共有する諸国が作り上げるだろう。その中に、まともな形で参加出来るか、そうではなく敵国条項の対象国に含まれるのか、現在その境目に日本と韓国は存在するのである。
2つの道の間の選択は、最初は何方でも大して変わらないような状況で行われる。日本のそれは、オリンピックに大選手団を送り込んで、国際関係をオープンにして広げると称する中国共産党政権のプロパガンダに加担するかどうかである。二階幹事長と菅総裁の自由民主党と公明党の連立政権は、コロナ下で国民が苦しむ中、その方向で動いている。
更に、IOCもWHO同様、完全に中国に取り込まれている。バッハ会長以下のIOC幹部は、何が何でも東京オリンピックは開催するとの強い意志を示し、中国の書くシナリオに全面的に協力する姿勢である。そのことは5月19日のバッハ会長の言葉:「大会が可能になるのは日本人がユニークな粘り強さと逆境に耐え抜く能力をもっているからだ。その美徳に感謝したい」というふざけた言葉にあらわれている。https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20210526-00239899/
ここで、日本国の主権の及ぶ範囲として、IOCへの協力を中止すべきである。この決断をしなければ、その後の上記2つの道の境目は深くなり、日本は“人権と法の支配を無視する全体主義国家の連合”の協力国として、最後までその道にロックインされるだろう。(補足2)
このオリンピック開催の3つの問題点、1.新型コロナと戦う国民への医療サービスを一部犠牲にするという問題、2. 多くの国が新型コロナとの戦いで苦しみ、満足な形で参加できない状況で平和の祭典「オリンピック」を開催する意味などがあるのかという疑問、更に、3.オリンピックは中国共産党政権の一大プロパガンダとして利用されるだろうという国際政治の問題を考え、国民は菅首相更迭の運動を始めるべきである。
米国は最後の警告として、或いは日本国民を目覚めさせるために、日本を渡航禁止の国の中に含めた。未だに2万数千人の新規感染者を出しているにも拘らずにである。日本国民は、菅総理の米国訪問時の冷遇、例えば晩餐会の豪華な食事の代わりにハンバーバーが出されたこと等をもっと深く考えるべきである。また、韓国文在寅大統領が米国を訪問した時には、飛行場には儀仗兵も配置されなかったことの意味を考察すべきである。
(5月30日早朝、編集あり)
補足:
1)この文章中「 もし日本国憲法に契約が違反していないのなら、IOCの決定が国家主権に優先する筈はない」は「もし日本国憲法に契約が違反していないとしても、IOCの決定が国家主権に優先する筈はない 」に訂正したい。
2)日本の没落に関して、評論家の中野剛志氏はそのように表現したと思う。それをネタに記事を書いたのは2019年のことであった。“国家の没落を我々は食い止められるのか:ロックインモデルを用いた考察”https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12560835048.html
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