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2022年2月13日日曜日

ウクライナ危機について:米国はNATOの東方非拡大を約束すべき

ロシアのウクライナ侵攻の可能性が心配されている。しかし、プーチン露大統領は実際にウクライナ侵攻するつもりはないし、侵攻は得ではないと言うのが、大多数の見方である。一言で以下の文章の結論を言えば:米国がNATOの東方非拡大を約束すればプーチンは兵を引くだろうから、1990年の国務長官の発言のとおり、NATOの東方拡大を止めるべき。https://news.yahoo.co.jp/articles/fd8419415de12d4b2a9fd356d376f5e4104d5831(補足1)

 

1)今回のウクライナ危機の概観:

 

今回のウクライナの件は、ウクライナのゼレンスキー大統領が2014年のミンスク合意を無視しようとしたことが、プーチンの国境への軍隊配備を誘発したと言える。ミンスク合意とは、2014年のウクライナ危機後の安定を取り戻す交渉で、ウクライナ東部ドンパス地方に強い自治権を認めることを全欧安全保障機構(OSCE)が中心に纏めたものである。https://www.dir.co.jp/report/research/economics/europe/20220210_022836.html

 

その合意の履行に関して、独、仏、露、ウクライナが10日(2022/2/10)、ベルリンで高官級協議を開いた。https://news.yahoo.co.jp/articles/5db434f0b011d3887f8478ac43c509d2b67ad537

しかし、その履行がなかなか困難なのは、ロシアの要求通りにすればウクライナが東西に割れる可能性をウクライナ政府が心配するからである。

 

ロシアがウクライナへ侵攻する姿勢を示すのは、隣国ウクライナのロシア敵視の軍事同盟であるNATOへの加盟を阻止するためである。元々ウクライナとロシアは非常に近い関係にあり、ロシアには必要な国でもある。そこに、米国の核ミサイルが並ぶことだけは阻止したいのである。

 

そのロシアとウクライナ関係を示唆する出来事が最近あったようだ。全ロシア将校協会がウクライナ侵攻に反対する書簡を書いて公開したという。このままではロシアとウクライナが永遠の敵同士になり、更にロシアの存立が危うくする政策だとして反対しているというのである。(補足2)

 

元々プーチン支持のロシア軍の将校たちが、ウクライナとロシアの関係を心配しているのである。何故、元々非常に近い関係にある両国を裂き、ウクライナも東西に割くようなことを米国は企むのか。

 

米国クリントン政権、或いはその背後の勢力に、ウクライナをNATOに加入させることで、ロシアとの間に楔を打ち込み、両国を混乱に持ち込み、それに乗じて利益を得ようという考えがあったのではないだろうか。

 

2)NATO の東方非拡大を一旦考えた米国が、何故それを撤回したのか。

 

東ドイツが民主化されて統一ドイツができる時、アメリカのベーカー国務長官がゴルバチョフと会談した。その際、NATOを東方へ拡大しないことを約束したという記録が残っている。それにも拘らず、その後米国大統領になったクリントンがそれを反故にしたのである。今こそ、バイデン政権はそれを世界平和のために提案すべきだと思う。https://nsarchive.gwu.edu/document/16117-document-06-record-conversation-between

 

そもそもNATOはソ連を対象につくられた軍事同盟である。それにも拘らず、ソ連崩壊後も縮小されなかったことが不自然である。ミンスク合意の履行をウクライナに迫るよりも、NATOの東方への拡大をこの辺りで止める決断を欧米はすべきだろう。

 

NATOは軍事同盟であり、世界最大の軍隊を持つ組織である。ロシアは現在“危険な思想”の国ではないのだから、それをロシアの隣国ウクライナに持ち込むのはおかしい。(追補1)そのプーチンの思想だが、米国民主党のものとはかなり異なるのは確かである。しかし、危険ではない。

 

aプーチンは主権国家を大事に考え、そのベースとして秩序ある伝統的家庭の形を大事にする。欧州各国は、もう少しプーチンの思想に理解を示すべきであると思う。異常なのは米国民主党の思想である。国境は明確でなくても良いとして、中南米から大量に不法移民の入国を結果的に許したり、家族もバラバラで良いとする左派の考えは世界を混乱に導くと思う。

 

https://www.youtube.com/watch?v=glOGf4spm78

 

異なる思想を認め合うのが自由主義なら、ロシアはロシアの思想をもっても良いのでは無いのか? 勿論、プーチンが大ロシアの再興を考えているとしたら、警戒は当然のことである。しかし、現状拡大しているのは、NATOの方でありロシアではない。 

 

仮に、米国が個人の自由と人権を大事にする民主主義のリーダーなら、民主化の途上にあるロシアを敵対視するNATOは、例えば今後30年間、暫定的に東方非拡大とすると言っても良いのではないのか。

 

この米国の不思議な政策については、ソ連崩壊後の政治経済を勉強しないと分からない。素人ながら少しネット検索してみた。(本文章は、素人が自分の考えを作り上げるために書いたと理解いただきたい。)

 

 

3)オレンジ革命とウクライナ危機 (補足3)

 

ウクライナの2004年大統領選挙は、親ロシアのヴィクトル・ヤヌコビッチと親欧米のヴィクトル・ユシチェンコの戦いとなった。この選挙の前には、ユシチェンコの暗殺未遂事件があった。ダイオキシン類が食事に混入していたとされている。ひどいニキビ顔になったユシチェンコは同情票をもらって、選挙に望んだのだが、ヤヌコビッチに負けるという結果になった。(補足4)

 

ユシチェンコ側は、ヤヌコビッチが当選したのは不正選挙のせいだと主張し、大規模なデモが展開された。最高裁の裁定(判決ではない)により再選挙の結果、5244でユシチェンコが勝ち、大統領に就任した。これをオレンジ革命と言う。それは、東欧のカラー革命と言われる一連の政変の一つである。(補足5)この大規模デモを応援したのが、米国民主党の背後に居ると思われるユダヤ人資本家のジョージソロスである。

 

しかし大統領となったユシチェンコはウクライナ経済にテコ入れが出来ず、汚職を放置するなどで人気を無くし、2010年の選挙では結局ヤヌコビッチが大統領になった。その後2014年、上に書いたように、ヤヌコビッチの汚職などの腐敗を民衆が追求して大規模な暴動が起こり、ヤヌコビッチはロシアに逃げた。この暴動を支援したのが、ソロス財団だというのである。

 

更に、紛争を引き起こした側の一角に米国CIAの発注により軍事会社Academi (Black Water)が派遣した民間兵士が居たという説がある。つまり、英国のDaily Mail配信のニュースによれば、ドネツクなどでその民兵が武器をもって街を闊歩する様子が撮影され、ロシア側からその件が発表された。

 

彼らは記章をつけていないので、政府の兵士ではない。集まった民衆の中からBlack Water と言う声を聞くと、そそくさと去る様子が映されているとのこと。ロシアのTVもこの傭兵を米国から派遣された者として報じたので、Daily mailはその点をBlack Waterに問い合わせたが、返答がなかったと記事には書かれている。

https://www.dailymail.co.uk/news/article-2576490/Are-Blackwater-active-Ukraine-Videos-spark-talk-U-S-mercenary-outfit-deployed-Donetsk.html

 

以上総括すれば、今回だけでなく、ソ連崩壊後の東方のゴタゴタには米国の影がある。更に付け加えれば、2014年、米国大統領府でウクライナを担当していたのが現在の大統領バイデンである。その際バイデンの息子のハンターや当時国務長官だったジョンケリーの娘婿などが、ウクライナのオリガルヒ(ガス会社が中心にある)から巨大利権を獲得した疑惑がウクライナ疑惑である。

 

この辺りは、浜田幸一という国際政治学者の見方のようで、及川幸久氏もこの見方を採用して動画を配信している。ウクライナの政治にちょっかいを出したのは米国の方なのだから、この際、NATOの東方非拡大を約束すべき。https://plaza.rakuten.co.jp/sun7249/diary/202202060004/ 

 

 

4)ソ連崩壊後の経済:東欧に新興財閥を作って経済乗っ取る企み

 

米国がNATOの東方非拡大を反故にしたのは、米国政府とネオコン勢力が旧ソ連の東欧諸国の政治と経済を自分達の支配下におきたかったからだろう。NATOという欧州にとって最重要な軍事同盟を維持することで、欧州でのリーダーシップを維持し、それを強固な“足がかり”として利用している疑いがある。

 

ソ連の崩壊後に、旧ソ連は15の独立国となった。そこでの国有企業の個別化と民営化には、経営者や雇用者などの明確化や債務・債権の整理が必要だし、銀行との金融関係なども作る必要があるだろう。政府の企業支配が薄れ、財閥支配に移る過程で不正が多くなされただろうことは想像に難くない。

 

ロシアでは、エリツインの時代の10年間で、新興財閥(オリガルヒ)の支配する市場経済の国に代わっていたが、その結果生じたオリガルヒの多くはユダヤ系であった。それは、おそらくIMFの関与で育てられた新興財閥なのだろう。https://www.kyodo-cpa.com/report/2009/0401_225.html

 

1991年のソ連解体後、ロシア大統領に就任したエリツィンは、ソ連の経済体制を一気に資本主義化し、世界の市場経済に組み込むべく取り組んだ。それに協力したIMF(国際通貨基金)は、ロシアに対する外貨貸付をてこに資本主義化と多国籍企業のロシア進出をアレンジした。上記文献は、その基本を以下のように書いている。

 

① 市場経済の導入すなわち国有企業の民営化による新興財閥の育成と多国籍企業の進出促進

② ロシア国家財政の赤字圧縮を理由とした年金福祉制度の後退、補助金等の打ち切り

 

このロシア経済を西側に開くプロセスで、ルーブル安とハイパーインフレが進むのは必定である。そして、ロシア人は文無しになり、ほとんどの資産は高い通貨の国、つまり米国人系の所有になった。IMFや米国中央銀行のFRBはユダヤ人の下にあるので、新興財閥の多くはユダヤ人のものとなったのだろう。

 

このユダヤ人オリガルヒの多くを追放したのが、2000年に第2代の大統領となった元KGB(国家保安委員会、米国のCIAに相当)出身のプーチンである。そのプロセスで、プーチンはユダヤ系資本と敵対するようになった。つまり、ユダヤ人財閥といえども、ロシアの国家主権は奪えない。そこで、プーチンは上記のような理不尽を国家主権を用いて、(理不尽に)解消したのだろう。

 

ウクライナも同様に、オリガルヒ支配が続き、結果として国民は貧しい状態が続いている。現在の大統領のゼレンスキーも、喜劇役者からドンバス(=ウクライナ東部地区でロシア人が多い)戦争(2014年から続いている)の終結とオリガルヒの汚職・腐敗によるウクライナ国家への影響を阻止することを公約に掲げて当選したという。

 

地政学的にロシアの喉仏にあたる位置を米国の支配下に置くことは、世界を不安定にすることは明白である。仮に、ユダヤの資本家たちが期待するように、ロシアが消滅するにしても、それには非常に長い時間を要する。それまでは、ロシアが数万発の核ミサイルを持って暴発しないようにすべきである。これらの問題は、中露同盟という最悪の結果を招く危険性を避ける意味でも重要である。

 

以上で今回は終わりたい。あまりにも複雑で手に負えないというのが実感である。

 

一言付け足し:ソ連解体の時の核兵器の多くがウクライナにあり、そのロシアへの移送という決断をウクライナがしたのだが、それと絡めて今回のウクライナ危機を論じる人がいる。

  ロシアの卑劣な裏切り。正直者が損をしたウクライナ危機の真相 - まぐまぐニュース!

勿論、ウクライナが核を大量に保有していたなら、現在全く違った事態にあるだろう。しかし、今回の事態の原因ではない。

(午後5時に編集;14日早朝少し編集、()内を追加; この記事は間違った助詞の使い方がおおいので、後日修正しました。オリジナルはグーグルブログ)

 

追補:

1)日清日露は、日本の隣国までロシアの脅威が近づいたことが原因である。ロシアの反応は、同様のモデルで理解可能である。キューバにソ連軍が近づいたとき、ケネディは海上封鎖して、それを防いだ。隣国への核兵器配備の可能性を排除するのは、自衛権行使の範囲だろう。

 

補足:

1)引用のNewsSocraの記事は分かりやすい。この時の経緯と、NATOのそもそもの役割を考えて、今後の東欧の安定のために、東方非拡大を決断すべきであると思う。

 

2)最近、このウクライナ問題に詳しい政治評論家の北野幸伯氏が、この緊張状態がプーチンの下手な戦略による可能性を示唆するメルマガを配信した。(北野氏のメルマガ)それによると、ロシアのイヴァショフ元上級大将が率いる全ロシア将校協会が、ウクライナ侵攻に反対するプーチンに対する書簡を書いて公開したようだ。元々、プーチンを応援してきたこの協会が、ウクライナへの侵攻は、ロシアとウクライナを永遠の敵にする可能性があり、更に、ロシアの存立を危うくする政策だとして反対しているというのである。

 

3)この表題は、元駐ウクライナ大使の天江喜七郎という方の文章の表題を借りた。この文献ではウクライナ大使の視点から、オレンジ革命と2014年の政変は一連の流れの中にあると指摘している。

http://www.eb.kobegakuin.ac.jp/~keizai/v02/data/pdf/201509amae.pdf

 

4)2004年の9月の週末友人とダーチャ(郊外の別荘)で食事をしたあと、中毒になり死線をさまようことになる。ダイオキシン類による中毒とされているが、真相は明らかにされていない。直接のきっかけである食事まで特定されながら、真相は闇の中というのはいささか合点がいかない。補足1に引用の元ウクライナ大使は、「外国諜報機関による毒殺未遂説や自作自演説などが噂されたが、真相は未だに闇の中である」と書いている。噂の外国の諜報機関とはC●●のことではないのか?

 

5)更に、補足1で引用の天江氏の論文に、「オレンジ革命は自然発生的な面と、事前によく計画され実行に移された面の両面があるように思う」と書かれている。更に、ユシチェンコの配偶者が米国国際開発庁に勤務していた米国人であったことから、その結婚が「反ユシチェンコやロシアなどから米国の情報機関の政略と受け取られたようだ」と書いている。

 ーーーおわりーーー

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