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2022年2月28日月曜日

ウクライナ危機:核戦争の危機は未だ存在する

今日の日本時間午後、ベラルーシとウクライナの国境付近で、ウクライナとロシア間の停戦の話し合いが条件なしで行われる。この一回の話し合いで合意に至る可能性は、ゼレンスキー大統領の話すように低いだろう。https://news.yahoo.co.jp/articles/7aead1a13e66dedd3e33562c1a24b34f2f3cce83

 

両方とも非常事態中の心理にあり、しかも既に莫大な損害を出しているので、冷静に考えれば纏まる話でも合意に至るのは困難である。この戦争を誘発した米国は、既にプーチン体制の脆弱化は約束されており、十分な成果を得ているのだから話をまとめる努力をすべきである。

 

そんな中で、ロシアのプーチン大統領(以下敬称略)は、核抑止部隊に高度警戒態勢を命令した。ロシア側は、恐らくウクライナ東部のドネツクとルガンスクの独立を認めることを、最低限の目標として会議に臨むのではないかと思う。ウクライナはそれを受け入れない可能性が高いだろう。

 

プーチンは、それが受け入れられなければ合意できない。何故なら、完全にロシア市民の支持を失い、大統領の椅子に留まれない可能性が高くなるからである。そこからの二つの選択肢:一つは、話合いを継続出来る人物に大統領の席を譲り渡すことで、もう一つは独裁を強めることが考えられるが、その両方とも受け入れ難い。(補足1)

 

核抑止部隊にかけた命令は、その弱い立場を表している。一般に、弱い立場の者ほど、恐ろしい選択をする。キエフを簡単に制圧できなかったことと、欧米によるSWIFTからの除外は、プーチンを危機的情況に追い詰めている。

 

どの国でも、トップの弱さの自覚は、恐怖の独裁や残虐行為の深層に存在する理由である。それは自身の名誉も命も、トップの椅子の上にしか無いからである。これは、24日に始まったウクライナ侵略の結果ではなく、国境付近に10数万の兵士を配置したときからのことだろう。

 

米国バイデン政権が「侵略するのなら今だ」と言わんばかりのプロパガンダを行ったのは、そのプーチンの情況を知ってのことだったのだろう。これがウクライナを侵略した本当の理由だと私は思う。①強いロシアとそれを率いる大統領を演じる必要があったのだ。(補足2)

 

つまり、人口の半分に近い人がロシア語を母語とする兄弟国のウクライナが、反ロシアに作り上げられた情況を前にして何もできない弱い大統領のイメージは、それだけで支持を下げる要因だと、プーチンは自覚しているだろう。(補足3)

 

欧州は、そのことと弱い立場ほどより過激になることを十分に考えるべきである。世界を核の犠牲にしないためには、大量破壊兵器を大量に持つ国を過度に追い詰めないことである。

 

一般に大陸の人たちは、自分と相手を対立させて話し合う形式は得意だが、自分と相手を同時に思考の枠に入れることが苦手だろう。つまり、彼らは個人主義の国の民であり、日本人のように自分の立場を離れ、集団の中に自分を置いて思考する習性を持っていない。(補足4)

 

両方に一定の成果を割り振る形で交渉しなければなかなか纏まらない。それが出来るのは、米国である。この戦争を止められるのは、戦争に導いた当事者の米国バイデン政権である。

(これは素人の意見であることを承知ください。;18:00編集、①の文章を追加。)

 

 

補足:

 

1)後者は、これまで批判してきた共産党独裁と変わらない体制であり、プーチン自身が批判してきたことである。 例えば、1021日ロシアのソチで第18回バルダイ・クラブ討論会の年次総会で、会議に出席したプーチン大統領は、スピーチの中で「西欧社会は極左の社会主義イデオロギーに侵食されている、1917年のレーニン革命時のロシアで起きたことと大差はないと言っている。https://www.youtube.com/watch?v=ZAN9A8GzbGk440710

 

2)昨日のテレビ番組「そこまで言って委員会」でも、プーチンのウクライナ侵略の意図がわからないと専門家たちが言っていた。それは、今回の侵略がロシアの利益になるとは思えないからだろう。ウクライナがNATOに入ったとしても、ロシアにとって軍事的脅威が格段に増加するとは思えないという。確かに、核ミサイルがラトビアに置かれてもウクライナに置かれても、モスクワへの到達時間はほとんど変わらない。

 

3)この記述は随分ロシア寄りだと思われる方が多いかもしれない。そのように思う方は一度以下の記事を全て熟読してもらいたい。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12726626308.html

 

4)西欧文化の刑事裁判では、弁護士に犯人の立場で弁護を精一杯行い、検事は権力と被害者の立場でこれも精一杯告発する。裁判官はその両方を聞いて、犯行を法の記述にはめ込む。日本の伝統的方法は例えば大岡裁きであり、最初から双方の立場を並行して思考の中に置く。

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