注目の投稿

人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2016年2月18日木曜日

今後の世界人口についての基礎データ:GDP/人と合計特殊出生率の相関

世界の経済発展と人口増加の問題は、今後の世界政治を考える上で非常に重要である。宗教や人種毎の人口などで大きな変化が短期間に起こると、政治を不安定にする可能性がある。また、トータルな人口があまりに大きくなると、食料と資源不足が生じることになる。

そこで、「貧乏人の子だくさん」の信憑性が気になり調べてみた。下の図は年収別世帯子供数の統計である。(http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h17/01_honpen/html/hm02010006.html)この図を見る限り、日本では年収と子供数の相関関係はあまりないようである。
ただ、年収が400万円以下の世帯で、子供4人以上の世帯の割合が目立って大きいことと、子供ゼロの割合も非常に大きいことが気になる。先進国では産児制限が技術的にも社会風習上でも可能であることを考えると、上記ことわざが正しいようにも見えるが、それを結論付けには十分ではない。

次に、世界の各国の一人当たりGDPと合計特殊出生率の関係(2013年)を調べてみた。合計特殊出生率、つまり一人の女性が一生の間に産む子供の数のランク上位には、アフリカの最貧国が並ぶ。中東でも貧しいアフガニスタン(4.9人)やイエメン(4.1人)に比較して、一人あたりの年収が10倍以上あるオマーン(2.6人 )やクウェート (2.9人)の出生率が目立って小さい。http://ecodb.net/ranking/wb_tfrtin.html

この傾向が正しいかどうかを更に確認するために、アフリカ各国の合計特殊出生率と一人当たりGDPの相関をみた(2013年、補足1)。下の図が結果で、2、3の例外を除いて、一人あたりGDPが大きいほど、合計特殊出生率は小さくなっている。傾向から離れた国であるが、赤道ギニアはもともと貧しい地域だが、1980年代に石油の採掘が始まり、1990年以降急激に経済発展した(2004年:成長率34%)国である。ガボンも同様であり、1970年より油田開発された。更に、GDP/人が5800ドルで出生率5.8のアンゴラも産油国である。
中東の石油は1900年ころから採掘されてきたが、ギニア湾岸の石油は1970年と新しい産油国であり、豊かさの歴史は浅いのだ。また、セーシェルやモーリシャスは産油国ではないが、観光資源の豊富な小さい島国である。セーシェルはインド洋の真珠とも呼ばれる一方、モーリシャスは現在英連邦の国であり、元々アフリカでは豊かな国である。

従って国のレベルでは、「貧乏な国の子だくさん」が確認された。

なぜこのような逆相関が一人当たりGDPと合計特殊出生率との間にあるのか。一つの理由として、欧米などの先進国でも同様であるが、経済発展に伴って一般に貧富の差が拡大する。そのため、国民は富裕層を目指して教育投資を積極的に行うだろう。その負担が大きいため、産児制限を行うのだろう。つまり、貧しい国では子供は低年齢から働き手だが、豊かな国では高年齢まで教育投資の対象となる。従って、赤道ギニアやガボンもやがて出生率が低下することになるだろう。

そのほかに、飽食状態よりも節食状態の方が繁殖能力があるという情報もある。しかし、その信憑性は定かではない。 http://www.midori-funin.com/blog/2013/05/post-50.html

補足:
1)数値データを再録する。

0 件のコメント:

コメントを投稿