青山繁晴氏の、「エゴと愛、命の選別と反日政党への視線」との題での動画について:
https://www.youtube.com/watch?v=X-1Ldv4AYiM
この後半部分で、日本に反日政党があることの異常性について話されている。また、どこの国の一般市民も普通に持っている愛国心が、日本では特別視されていることの異常性を指摘しておられる。
以下に私の感想を書く。
自国を貶める国会議員たちには腹立たしく思う。そして、日本人が持つべき土台である愛国心を持っていないという青山さんの指摘にも同意する。しかし、それは日本国という共通の土台に立って生きているということを、日本人全てが実感できていないことが原因ではないのか。日本国というのは、もちろん国土だけでなく、精神風土や政治文化など全てを含む。
その原因には二つあると思う。
第一の理由:それは、日本国が未だに米国の占領下に近いことである。この動画でも、昨年末の従軍慰安婦問題に対する日韓同意について、反日的決断であると指摘されている。私もそう思い、幾つも投稿してきた。以下にその一部を記す。
安易な“慰安婦最終決着”は危険では:韓国との交渉は中国と米国を念頭に進めるべき(12/26am)
ーーーーー(日韓合意、12/28)ーーーーーーー
今回の米国の圧力による慰安婦問題の合意は禍根を残すだろう(12/28 pm)
2050年問題:日本国の弱点について(12/29 pm)
慰安婦問題合意:汚い韓国と米国、そしてそれに盲従する外務省(12/31 pm)
米国と韓国の歴史修正主義:米国の慰安婦問題干渉の目的は何か(1/2 pm)
慰安婦は存在したが、慰安婦問題は現在存在しない筈(1/3 pm)
安倍政権でもあのような日韓同意をするのは、今や日本は米国に逆らって生きる道がないという(多分米国派官僚たちの)考えに安倍さんが同意せざるを得なかったのだろう。つまり、それなりの理由と歴史的経緯があると考えるべきだ。
その日本の情けない姿は、吉田茂から佐藤栄作などの長期政権の時、変更できた可能性がある。しかし、国を代表する地位にいながら、自分の政治生命や生物的生命を賭けて、それをしなかったのである(補足1)。青山氏の河野洋平氏らだけを槍玉にあげるのは間違っていると思う。
第二の理由:過去の歴史に向かい合う努力をしなかったため、70年前の戦争により一旦壊れた日本人の土台である愛国心を、未だ修復も再建もできないことである。
あの戦争を、国家として国民全ての議論として総括していないのである。例えば、あの大敗した戦争が、関東軍の暴走(軍による天皇の統帥権の干犯である;補足2)を契機として起こったという史実さえ、国民に共有されていない。
その時の政治家や軍人は他国の人間により処罰された(東京裁判など)が、それを支えた当時の外務官僚は全て不問に付されただけでなく、戦後日本の外交をリードしたのである。(半藤一利、「ノモンハンの夏」文芸春秋、文庫p39-40)それは日本国が戦争の総括をしていない証拠の一つである。官僚の無謬性という言葉で片付けるのは、このケースでは間違いである。
戦争の総括が国民とその代表によって行われておらず、その結論が国民全てに周知され確認されていなければ、国民が共通の土台に立てる訳がない。あの様な大敗をした他の国では、このようなことは無いだろう。
また、今でも薩長や下級貴族など明治維新の功労者の末裔が、日本をリードしている。これも異常であり、新陳代謝が国の指導者の考え方において、皆無だということになる。その良い例が、安倍総理が岸信介元総理を過剰に意識されていることではないだろうか。
この「考え方における新陳代謝の無さ」は、大戦時の陸軍幹部が不自然なほど自信過剰であったことでもわかる。例えばノモンハン事件の際、関東軍がソ連軍の実力をあまりにも低く評価していたことがある。それは日露戦争の勝利の後遺症だというのである。(「ノモンハンの夏」参照)
当時の陸軍も薩長土肥の出身が多い。そしてかれらは、明治維新の際に孝明天皇を暗殺したように、昭和天皇が三国同盟に最後まで反対すれば、暗殺した可能性すらあった。実際、昭和天皇は三国同盟を認める際、もしそうしなければ内乱となり、日本国が一層危うい方向に走ることを危惧されたと、独白録にあるという。(半藤一利、「昭和史」平凡社、文庫p301)
日本の再建は遠いと思う。
補足:
1)何も米国にとって都合の悪いことをしなかったから長期政権となったと考える方が正しいだろう。これは、元外務官僚の孫崎享氏の指摘である。
2)軍の内閣の決定を無視して、あるいは、待たずして陸軍が暴走したのは、明治憲法の構造にあるという指摘が普通なされる。大日本帝国憲法第1条の「大日本帝国は万世一系の天皇之を統治す」と「天皇は陸海軍を統帥す(第11条)」という規定である。内閣ではなく、天皇の決定に従うというのである。そして、内閣からも天皇からも自由になって、陸軍は暴走した。つまり、最初から天皇は眼中になかったというか、自分たちと天皇は一体であると勝手に決め込んでいたのだ。
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