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2018年9月15日土曜日

プーチン提案についての日本側マスコミの反応(II)

1)元外務省の評論家の宮家邦彦氏が、下に引用のyoutube動画で、東方経済フォーラム全体会合での日露平和条約締結に関するプーチン提案に言及している。そこの発言が、非常に奇異なので、短いコメントを投稿しておいた。 https://www.youtube.com/watch?v=o6b9FZMGyHM

上記動画の中で宮家氏が、「そんなもの(=「条約の中に争点解決すると書けば良い」というプーチン提案)何の保証にもならないでしょう。平和条約結んだら切り札を切ってしまう訳でしょう。その時我々が取るべきものを取らないで、あとでやればいい? 何時やるのですか? 何にも書いてなければ、とても飲めるものではない」(6分45秒)」と発言している。

今朝のテレビ番組「ウエーク」でも、この問題を議論していた。そこで、読売新聞の橋下五郎氏が、「平和条約締結の条件は4島の帰属決定であり、それは絶対譲れない一線」だと言っていた。私には、日本人の多くが、日露平和条約交渉をまるで、日露北方領土返還交渉のように考えているとしか思えない。

テレビで活躍中の両者に聞いてみたい。「平和条約が切り札だとか、4島帰属(半分以上を日本への)決定は絶対譲れない一線だとおっしゃるが、敗戦はどちら側ですか?」と。(補足1) 二人の方は、日本国がアメリカの影の中に居ることで、無意識に強くでていることがわかっていない。平和条約を結ぶ意志がないのなら、その次にあるのは「じゃ、一旦終わった戦争を再開しますか」という質問ではないだろうか。これは単に平和条約に関する論理の話である。

2)ここで、私の思い当たるこれまでの日露平和条約締結交渉についての基本的な疑問点をあげる。それは、「何故、具体的な経済協力と平和条約交渉をリンクするのか?」である。

私が理解する平和条約は、戦争終結(日ソ共同宣言において行なっている)に続いて、領土を含む互いの財産のふさわしい帰属国への引き渡し、債務や債権の決済、戦争に至った両国に残存する戦争に向かうポテンシャル(つまりトラブルの種)を除去し、そのほか全ての両国間の棘を取り除いて、以後未来志向の独立国どうしであると確認・宣言する協定である。

つまり、平和条約は互いに未来志向の独立国どうしとなる為に、その障害を取り除くための条約である。そこで一般論として、これから経済協力していきましょうと未来に言及するのは、わかる。しかし、現在進行している経済協力は非常に具体的且つ大規模であり、本来平和条約を結んでから行うべきことである。経済協力が条件なら、それは賠償金あるいはそれに相当するものとして、算定して行うべきであり、平和条約の時点で支払いの交渉は終わるべきだろう。

日ソ共同宣言ではソ連は日本への賠償金請求権を放棄しているが、平和条約締結に際して、何か賠償金相当の経済協力をする義務がその後生じたのか? もし、そうでないのなら、互いに過去の歴史からの自由を確認したのちの独立国同士が、大きな経済協力の話を喧嘩の最終決着と同時に行う趣旨は何なのか、私には理解できない。

以上は、ソ連との外交的遺産は全てロシアが引き継ぐものと考えて議論した。

補足:

1)ソ連の参戦にまで遡って、論点を拡大する気なのか? ポツダム宣言受諾を表明した8月14日以降、休戦協定の9月2日までに、ソ連軍が千島に侵攻したことは、私も日本人として道義上許しがたい。更に、数十万人もの日本人をシベリア抑留し、5万人もの日本人がシベリアで死亡している。それはハーグ陸戦条約に違反しており、許しがたい暴挙である。それも含めてソ連の歴史をロシアが引き継ぐのなら、かなりの譲歩はすべきだと考える。

しかし、それが戦争というものである。戦争は国家と国家が、野生の原理の下で殲滅戦を行うのであり、そのような結末に至ったのは、第一に日本国の責任である。それを棚にあげて、敗戦国が領土を返還しろというのは、逆の立場になった時以外に考えられない。巨大な核戦力を含め圧倒的な軍事力を持った国に、もう一つの巨大軍事力を持った国の腰巾着であるとしても、腑抜けの国が何をいっているのか。

しかし、プーチン大統領はそうは言っていない。係争中の問題はその後話し合うと条約中に明記すると言っている。平和条約の段階で、それ以上望むのは本来おかしいのではないか。

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