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2018年9月13日木曜日

一歩が踏み出せない日本の政治:北海道原発再稼働と日露平和条約

本文最下段に追加補足あり(18:00)

災害から身を守るには、備えをすることと逃げることである。何もしないのでは、何時か死に至る。今の日本政治を見ていると、どちらの方向にも一歩を踏み出す自信がない、生後一年ほどの幼児のような状態に見える。

1)例えば、北海道での電力不足は深刻だが、それを一挙に解決する手段がある。それは原子力発電所の再稼働である。その検討の有無が政府から全く発表されていない。地震の翌日だと思うが、記者会見での菅官房長官による「燃料プールの冷却用電源確保が出来た」という言葉のみが原発関連の発言である。その際の記者からの質問にも、再稼働の予定を聞いたものは無かったようだ。https://www.youtube.com/watch?v=Vch2HBqI3og&t=76s 

テレビや新聞は、意図的に「原発再稼働に関する議論」を避けている様に見える。議論すれば必ず、再稼働も考えるべきではないかという意見が出ると考えられるからだろう。一方、記者連中も誰も彼も、再稼働すべきであるとの意見を持っていても、誰かが発言しない限り、「それには触れない」(補足1)というのが日本人と日本文化の決定的な弱点である。その特徴というか短所を持つのは、政府や政治家だけではないのだ。

その「空気」に、特に敏感な二世議員で構成されている日本政府は、原発再稼働を差し当たり考えていないか、或いは、国民の声を恐れて議論する旨の発表も出来ないでいる。世耕弘成経済産業大臣(補足2)は11日の記者会見で、「北海道の節電は長期化する。今週が節電の山場だ」と発言したという。

節電の山が今週で、節電は長期化する?それを聞いた評論家の佐藤健志氏は、「世耕氏の発言は矛盾している」とラジオで解説していた。(佐藤健志氏のラジオ放送:https://www.youtube.com/watch?v=LadMaHUqEQY

しかし、そうではない。世耕氏が言いたいのは、(原発再稼働をしなければ)節電の山は今週だが、今後は節電の”高原”が続くという意味である。「今の時点では考えていないが、喉元まで再稼働という言葉が出てきているので、誰か先に発言してくれ」と言いたいのだろう。

12日の中日新聞2面(12版)にも、世耕大臣の火力発電の再稼働や揚水発電の利用などに触れただけの記者会見の記事が掲載されている。(補足3) 一般人としては、緊急再稼働を考えるべきという上記佐藤健志氏の他にも、チャンネル桜の水島社長がいち早く再稼働を考えるべきとの発言している。しかし、マイノリティの意見であることは、風見鶏の世耕氏ら自民党の政治家連中が一番良くしっている。

2)日本政治の一歩を踏み出す勇気がないというか、無能さは、ロシアとの平和条約の締結問題にも明白にあらわれている。

ウラジオストクでの東方経済フォーラムにおいて、安倍総理、習近平中国国家主席、プーチンロシア大統領など4人ほどが横一線に並ぶ全体会議で、プーチン氏は今年中に領土問題抜きで平和条約を結ぼうではないかという提案を行った。(補足4)領土問題はその後で話し合うことにすれば良いとの提案である。

このプーチン発言について菅官房長官は、「政府としては北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する基本方針に変わりはない」と述べ、否定的な考えを示した。そして、「両首脳の二者会談でそのような発言があったということは承知していない」と述べた。https://www.sankei.com/politics/news/180912/plt1809120014-n1.html

このプーチン大統領の発言は、北方4島の帰属を両者が納得する形で決定し、それを平和条約に書き込むことは不可能であるとの表明である。また、全体会合でこの発言をしたことは、「これ以上、日本の北方4島の帰属に関する議論のための議論を、両これ以上続けられない」という表明だろう。(補足5)

そのプーチン提案に対して、安倍総理が留守の内閣官房において、早速拒否的発言をすることは非常識である。平和条約とは何かについて、官房長官を始め政府高官はもう少し考えたほうが良いのではないか。平和条約の締結とは、戦争の最終的終結を意味する。日ソ共同宣言はあったが、あれは平和条約ではない。菅官房長官の様な姿勢では、日露が今後平和条約交渉をこれまでの形で行うことは出来ないだろう。その意味を、軍事力を持たない日本はもっと真面目に考えるべきだろう。

もともと南千島は、(ソ連は参加していない)サンフランシスコ講和条約でも放棄の宣言をしている。国会でも、吉田茂総理は、択捉島や国後島はその南千島に含まれていると答弁している。(追加補足1) また、4島一括返還の話は、日ソの接近を防止するように米国が日本に吹き込んだ話である。

現在、日露は仮想敵国的情況から未だに抜け出ていないのだから、戦争終結の条約において北方4島全てを返還するとか、面積半分を返還するとかの条項を書き込むことは本来無理だろう。平和条約後の経済協力は、ロシアが強く望むことだろうし、日本にとってもメリットは多い。しかし、平和条約はそれ以前の問題である。

何よりも、対米従属の姿勢の先が見えている現在、仮想敵国の数を減らすのは緊急の課題の筈である。しかし、「北方領土、四島一括返還」などのキャッチフレーズ(補足6)しか頭にない”対米従属教の信者”が牛耳る日本政府では、もはや前にも後ろにも一歩も歩み出せないのである。

日本は4つの核保持国に囲まれている。米国は、日本を背骨のない国にすることに成功し、混乱の種を残して東アジアから後退することを予定している。その袖を掴んで米国にしがみ付く様な姿勢は、日本から未来を奪うだけだろう。勿論、米国は同盟国であり、大事にすべきではある。しかし、現在の大統領に率いられた米国は、歴史よりもこれまでの覇権よりも、何よりも自国の利益を最優先する国である。

取り敢えず、ロシアと少なくとも平和条約を締結して、日本の主権を守る根拠を一角だけでも確かにすべきである。中国とは平和条約締結後既に70年経つが、日本にとっては最大の軍事的脅威の国である。核兵器と増強しつつある海軍力を背景に、尖閣諸島はおろか、沖縄の領有権も日本は主張できないと言ってきた国である。その国と、3兆円の通貨スワップを決定した上に、10月にはもっとそれを拡大する可能性が巷に流布されている。

日本国民の筈だが、日本という国が理解できないし、安倍総理の考えもわからない。

追加補足:
1)正確には吉田茂総理の答弁を引き継いだの西村条約局長の答弁、「(サンフランシスコ平和)条約にある千島列島の範囲については、北千島と南千島の両者を含むものと考えております」という答弁である。この件について、鈴木宗男氏が国会で質問している(2006年)。それに対する時の小泉総理の答弁は、ウルップ島以北が千島列島であり、国後島と択捉島は南千島に含まれないというものであった。http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b164073.htm ただ、地理学的感覚では、その答弁には無理があると思う。

補足:

1)不可触の感覚は、日本文化独特である。日本人の半数以上は、原発という言葉を口にするのも聞くの穢らわしいと思っているのである。議論することも避けるのは、「議論したことがそのまま真実になると思う感覚」からであるとされている。それを言霊信仰という。しかし、それは信仰というよりも、まともな言語を持たないという現実である。日本語は、議論にも情報伝達にも向かない言語なのである。その言語に対する不信感が、日本文化を感覚的な方向に導いたのである。俳句などは、その出来の悪い日本語文化に咲いた徒花である。

2)世耕政隆は伯父にあたる。1998年に伯父の死去に伴った参議院議員補選で参議院議員となる。私が定義する政治屋貴族の1人である。

3)その記事の下に、世界の原発による発電能力が2030年までに、最大10%減少するとのIAEAの予測が掲載されている。中日新聞は、「ゆめゆめ原発再稼働など考えるでないぞ」と、金を支払って購読している読者に念をおしているようである。こんな下らない東京新聞系の新聞をとるなんて、本当にバカである。

4)今年中という言葉に、プーチン大統領のスピード感覚が現れている。日本人の大多数には、びっくりする位の”速い速度”感覚だろう。

5)安倍総理のウリは、活発な外交である。トランプやプーチンとの関係も良好であるとのメッキは、ほとんど剥げている。20数回会談しても、一歩の進展しないのなら、嫌になるのは当然である。安倍総理は、日本国内に向けて会談の写真を送るために会談しているのだろう。

6)キャッチフレーズは、考える能力のない大衆に仏教を教える秘法であった。南無阿弥陀仏、色即是空などを知らない日本国民は居ない。しかし、南無阿弥陀仏の「南無」の意味や、色即是空の「色」や「空」の意味を知る日本人は、その2-3%程度或かないかだろう。

1 件のコメント:

  1. 北海道の原発再稼働、まず実行すべきと思います。
    原発の危険を騒ぐ人には,稼働していても,休止していても,危険度に変わりは無いことを説明すべきです。
    女川原発と福島原発との例を示せば良いと思うのですが。

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