我国の安全に対する重大な脅威となる他国の軍事行動を、同盟国と集団となって阻止することを可能にする法律改正案が、参議院で議論されている。野党はこの集団的自衛権行使が憲法違反であるとする従来の解釈から、廃案を目指している。更に、国民の一部もデモなどで反対の意志を表明している。
与党と野党の議論は全くかみ合っていない。与党は最近の国際環境の変化を理由に、その必要性を法案提案の理由としているが、野党は憲法との整合性を理由に反対している。自衛隊(自衛軍)を持ち、自衛の戦争を行う権利を合憲としている、従来の(憲法9条と憲法13条)憲法解釈を認めるのなら、何故今回の安保法制に反対するのか、私は今ひとつ理解に苦しむ。憲法学者たちの過半数は、自衛隊すら憲法違反だといっているのだから、彼らは現時点で出る幕はない。
つまり、核兵器を持つ周辺のある国が軍事行動をした場合、自衛隊のみでは対処できないのは明らかである。その場合、“自衛隊と米軍が日本国の自衛戦争において集団的に行動する”という今回の方向は、自衛戦争及び自衛隊が憲法9条の例外規定となるという(憲法13条による)従来解釈を前提にすれば、不自然ではない。
一部国民のデモで用いられているプラカードをみると、「憲法9条を壊すな」、「戦争させない」、「戦争法案反対」などと書かれたものが圧倒的に多い。しかし、憲法9条の解釈を変えるという話は国会ではされていない。また、戦争をしないとは野党も言っていない。つまり、デモ隊のプラカードは野党の考えにも一致していない。自衛戦争を可能だとする従来の憲法解釈をも否定するものである。
野党の主張の主な点は、「自衛隊の集団的自衛行動が、日本の自衛の範囲を超える可能性があるのではないか?」という理由から、集団的自衛権行使そのものを否定している。
野党の考えは日本国のためにならないのは、以下のような喩え話で考えるとわかりやすい。
近くで自宅に侵入することを狙っていると思われる強盗らしき人間がいる。そこへピストルを持つ警官が駆けつけて強盗と対峙している時、後ろにもう一人強盗が現れて、背後からナイフで警官に斬りかかろうとしている。そのとき、野党の考え方をとれば、自分が現時点ではたとえ強盗の脅威の下に無いとしても、こん棒を用いて警官の背後の強盗に殴りかかる行為(集団的自衛権行使)は、自衛のための武力行使にあたらないことになる。
野党は憲法に違反するといって反対する。なぜなら、強盗が明白に自宅に侵入して自分に危害を加えるかどうかは現時点では”物理的に”明白とはいいがたいこと。更に、警官を襲おうとしている強盗がこちらに向き代わって、自分が襲われるかどうかわからないからである。
デモを行っている民衆の考えは、プラカードの内容から考えて全く的外れに思える。しかし、野党はデモをする民衆の応援をし、彼ら民衆側からSEALDsの代表を選び公聴会に呼んで協力を得ているので、本音はデモをする民衆と同じだと思われる。
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