今回の安保法案について、御厨さんは集団的自衛権行使にはすべて反対というわけではないが、それを可能にするには憲法改正が先であるべきといっている。しかし同時に、安倍さんが法案を急いだのは、この時期しか法改正は無理だと考えたからだろうと発言している。
これは明らかに矛盾している(補足1)。なぜなら憲法改正の方が困難な仕事だからである。憲法の方が先だというこの論理は、民主党と似ている。民主党は憲法改正には反対だろうから、この安保法案反対の理由も国民に対するごまかしである(補足2)。
国際政治環境の変化が急であり、集団的自衛権行使が出来るような法整備が必要なら、憲法の件とは独立して審議し、賛否の意見を明らかにすべきである。
それに、集団的自衛権は国連憲章51条で明確に認められ、国連加盟の段階で日本も認めているのだから。
田瀬さんの戦争をしない国から、戦後70年たって初めて戦争のできる国になった、と今回の安保法案に言及しているが、これは誤解を招く(補足3)。これまでも自衛の戦争ができる国であったからである。今回の法では、集団として自衛戦争を戦うことが出来る様になったのである。
つまり、自衛の戦いのある段階で、例えば、敵国が米国を攻撃している場面でも、敵国を日本国が攻撃できる。戦争を全体としてとらえるのなら、集団的自衛権がなければ、日米同盟でスクラムを組んで敵対国と戦うことは不可能である。自衛戦争が合憲なら、なぜ集団的自衛戦争が違憲なのかわからない。
アベノミクスの評価にかんして、地方の中小企業までには効果が至っていないと、マイナス評価の理由を挙げている。日銀のマネタリーベース増加に対して、田瀬さんは金を使ってと表現しているが、それは間違いである。日銀の金は国債などの購入に使われていて、資産となって残っている(補足4)。
日銀がやっていることは、マネタリーベースの増加からマネーストックの増加を目指したのであり、それはある程度成功している。ただ、幕引きはむつかしいのは事実だが、あの1ドル80円の状況を放置すれば、今よりはるかに悲惨なことになっていただろう。
補足:
1)「集団的自衛権には全く反対という訳ではないが、憲法改正が先であるべき。しかし憲法改正は不可能だろう。」という意見は結局、「日本が持たなくても良い」という考えであることを示している。それなら、明確にそう発言するのが、政治評論家の義務だろう。ここの矛盾という表現は不十分なので、補足します。
2)「憲法改正して、関連法案を議論するのが筋だ」といいながら、「憲法改正には反対だ」というのなら、集団的自衛権は不要だという議論をしなければならない。違憲だという議論に終始したのは、この議論をしたくないからであり、国民に対する背任行為である。
3)このようなことをテレビでこの種の番組を担当している者がいうから、デモで「戦争させない」というようなプラカードを出すのだ。田瀬さん!個別的自衛権を行使できるということは、自衛の戦争をするということではなかったのですか?
4)安倍さんが憎いと言っても、このようなグレイ領域の嘘をつくのは言論人にふさわしくない。勿論、「金を使って、資産を購入することを含めている」という言い訳は可能だが、正しく「お金の流通量を何倍にも増やす」と何故言えないのか。
(同日18:50補足修正)
0 件のコメント:
コメントを投稿