注目の投稿

人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2019年10月27日日曜日

地球温暖化説の再評価と対策について:未だ時間は十分に残されているので、国連は問題解決に向けた人類の協力体制をつくるべき

1)海水温変化と気温変化

気温の変化を観測する場合、観測ポイントが徐々に都市化することによる温度上昇が重なるので、真の気温変化を正確に出すことはかなり難しい。そのことは専門書にも記載されていた。http://www.asahi-net.or.jp/~rk7j-kndu/kenkyu/ke04.html

そこで、海水温の変化を観測し、それを基に地球温暖化を考えることが有力になってくる。最近、気象庁のHPに海水温変化の詳細が掲載されているのを見つけた。下図は、全地球海水表面温度(上)と世界の平均気温の経年変化である。この100年間、海水温は0.54度/100年、平均気温は0.74度上昇している。しかも、その相関は非常に高い。

この高い相関関係および海水の大きな熱容量を考えると、気温は海水表面の温度に支配されていることがわかる。世界の平均気温における観測ポイントの都市化の影響があるのは確かだろうが、それを差し引いても地球気温の上昇、および、全地球規模の最近100年の0.5度以上の温暖化は事実であると分かる。勿論、その0.5℃の気温変化がどの程度重要なのかについての議論は慎重に行うべきである。時間は未だある。

気象庁のHPには、全世界のほかに日本近海の表面温度のデータも掲載されている。それによると、この100年間に日本近海で1.12度ほぼ直線的に増加している。(日本近海のグラフについては補足1)更に、日本海の方が東北沖よりも温度上昇の勾配が大きいなど、海水表面温度が、工業化によるエネルギー消費に影響されていることも十分考えられる。

更に海水面から700mの深さまでの海水(表層水)の温度の全球平均の経年変化(下)と表層水への蓄熱量(上)を示したのが下図である。この図で注目されるのは、1980年あたりからの急激な温度上昇である。それに伴って、かなりの蓄熱が表層水に生じて居る。蓄熱量は、表層水量に比熱と温度を掛けて計算されるので、図において完全に並行しているのは当然である。横にその蓄熱量を用いて、地表面からの余分な熱の流れについての概略を示した。

図中に計算の概略を示したように、その蓄熱速度は最近20年ほどの平均で、0.28 W/m2となる。つまり、太陽で温められた地表面からそれだけの熱が流れ、海水の温度上昇に使われている。W(ワット)は毎秒ジュール(J/sec)。尚、地表面への太陽エネルギーの流入は平均して342W/m2である。この0.28W/m2という量は重要だが、パニックになるほど大きくはない。

IPCC(2013)によると、2001年から2010年までの人工衛星などによる観測から、大気の上端では地球に入ってくるエネルギーが出て行くエネルギーよりも平均で0.5W/m2大きかったとしている。つまり、増加したエネルギーの約60%が700m深までの海洋表層に蓄えられていたということになる。(気象庁のHPより転載)

地球での蓄熱は、表層水のほか、深層水への熱の移行、大気温度の上昇、地殻土壌や岩石の温度上昇などが考えられる。大気の熱容量は10m程の海水に相当するだろうから、大きくはない(1〜2%)。地殻への蓄熱は、地面は地表面積の30%であることや、対流が無いことによる断熱性などから、海水に比べてそれほど大きな値ではないだろう(おそらく数%)。従って、多少過大見積もりのような気がするが、双方の誤差も考えれば0.5 W/m2 での地球温暖化の見積もりは、妥当な結論だと考えるべきだろう。

2)地球温暖化の確認と、CO2増加による気象変動

以上、太陽から平均として342W/m2で加熱される地球は、その99.85%を宇宙に返している事がわかった。つまり、0.015%程度の太陽光エネルギーが地球の温暖化に使われている。

4年前のブログで、世界の気温上昇のデータを用意する場合、この都市化による温度上昇分を差し引かなければならないことを指摘した。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2014/08/blog-post_26.html

しかし、以上の考察により、ここ40年程の地球温暖化は事実である。そして、その原因として人間の活動にあることは疑う余地はないだろう。

世界の一次エネルギー消費は2018年で約140億TOE(補足2)である。このエネルギーを仮に地球表面全体一年間で用いるとした場合、1平方メートルあたりのワット数で表すと、0.036 W/m2となる。この計算は、地球表面積と一年間を秒に換算して、両方の積で、上記エネルギーとの商を計算するだけである。

この極一部が温暖化に貢献する。一次エネルギー消費全体の値は、上記0.5 W/m2という値よりは一桁小さいので、仮に全部が温暖化に貢献するとしても、全体の10%程度の温暖化効果しかない。従って、地球全体の温暖化の主原因にはなり得ない。ただ、ローカルな海水温度の上昇や、気象変動などには影響が考えられるという点で重要かもしれない。(補足3)

次に、温暖化による気候変動はどの程度か考えてみる。台風は空気の大規模な対流であり、温度の上昇した地表面(海水表面)を冷却する働きがある。また、通常の風雨も緩慢だが、台風と同等の働きがある。従って、地球が温暖化しているのなら、台風発生数や降雨量に影響が出ると考えるのが自然である。そこで、気象庁のHPにあるデータを用いて、グラフ化した。昨日の記事にその結果を書いたが、台風発生数や降雨量ともに有意の差は見られなかった。
https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/10/blog-post_26.html

従って、今後も台風の発生や降雨量の急激な増加はないだろう。また、これまでのデータを延長すれば、地球気温が更に0.5度程度上昇するまでに、20−30年ほどの時間がある。その間に、発生する台風数や降雨量は人間の生存を脅かすほどにはならないだろう。

その間に、二酸化炭素を発生しないエネルギー産生の方法開発とともに、二酸化炭素増による地球温暖化のメカニズムの精緻化を図るべきである。大事なことは、何もかも無事に保ったままで、これまで通りの発展は無いという自覚であり、それは多少の負担には耐えるという意思を持つことである。つまり、治山治水事業に投資するなどの方法も、重要な対策である。

人間が高度な文明社会を享受するには、一定量のエネルギー消費は必須である。また、発展途上の国においては、経済発展なくしては平和への道はあり得ない。従って、その100%の解決はあり得ないかもしれないが、人類は団結してそれを成し遂げるべきである。

地球温暖化の危険性を過大視するように宣伝し、金儲けをしようとする身勝手な人々を諌めること、そして、彼らが引き起こす混乱とそれによる争いの悲劇を防止することも非常に大事であると私は思う。

3)地球温暖化対策と人類の協調

繰り返すが、二酸化炭素削減はすべきだろう。しかし、極端な目標を立てて、人類を分断することは避けるべきである。

例えば、「世界経済フォーラム」は9月23日、CO2排出量の多い重工業で、2050年までにCO2排出量をゼロにするミッションを背負った活動を8つも発足したという。対象となったのは、トラック・バス、海運、航空、アルミニウム、セメント、自動車、総合科学、鉄鋼の8業界である。

また、世界経済フォーラムは別途、自動車業界ではEVと自動運転を推進し、乗用車からのCO2を95%削減する活動も発足。それにはBMW、フォード、Uberが幹部企業となることが決まったという。https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191019-00067794-gendaibiz-int&p=1

「世界経済フォーラム」という私的な団体は、地球温暖化に関する危機感を煽り、世界の政治と経済の操縦に使おうとしている。それに呼応する形で、「国連気候アクション・サミット2019」でも、スウェーデンの16歳の少女グレタ・トゥーンベリさんを使った衆愚政治的手法を用いて、2050年までにCO2排出量をゼロにすることという世界経済フォーラムの提言への参加の空気を醸成した。

彼らは、地球温暖化説を掲げて、世界の政治や経済を自分たちが儲かる方向に導こうとしている。世界経済フォーラムの連中は、ハイブリッド車を廃止したいのだろう。しかし、走行時には二酸化炭素を発生しないテスラ社の代表的車種などは、自動車を製造して充電しそれで走るという全段階を考慮した場合、二酸化炭素発生量の比較では、トヨタのプリウスに劣るという。https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/electric-vehicle-eco/#title03

それにも関わらず、地球温暖化を喧伝して、ハイブリッド車およびプラグインハイブリッド車を禁止して、自分たちがそのシェアを取ろうとしている。その目的で、あのような少女を使ったプロパガンダを行うのだろう。冷静に考えれば、EVにこだわる必要はないので、衆愚政治的手法を用いるのである。

また、2050年までにCO2排出をゼロにするという必然性は、科学的には明らかではない。これは、上記のように極端な目標を掲げて、等しく問題意識をもって人類が協力していくという体制を破壊する思想である。この影には、欧米の大金融資本が、世界市場の独占を狙った陰謀が存在するのだろう。

なお、今日のそこまで行って委員会で、竹田恒泰氏は地球温暖化を完全否定していた。また、同じ番組でサイエンスライターの竹内薫氏は、逆の温暖化説を完全に擁護していた。日本の国論を統一するには、このような誤解をなくすよう、テレビ局も出席者の教育と精査という部分で努力すべきである。

補足:

1)日本近海平均海水温と世界平均海水温のデータを並べて示す。
2)toeは石油1トン換算のエネルギー単位42GJである。約10億カロリーである。

3)日本近海の海水表面温度の上昇は、日本海側や西日本の太平洋側の方が、東北沖よりもかなり大きい。そのようなローカルな温度変化には、海流の他にある程度その近くの地域のエネルギー消費が影響している可能性もある。https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/data/shindan/a_1/japan_warm/japan_warm.html

0 件のコメント:

コメントを投稿