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2019年6月9日日曜日

米国がロシアを敵国とした世界政治とそのモデル

1)6月6日の会見でロシアプーチン大統領は、日本との平和条約の締結は現状困難であるとの認識を示した。その理由のひとつは、日本と米国との軍事協力だという。5月30日の外相会談でも、ラブロフ外相は日本のイージスアショアに対して、ロシアの脅威だと発言したのも、プーチン・ロシアの対日姿勢の一貫かもしれない。

イージスアショアも、日本の防衛というより、米国の防衛のために置かれると考えられるのかもしれない。(素人なので、中国が韓国のTHAAD配備に激しく反応したことと同様に考えた。)ただ、米国とロシアが何故対立するのか、今ひとつ分からない。

しかし、有力なモデルがないわけではない。それは、米国は世界の警察官としての仕事で高給をもらってきたというモデルである。元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏が示したものである。その馬渕元大使の分析には説得力がある。しかし日本政府は、警察官を信じる以外に、日本の生きる道はないと考えているようだ。そして、それも本当かもしれない。(補足1)

警察官が必要な世界には、必ず悪人がいる。もし、世界に悪人がいなければ、警察官は必要なくなる。ソ連が共産主義を捨てても、引き続き悪人の役を引き受ける羽目になったのは、ロシアの性根が腐って居るからだと世界の警察官は言ってきた。その世界政治が21世紀初めの20年間続いた。

米国大統領にトランプさんが就任して以来、どうも悪人がもう一人出来たようである。隣国中国である。昨年10月だったか、ハドソン研究所でのペンス副大統領の演説で、それが明確になったと言う人が多い。こんなブログ記事を書きながら、本(文章)を読むことが幼少より大嫌いだったので、未だ読んでいない。下記サイトに全文が翻訳されているので、今日中にでも読んでみようと思う。https://www.newshonyaku.com/8416/

トランプ大統領は、就任時から今まで、古いターゲット(悪人)と仲が良さそうだということで攻撃されて来たのだが、確かに議会等のトランプ攻撃の刃が鈍っているようだ。悪人役が交代の時期の様なのである。しかし、悪人役を長く演じると、自分は俳優だったのか本当の悪人だったのか、真実はどちらなのかわからなくなるかもしれない。(補足2)それが現在の世界政治の姿だということである。 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-29/PS9YAZ6TTDS701

2)話を元に戻す。警察官の高給の中身とは、ドル基軸体制の維持で得られる莫大な利益である。米国の連邦準備銀行(FRB; federal reserve bank)は世界中に決済通貨として米ドルをばら撒いている。そのばら撒く方法は、自分たちが刷ったドル札という紙切れで、諸外国に投資や融資をし、或いは、自国に必要な資源を買うことなどである。つまり、紙切れで世界中から買い物ができるというのだから、並みの高給ではない。(注:連邦準備銀行の元締めもFRB,The Federal Reserve Boardと呼ばれる)

そのことを貸借対照表で見るとわかりやすいかもしれない。債務欄(Liability)には、紙切れに印刷したドル札の合計額が書かれる。反対側の資産の欄には、対外投資額や外国への債権額が書かれる。それらは、一定の利潤を米国に運ぶだろう。総資産額が毎年自動的に大きくなるのである。世界一の借金王の米国の国債が、今でも一番信用がある。その理由は、米国が世界の警察官であるという身分と不可分な関係にあるということである。(補足3)

更に、発行したドル札には金利がつく。紙幣の本質は借金証書、つまり金を預かっていますという証明書なのに、利子というお金をその証書の発行主に支払うのである。(補足4)最初は不思議に思うのだが、紙幣の意味において、コペルニクス的転回が生じたのである。(下記の「警察官は泥棒を必要とする」というのも、社会のコペルニクス的転回である。)

そのFRBに入る金利や、諸外国への投資の利潤は、更に同様の対外投資に回されれば、原理的には諸外国の金融資本のほとんどを徐々に米国金融資本の配下に置くことも可能だろう。その非常に有利な国際的地位を簡単には手放す訳にはいかない。

何故、ロシアと対立してきたのか? それは、米国が世界の警察官というボスの位置に座るためにプレイしてきた芝居ではないのか? そのように謎を解決したと馬渕大使はおっしゃるのだろう。繰り返しになるが、警察官を演じるには悪人が必要である。それを引き受けて呉れたのが、或いは、引き受けさせたのがソ連であった。その延長上に現在の悪役ロシアが存在する。

つまり、米国はソ連を世界の脅威とすることで、米国の地位を確立したということだろう。そのメカニズムを1960年代に米国のケネディ大統領が破壊する可能性があった。(補足5)それがケネディ暗殺の本当の原因であるとほとんどストレートに馬渕睦夫氏は言っている。https://www.youtube.com/watch?v=WrigE8FsZmY&t=597s

上に引用の大使の話は非常に興味深い。ケネディ大統領は、ロシアと敵対しなくても良いと考えたというのだ。当時外務大臣だったグロムイコの回顧録に、そのことが書いてあると馬渕睦夫氏が暴露している。直接上記サイトの動画を視聴して見てください。

そのモデルを用いて、「何故、米国はNATOを東欧諸国にまで広げようとしてきたのか?」また、「何故ウクライナでの政変で親露のヤヌコビッチを追い出す運動を支持したのか?」「プーチンは本当に悪なのか?」などの疑問を考えると、何か明確に見えてくる様な気がする。日本の外務官僚や元外務官僚が忌み嫌う陰謀論である。DEEP STATEの存在である。https://www.youtube.com/watch?v=j1BQSxfMUkk

補足:

1)米国の覇権は、現在の世界秩序の上で大事である。ただ、一つの社会内部の言葉で語ると、以下のように狡いという印象の文章になる。その原因は、一つの言葉は社会の壁を跨いだ出来事を正当に表現する機能をもたないからである。例えば、野生の世界を一つの言語を用いて語ると、残酷で非情な描写になる。また、戦争とその周辺事項を通常の言語で語ると、一般人は忌避反応を示すことになる。世界政治を語る場合、その言葉の限界を知ることが特に重要だと思う。

2)善悪は社会が成立したときにルールとして制定される。半野生の現代政治において、善悪を論じるのは、半ば愚かなことである。更に野生の世界(あるいは生物の世界)全体を見れば、悪とは敵の別名にすぎない。親鸞の「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人おや」は、社会から阻害された人物に悪の烙印を押すのは、社会側の構成員の傲慢であるという意味である。全体を見る”阿弥陀如来の目”には、両者に差はない。むしろ悪人の方が、その生涯において十分不条理な苦労を強いられて来たのであり、阿弥陀仏の憐れみの対象としてふさわしい。 プーチン・ロシアが反米なのは、ソ連時代の延長線上にある。そこから急に踵を返すことは出来ない。10年間はかかるだろう。その10年は、日本にとっても正念場である。中国を敵とすることの困難は、朝鮮半島が世界1であり、日本が世界2である。文在寅が親中路線をとったのも、安倍総理が日中友好の看板を新たに掲げたのも、それを示している。米ソ冷戦時代は、日本にとっては幸せな世界だった。

3)国債の信用は、そのCDR (credit default swap)の代金(保険料金と考えて良いらしい)を見るとわかる。下図はそれを示した図で、DEEP MAXというyoutubeサイトからとった。
縦軸が0.01%単位での料率である。中国国債がもっとも高いので、国債信用が中韓日米の中で一番低い。また、日米の国債の信用は、一番高い。世界の金融マンが計算したこの数値からは、中国の国債がデフォルトする危険性は2018年の末時点でも、そんなに高くないことを示している。

4)本質は借金証書なのだが、ニクソン大統領の時に、金には交換しませんと宣言した。それでも、しっかりと米ドルは世界の決済通貨としての地位を保っている。それは何故か? その答えが、米国の国力が世界ダントツだということである。国力とは、経済力と軍事力の二つの積であると考えるのが普通。その考え方では、日本の国力はゼロに近い。何故なら、日本は軍事力がゼロ、つまり戦争できない国だからである。日本人がそれでも平和を享受できるのは、米国の属国だからなのだろう。原爆を日本に落とした米国も、もう罪滅ぼしはしたのだからと、路上に孤児として日本を放置する日が近い。子殺しが頻発する昨今、いつまで丸山穂高をいじめて馬鹿騒ぎをする国なのだ。

5)トランプ大統領はケネディ暗殺に関連する文書の公開を見送った。そのことは、米国国家の本当の権力者たちが彼を暗殺したことを示している。そこで最も疑われるのがCIAであるが、CIAかどうかはわからない。その原因は、ソ連を敵と見なす方向を転換し、米国の真の支配者と対立する可能性が高くなったからだろう。ケネディは、トランプのようにもう少し慎重であるべきだった。https://biz-journal.jp/2018/06/post_23585.html

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