民主主義の欠点は、国民一般が世界の政治を理解できないにも拘らず、政治家を選ぶ投票権を有することである。もし一般大衆が他国のプロパガンダに載せられた場合、或いは、安易に”空気の支配”を受け、国際政治を間違って理解した場合、国が滅びる可能性がある。(補足1)
日本には遠くない過去にそのような経験が一度ある。北野幸伯氏が、youtubeで流している自著書の宣伝動画で、それを教えている。(補足2)つまり、日本が対米戦争とその敗戦の方向に歴史を向けた一つの分岐点は、松岡洋右全権代表が国際連盟から脱退したときだった。
その国連脱退したのち帰国した松岡を、日本国民は熱狂的に歓迎した。つまり、その後戦争の方向にひた走る日本を、一般大衆は支持したのである。ただ、満州国承認の取消などを勧告された場合、松岡洋右には国際連盟脱退以外のことは出来なかったかもしれない。
そう考える場合、もう一つの分岐点として桂ハリマン協定の破棄、つまり米国に対する満州利権の分与を日本が拒否したことがある。日本が協定を破ったのは、日露戦争に勝利して日本中がのぼせ上がったからである。恐らく、それも大衆から政治家まで同様だったのだろう。
つまり、日本が日露戦争に勝利したのは、日英同盟と米国のお陰であった。戦費調達から、戦争終戦の仲介まで、米国のユダヤ資本やセオドア・ルーズベルト大統領のお陰だった。(補足3)国民は、何故条約を日露が米国で締結するのか、十分考えたのだろうか? その情報を新聞等のマスコミは国民に与えたのだろうか?
兎に角、ロシアから賠償金も取れずに和平に調印した小村を、国民は石を投げるような冷遇で迎えたのである。
このような国際的なポリティクス、つまり多くの因子が含まれる動力学は、専門的分野で生きることに高い価値を置く日本の文化に浸かっていては、国民一般には理解不能である。北野氏は、職人として優秀なのだが、総合的に見る能力を日本人が持てば、理想的な国の政治が実現するだろうと、ポジティブにそれを言っている。
現代ネット社会であり、情報へのアクセスは簡単になったので、日本政府が積極的に情報を公開し国民の議論に供すること、そのために首相公選のように政治を考える切掛を国民に与えることを考えてもらいたい。米国の大統領選挙のような制度を真似るのも一つの方法だろう。
候補者を議論で選ぶ方式を採用すれば、その時点で議論できる知識と言語能力を持った人に候補者が限定される。更に、その議論を聞いて一票を投じることになるので、大衆にもレベルは異なるが同様の知識と分析能力が要求される。それが政治の改革につながると思う。
補足:
1)1988年、中国共産党の李鵬首相(当時)がオーストラリアを訪問したとき、そこの首相に「40年後、日本という国はなくなる」と予言した。ウイキペディアの「李鵬」の脚注9を参照。
2)youtubeの政治に関する動画をクリックすると、3件に1件の割合くらいで北野幸伯氏の「自立国家 日本の創り方」という本の宣伝動画に当たる。そこで氏が解説している内容。
3)セオドア・ルーズベルトは、日露戦争後まで日本文化(武士道など)を高く評価していた。しかし、日露戦争勝利後、日本は増長していると話しだしたという。
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