1)トランプの考えの通りには動かない政権幹部
19日のHarano Timesの動画によると、米国の官僚機構の中にSES (Senior Executive Service;上級執行官)というランクがあり、連邦一般公務員200万人の上で働く。人数は約8000人。ウイキペディアによると年俸は13.1万ドルから19.73万ドルである。その位階は、軍で言えば将官レベルで、大統領が任命する長官や次官の直ぐ下の各省幹部を構成する。(補足1)
SESのメンバーの大半がオバマ大統領の時代に入れ替えられ、その後身分の安定化がなされたという。その結果、まるで日本の上級官僚のように影の政府(DS)の実働部隊として働いているようだ。
例えば、ラトクリフ国家情報長官が18日までに提出する筈だった、「今回の大統領選挙に外国勢力の影響が有ったかどうかの報告書(2018年の大統領令に基づく)」が来年1月まで遅れるのも、オバマ時代のSES の反対が原因のようだ。(以上SESの給与以外は、Harano Timesの動画からの引用)
しかし、本当にそうだろうか? 私は、ラトクリフ氏は、報告書の内容は既にメディアで喋っているのだから、正式に提出することなど物理的には簡単な筈であると思う。ラトクリフ氏は、その提出をためらっているのだと思う。
その理由は、トランプ大統領が非主流の権力者であり、あと一ヶ月で退任予定だからである。今後トランプ政権が4年続くと考えているのなら、締め切り数日前にでも提出できただろう。Pナバロさんは、個人で30頁ほどの報告書を出したのだから。更に言えば、最高裁判決も、逆の結果になった可能性もあると思う(追捕1)。全ての官吏は、衣を脱げば生身の人間である。
追捕1)大統領が戒厳令を出すには、客観性のある根拠が必要だろう。それが“大規模違法選挙”の最高裁判決であり、国家情報長官の”大統領選挙への外国の介入”が有ったとする正式なレポートだろう。戒厳令の制限に関しては、南北戦争以来判例が積み重なっており、法的根拠を明確にする必要があるだろう。(追捕は12/21/17:40に追加)
現在、大統領も少数の大統領任命官(長官や次官)以外でスムースに動く上級幹部はほとんどいないのではないのか? 及川幸久氏やHarano Timesなど日本語を喋る保守系の多くは、筆者を含め、トランプ支持の池にどっぷり浸かっている(居た)だけではないのか?
政権移行期に入ったと米国民及び官僚たちの多くが感じる場合、現職大統領の影は時間とともに薄くなる。今となれば、戒厳令を宣言しても、陸軍も動かない可能性がたかい。それがトランプにフィードバックされて、戒厳令を出す勇気が削がれたのではないのか?(補足2)
12月12日に出した最初の記事の後半で、マーク・ミリー統合参謀本部議長の、「我々が従うのは米国憲法であり、王や君主ではない」と話す動画を掲載した。トランプ大統領が戒厳令を出しても、暴君のようだとマーク・ミリーが判断すれば、軍は動かない可能性が高い。つまり、エスパーを解雇しても、その下の統合参謀本部など軍上層もDSに抑えられている可能性が高い。
12月17日、マイケル・フリン退役中将は、不正選挙の問題を解決するために、戒厳令及び軍事力を使う可能性があるとテレビで発言した。
この発言を受けて、陸軍長官及び陸軍参謀総長は、「アメリカの選挙結果を決定する手続きにおいて、米軍の果たす役割はない」と言った。https://www.washingtontimes.com/news/2020/dec/19/army-brass-rejects-calls-for-martial-law-no-role-f/
これは、「他国が米国の選挙の一部を乗っ取り、国民が選んだのとは異なる人物を当選させた。現職大統領がその外国の影響を取り除き、その上で正当な選挙を再度実施するため、戒厳令を布告し軍政を部分的に布く」というトランプ支持派の図が「真実」に基づいて居るのであれば、軍は動くことを否定したわけではない。
しかし、その真実を含め、9.11以降の米国には「真実」が存在しないように思う。その論理を曲りなりにも完成するには、助力が必要で、それが最高裁の判決や国家情報長官のレポートである。それらが無い限り、そして、上官や社会の津波のような危機感とそれに対する熱情が伝搬しないのなら、軍が動く動機とはならないだろう。(補足3)
2)トランプは煽動者としての能力に欠けるのか?
トランプ大統領が次期政権につくかどうかは、世界史から民主主義が消滅するかどうかの分水嶺となると言っても、その危機感は、深い洞察と何段階もの論理で組み上げた末の危機感(虚の危機感)であり、動物が肌で感じる危機感(実の危機感)には転化していない。虚から実を生み出すべきは、煽動者としての国家のトップである。
米国では、この数十年間に民主主義がやせ細り、表の皮一枚だけになっている。(補足4)過去4年間のトランプ政権下で、その実態が明らかになり、進む方向が変わった。しかし、国の内部が変質するほど体質改善が進んだ訳ではない。
FBIなどは、ジョー・バイデンの選挙にマイナスだからという理由で、バイデン家の違法蓄財の捜査には動かなかった。トランプ支持派から続々と長官などが起用されても、彼らが、もう一ヶ月ほどの任期の大統領の正義に付き合って、今後4年続く新政権の犯罪を暴くのは、個人としては自殺的行為だと考えるのは無理もない。
トランプ大統領が4年間に米国の実態を明らかにしたことは、大きな業績だと思う。しかしそれが正史となるのは、巨大資本(例えばあのオープン・ソサエティ財団の主)や共産主義者らの支配の米国から、本物の民主主義国として再生したときだろう。その時が来るかどうかはわからない。
民主党も中国の国共合作に似ているので、内部の争いに発展したとき、再び米国は混乱すると思う。しかもそれは、非常に近い未来だと思う。その後、相当の混乱期を経て、米国は分裂瓦解する可能性すら存在するだろう。民主主義のリーダーの米国は、現在の政権が見納めかもしれない。
今回を最後に、米国の大統領選挙の件でブログ記事を書くのは終わりにしようと思う。戒厳令が出されたとか、大きなことがなければ、書くことがないだろう。
補足:
1)連邦政府職員の平均年収は7万7414ドルで、大統領40万ドル、副大統領23万ドル。
2)リンウッド弁護士やトーマス・マキナニー空軍中将はトランプに、反乱法を発令し大規模な逮捕を開始するよう提言した。それは、12月2日にバー司法長官が大統領選挙結果に影響する程の大規模な不正が無かったとの発言を受けての提言だった。それ以降できるだけ早期に、国家緊急事態宣言を出し、戒厳令を布くべきだった。ここで躊躇ったことで、トランプの勝利はなくなったと思う。
3)Harano Timesの方はYoutubeで、「軍はトランプ大統領の命令で動く筈だ」と話されている。組織図上はそうだが、その組織図通りに動かないトランプ政権下の米国の近況を嫌というほど見てきた筈。Harano Timesの方は、統制の利いた軍では、命令は絶対であるという考えだろうが、文民統制の国では上層の文官はその統制の中に無いと思う。
4)馬渕睦夫氏によれば、ウィルソン大統領誕生の時、既にDSは米国を支配していた。絶対勝利するだろうと思われた共和党タフト大統領の二期目を目指す選挙に、セオドア・ルーズベルトに立候補させ、共和党を二分する戦術でタフトを落選させたのである。この件は既に書いた。そしてウィルソンは、ユダヤ資本家支配のFRBの設立に協力した。DSの建設には、左派の思想を利用し少数派の権利を主張する方法で、WSAPから支配権を取り上げた。(ブレジンスキーが講演で喋っている)昨今のBLM運動などは、その枝葉の現象である。
(最終編集12/23/6:40; Hirano=> Harano; 点の位置、2−3箇所のマイナーな日本語の修正)
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