テキサス州の司法長官Ken Paxtonによる最高裁への4州の提訴は、トランプ大統領の訴訟参加と、Ken Paxtonの訴状の主旨に賛同する20州を含めて、大きな規模になった。方や民主党側も22州を反対側に集めて、全米を二分するソフトな内戦になった。このように合衆国分裂が予想される場合、少し考え方が変わってくる。
テキサス側の20州とテキサスに反対する側22州の資格は、当事者ではなく法廷助言人(amicus curiaeアミカス・キュリエ)であり、裁判所の要請などがあれば意見書の提出などをすることができる。この裁判を最高裁が取り上げて、判決を出すかどうかは未だわからないが、恐らく判断を逃げることはないだろう。米国の憲法は、50州を束ねる根拠であり、その判断次第では、米国の分裂は実際に起こるだろうと予想されるからである。
12月10日の午後3時の期限で、4州(ペンシルバニア州、ウイスコンシン州、ジョージア州、ミシガン州)は最高裁の要請に従って、テキサス州司法長官の訴状に対する反論を出している筈である。
https://www.youtube.com/watch?v=CM45JLHh-wE
この訴状がテキサスから出されたことには深い理由があると、解説するのがHarano Timesの動画である。テキサスは1836年にメキシコから独立し、テキサス共和国となり、その後合衆国に併合された。Harano Timesは、このテキサスの行動は、メキシコの憲法ではなく、合衆国憲法を選択したということであると解説する。
これら4州は、立法機関である州議会ではなく、行政と裁判所で大統領選挙の投票形式を大幅に変更したことを、合衆国憲法違反だと告発したのである。それは当選する大統領が誰になるかに影響する可能性があり、当然テキサスの利益にも大きく影響する。
4州の反論が吟味されて、週明けには、正式に訴状の受理が決まるだろう。判決の結果がどちらにしても、このまま米国が元の鞘に納まるとは思えない。米国という法治国家の見本だった国で、連邦最高裁判所はその存在意義が問われている。米国が既にソフトにではあるが二分された現状では、日本の最高裁のように、屁理屈(統治行為論)で判断を避けることはないだろう。
テキサス司法長官の訴えには説得力がある。立法は議会の仕事であり、選挙の方法の改訂は法に定めるべきことだからである。(補足1)
民主主義の成立には、単に有権者が選挙に参加することだけでなく、有権者が政治を真剣に考えて投票するという暗黙の義務の遂行が要求される。大統領職の重要性を個人の能力の範囲でしっかり考えて、一票を投じる努力が要求される。
伝染病が流行っていても、その論理には変化がない。郵便投票でも、有権者が積極的に投票するという意思が確認される方法が確立されていれば問題はないが、例えば、11月3日以降に到着したものも有効とするというのは、上記民主主義の考え方に反する。
もし最高裁の判断が、テキサス司法長官の勝訴となっても、敗訴となっても、暴動などが発生する可能性がたかい。その結果、最終的にはトランプ大統領は戒厳令を布くだろう。今回のテキサス司法長官の裁判が行われたとして、彼が勝訴した場合、戒厳令下で軍の完全な協力がえられるだろう。
テキサス州務長官の提訴が、棄却された場合、合衆国憲法に従うという統合参謀本部議長の言葉から考えて、一抹の不安がある。勿論、現職の大統領が戒厳令を出せば、それに軍が従うのは、憲法の規定だろう。
しかし、最後の憲法無視が、米軍によりなされる可能性も皆無ではない。それは、既にバイデンが書類上次期大統領に決定しているとの屁理屈的な解釈も、国民を欺く理由として可能だからである。
補足:
1)ペンシルベニア州共和党が、郵便投票の利用拡大を認めた制度が州法に違反すると主張し、最大約250万票を無効にすべきだと訴えた。その郵便投票は、バイデン氏支持者が多く利用した。ペンシルベニア州は、11月下旬にバイデン氏の勝利を認定したが、共和党の訴えが認められれば一転してトランプ氏が勝利する可能性もあった。しかし、米連邦最高裁判所は8日、大統領選をめぐり東部ペンシルベニア州の郵便投票の一部を無効にすべきだとの共和党の訴えを退ける判断を下した。
この最高裁判決の根拠は、大統領選の選挙人選定は、州の自治権の範囲内だということだろう。つまり、州法に違反するとして提訴しても、それは州の裁判所の案件である。
今回の裁判は、全くことなる論点からテキサス州は提訴している。
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