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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2021年2月27日土曜日

「株式会社アメリカ」による日本への内政干渉の一例

昨日届いた堤未果さんの本「株式会社アメリカの日本解体計画」を読んだ。米国への株式会社化の遺伝子注入は、古く合衆国銀行や第二合衆国銀行の設立のときに遡るのだろう。それが立派に「株式会社アメリカ」として、成人となったのがこの本に書かれているとおり、レーガン政権以降だろう。現在は壮年から老年期に入っているのは、昨日書いた通りである。

 

この「株式会社アメリカ」という言葉を知ったのは、堤さんの本の宣伝をネットで聞いたからである。しかし、その発想は、21世紀初頭からあったようである。(補足1)

 

それが昨日youtubeで公開されたチャンネル桜の番組で山岡鉄舟氏により紹介されていた。(アメリカ分断は、株式会社アメリカの老年期から最後の段階を議論している。今回の記事はそれ以前の話なのだが、以前に何回も書いてきた内容を含んでいるので、下に引用する。)

 

 

元に戻る。その堤さんの本が昨日届いたの、一気読みした。その中の中心テーマはウォール街の米国巨大資本による日本侵食である。

 

その中の一つだけ、ここで紹介したい。それは、小泉内閣のときの郵政民営化の話である。概略は聞いていたが、その中で一番説得力のあるエピソードをこの本で初めて知った。主人公は言うまでもなく、昨日も暗に言及した二人の内の一人竹中平蔵氏である。(あと一人はデービッド・アトキンソン氏)

 

話は、この本の51頁から書かれていた。当時郵貯&簡保マネーは340兆円あったが、その金が米国に投資される様にウォール街が画策した。その米国の操り人形になったのが、小泉純一郎首相と郵政民営化担当国務大臣の竹中平蔵氏であった。

 

20051014日、郵政民営化法案は可決成立した。この本に紹介されているエピソードは、ゴールドマン・サックスのロバート・ゼーリックGoldman Sachs Robert Zoellick副会長が、竹中平蔵氏へ郵政民営化への励ましという形をとった指示の手紙を送ったことである。

 

それを国会で質問した人物がいる。当時の民主党の櫻井充参議院議員である。質問は、郵政解散の前月の20057月、第152国会で行われた。質問は、「竹中大臣、あなたは今まで、アメリカの要人と民営化について話し合ったことはありますか」であり、竹中氏の答弁は、「いいえ、一度もございません」であった。(52頁)

 

そこで、櫻井議員はその場で、ロバート・ゼーリック氏から竹中氏に宛てられた手紙を読み上げた。そこには、民営化開始の2007年より、郵貯・簡保業務にも民間と同じ保険業法、銀行業法を適用することなどの具体的な方針が、その実現に向けて米国は支援するという形で書かれていた。(詳細は、53-54頁に書かれている)

 

2)この後、郵政民営化法案は否決される。この本は次の日のことを以下のように書いている。

 

翌日、ワシントンの広報紙であるWall Street Journalは、こんな記事を出しています。「これで我々が待ち望んだ3兆ドルは、しばらくお預けだ。が、しかし、小泉総理は頑張るに違いない」(同書55頁)

 

この本の内容は、俄には信じられない。そこでネット検索をしたところ、意外と簡単にその事実の証拠となる一つの情報が見つかった。ロバート・ゼーリック氏のウィキペディア(ただし英語版)記事に、米国のこの内政干渉を批判する豪州の人の論文が紹介されているのである。

 

In Australia's New Left Review, Gavan McCormack claimed that USTR Zoellick intervened during a 2004 privatization issue in Japanese Prime Minister Junichiro Koizumi's re-election campaign.

McCormack wrote, "The office of the U.S. Trade Representative has played an active part in drafting the Japan Post privatization law. An October 2004 letter from Robert Zoellick to Japan's Finance Minister Takenaka Heizo, tabled in the Diet on August 2, 2005, included a handwritten note from Zoellick commending Takenaka.

 

McCormack, Gavan (September–October 2005). "Koizumi's coup". New Left Review. New Left Review. II (35).

 

オーストラリアのニューレフトレビューで、ガヴァン・マコーマックは、2004年の小泉純一郎首相の(郵政)民営化問題を掲げた再選運動に、アメリカ合衆国通商代表部(USTR)のゼーリックが介入したと主張した。

 

マコーマック氏は、「米国通商代表部は、200582日に国会に提出された日本郵政公社の民営化法の起草に積極的な役割を果たしてきた。ロバート・ゾエリックから日本の竹中平蔵財務相への200410月の書簡には、竹中氏を褒めるゾエリック氏の手書きのメモが同封されていた」と書いている。以下省略。(英文中のfinance ministerは間違い)

 

この米国による重要で明らかな内政干渉の噂は聞いていたが、その詳細に関する報道は殆どなされていない。櫻井議員による質問など今まで知らなかった。竹中平蔵氏の偽証の罪についての議論も、私自身はしらない。勿論、当時は理系研究者としての日々を送っており、関心がなかったのかもしれない。

 

ただ、日本語版ウィキペディアには、ロバート・ゼーリックという項目はあっても、この件の記述はない。この国家反逆罪と言って良い小泉内閣の日本統治、その中での竹中平蔵氏の国会における偽証など、きっと詳細は大きくは報道されなかったのだろう。政治の問題の第一は、このマスコミの問題である。

 

補足:

 

1)フィリップ・ボビットが2003年に書いた「アキレスの盾」(Philip Bobbitt The Shield of Achilles: War, Peace and the Course of History)という本に、「市場国家」と書かれているようだ。昨日公表のチャンネル桜の番組で、山岡鉄舟氏の概説(動画41分から始まる)の最初にある。山岡氏の解説は、この動画(一時間少ししか見ていないのだが)で最も有益な情報を含むと思う。

 

(2月28日早朝、編集あり)

 

2021年2月25日木曜日

コロナ以後の心配:株式会社「アメリカ」と個人商店「ニッポン」

1)新型コロナパンデミックと金融資産の膨張

 

世界の金融資産は、新型コロナのパンデミックで大きく膨らむだろう。各国政府が、なかば休眠状態になった観光や外食等のサービス業を支援するなどして、新型コロナによる経済的困難を乗り切ろうとしている。その為の財政支出などで膨張した政府債務のかなりの部分が、民間の金融資産の増加に繋がるだろう。

 

行政のデジタル化が進んだ国では、各世帯や産業への支援は、困窮度に応じてなされるので、杜撰な支援の比率は小さいだろう。しかし、日本政府の支援はバラマキなので、国民への支援金はそのまま預金となったり、休業支援でコロナ前よりも収益をあげる飲食店など多数出ている筈である。

 

その他、日銀や政府系基金は、日経225連携型投資信託などを購入するなどの方法で、経済刺激策をとっている。これらで溜め込まれた預金などの金融資産(マネーストック)の相当な増加が、日銀の統計に示されている。https://www.boj.or.jp/statistics/money/ms/ms2101.pdf (補足1)

 

溜め込まれたお金が、コロナ後の経済の立ち上がりに有効に効けばよいのだが、「MOTTAINAI」の国では、縮小した消費意欲が、文化として定着する可能性がある。http://www.mottainai.info/jp/about/

 

その一方、富裕層の膨らんだ金融資産は、投資先を探して外国へ流れる可能性がある。その結果、円安から、円の崩壊や大きなインフレになることを心配する。25年間デフレ脱却ができなかった我が国は、発展途上国への道に進む危険性がある。

 

2)国の借金1200兆円の嘘

 

財政情況を表すのに、国は貸借対照表(バランスシート;BS)を公表している。BSとは、金の出どころを右に、資産を左側に書いた表のことである。日本国を含め、殆どすべての国は債務超過である。ただ、政府が債務超過であることは、不思議でも不健全でも無い。国の経済全体への通貨の供給(マネタリーベース)は、通常(中央銀行を政府の一部と見なせば)政府の債務超過で行われるからである。(補足2)

 

話しの本筋ではないが、ここで一言書いておきたい。殆どのマスコミは、国のBSの債務欄合計額(2019年度、1258兆円)を国の借金と言っているが、それは嘘である。2019年度の日本の債務超過つまり正味の借金は583兆円であり、借金という言葉を用いるなら、この額を言うべきである。

 

上述のように、その金は日銀を通じて、国民にばら撒かれた金である。外国から借金をしているわけではない。(補足3)日本国が破産しないのは、国民(法人を含める)のBSを連結すれば、大きな黒字だからである。https://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2018/national/fy2018gassan.pdf

 

マスコミの危機報道などで消沈した国民の意識もあり、コロナ後に縮小したサービス業などが元の規模を回復せず、経済規模が大きく縮小してしまうことが心配される。更に、カーボンニュートラルなどの国際的陰謀に菅政権が巻き込まれ、基幹産業に痛手を被る可能性がある。それらが重なったとき、国際金融資本の円売り攻勢などがあれば、途上国へ道に固定される可能性があるだろう。

 

気になるのが、ダボス会議とそれを主催する世界経済フォーラム(WEF)が、思考力の弱い政府の経済を破壊する可能性である。その手先として動く人物を菅政権は中枢に抱えている。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12654167247.html

 

3)株式会社「アメリカ」とグレート・リセット

 

米国などの国際金融資本は、様々な手段で世界の金を吸い上げることが出来る。彼らは経済のルールも自分たちに有利に作り変えてきた。それがグローバル経済であり、人権や法治の原則も無視して作り上げた。その巨大金融資本の恐ろしさは、昨年の米国大統領選で十分知った。(補足4)

https://www.youtube.com/watch?v=zdWV2MHGSo8

 

民主主義の米国は今や存在しない。存在するのは、金融資本独裁の国“株式会社「アメリカ」”である。偽造や捏造は、主要メディアやSNSの協力で行う。裁判所も、株式会社「アメリカ」の内部機関であり、都合が悪ければ門前払いで応じる。

 

米国と中国の政治制度に、本質的な違いはない。大資本が、共産党の帽子をかぶっているか、そうでないかだけの違いである。

 

世界の金融を支配し、情報を隠蔽&独占するのだから、金融資産の殆どは世界の混乱に乗じて、最終的に米国(そして中国)に集まるだろう。必要なのは、戦争や何かのパンデミックなどの混乱である。中国は、国際共産主義と戦後のグローバリズムで、彼らの支援で作り上げられた。(補足5)

 

経済成長には、豊かな創業精神が必要であると言われる。しかし、創業精神は必要を感じたところで発生し、それほど難しいものでも無いだろう。本当に必要なのは、それを育てる金融の力と、創業精神を金融と結びつけるメカニズムである。

 

米国のビッグテックと呼ばれる企業群の多くは21世紀になって誕生している。GAFAMの内アップルとマイクロソフトが1970年代の創業だが、それらの巨大化を条件に少し遅れて巨大化したのが、その他のビッグテックである。これらの創業を可能にしたのは、将にシェアホルダー(株主)資本主義の遺伝子である。それこそ、金融とその創業を結びつける能力の源泉である。

 

株式会社「アメリカ」のシェアホルダー資本主義は、人間の歴史と文化を食い荒らそうとしていると危機感を抱いて、20世紀中頃以前の社会を取り戻そうとしたのが、トランプ大統領だった。しかし、中国など安い労働力の供給国と結託した株式会社「アメリカ」は、既に青年期を過ぎて壮年期に達していた。トランプの出現は10年以上遅かった。

 

その世界をステークホルダー(利害関係者)資本主義にグレート・リセットすると称して、世界を不況と混乱におとしいれ、世界の地理的統一と思想的統一を果たそうと企んでいるのが、世界経済フォーラムの人たちだろう。

 

そこで画策している人たちは、株式会社「アメリカ」の深層にいる人たちと同類のように思える。もっと少ない人口の楽園を、彼ら自身のために、この地球上に築こうとしているのかもしれない。神は彼らの味方なのだと信じているのだろう。

 

4)個人商店「ニッポン」

 

三橋貴明氏により、チャンネル桜での経済議論の際だと思うが、政府の財政支出増大がデフレからの脱却と日本の後進国への転落防止に必要だという議論が成されている。

https://www.youtube.com/watch?v=68BcRTbNmy4

 

その中で、三橋氏は、商品貨幣論から貸し借りの記録であるという正しい貨幣観への転換が全世界的に起こったと主張している。そして、インフレが起こらない限り財政赤字は、国民の黒字であり、良いことであると主張している。

 

これは、「インフレが起こらない限り」という前提を、あまりにも軽くあしらっており、間違い或いは政治的プロパガンダであると思う。日本のデフレは、政府の財政支出の不足が原因ではなく、民間の資金需要が無く(或いは、銀行等にその需要を見る目がなく)、創業への投資や労働生産性向上への投資が増えないのが原因である。

 

ここで意識すべきは、どのようにして社会の資金需要を増加するかであり、財政支出で資金の供給を不自然に増やすことではないと思う。三橋貴明氏や藤井聡氏は、本質的に経済文化の問題である日本のデフレを、政治の問題として取り扱っている。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12564206453.html

 

遠回りだが、教育から改革しなければならないと思う。つまり、若い知恵の採用、”学ぶ教育”から”考える教育”への教育改革(補足6)、地方分権で地方に考えさせるなど、霞が関の知恵ではなく、国民の知恵を総動員する体制である。

 

その昔、「日本株式会社」という言葉が流行った時期があった。高度成長期の日本は、世界経済を牽引すると思われ時期にあり、米国で日本車をハンマーで破壊する場面がテレビ放映されたことを思い出す。しかし、日本は株式会社では無かった。単に、個人商店のレベルだったのだ。

 

日本の株式会社の多くも、日本国政府も、個人商店の域(知恵)を超えることは出来無かった。それでは、優秀な創業者が去った後は、傾くのは当然である。つまり、個人は専門家となって、各専門の間の論理的な情報交換(つまり議論)で運営される、機能体としての会社や機能体としての国家を建設することが出来なかったのである。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12655760953.html (12564206453.htmlも参照)

 

勿論、現在の環境下では、財政支出を惜しむべきではない。日本は自国通貨で国債を発行可能であり、円安には差し当たりならないと見做されているからである。差し当たって出来ることは、例えば行政のデジタル化であり、それに遅れた者は救済されないという危機意識を始めとして、日本国民全てが危機意識を持つことが大事であると思う。


 

補足:

 

1)マネタリーベースは、流通通貨(紙幣や硬貨)、払い出し可能な日銀当座預金、銀行の準備預金の合計である。マネーストックとは国民や法人の現金と預金の合計である。これに金融商品の金額をプラスする指標(広義流動性)もある。

 

2)米国の中央銀行は、ロスチャイルド系ユダヤ人が株を保有する民間銀行である。この米ドル札の供給に利子をとるなら、ボロ儲けである。現在では、剰余金の一部を米国政府に納めているので、ほとんど米国政府の一機関と言えなくもない。https://www.crfb.org/blogs/federal-reserve-makes-889-billion-profit

 

3)日本銀行の株の55%を日本政府(財務大臣)が持っているが、その他の多くを外国人(多分ロスチャイルド家)が持っていると考えられている。日本政府がうっかりしていると、増資とその増資分をその外国人に保有されることになる可能性がある。もしそうなれば、日本政府の借金は本当に1200兆円を超える。ネットでは、日銀が債務超過になれば、日本政府が増資分を買い取れば良いという意見がある。しかし、日銀が日本政府の子会社であれば、それは無意味な増資だろう。そのあたりの議論は、以下のサイトにある。

https://www.kyinitiative.jp/column_opinion/2017/05/08/post374/

 

4)投票用紙や投票集計マシンやそのソフトの改竄など、民主主義の根幹である選挙制度を殆ど破壊してまでも、巨大資本(=民主党)による米国大統領府の占領が実現した。ビッグテックのフェイスブック、グーグル、ツイッターの三社は、現職の大統領が国民への広報に使っていたアカウントを削除するという暴挙に出ても、それを非難する声は大手マスコミにより消された。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12649553722.html

トランプは伝家の宝刀を抜かなかった。トランプの感覚では、大統領府という頭と米軍という手足を用いても(つまり戒厳令の下、米軍が100%協力しても)、内蔵を代えられないなら、米国には死があるのみだと考えたのかもしれない。

 

5)中国はディジタル元を国際決済通貨にしようとしている。共産党幹部は、中国の資本家と混然一体なのだろう。アリババのアリペイも中国政府に接収される可能性がたかいようだ。

https://www.youtube.com/watch?v=ALcjQRjkVmk

 

6)自由な発想は過去の学問の暗記からは生じない。強いて勉めること(勉強)は、教育の方針とすべきではない。知を愛する事(Philosophy、哲学)が西欧の近代を作り上げたことを学ぶべきである。ユダヤ人の教育として、以下のような話を聞いたことがある。彼らは、例えば「Aは善である理由を述べよ」という問題に答えさせた後、「Aは悪である理由を述べよ」という問題を与えるというのである。それにより、Aに対する深い理解が得られるのである。日本の教育とは、雲泥の差を感じる。

(2/26早朝、2,3の語句修正あり)

 

 

再録記事:「歴史を動かした名言」は本当に歴史を動かしたのか?

今日、6年前の文章が閲覧されていた。実は、最も印象深かった言葉は、注釈1に記載しているF.ルーズベルトの米国民向けの演説である。実際に歴史を動かした演説だからである。その一言が書きたくて、再録する気になった。
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466514302.html

昨夜、池上彰氏が戦後の世界を変えた言葉について、その背景やその後の歴史の変化について紹介していた。面白く、且つ、為になる番組だったが、同時に強い不満も感じた。

番組では素晴らしい演説が紹介されていた。例えば、人種差別に反対するキング牧師の演説では、 “I have a dream that one day on the red hills of Georgia, the sons of former slaves and the sons of former slave owners will be able to sit down together at the table of brotherhood.”(私には夢がある。それは、いつの日か、ジョージア州の赤土の丘で、かつての奴隷の息子たちとかつての奴隷所有者の息子たちが、兄弟として同じテーブルにつくという夢である。)を筆頭にして、多くの形での人種差別をあげ、”I have a dream that "という同じ形の文章で繰り返し、その撤廃を聴衆に強く訴えている。そして、それらが心に刻み込まれるように工夫された名演説である。http://aboutusa.japan.usembassy.gov/j/jusaj-majordocs-king.html (注釈1)

ケネディー大統領の演説も非常に有名である。その中の「そして、同胞であるアメリカ市民の皆さん、国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるかを考えようではありませんか。また同胞である世界市民の皆さん、アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、人類の自由のために共に何ができるかを考えようではありませんか。」が特に有名であるが、それだけでなく世界のリーダーとしてなされた演説全体を味わうべきだと思う。http://www.jfklibrary.org/JFK/Historic-Speeches/Multilingual-Inaugural-Address/Multilingual-Inaugural-Address-in-Japanese.aspx

しかし、このような名演説を味わうときに、同様に重要なことは、キング牧師やケネディー大統領が凶弾に倒れたことである。その事実を深刻にそして同時に考えるべきだと思うのは、世界を動かしているのは、このような名演説を携えて登場する知性と勇気に満ちたリーダーなのだろうかという疑問が残るからである。(注2)

例えばケネディー大統領の暗殺の場合、明らかに綿密に計画されたものであると考えられる。そして、それを裏付ける様に、その弟のロバートケネディーもその後暗殺された。上記疑問は、ケネディー大統領が暗殺されたことだけでなく、それ以上に、その暗殺とその謎に対して米国が十分な調査とその報告を行なっていないことから生じるのである。

冒頭に書いた強い不満感とは、昨夜の番組は片方の視点でしかこれらの名演説にふれていないからである。つまり、「世界を変えた名言から知る戦後70年」というサブタイトルをつけながら、「本当に名言は世界を変えたのか?」という疑問について何の答えも用意していなかったからである。

大衆が仮に、知性と勇気をもったリーダーを選ぶことが出来れば、世界が平和と繁栄に向かうという前提が成立するかどうか?それがイエスでなければ、大統領の名演説も現実の政治の中ではなく、人文科学(文学など)のなかでのみ意味を持ち、且つ、民主主義は実際に政治を動かす勢力の隠れ蓑の意味しか無いことになる。少なくとも、その疑問に答える努力が番組内でなされなければ、視聴者である選挙権者に誤解を与えることになる。

注釈:

1)この同型文を繰り返して演説する方法は、20年程前にフランクリン・ルーズベルト大統領が日本の真珠湾攻撃を非難する演説をラジオで行なった時にも用いられている。http://ameblo.jp/shinjiuchino/entry-10933130759.html 既に大統領は、無線傍受により攻撃を知っていたが、日本の不意打ちを強調して反日感情を全米に醸成する目的で、“Last night, Japanese forces attacked Hong Kong. Last night, Japanese forces attacked Guam.” と“昨晩、日本軍はXXを攻撃しました”を繰り返す方法を用いている。真珠湾攻撃の経緯を知っている日本人にとっては、これを聴いた時に米国民が抱いた反日感情の強さと同じ程度に、ルーズベルトの狡猾さに腹立たしく思うだろう。
この演説は、キング牧師のものとは全く歴史的な役割が異なるが、聴衆に訴える手法は同じだろう。また、米国の政治的な強さは、裏舞台での緻密な戦略立案の後に、このような演説で国民の力を結集出来るルーズベルトのような政治家が存在することだろう(又は、だったのだろう)。
因に、日本の民主党があれほど無様な姿を晒したのは、舞台裏(裏舞台ではなく)の協力が得られなかったからだろう。別の言葉で言えば、自分達が人形でありながら、自分の意志で動こうとして舞台裏に嫌われたのだろう。

2)キング牧師の演説の最初の方にこの様な文章が出てくる。 文章、しかも、憲法という形で書かれた”ことば”でも、100年間実現しない現実について、不渡手形という強い表現で非難している。
"100年前、ある偉大な米国民が、奴隷解放宣言に署名した。今われわれは、その人を象徴する坐像の前に立っている。この極めて重大な布告は、容赦のない不正義の炎に焼かれていた何百万もの黒人奴隷たちに、大きな希望の光明として訪れた。それは、捕らわれの身にあった彼らの長い夜に終止符を打つ、喜びに満ちた夜明けとして訪れたのだった。
しかし100年を経た今日、黒人は依然として自由ではない。100年を経た今日、黒人の生活は、悲しいことに依然として人種隔離の手かせと人種差別の鎖によって縛られている。 われわれの共和国の建築家たちが合衆国憲法と独立宣言に崇高な言葉を書き記した時、彼らは、あらゆる米国民が継承することになる約束手形に署名したのである。この手形は、すべての人々は、白人と同じく黒人も、生命、自由、そして幸福の追求という不可侵の権利を保証される、という約束だった。 今日米国が、黒人の市民に関する限り、この約束手形を不渡りにしていることは明らかである。”

2021年2月23日火曜日

「竹島は100%日本領土」は浅はかな結論=及川氏のyoutube動画

島根県は、明治時代に竹島を県の所管とした222日を「竹島の日」と定め、毎年松江市で式典を開いている。昨日も、日本政府及び島根県の関係者約200名が参加し、松江市で「竹島の日」記念式典が開催された。

 

式典で丸山島根県知事は、「竹島は、わが国固有の領土だ。韓国と外交の場で、竹島問題が話し合われるよう強く要望する」と述べて、外交交渉による解決を政府に求めた。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210222/k10012880651000.html

 

今朝の及川幸久氏のyoutube チャンネルでも、この件について触れて、以下のように話している。この動画では間違いが多いので、その部分は修正しておく。

 

 

① 竹島は100%日本の領土、日本固有の領土である。

② 問題解決の障害の一つとして、19651月に日韓両政府(宇野宗佑議員と丁一権首相の署名)で結ばれたと報道されている“竹島密約”を取り上げている。日本の総理大臣は佐藤栄作、韓国大統領は朴正煕だった。その年の6月、日韓基本条約が締結された。

 

この及川氏の話は、間違いが多い上に、論理性を欠いている。そこで、以下のコメントを書いた:

 

竹島問題は、日本の敗戦及びSCAPIN677に始まります。この時、竹島は日本領から除外されました。サンフランシスコ講和条約は、これへの新たな取り決めはありません。米国による日本と周辺諸国に打ち込まれた楔の一つで、北方領土問題も同様です。これに言及しないで、100%日本の領土というのは、別の観点から、米国の対日戦後政策に協力するものです。

 

密約の内容として報じられているのは、尖閣問題と同様、「双方が領有権を主張することを認め合う」というものである。(補足1)この密約の存在は、日韓基本条約に関する秘密文書として、20058月韓国盧泰愚政権により公開されたと、産経新聞が2007320日付け紙面で報じている。

 

同年同月27日、衆議院議員鈴木宗男氏により国会で質問され、安倍総理は「報道を承知しているが、密約は存在しない」と答弁している。答弁書は、以下の質問の頁にリンクが貼られている。http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a166144.htm

 

この件、それ以降は有耶無耶になっているのだろう。(補足2)それが、日本の政治の愚かな所であり、日本国民も殆ど政治に関心がないことの証明である。我家のトイレに吊るされたカレンダーには、222日は竹島の日ではなく、猫の日(補足3)と書かれている。

 

竹島問題については、201992日にブログ記事としてアップしている。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12517934266.html その中で:

 

1)竹島はGHQの指令(SCAPIN-677)により日本行政区域から除外された。そして、日本漁船の操業出来る区域の境界線として、マッカーサーラインを示した。(SCAPIN-1033

 

2)それらが、サンフランシスコ講和条約で廃止され、竹島が日本領土となることを恐れた李承晩は、マッカーサーラインをそのまま韓国の主権が及ぶ範囲として決定した。それが李承晩ラインである。

 

3)SCAPIN-677の指令と異なった合意がサンフランシスコ講和条約でなされなかった。

 

4)日韓基本条約と同時に、1965年、李承晩ラインの廃止と日韓漁業協定が締結された。この時、日韓での拿捕された日本漁民と日本国内刑務所で服役中の朝鮮・韓国人犯罪者との引き渡し交渉での合意した。

 

以上から、実質的に日本政府は竹島を韓国領土として認めたことになると書いた。日本国民の誤解は、自民党政府(佐藤内閣:1964/11/9~1972/7/7)の二枚舌外交による。更に、サンフランシスコ条約で明確にされなかったのは、実質的に日韓の間に据え置かれた“棘”としての機能を、米国政府が、日米間の同盟関係の中で期待したことを暗示している。(補足4、5)

 

日韓の問題は根が深いので、補足4を10時35分、補足5を11時0分に夫々追加しました。

 

 

補足:

 

1)同じ台詞が、日中国交回復の際の鄧小平の言葉として残されている。田島高志、「外交」誌、第18号(2013年3月)“尖閣問題「中国は話し合いを控えたいとし、日本側は聞きおくに留めた」鄧小平・園田会談同席者の証言

http://www.kiip.or.jp/societystudy/doc/2013/20130703_gaikourejyme_Tajima1(gaikou18).pdf

 

2)この竹島密約については、Daniel J. Rohにより単行本として発表されている様だ。その翻訳本は、草思社により2008年に出版されている。書評を以下に引用しておくので、参考にされたい。https://www.jstage.jst.go.jp/article/asianstudies/55/4/55_86/_pdf 尚、Daniel J. Roh氏は、韓国ソウル市生まれの韓国系の方の様だが、国籍はわからない。https://gendai.ismedia.jp/list/author/DanielRoh

 

 

3)「猫の日」は日本の猫の日実行委員会が1987年に制定した記念日であり、222日に定められている。猫の日は世界各国で制定されており、ヨーロッパの多くの国がWorld Cat Dayとしてる日は217日、ロシアは31日、アメリカ合衆国は1029日。ウィキペディア参照。

 

4)米国の対日政策は、日本を二度と独立国として立ち上がれないようにすることである。それは、米国は思いのほか深い痛手を、太平洋戦争で被ったと意識したことを意味する。戦後、文化的に理解できない日本に対して、徹底して骨抜き政策をとった。それが占領軍において、諜報活動や検閲を担当した連合国軍最高司令官総司令部参謀第二部 (G-2)の仕事だった。数千冊の著書を公的機関等から排除するなど、日本に対して焚書坑儒と同じことを行い、日本の戦争犯罪意識を日本人に固定化することを狙った。米中国交回復に際してキッシンジャーとニクソンが、「日米安保条約は二度と日本が軍事を持たないようにする瓶の蓋である」と中国首脳に語ったことを、日本人は思い出すべきだ。

 

5)韓国の建国の基礎にあるのは反日である。それは以前、朝鮮併合の失敗についてなどの記事で何度も書いてきた。

 

 

つまり、韓国の反日は、日本に統治されたことに対する自己嫌悪と中華意識から来るものである。

 

その根本にあるのは、長年中国の支配下にあり、国民の殆どが文盲であった李氏朝鮮時代の両班以下の下層民(白丁ら)の苦しみである。その恨み辛みを、強国である中国にぶつける事ができないので、忘れるしかない。その忘却のための妙薬となったのが、反日である。日本統治への恨みと、持って行き場のない中国に対する長年の恨みの解決策としての反日が、韓国の礎である。それが、韓国が5つの国慶日の中に50年ほどの日本帝国の影響下からの脱出に関するものを3つ入れ、反日気分を盛り上げていることからも判るだろう。


2021年2月22日月曜日

新型コロナワクチン: ファイザー社のワクチンは効くのか?文献紹介

米国化学会の下部組織である化学抄録サービス(chemical abstracts service; CAS)によるファイザー社のワクチンの特徴と働きを解説している。以下にその要点をまとめて、その後ろに疑問点を書く。https://www.cas.org/ja/blog/covid-mrna-vaccine

 

このワクチンの主成分は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質合成の鋳型となるメッセンジャーRNAm-RNA)である。接種を受けた人の細胞内で、ウイルスのSタンパク質が合成され、抗原となり、新型コロナ肺炎(Covid-19)の免疫をつけると期待される。

 

特徴として:

 

a) m-RNAワクチンは宿主細胞の遺伝子に組み込まれたり、DNAに作用することはないため、宿主に変異リスクが無い。

b) m-RNAワクチンには、S蛋白以外のウイルス粒子の情報がないため、mRNAワクチン自体が、予防対象の疾患を引き起こすことは無い。

c) m-RNAワクチン接種後の抗原の発現は一過性であるため、体内における存続は限定的。

 

今回の遺伝子ワクチンが人体に用いられるのは初めてである。そこで、従来型ワクチンと同様に使える様に、以下の2点が配慮された。

 

d) ワクチンのm-RNA鎖が意図しない免疫反応を引き起こす可能性を最小限に抑えるため、m-RNAワクチン配列は哺乳類細胞が生産するmRNAの配列を模倣して最適化されている。

e) 遊離m-RNAは体内ですぐに分解する。そこで、細胞膜に似た脂質二重膜のナノ粒子内にm-RNAを封入することで安定性を向上させるとともに、容易に細胞に取り込めるようになっている。

 

作用機序に関してCASのサイトは、以下図を用い、次のように解説している:

 

https://www.cas.org/ja/blog/covid-mrna-vaccine より借用

 

A) ワクチンを接種すると、脂質ナノ粒子に封入されたウイルスのm-RNAワクチンが筋肉細胞に入る。そこでリボソーム内でタンパク質に翻訳される。

 

B)このタンパク質はプロテアソームにより小さく分割(ペプチド)されるか、ゴルジ装置により細胞外に輸送される。細胞内に残った小さい部分は細胞表面でMHC(主要組織適合性遺伝子複合)クラスIタンパク質を持つ複合体として出現する。

 

C) この複合体は、CD8+ T細胞(キラーT細胞)により認識され、細胞免疫を誘発する(図1の左側)。

 

D) 一方、細胞外部のスパイクタンパク質は別の免疫細胞に吸収され、リボゾームにより分割される。これらの部分はMHCクラスIIタンパク質を持つ複合体として細胞表現に現れ、CD4+ T細胞(ヘルパーT細胞)に認識されて抗原に固有の抗体を作るB細胞の増殖を促進させる(図1の右側)。

 

 

疑問点:以上が上記サイトでの解説だが、これだけでは、筋肉に注射したm−RNAとそれを包含するリポソーム(脂質ナノ粒子)により、どのようなプロセスでSARS−CoV−2ウイルスに対する免疫が出来となるのか、その詳細が十分解らない。

 

これだけでは新型ワクチンの宣伝文のように見える。危険性などについての言及もなく、米国化学会の下部組織による教育的或いは学術的資料として相応しいとは思えない。勿論、メカニズムよりも実際の効果が重要である。

 

その効果については、イスラエルなどから非常に高いという報告がなされている。しかし、昨今の世界政治は、嘘八百がまかり通る世界である。つまり、真実に価値を置く文明が崩壊しつつある今、効果の宣伝だけでは説得力がない。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12635850090.html

 

疑問点の箇条書き:

 

α)ウイルスはスパイク蛋白質が手のようにACE2というドアノブを掴んで、細胞内に入り込むのだが、手を持たないリポソームがどうして筋肉細胞へ簡単に融合して入るのだろうか?

 

β)免疫が生じるには、異物を貪食した樹状細胞が、リンパ節に移動して、ヘルパーT細胞の選択と増殖に対する寄与が必要である。筋肉細胞内部にm-RNAが注入され、ウイルスのスパイク蛋白が合成されたとして、それがどの様にリンパ液内の樹状細胞に接触するのだろうか? 

 

γ)抗体生成には、T細胞がリンパ節等で樹状細胞から情報を受取り、B細胞に伝達するプロセスが大事である筈。更に、抗原情報と伴に樹状細胞上の共刺激分子が必要だが、ウイルスを認識した時と同様の情報伝達が行われるのだろうか?

 

δ)上図ではキラーT細胞(左上)による細胞免疫も働く様に記載されているが、一般に生ワクチンでしか発生しないと言われる細胞性免疫が、本当に出来るのだろうか? 免疫増強剤(アジュバント;補足2)は添加されていない様だが、それで効くのだろうか?

 

その他、今回のワクチンに否定的な意見が出されている。それらに十分反論できるのだろうか?

 

前副社長のMike Yeadon博士は、新型コロナのワクチンの接種は勧められないと言っている。

https://www.thejournal.ie/debunked-pfizer-employee-quotes-mike-yeadon-covid-19-vaccine-5311935-Dec2020/

 

フランスのマクロン大統領は129日、英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大学が共同開発した新型コロナワクチンは、「65歳以上の人にはほとんど効果がないとみている」として、「6065歳の人にこのワクチンは推奨されない」と発言した。しかし不思議なことに、この発言の数時間後に欧州医薬品庁(EMA)は同ワクチンの全年齢層の成人への使用を承認した。https://www.afpbb.com/articles/-/3329244

 

ノルウェーでは米ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた後に高齢者3万人中29人が1回目のワクチン接種後、短時間で死亡した。スペインの高齢者施設の78人がワクチン接種したところ、全員がPCR陽性となって7人が死亡したという情報も入ってきている。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-01-17/QN29L9T1UM0W01

 

以上は、自分の記憶を補助する為のメモですが、わかりにくい点や誤り等指摘いただければ幸いです。

 

補足:

 

1)日本は、何故ワクチン接種を急ぐのか解らない。最近、政権が再びオリンピックを意識しだした様に思う。オリンピックの為に、急がなくても良いワクチン接種を大々的に行うのは、国民の健康を担保にオリンピックを開催する行為である。オリンピックは、不可能であり即中止決定すべきだ。

 

2)生ワクチンやそれに準ずるワクチンが主として用いられていた時代にはワクチン自体が十分な効果が得られていたので、原則的にアジュバントは必要とされなかった。しかし、1980年代から登場した病原体そのものでなく、その一部の成分を抗原としたサブユニットワクチンにおいては、ワクチン単独では効果が十分ではないため、病原体の抗原蛋白以外の成分などがアジュバントとして添加する必要があるという。m−RNAがアジュバントになると言うのだろうか?https://vaccine-science.ims.u-tokyo.ac.jp/adjuvant/

 

2021年2月19日金曜日

中国習近平政権によるウイグル人ジェノサイドを擁護するバイデン米国大統領

火曜日の夜、ミルウォーキーにあるCNNのタウンホールで行われたLIVE放送で、バイデン氏はホストのアンダーソンクーパーから、中国の習近平国家主席との最近の会話について尋ねられ、それに対してコメントした。バイデンは以下のように言って、中国の対ウイグル政策、対チベット政策、対香港政策、対台湾政策を擁護したという。

 

 

私は彼にこう伝えた。アメリカの価値観を反映出来ないものはアメリカの大統領になることは出来ない。それは、それぞれの国は独自の文化を持っているから、その国の指導者はそれに従うべきであるからである。(中国には中国の文化と伝統がある。)

 

中国の歴史に詳しいのなら知っているだろうが、中国が統一される前は、外国からの脅威に常にさらされていた。習近平主席の考えは、中国は厳しく管理され統一されている国であるべきだというものだ。彼の行動はそれに基づくものだ。

 

だから、私は彼が香港でやっていること、ウイグルでやっていること、チベットでやっていること、台湾の一つの中国政策に対して触れるつもりはない。

 

つまり、バイデンはウイグルにおけるジェノサイドを文化の違いという言葉で片付けたのである。この重大な発言は、今後の米国の政治に深い影響をする筈であるが、大手メディアは例のように、この件については報道に消極的である。

 

この同じ話が、DEEP MAXによっても紹介されている。

https://www.youtube.com/watch?v=TVWtQpcEVjY

 

このカナダ人ニュースの紹介と同じ内容の報道が、米国のnews.com.auでも流され、バイデンが上記の発言をしている部分の動画が視聴できる。https://www.news.com.au/finance/work/leaders/joe-biden-suggests-chinas-uighur-genocide-is-part-of-different-cultural-norms/news-story/86a85d79ca830f6b7601a3638798c5ab

 

翻訳すれば、上記カナダ人ニュースと同じになるので、ここでは省略する。一部を原文のまま、紹介します。

 

US President Joe Biden has appeared to downplay China’s genocide of Uighur Muslims, saying “culturally there are different norms” in every country.

 

You know, Chinese leaders, if you know anything about Chinese history, it has always been, the time when China has been victimised by the outer world is when they haven’t been unified at home,” he said.

 

So the central – it’s vastly overstated – the central principle of Xi Jinping is that there must be a united, tightly controlled China, and he uses his rationale for the things he does based on that.”

===EOF===

2021年2月17日水曜日

新型コロナワクチン:効果と副作用についての資料紹介

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新型コロナ肺炎の対策として、ファイザー社の新型ワクチンを厚労省が急いで承認した。このワクチンは、ウイルス(SARS COV-2)の表面のスパイク蛋白質を人体内で合成する為のメッセンジャーRNAm-RNA)を脂質膜で包んだものである。

 

一般に、m-RNAは細胞のDNAから作られ、タンパク質合成の鋳型のような働きをする。注射で入ったm-RNAは、リボソームでSARS-CoV2ウイルスのスパイク蛋白を作り、それが抗原となって、この病気(Covid-19)の免疫が体内に生じるという。

 

ただ、この方法は今回始めて実用化され、既に多くの国で全地球規模で臨床実験中である。イスラエルは、積極的にその役割を高い金を出して引受け、2月9日現在、人口100人当たりの接種回数67.8回と圧倒的な世界最速ペースで集団免疫達成を目指している。考え方によれば恐ろしい話である。

 

 

懸念I(生物兵器としての応用):

 

この方法だと、どのような病原性ウイルスが発生しパンデミックとなっても、遺伝子解析が出来れば、同じ原理でワクチンの製造ができる。便利だが、生物兵器の開発に拍車が掛かりそうな気がする。

 

実際、このワクチン製造法は、9.11のころに米国国防総省が軍事兵器として開発を始めたという話が、チャネル桜の番組の中で大阪市大名誉教授の井上正康氏により紹介されているhttps://www.youtube.com/watch?v=dybhsdHtlis

 

 

つまり、予めワクチンを造っておいてから、敵対国に開発したウイルスをばらまけば、国土やインフラを破壊せずに、その国を自国民の住処とすることができる。世界の人口削減と自国民の増加を考えている国には、理想的な兵器である。

 

 

懸念II (アナフィラキシーショック):

 

ワクチンの副作用だが、ファイザー社のものにはポリエチレングリコールがかなり多量に含まれており、そのアレルギーが考えられる。しかし、アレルギーは他のワクチンにもあるので、考慮すべきであるが、最大の問題ではなさそうである。

 

懸念III (細胞免疫には働かない可能性):

 

RNA ウイルスは HIV同様に高変異性と考えられている.ウイルスが細胞で複製する際の変異頻度が、DNA をゲノムに用いる微生物の数千倍に達するという。つまり、変異株の中には、ワクチンが効かないウイルスの存在が懸念される。

http://jsv.umin.jp/journal/v55-2pdf/virus55-2_221-230.pdf

 

 

更に、上記チャンネル桜の番組で、井上名誉教授は、ADE(抗原依存性免疫増強)による重症化の危険性が指摘している。そこでの発言の趣旨は、日本では東アジア全域での風邪に対する免疫が、Covid-19の重篤化を抑えているので、ADEの危険性の方を重視して、国民全員接種という危険なことは、西欧諸国での効果を見てからでも遅くないということである。

 

ADEとは、抗体でマークされたウイルスをマクロファージなどが取り込むが、消化出来ず、そのウイルスに感染してしまう現象のようだ。この詳細は分かっていない様だが、細胞免疫が不完全な場合に発生するようである。(補足参照)

 

 

 

つまり、ファイザー社などのm-RNAワクチンでは、細胞免疫が出来ない可能性があるので、免疫暴走で重篤化する危険性があるというのだろう。ある臨床医がこのことに対する警告の文章をネットにアップロードしている。http://www.nobuokakai.ecnet.jp/nakagawa222.pdf

 

補足:

(以下の補足は、本文中に引用番号をふっていません)

 

1)特定のウイルスを対象にする獲得免疫のプロセスは、主に樹状細胞により感染したウイルスに関する情報伝達に始まる。樹状細胞は鼻腔、肺、消化管、皮膚などに広く存在する。その情報が白血球の中のヘルパーT細胞によりB細胞に伝達され、ウイルスの機能を妨害したり貪食を助けたりする抗体を体液中に放出する。抗体と結合したウイルスは、マクロファージなどの貪食の対象となる。このB細胞の抗原放出の働きを液性免疫と呼ぶ。更に、同様の情報を受けたキラーT細胞による感染した体内細胞の貪食を主役とするのが、細胞免疫である。

この細胞免疫は、感染した細胞がウイルスが生成した蛋白を消化し、その一部を標識としてMHC(主要組織適合性複合体)の上部に提示し、自分がウイルスに占領されていることを示すことに始まる。そして、ヘルパーT細胞により情報を受け、更に同じくヘルパーT細胞が放出するサイトカインという刺激物質で活性化されたキラーT細胞が、ウイルスに感染した細胞を貪食するというプロセスで終わる。この細胞免疫の情報が、ヘルパーT細胞に記憶されるが、スパイク蛋白のm-RNAの投与だけでこの記憶が発生しない可能性がある。それがADEを強めることになり、心配される。

 

下の文献は、ADEと関係するMHC(人白血球抗原=LHA)の役割について解説しています。

 

この当たりのことに関しては、素人の私には十分なことが書けません。上記二つの文献とチャンネル桜の井上大阪市大名誉教授の話を参考にしてください。

 

2)今回のコロナ肺炎に対する日本の医療体制は非常に貧弱である。それは、上記チャンネル桜の番組で元厚生労働省の技官の方が指摘しているように、病院のほんの一部しか、新型コロナの治療に当たっていないことである。人口当たり世界最大のベッド数を持ちながら、欧州の患者数よりも一桁以上少ない患者でも、医療崩壊の危険性があるという。内閣は、この弱点を日本医師会などと調整して、克服出来なければ、総辞職して、それが出来る体制を樹立すべきである。(補足2は、10時50分追加)

2021年2月14日日曜日

ポリコレを武器とする世界の陰謀とその起源

1)民族、国家&国境という概念の発生

 

欧州中欧部には、農業に適した土地など、人類の棲息に適した土地が大きく広がっている。多くの民族が、農耕技術や運搬技術の発達や地理的な影響などを原因に、ユーラシア大陸内を移動して、生存競争を展開してきただろう。生き残りの方法として、共通の言語や宗教で団結し、集団を作ることは、広いユーラシア西部では必須だったと思う。生存競争とは、言うまでもないが、民族内での王位の奪い合いと民族間の戦争である。

 

民族がこのように大きな空間と人の流れの中で生じたとするのなら、島国には民族という概念は無い筈である。たとえば、日本を考えると、何時も同じ顔の人達がトップを目指して繰り返し争う時、言葉や宗教、文化でまとまったヤマト民族など、生じる筈はない。

 

亡き勝谷元彦氏は、著書「ディアスポラ」の中で、登場人物の諏訪に以下のように語らせている。

民族という概念は、19世紀になって初めて出来たのである。海にかこまれているという地理的理由から、「日本人」という考え方は自然に成立していたが、近代になって、国家として島から外に押し出していくにあたり、まとまりを作ろうと慌てて作ったのが民族なる言葉なのだ。 

 

ここで、日本人とは単に人間というくらいの意味であり、団結という意味合いはない。他民族と比較対立させる構図を、国民に意識させるために、ヤマト民族なる言葉がつくられたと言うのである。(補足1)

 

国家とか国境という概念は、民族よりも遥か後に生じた。アテネやローマなど温暖な地域では、それらの民族が都市を形成して、日常生活を護る区域とした。これら都市国家は、城と都市と国が同じ名詞で語られている。

 

もっぱら籠城戦の為の日本の城と異なり、ユーラシアでは都市全体を城壁で囲っている。経済活動が城郭の外にも広く広がっていなければ、当然、農業を行って食料の調達など十分には出来ない。城壁外では多くの民族が混ざって棲み、国境など無かったのである。

 

主権国家の枠組みが、国境という概念とともに明確になるのは、1648年のヴェストファーレン条約以降である。その後、市民革命を経て国民国家が成立し、多くの民族は国家をもち国境警備を厳格にするようになった。

 

その歴史の中で、国を持つことが出来なかった民族も多い。ユダヤ人や華僑など、地球規模に散らばった民族も多いが、多民族への同化や虐殺などで消滅した民族の方が多いだろう。(補足2)

 

2)ディアスポラとそのアイデンティティ

 

この苦難の歴史の中で生き残るには、離散民族(ディアスポラと呼ぶ)においては特に、人と人との繋がりが大事である。そのネットワークが強固であった人たちが生き残る。そのネットワークは、ユダヤ教などの宗教や民族の文化と不可分である。(補足3)

 

その土地の主なる民族との競合と彼らからの虐待の中で、アイデンティティを保持し生き残るには、強固な人と人のネットワークを、民族の文化と不可分な形で維持することが必要である。そのネットワークが目立つと、虐待の原因となる可能性が高いので、出来るだけ隠匿する方が有利である。

 

この人と人の固い約束を、無理なく普遍化する方法として、神との契約に転化することになったのが、一神教誕生のメカニズムだと想像する。つまり、神と人との契約は、人と人の繋がりのモデルである。例えば、キリスト教の神から人への愛(アガペー)は、人の間の愛のモデルであるのと同様である。(補足4)

 

別の表現では、神と人との契約は、人と人との契約を束ねるバンドである。神との契約を固く保持することで、信者同志が結束できる。宗教では、結果が前提と入れ替わる特徴を持つ。尚、聖典の中の律法や箴言は、国家に於ける法律のモデルだろう。(補足4)

 

このヤハウエ神の信仰の基本は、上述のように神との契約である。この天地を創造した「神」という概念と、「契約」という現実世界の概念との間に、ある種の不調和を感じるだろうが、上記のような発生の経緯を想像すると無理なく理解できるだろう。

 

尚、現代の人権尊重、民主主義、法定主義など、世界の骨格は、この一神教をモデルとして作られたと思う。

 

3)世界を支配する武器ポリティカル・コレクトネス

 

陰謀と計画は、多くの場合、一つ企みの両面を表現したものだろう。あるグループが、有限の資源のなかで、その他全体の中で生存するため、ある企みを密かに考えたとする。それをグループ内で計画(約束)と呼べば、その外では、陰謀と呼ぶ筈である。

 

厳しい離散民族として生き残ったマイノリティが、ある巨大な国家の殆どを支配したとき、つまりマジョリティを支配したとき、その伝統的手法は、政府の強力な統治と世界支配のための主なる道具となった。人種差別撤廃、マイノリティの権利拡大、女性差別反対などで、歴史や現状を無視した理想論を武器として用いるのである。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516667.html


その国際的なバージョンが、ダボス会議が主張する2050までのカーボンニュートラル政策や、最近言いだしたグレートリセットなどである。後者は、現代の資本主義の世界で主流となる、株主中心資本主義を、利益関係者資本主義に変更しなければならないという理想論である。

 

それら理想論は、国際的なバージョンを含めて、ポリティカルコレクトネス(ポリコレ)と呼べるだろう。それらは、世界の支配層が世界の人たちを煽動するための武器である。彼らは、同じ起源のひとたちなのだろう。


かれらの話は、目的地を主張する理想論ばかりであり、そこに至るプロセスに関しては誤魔化している。これらポリコレ、例えばカーボンニュートラルや地球温暖化説などは、世界の産業を自分たちの予定する範囲で独占しようとする単なる世界経済の支配のためなのか、グレートリセットという貧困化と世界の共産党支配のためなのか、私には未だ解らない。

 

彼らがグレートリセットの旗を振る時、理想主義者としての恐ろしい姿が見える。かれらは、無秩序にエネルギーを蓄積して、爆発を待っている。それは世界の終わりの神話を再現するためなのかもしれない。

 

 

以上で今回のエッセンシャルな話は終わりだが、直近の例を追加したい。それは、オリンピック関連で森元首相の発言に対する国際的にも執拗な攻撃があったことである。それは、男女差別撤廃というポリコレ御旗を掲げて、世界中から老人一人を袋叩きにする悍ましい光景を為した。彼は、単に日本社会での遅れた女性の活躍の実態を、素直に語っただけである。

 

もし、それがオリンピックとの関連で許すべからざることだというのなら、何故男女差別の強烈なアラブ諸国をオリンピックに参加させるのか?答えてもらいたい。人種差別というポリコレが政治の武器でないなら、何故中国はオリンピックを開催できるのか、答えてもらいたい。

 

(2月15日早朝、補足4の追加、「宗教では、結果が前提と入れ替わる特徴を持つ。」という文の削除;語句の編集)(コメント議論等、歓迎します。)

 

 

補足:

 

1)殆どの日本人は、自分たちを日本国に棲む一つの民族であると考え、且つ、上記文章の意味など簡単に理解できるというだろう。しかし、私は日本人の殆どが、民族間の生存競争を、理解していないと思う。何故なら、国防軍を持てない憲法を持つ異常が解らないからである。生存競争として頭に浮かべるのは、個人間の競争である。

 

2)たまたまある人のブログで知ったのだが、アルメニアという国の民も、300万人が黒海とカスピ海に挟まれた小さい地域にある住むが、同程度の人数が世界中にばらまかれているとしう。そして、第一次大戦中に150万人が虐殺されたという。(ウィキペディア参照)クルドやロヒンギャの民は、現在でも国を持たない悲劇の真っ只中にある。

 

3)現在でも、イスラムの民が厳格な慣習を守る宗教を信じ、シーア派とスンナ派などの区別をして争いの中にある。両派は考え方の違う二つのグループというより、互いに争う隣接する二つのグループの異なる名称として理解すべきだろう。

 

4)西欧の法は、ソクラテスの毒杯で分かるように、古代ギリシャの哲人達の時代に既にあった。ギリシャ・ヘブライ文明という言葉があるように、大きな枠で漠然と法の起源を語っていると理解してほしい。

 

5)一方、絶対王政の皇帝は、人と人との繋がりを破壊する。配下の支配には、愛ではなく恐怖を用いる。そこには契約も法も不要である。共産党支配の中国は、この形態に近い。

 

 

2021年2月10日水曜日

何故日本はまともな国家になれなかったのか?

1)日本を骨抜きにした第一の原因は米国の占領統治なのか?

 

日本の右派の共通項は、戦後まともな国家になれない理由を、米国の戦後統治(war guilt information program; WGIPなど)に押し付ける考え方である。それは根本的に間違っている。そう考えるのは、日本は明治時代以降、一度としてまともな国家であったことはないと考えるからである。

 

 

 

もし戦後、米国による占領統治がなかったとしたら、日本は再び天皇を中心にした全体主義国家に再生していただろう。何故なら、米国の統治終了後、日本国独自にあの戦争に関する総括が成されなかったし、そして、東京裁判で殺された人たち全てを、英霊として靖国神社に合祀したからである。それは、戦前戦中の出来事全部の評価を放棄し、全肯定したことを意味する。(補足1)

 

また、日本の近代史の研究家から日本の敗戦までの失敗の原因として屡々指摘されるのが、軍の暴走であり、それを可能にした大日本帝国憲法の欠陥である。軍を直接支配するのは天皇であり、内閣ではないという帝国憲法第11条である。

 

「天皇は陸海軍を統帥する」であるが、これは恐らく天皇の権威を高めることと、軍兵士の戦意を高めるための条文だろう。この規定により、内閣の指示に従う必要がないという気分が軍の中堅幹部(現場の指揮官)に生じたたとしたら、それは少なくとも敗戦の間接的な原因だと言える。

 

しかし、それが直接原因となった訳ではない。日本国が全体として機能を果たす事ができなかった根本原因は、日本の軍隊を含めた汎ゆる組織において、指揮系統に沿った十分な情報交換と意思疎通が行われ無かったことにある。私は、そのように思うので、それについて以下議論する。

 

 

2)日露戦争から満州事変までの戦略について:

 

日露戦争から朝鮮併合までの日本の拡張政策は、米国の支援も有って成功裏に行われた。南満州鉄道に関しては、米国は共同管理を期待したが、日本はそれを拒絶した。そして、独自に満州事変を引き起こし、傀儡政権樹立による満州国支配へと進み、米国を含む国際社会と対立して、太平洋戦争へと進んだ。

 

日本の政府は、日露戦争の総括をしないで勝利に酔う一方、ポーツマス条約に対する国民の不満について十分、分析対処しなかった。セオドア・ルーズベルトとその背後にあったユダヤ系資本とによる、日露戦争における日本支援の戦略について、十分総括していない筈である。

 

何故なら、その後の政権は、簡単に桂ハリマン協定(満鉄共同運営)を破棄しているからである。この歴史の流れは、日本帝国が、戦略の立案から現場での実行に至るまで、一つの機能体の行為として行う体制(国家の体裁;国家の骨組み)を整えていなかったことを証明している。(補足2)

 

ロシアから手に入れた南満州鉄道の運営も簡単ではなかった。それは、現地の人たちにとっては侵略行為であり、それに対して当然強い抵抗がある。更に、満州での利権を狙う西欧諸国の思惑などもあり、それらへの対抗措置をとるには、緻密な集団思考の結果としての戦略が必要だろう。

 

上述のような国体だったので、敵対勢力の全てを撃破する稚拙な方法しかとり得なかった。その結果、日本の戦いはまるで坂道を転げるように、満州事変、日支事変へと拡大され、遂には米国との戦争にまで発展した。敗れるまで、戦線を拡大するしか無かった。能力を顧みないで戦線を拡大して、最後にはバブル崩壊となったのである。

 

3)満州事変について:

 

具体例として、関東軍が独自に立案実行したと思われる対満州作戦を取り上げる。日本政府は、事の経緯を有耶無耶にすることで、事後承認するのが精一杯だったというのが事実である。それは、近代立憲国家という着物を付けたものの、猿真似衣装に過ぎなかったことの証明である。

 

当時の満州は張作霖ら軍閥が支配していた。南満州鉄道の警備が目的だった関東軍は、徐々に反日の動きを強めた張作霖の下、治安の悪化に悩んだ。満鉄沿線以外に侵攻することを許可しなかった本国の意思を無視して、1928年、独自に張作霖の暗殺を実行する。(張作霖爆殺事件;関東軍高級参謀であった河本大作の立案)

その後、1931年、石原莞爾の立案による満州占領作戦が実行された。(満州事変;板垣征四郎らとともに実行)それらは、繰り返すが、日本の大本営の計画したものではなかった。結果が大成功だったため、石原の独走の責任は有耶無耶となった。そして、それが前例となって。その後の軍の暴走に拍車をかけることにつながったようだ。

 

満州での治安悪化などの情報を本国で受け取り、それに対する対策を現場との情報交換の末に立案し、現場が実行するという本来の機能が全く発揮されなかった。(補足3)本来ならその過程で、日本国の実力のほどが自覚され、その後のバブル的な戦略拡大は無かった筈である。

 

この種の体験は、明治以降、多くのケースで存在した筈であるが、それらに学ぶことが出来なかった。つまり、現場が独自に動く現実は、立憲国家の体をなしていなかったことを示す。太平洋戦争も同様に、現場と参謀本部の情報交換は円滑ではなく、兵站の理論もなにも無視して、多くの作戦がなされたと言われている。

 

4)現在の右翼のプロパガンダ

 

現在、右翼的思想をもった人たちのほぼ全員が、上記のような近代の歴史を総括すること無しに、戦前の日本帝国を擁護する傾向にある。それは現在においても尚、主権国家の機能と組織に関して、十分な理解がないからである。防衛力の整備に関しても、「平和を目指す民主国家でありながら、国民の命を軽視するのか」という類の左翼の攻撃に対して、右派の政府はまともに反論できない。

 

マッカーサーの占領政策に洗脳されているとしたら、左翼も右翼も同様だということである。日本が国家としてあの戦争を総括できないのは、組織的且つ多角的な議論を、フラットな人間関係のなかで行うという欧米が理想とする型の国家運営が出来ないからである。個人には、高度に戦略的に練られた占領軍の洗脳政策の分析が出来るほどの能力は無い。

 

個人のレベルの能力では、右派には戦前の日本に帰る方針しか出せないし、左翼には日本国家を滅ぼす方向しか浮かばない。(右の売国、左の亡国?)そのような彼らの間では議論などできない。出来るのは、口論であり喧嘩である。その根本は、西欧から輸入した民主的な主権国家体制を消化不良のまま真似をし続け、何時になっても日本の文化の中に同化できないのである。その思想的背景まで輸入できていないのである。

 

そして右派は、「日本は悪くなかった、米国のフーバー元大統領はそう書き残している」と主張したり、「教育勅語には良いことが書いてある」とか、「靖国神社へ参拝を首相がするのは当然である」と主張し、総理が参拝できないのは外国の干渉だとして、それら外国を非難するのである。

 

日本は戦いに敗れたのである。その現実が全てであって、それを国家間の善悪論争に持ち込むのは根本的な間違いである。国際法は一応存在したが、国家間の関係は本来野生の関係だからである。善悪は、権力と権威が明確に存在する国家内部でのみ有効な概念である。(補足4)それを知らない者には、国際政治を語る資格がない。

 

5)靖国参拝について:

 

靖国問題については、過去に何度も議論している。その詳細は、以下の5年前の記事をご覧いただきたい。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466515250.html

 

右派は、国家の為に命を捧げた英霊の墓所である靖国神社に、国家のトップが参拝しないのは異常であると宣伝している。確かに、国家のために命を捧げたのは事実である。その英霊の勇気と覚悟に対して、大日本帝国は十分な配慮を行ったのか? その総括無しに、英霊への参拝を主張するのは、誤魔化しである。

 

もし、その陸軍の英霊の死が、インパールでの犬死だったのなら、その悔しさを国民全員が自分の父や兄の犬死として反芻すべきである。「マリアナでの七面鳥撃ち」と揶揄されるような無様な海戦で、命をおとした海軍兵士達の無念を、国民全員が同様に自分の無念として反芻すべきである。これらは百田尚樹氏の小説「永遠の0」にも、詳しく書かれている。

 

その無念さや悔しさを胸に、それら英霊の墓所に参拝すべきである。その悔しさを、日本の政治のあり方を考えるエネルギーに転換しなければ、靖国に参拝する意味がない。

 

しかし日本人は、あの戦争の復習を全くやらず、英霊を祀り上げて、自分たち民族の失敗を隠している。その失敗とは、敵の諜報活動に日本の弱点を把握利用され、勇敢だった日本の兵士の命を無駄にしてしまったことである。日本の政府は、一つの機能体として働かず、例えば石原莞爾や山本五十六のような個人が、思い付きで日本国を悲惨な結末に導いたのである。

(以上は、素人であるこのブログの支配人の考えであり、学会の定説とは無関係です。)

 

(2/11/7:00 全体を編集、補足3は完全に変更し、最終稿とする。)

 

補足:

 

1)過去の失敗を反芻することなく、敵側(フランクリン・ルーズベルトの米国)の悪としてしか語れないのが現状である。戦後の日本は、明治維新以来継続的に、薩長や土佐の支配下にあった。同じ陣容で同じ遺伝子が発動すれば、同じ国体が再生する筈である。

 

2)米国は南北戦争でアジアへの進出が遅れた。フィリピンを植民地化(1902年)した後、満州利権の獲得を狙っていた。そこで、日本には統治が難しい朝鮮半島の併合を認めた。共通の敵となるロシアとの戦争において日本を応援し、南満州鉄道の利権をハリマンが共有すること等に始まる満州権益の確保で、その帳尻を合わせる積もりだった。

 

3)内閣で問題を把握し、満州での対処を話し合えば、必ず批判を強める外国相手の外交も考慮の範囲に入り、議論の裾野が広がる。現場の専門家だけの議論ではなく、裾野を広げて、諸外国との関係を含め日本国全体の問題として議論し方針を出さなければ、普通の国家とは言えない。

 

4)同一の神を頂く集団には、神の権威による善悪が存在する。その善悪と、国内の権力と権威が求める善悪との調整は、欧米諸国にとって難問である。それは通常、二枚舌によって調整される。


 

2021年2月8日月曜日

森元総理の失言は日本社会の欠点に由来している

オリンピック組織委員会の森喜朗会長が2月3日、女性蔑視発言をしたとして非難され、その非難は国際的になっている。翌日森氏の謝罪があったが、今日現在でもマスコミなどで話題となっている。この件、日本の病根と関連があるとの指摘もあり、私も独自に文章を書くことにした。

 

問題となった東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗氏の発言を、ネットメディアのDailyが以下のように報じているhttps://www.daily.co.jp/general/2021/02/04/0014056469.shtml

 

日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会において、競技団体の健全運営を促す国の方針にならい、日本オリンピック委員会(JOC)が女性理事の40%以上の登用を目標とするなど、役員選考を見直したことに対して、(内部で)だいぶ抵抗があった。

女性理事を4割というのは文科省がうるさくいうんですね。だけど女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言いますが、ラグビー協会は今までの倍時間がかかる。

 

読売新聞の2月5日の1面にこの発言の撤回が報道されており、そこに森氏の「(4割という)数字にこだわって無理をしない方が良いと言いたかった」という上記発言の動機が書かれていた。3日の発言としては、上記発言の根拠としてだと思うが、「女性は競争意識が強い。一人が手を挙げると、自分も(何か)言わなければいけないと思うのだろう」などもあったようだ。こちらの発言も同様に非難の対象になっているようだ。

 

この森氏の本音を分析した記事が、JB Pressというネットメディアの2月8日の記事に掲載されている。東大准教授の伊藤乾という方の話には、本質を突いている部分が存在する。https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63975

 

重要な部分をまとめさせてもらう:“日本社会の伝統的な方針決定の方式は、ヤクザの方式とでも言える“トップダウン式”であり、議論でブラッシュアップするというものではなかった。いつまでもこの様では、日本に将来はない”である。(補足1)

 

2)非難されるべきは能力本位の人事が出来ない日本社会である

 

森氏の発言の主旨は、繰り返すが「(4割という)数字にこだわって無理をしない方が良いと言いたかった」である。つまり、女性か男性かよりも、十分な能力のある人材を選ぶべきだというのである。これは真っ当な考えである。

 

日本の社会は、能力のある女性を組織の上層に浮かび上がらせる機能を欠いている。森氏の問題発言とされる部分は、本音を漏らしてしまう老害の結果なのだが、その本質的原因は、上記機能を持たない日本社会と、国際関係を考えてか、女性4割という方針に固執する政府文科省に由来する。

 

繰り返しになるが、批判されるべきは、日本社会及び日本政府である。能力のある女性を社会の表舞台(或いは上層)に浮かび上がらせる機能を、自然なメカニズムとして日本社会が持たないこと、そしてその社会の改革を、これまで日本の社会及び政府が行って来なかったことである。

 

森氏が言った「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」という発言は、森氏から見て、女性役員が、本質的でない議論を長々として困るというのだろう。それが本当であれば、これまで森氏が関係してきた組織において、無能な女性を数合わせのために組織の役員にしてきたのか、逆に男性の役員が無能で、ボスである森氏に唯々諾々の姿勢であったのか何方かだろう。(補足2)

 

その問題は、男女差別の問題ではなく、日本社会の各組織が、能力本位で役員などを選ぶ機能をもっていないことにあるだろう。

 

3)日本社会は西欧文化を消化不良のまま取り入れ、それに気づいていない

 

西欧社会の特徴は、日本と比較して個人が自立している点である。自立した個人と個人は、言葉で自分の意思を主張する。その中で、物事に対するより良い理解と問題に対する対策を考える。近代日本は、その論理を重視する姿勢を西欧から輸入して、自立した個人が形成する社会にふさわしい、「人権と法治」を社会の根幹に置くこととなった。(補足3)

 

しかし、それは現在の日本社会では猿真似状態である。日本の多くの公的組織はその機能とは関係の薄い個人的繋がりで組み上げられ、自立した“個人と法と論理”で組み上げられていない。その証拠に、政界や芸能界での地位まで、相続で手に入れている人が多い。そして、その特徴は私的組織である株式会社等にも見られる。それが、日本の低迷の30年の原因の一つであると以前指摘した。(補足4)

 

今朝のTV番組(グッドラック)で、誰かが「IOC会長のバッハ氏と直ぐに話ができるのは森氏だけであるとか、関係都道府県との調整の場面で、直ぐに知事と話が出来るのは森氏だけだ」という話をしていた。

 

勿論、具体的な話の前に、人間関係の形成は大事ではある。しかし、それは問題に対する「共通認識の樹立」の段階の話であり、それを言葉を用いて成し遂げる能力があれば、その後の交渉は誰でも良い筈である。

 

日本の問題点は、議論や討論のまえに、当事者間に上下関係が存在することである。勿論、組織上の上下関係は、例えば国家間の話では大事である。つまり、日本の外務大臣と話を詰めるのは、例えば米国の国務長官が妥当である。

 

国家とその各組織は、機能体である。(補足5)従って、国家と国家の交渉においても、国内での議論においても、機能体としての上下関係は勿論重要である。その機能体での上下関係を、人格的にはフラットな関係のままで達成しなければならない。

 

しかし、儒教で想定する社会は、共同体のみであり、機能体組織の考え方がない。日本社会には、組織を背負う前に、上下関係を設定してしまうという、その悪しき儒教社会の遺物が存在する。

 

(16時20分、一部修正)

 

補足:

 

1)ただ伊藤氏のそれに続く議論は、冗長であり明確な結論に結びついていない。男女は同じ生き物か?という表題で、女性と男性は元々生物学的に異なるという原点から出発するセクションは、設定が面白いのだが、あまり有用には思えなかった。森氏の発言は、「女性蔑視ではなく、女性差別だ」というのも、私には論拠を欠いていると思う。森氏の発言は、「少なくとも女性4割」という男性差別に対する反論だという考え方もある。そのように感じたのが、この文章をかくもう一つの動機となった。

 

2)森喜朗氏は元日本国の総理大臣である。森氏以降の総理大臣と比較して、優秀だったと記憶している。従って、森氏が愚鈍だったとする場合の議論はここでは省略する。

 

3)この個人の独立であるが、勿論相対的な比較である。人間が社会を作って生きる以上、個人の独立は一部返上する。

 

4)「日本の生産性をだめにした5つの大問題について」という米国在住の方の指摘を俎上にあげて、議論した。組織を専門化して高度化することが、十分機能体組織化していない日本の会社では出来て居ないという指摘である。尚、機能体組織と共同体組織は概念で峻別されても、人間社会の組織はそれらの中間的性質を持つ。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12564206453.html

 

5)国は共同体である。主権国家体制の国際関係において、国が滅んでしまえば、その旧国民は違法難民状態となり、原理的には生存根拠を失う。現在でも国を持たない人々は、虐殺の対象になっている。また、国家(行政機関のこと)という組織は、機能体組織であるべきである。多くの専門家が高度になった各専門を担当し、各専門組織の構成員の間には、意思の疎通がなければならない。理想的には動物の各細胞のような、共同体でありながら、高度な機能体を構成しなければならない。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12588961158.html

 

 

2021年2月6日土曜日

伊藤貫さんのトランプ評価と米国の今後

今日、久しぶりに広く動画を検索していたら、日米関係の解説で最も信頼している伊藤貫さんが1月25日のチャネル桜北海道に出演していた。伊藤さんが水島社長らに話した内容は、非常に面白いので、お勧めしたい。

 

 

最初の部分で伊藤さんは、「4年後の大統領選挙においては、共和党が勝つだろう。共和党には優秀な候補が多くいる」と話された。次回大統領選の候補として、話題に上がっているのは、ポンペオ前国務長官、ペンス前副大統領、テッド・クルーズ上院議員、ジョシュア・ホーリー(Joshua David Hawley)上院議員、などである。(補足1)

 

一番重要な内容は、後半に出てくる「トランプの功績」の部分だと思うので、それをまとめてみる。トランプは、その4年間の任期中に、以下の6項目について、米国民や世界の人々に知らしめた。

 

1)トランプは、所謂DEEP STATEDS)のやり口を明確にした。DSは、FBICIAの他、司法省を支配域におき、違法行為をやっても、これらの政府機関が立件しないので、裁判所まで行かない。

(補足2)

 

2)米国の主要マスコミの嘘を明らかにした。彼らは嘘と知りながらも、その嘘を放映することができる。これは日本のマスコミには、多くの場合、出来ないことである。

 

3)インターネットのFBTwitterGoogleAmazonなどのプラットフォームは、SNSでの言論を統制し、その責任を合衆国の通信品位法230条(補足3)を盾に回避するした。更に、国家元首の発信サイトまで永久禁止するという暴挙を働いた。

 

4)米国がエスタブ(エスタブリッシュメントとその息子たち)のための国に変質していく中、共和党はそれに対抗する意思を全く見せない「抜け殻」的な政党になっていたことを明らかにした。大統領弾劾についても90%の共和党上院議員は、重鎮も含めて、素知らぬ顔をしている体たらくだった。(補足4)

 

5)キッシンジャーとニクソンが1972年に対中外交を融和路線に変更して以来、中国の危険性が増してきたが、クリントン、ブッシュJr、オバマは何も有効な手を打たなかった。それは、ウオール街投資機関から多額の資金援助を受けているため、中国の危険性について言及できなかった。その米国の対中姿勢(US-China strategic engagement;補足5)を、トランプ政権は破壊した。

 

ナンシー・ペロシの夫やクリントン夫妻など、中国に投資しており、人質を中国に取られている状態だった。

 

6)米国の社会システム、経済システム、政治システムは、大統領などの選挙以前に既に仕組まれていることを指摘し、米国の庶民レベルにまでに確信させた。“The system is rigged:(米国という)制度は仕組まれている”は、大統領選の時にトランプもサンダースも言っていたことである。

 

数十件の選挙詐欺があったのだが、郵便投票の票の作成、開票、集計の3段階で詐欺が起こった。票の誤魔化しは永遠の謎となった。警察と検察は捜査しないから、裁判にもならない。

 

補足:

 

1)以前の記事で、「何れにしても、次期米国政権には、トランプではなくポンペオの就任が反グローバリストにとっては、最高のシナリオだろう」と書いた。トランプは日本にとって最善の米国大統領でないことを、日本のトランプファンは知るべきである。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12653240276.html

 

2)この司法省、FBICIAなどを押さえているのは、多くの場合Senior Executive Service

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12645256562.html HARANO TimesというYouTuberの方の解説で初めて知った。その視聴を動機として、ネットで基の資料を探して解説した。)

 

3)米国通信品位法230条は、現在のインターネットの興隆を招いたともいわれている。サイト運営者は、問題のあるコンテンツが投稿されても、自己の判断で介入或いは不介入が可能で、その責任を負う必要がない。しかし、現状はビッグテック企業がその免責にあぐらをかいて、適切なコンテンツのモデレート(投稿監視)を怠っているとの批判がある。

詳細は、https://www.businessinsider.jp/post-213777

 

4)1214日の選挙人の投票後、上院共和党院内総務のMcConnell (Addison Mitchell McConnell, Jr) がバイデンに祝意を述べた。どうもその背後にいる、マコーネル上院議員の妻のElaine Chao(共和党)の存在が気になる。彼女は現在の運輸大臣で、台北生まれの上海系の方だが、どうも中国とズブズブの関係にあるようだ。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12644520550.html

 

5)戦略的米中共同関係(US-China Strategic Engagement

米中の戦略的共同関係とは、経済、外交、軍事的および対外援助を含む幅広い範囲における、協力関係の実施を意味する。201810月にハドソン研究所(Hudson Institute)において、ペンス副大統領は、米中戦略的共同関係の終了と、戦略的競争関係の始まりを公式に宣言した。尚、詳細は、以下のWikipediaの記述を御覧いただきたい。(日本語訳はある様だが、完成していないようだ。)

https://en.wikipedia.org/wiki/US-China_Strategic_Engagement


日本は後進国である:ディジタル化の遅れ

1)一律支援金の愚

 

先程のTV放送”ウェークアップ”で、一律支援金6万円の不合理が話題になっていた。その中で、配る側の大変さが、「一律配布の理由」であるとの話もあった。

 

つまり、全ての飲食店がデジタルで確定申告しておれば、そんな不都合はなくなる。つまり、確定申告のデータに、これまでの事業規模が存在し、それに応じた休業補償の額が何時でも瞬時に計算でき、明日にでも振り込めるからである。

 

昨年の10万円の一律給付も、各個人毎にそのようなデータがあれば、確定申告の口座への振り込み或いは還付金として処理することが可能である。実際、確定申告にはマイナンバーの記入が必須となっている。米国では、600ドルの給付金も2−3日で、確定申告の口座に給付されたと聞く。

 

全ての非効率や不合理が、日本のデジタル化の遅れが原因で生じている。今頃、デジタル庁を作ったのだが、そんなことは総務省でもどこでも、簡単に出来るはず。一体、どんな人材を雇っているのか?

 

韓国や中国では、スマホ決済がいきわたっているのに、日本の小型スーパーのレジでは、小銭を一円単位で数える風景が日常的である。何故、そのような遅れが生じたのか?

 

それは、日本では最初から落ちこぼれが一人も出ないようにという考えを利用して、行政が仕事をしないからである。(補足1)マイナンバーカードが10万円給付で必要だというのなら、カードを取らない人には給付しなければ良い。

 

落ちこぼれには、救済措置を用意するが、全体としては早急にデジタル化をすべきであった。しかしこれは一つの象徴的な例であり、日本の行政は総じて仕事をしていないと言える。

 

その原因を批判を覚悟でいうと、日本人は個人では物事を考えないからである。もし、慣習があればそれを超保守的に継承し、上からの命令があれば従順に従う家畜のような民族である。従って、その国家は全体主義に走りやすい。(補足2)

 

病院のデジタルカルテも、早急に共有する体制を整えて、転院した場合の紹介状など不要にすべきである。個人データの保護は大事だけれども、それを理由にいつまでも病院毎の保存では、過剰診療や過剰投薬などで稼ぐ悪徳医者がなくならないだろう。そんな医者をデジタルカルテの共有でなくす一方、医療従事者全体の待遇をもっと改善すべきである。

 

町内会という不思議な組織では(これも意味を考えずに延々と継承されている習慣である)、今でも回覧板を廻している。町内のホームページを設けて、そこで閲覧すれば、そんな面倒なことは不要になる。更に、市役所が毎月配布する広報も、ネットで閲覧すれば膨大な節約となる。

 

兎に角、各戸がスマホを持つか、インターネット環境を、嘗ての電話を引くような感覚で整備すべきである。回覧は、どうしてもその環境が整備できない人たちのみとすれば良い。全員が可能なことのみを、市や町の標準とする方針では、日本に進歩はない。

 

 

2)COCOAの不思議

 

新型コロナの感染者との接触をスマホで知らせるソフトがある。それがCOCOAである。その存在を知ったのは2日ほど前の読売新聞の記事を読んだ時である。何故なら、回覧板や市の広報に大きく報じされなかったからである。

 

厚労省のHPには、以下のように書かれている。

 

この陽性者によるアプリでの登録は、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)から陽性者本人に発行する処理番号を入力いただく仕組みになっています。

 

年末までの総ダウンロード数が2300万ほどだったので、日頃から新聞やテレビを殆ど見ないので、知らなかっただけのようだ。しかし、それをダウンロードしても、ほとんど役に立たないことがわかった。何故なら、新型コロナに感染しても、それを各自がスマホに入力する義務などないからである。https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1298554.html

 

上記サイト(16日の記事)によると、陽性者の登録数は6385件とある。現在の感染者は40万人なので、ほとんど何の約にもたたないことが分かるだろう。

 

しかも、韓国のように、感染者の分布をリアルタイムで知らせるというのではなく、感染者と濃厚接触をした事実を、事後的に知らせるのが目的のようだ。それでは、やけどをしてから火の存在を知らせるようなもので、何の意味もない。

 

このソフトを利用して、新型コロナの感染を防ごうという意思は、国と地方を通じて日本の行政には全くない。その手のソフトの配布は、韓国もやっているから配布はする。しかし、利用しないのなら、それは国民の責任であると言うのだろう。政治家はこのソフトの事を何も知らないだろう。

 

結論として、日本の行政は、プライバシーという言葉が、まるで魔物のように恐ろしいようだ。立憲民主党のRNH議員よりも恐ろしいのだろう。勿論、恐ろしいということにして、仕事をしないだけかもしれない。いや、そうに違いない。

(12:20 編集;補足2追加)

 

補足:

 

1)私の棲む市では、新型コロナに感染したデータを一応公開している。しかし、そのデータには、ケース毎に感染者の年代、陽性者との接触の有無、陽性であることがわかった時の症状が、書かれている。約500名の感染者の殆どが、無症状と軽症である。中等症が26名、重症者は3名である。その後死亡した人のデータはそこにはない。「この症状は何のために記載しているのか? これでは新型コロナは全く恐ろしくない病気だと宣伝しているようなものだ」と、市役所に質問したが、県のデータをそのまま記載しただけだという。一体何のための市なのか?

 

2)例として昨年2月26日の記事を推奨する。4節以降の文章を読んでいただきたい。
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12577887962.html
もう一つの例として、「(再録)自ら進んで恵方巻き屋の餌食になる人たち」という記事を引用する。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12573472614.html
 

 

 

 

 

2021年2月1日月曜日

ダボス会議と主催機関の世界経済フォーラムについて

1)ダボス会議:

 

機能不全気味の国連の外で、国際問題を議論する有力な場が幾つか存在する。例えば、ビルダーバーグ会議や国際経済フォーラム(WEF)の主催するダボス会議がある。WEFはローマクラブと同じく、スイスが発祥の地である。

 

ダボス会議は、WEFが招待した政治経済の世界的人物の他、芸能、スポーツなど、多分野からの2500人ほど集めて、通常毎年1月にスイスのダボスで、地球規模の問題を設定して議論する。参加者はWEFが自己都合で選定する。

 

今年はパンデミックを理由に5月に延期され、会場もシンガポールに変更された。1月下旬にはネット会議の形式で、世界の首脳の「ダボス対話」があったようだ。25日には、中国の習近平総書記のスピーチがあり注目された。(補足1)https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/12/9394cbf09e15b6db.html

 

ダボス会議は、世界の指導者に世界政治や経済の方向を議論させる場を与えている。ただ、その議題は、前年の11月のWEFの「グローバル・アジェンダ・カウンシル(GAC)」の会合で決められる。GACの詳細はWEFのホームページには明示されていない。

 

2021年の年次総会のテーマは、パンデミック(世界的大流行)後の世界の再建に関する「グレート・リセット」だという。(グレート・リセットについては次回書きます)

 

 

2)世界経済フォーラムについて:

 

ダボス会議という名前は日本でも有名なので、そこから文章をスタートしたが、本来はその主催機関である世界経済フォーラム(WEF)の説明から始めるべきだったかもしれない。ダボス会議が花なら、WEFはそれを育てる草木であり、本体である。

 

WEFを知るには、そのHPを読むのが良い。https://www.weforum.org/about/world-economic-forum その日本語版は、上記からプルダウンで出てくる。WEFの評議員に、菅政権のアドバイザーの竹中平蔵氏が存在していることに注目すべきである。

 

そこのミッションのところに、The World Economic Forum is the International Organization for Public-Private Cooperation. と書かれている。日本語のページでは、「世界経済フォーラム(World Economic Forum)は、官民両セクターの協力を通じて世界情勢の改善に取り組む国際機関です」と訳されている。

 

官民協力は(Public-Private CooperationPublicGovernmentalは同じではないが、非常に近い)政府の仕事であり、国際機関が割り込むことには大きな違和感を感じる。菅政権がカーボン・ニュートラルを言い出したことと、WEF役員として竹中平蔵氏が居ることを考えると、菅政権は、WEFに中心的政治課題を委ねているようにも見える。尚、菅氏と竹中氏の関係は、以下のページなど数多く報道されている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/06b7db31f160c7b6a6aff38274d476cc9d69ac90

 

スウェーデンの環境問題の活動家であるグレタさんも、ダボス会議の重要な講演者として活動していることも印象的である。カーボンニュートラルは、WEFのメインテーマの一つである。

 

WEFのミッションとして記した文章は、WEFは世界政府が出来たとき、その行政部門を担うことを考えていると読むことが可能である。つまり、主権国家の内政に干渉する可能性のあることをミッションにしているのである。尚、WEFは国際連合の経済社会理事会のオブザーバーの地位を有し、スイス連邦政府の監督下にあるということである。(ウィキペディア)

 

WEFは、「特定の利害と結びつくことのない、独立した公正な組織です」とあるが、ダボス会議の他に、「イノベーション、科学、およびテクノロジーについての年次総会」を中国で開催している。役員(評議員)の中に含まれる中国系人物は、ヨーヨーマ(チェリスト、米国籍)だけであるが、中国を活動の一つの重要域(拠点または対象)としており、今後の姿勢に注目すべきである。

 

共産党一党独裁という特殊な政治形態を持ち、人権弾圧を当然のこととして行っている国において、毎年大きなイベントを開催する団体が、「特定な利害と結びつくことのない独立した公正な組織」と言えるだろうか? 

 

3)WEFのメンバーについて:

 

WEFへの参加者として、政治や経済だけでなくスポーツ界や芸能界などからも著名人を集めている。また毎年、ヤング・グローバル・リーダー(YGL) という「賞」を数十名程度に授与して、WEFの協力員とし、ダボス会議に参加する「栄誉」を与えている。これらのことは、WEFの活動の幅広い層への宣伝を通して、長期に亘るWEFの維持成長と世界の変革を綿密に計画している事を意味していると思う。

 

YGLの一人に選ばれた齋藤 ウイリアム浩幸氏によれば、日本以外の国々では、YGLに選ばれるということは、たとえば「ウォール・ストリート・ジャーナル」や「チャイナタイムズ」でフロントページを飾るニュースだという。そして、名刺に「YGL」と書くのはひとつのステータスになっているというのだ。

 

多くの欧米メディアも、WEFに特別の配慮をしているようである。若干深読にすぎるかも知れないが、若い有能な人を選び、マスメディアと連携して高いステイタスを意識させ、ダボス会議のアジェンダを各地で広報をさせるためだと思う。https://gendai.ismedia.jp/articles/-/41784?page=2

 

更に、ストラテジック・パートナーと呼ばれる、グローバル企業100社も選定して、WEFの目標達成に協力させようとしている。それらの企業も、背後にあるかもしれない巨大な力と、それらと関係するマーケットを考えて参加しているのだろう。(補足2)

 

一人の大学教授の主催する私的な団体としてスタートした事になっているが、スイス政府がバックアップしているので、米中中心の経済的グローバリズムを超えた巨大な政治的グローバリズムを目指しているように感じる。

 

主権国家体制を国際関係の中で最善だと考える者にとって、何やら胡散臭い感じがする組織であり、会議である。実際、今年のダボス会議にはトランプ前米国大統領は招待しないと明言している。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-01-24/QNFQ9ADWLU6A01

 

ダボス会議は、今年「グローバル・リセット」なる言葉を、参加者やメディアを利用して喧伝し、何となく世界の近未来のあり方として世論を誘導しようとしているようだ。今年のアジェンダ:グローバルリセット及びステークホルダー資本主義については、次回考えをまとめる予定である。

(13:50 日本語修正)

 

補足:

 

1)習近平はスピーチのなかで、国際法と国際的なルールを重視することが極めて重要だとし、「対立はわれわれを袋小路に陥れる」と指摘した。新型コロナウイルスのパンデミックから世界経済の回復を協力して目指すべく、再び互いを尊重し合うよう訴えた様だ。相手としては勿論米国を念頭に置いている。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-01-25/QNHP0VDWRGG101

 

2)スイスはオフショアのプライベート・バンキングで世界一である。スイスの銀行は堅く秘密を保持することが人気の理由のひとつだろう。つまり、スイスには恐らく中国を含めて世界の富豪が資産を預けており、それらの富豪の政治的思想が、WEFに影を落とす可能性があると思う。