島根県は、明治時代に竹島を県の所管とした2月22日を「竹島の日」と定め、毎年松江市で式典を開いている。昨日も、日本政府及び島根県の関係者約200名が参加し、松江市で「竹島の日」記念式典が開催された。
式典で丸山島根県知事は、「竹島は、わが国固有の領土だ。韓国と外交の場で、竹島問題が話し合われるよう強く要望する」と述べて、外交交渉による解決を政府に求めた。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210222/k10012880651000.html
今朝の及川幸久氏のyoutube チャンネルでも、この件について触れて、以下のように話している。この動画では間違いが多いので、その部分は修正しておく。
① 竹島は100%日本の領土、日本固有の領土である。
② 問題解決の障害の一つとして、1965年1月に日韓両政府(宇野宗佑議員と丁一権首相の署名)で結ばれたと報道されている“竹島密約”を取り上げている。日本の総理大臣は佐藤栄作、韓国大統領は朴正煕だった。その年の6月、日韓基本条約が締結された。
この及川氏の話は、間違いが多い上に、論理性を欠いている。そこで、以下のコメントを書いた:
竹島問題は、日本の敗戦及びSCAPIN677に始まります。この時、竹島は日本領から除外されました。サンフランシスコ講和条約は、これへの新たな取り決めはありません。米国による日本と周辺諸国に打ち込まれた楔の一つで、北方領土問題も同様です。これに言及しないで、100%日本の領土というのは、別の観点から、米国の対日戦後政策に協力するものです。
密約の内容として報じられているのは、尖閣問題と同様、「双方が領有権を主張することを認め合う」というものである。(補足1)この密約の存在は、日韓基本条約に関する秘密文書として、2005年8月韓国盧泰愚政権により公開されたと、産経新聞が2007年3月20日付け紙面で報じている。
同年同月27日、衆議院議員鈴木宗男氏により国会で質問され、安倍総理は「報道を承知しているが、密約は存在しない」と答弁している。答弁書は、以下の質問の頁にリンクが貼られている。http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a166144.htm
この件、それ以降は有耶無耶になっているのだろう。(補足2)それが、日本の政治の愚かな所であり、日本国民も殆ど政治に関心がないことの証明である。我家のトイレに吊るされたカレンダーには、2月22日は竹島の日ではなく、猫の日(補足3)と書かれている。
竹島問題については、2019年9月2日にブログ記事としてアップしている。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12517934266.html その中で:
1)竹島はGHQの指令(SCAPIN-677)により日本行政区域から除外された。そして、日本漁船の操業出来る区域の境界線として、マッカーサーラインを示した。(SCAPIN-1033)
2)それらが、サンフランシスコ講和条約で廃止され、竹島が日本領土となることを恐れた李承晩は、マッカーサーラインをそのまま韓国の主権が及ぶ範囲として決定した。それが李承晩ラインである。
3)SCAPIN-677の指令と異なった合意がサンフランシスコ講和条約でなされなかった。
4)日韓基本条約と同時に、1965年、李承晩ラインの廃止と日韓漁業協定が締結された。この時、日韓での拿捕された日本漁民と日本国内刑務所で服役中の朝鮮・韓国人犯罪者との引き渡し交渉での合意した。
以上から、実質的に日本政府は竹島を韓国領土として認めたことになると書いた。日本国民の誤解は、自民党政府(佐藤内閣:1964/11/9~1972/7/7)の二枚舌外交による。更に、サンフランシスコ条約で明確にされなかったのは、実質的に日韓の間に据え置かれた“棘”としての機能を、米国政府が、日米間の同盟関係の中で期待したことを暗示している。(補足4、5)
日韓の問題は根が深いので、補足4を10時35分、補足5を11時0分に夫々追加しました。
補足:
1)同じ台詞が、日中国交回復の際の鄧小平の言葉として残されている。田島高志、「外交」誌、第18号(2013年3月)“尖閣問題「中国は話し合いを控えたいとし、日本側は聞きおくに留めた」鄧小平・園田会談同席者の証言
http://www.kiip.or.jp/societystudy/doc/2013/20130703_gaikourejyme_Tajima1(gaikou18).pdf
2)この竹島密約については、Daniel J. Rohにより単行本として発表されている様だ。その翻訳本は、草思社により2008年に出版されている。書評を以下に引用しておくので、参考にされたい。https://www.jstage.jst.go.jp/article/asianstudies/55/4/55_86/_pdf 尚、Daniel J. Roh氏は、韓国ソウル市生まれの韓国系の方の様だが、国籍はわからない。https://gendai.ismedia.jp/list/author/DanielRoh
3)「猫の日」は日本の猫の日実行委員会が1987年に制定した記念日であり、2月22日に定められている。猫の日は世界各国で制定されており、ヨーロッパの多くの国がWorld Cat Dayとしてる日は2月17日、ロシアは3月1日、アメリカ合衆国は10月29日。ウィキペディア参照。
4)米国の対日政策は、日本を二度と独立国として立ち上がれないようにすることである。それは、米国は思いのほか深い痛手を、太平洋戦争で被ったと意識したことを意味する。戦後、文化的に理解できない日本に対して、徹底して骨抜き政策をとった。それが占領軍において、諜報活動や検閲を担当した連合国軍最高司令官総司令部参謀第二部 (G-2)の仕事だった。数千冊の著書を公的機関等から排除するなど、日本に対して焚書坑儒と同じことを行い、日本の戦争犯罪意識を日本人に固定化することを狙った。米中国交回復に際してキッシンジャーとニクソンが、「日米安保条約は二度と日本が軍事を持たないようにする瓶の蓋である」と中国首脳に語ったことを、日本人は思い出すべきだ。
5)韓国の建国の基礎にあるのは反日である。それは以前、朝鮮併合の失敗についてなどの記事で何度も書いてきた。
つまり、韓国の反日は、日本に統治されたことに対する自己嫌悪と中華意識から来るものである。
その根本にあるのは、長年中国の支配下にあり、国民の殆どが文盲であった李氏朝鮮時代の両班以下の下層民(白丁ら)の苦しみである。その恨み辛みを、強国である中国にぶつける事ができないので、忘れるしかない。その忘却のための妙薬となったのが、反日である。日本統治への恨みと、持って行き場のない中国に対する長年の恨みの解決策としての反日が、韓国の礎である。それが、韓国が5つの国慶日の中に50年ほどの日本帝国の影響下からの脱出に関するものを3つ入れ、反日気分を盛り上げていることからも判るだろう。
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