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2021年2月27日土曜日

「株式会社アメリカ」による日本への内政干渉の一例

昨日届いた堤未果さんの本「株式会社アメリカの日本解体計画」を読んだ。米国への株式会社化の遺伝子注入は、古く合衆国銀行や第二合衆国銀行の設立のときに遡るのだろう。それが立派に「株式会社アメリカ」として、成人となったのがこの本に書かれているとおり、レーガン政権以降だろう。現在は壮年から老年期に入っているのは、昨日書いた通りである。

 

この「株式会社アメリカ」という言葉を知ったのは、堤さんの本の宣伝をネットで聞いたからである。しかし、その発想は、21世紀初頭からあったようである。(補足1)

 

それが昨日youtubeで公開されたチャンネル桜の番組で山岡鉄舟氏により紹介されていた。(アメリカ分断は、株式会社アメリカの老年期から最後の段階を議論している。今回の記事はそれ以前の話なのだが、以前に何回も書いてきた内容を含んでいるので、下に引用する。)

 

 

元に戻る。その堤さんの本が昨日届いたの、一気読みした。その中の中心テーマはウォール街の米国巨大資本による日本侵食である。

 

その中の一つだけ、ここで紹介したい。それは、小泉内閣のときの郵政民営化の話である。概略は聞いていたが、その中で一番説得力のあるエピソードをこの本で初めて知った。主人公は言うまでもなく、昨日も暗に言及した二人の内の一人竹中平蔵氏である。(あと一人はデービッド・アトキンソン氏)

 

話は、この本の51頁から書かれていた。当時郵貯&簡保マネーは340兆円あったが、その金が米国に投資される様にウォール街が画策した。その米国の操り人形になったのが、小泉純一郎首相と郵政民営化担当国務大臣の竹中平蔵氏であった。

 

20051014日、郵政民営化法案は可決成立した。この本に紹介されているエピソードは、ゴールドマン・サックスのロバート・ゼーリックGoldman Sachs Robert Zoellick副会長が、竹中平蔵氏へ郵政民営化への励ましという形をとった指示の手紙を送ったことである。

 

それを国会で質問した人物がいる。当時の民主党の櫻井充参議院議員である。質問は、郵政解散の前月の20057月、第152国会で行われた。質問は、「竹中大臣、あなたは今まで、アメリカの要人と民営化について話し合ったことはありますか」であり、竹中氏の答弁は、「いいえ、一度もございません」であった。(52頁)

 

そこで、櫻井議員はその場で、ロバート・ゼーリック氏から竹中氏に宛てられた手紙を読み上げた。そこには、民営化開始の2007年より、郵貯・簡保業務にも民間と同じ保険業法、銀行業法を適用することなどの具体的な方針が、その実現に向けて米国は支援するという形で書かれていた。(詳細は、53-54頁に書かれている)

 

2)この後、郵政民営化法案は否決される。この本は次の日のことを以下のように書いている。

 

翌日、ワシントンの広報紙であるWall Street Journalは、こんな記事を出しています。「これで我々が待ち望んだ3兆ドルは、しばらくお預けだ。が、しかし、小泉総理は頑張るに違いない」(同書55頁)

 

この本の内容は、俄には信じられない。そこでネット検索をしたところ、意外と簡単にその事実の証拠となる一つの情報が見つかった。ロバート・ゼーリック氏のウィキペディア(ただし英語版)記事に、米国のこの内政干渉を批判する豪州の人の論文が紹介されているのである。

 

In Australia's New Left Review, Gavan McCormack claimed that USTR Zoellick intervened during a 2004 privatization issue in Japanese Prime Minister Junichiro Koizumi's re-election campaign.

McCormack wrote, "The office of the U.S. Trade Representative has played an active part in drafting the Japan Post privatization law. An October 2004 letter from Robert Zoellick to Japan's Finance Minister Takenaka Heizo, tabled in the Diet on August 2, 2005, included a handwritten note from Zoellick commending Takenaka.

 

McCormack, Gavan (September–October 2005). "Koizumi's coup". New Left Review. New Left Review. II (35).

 

オーストラリアのニューレフトレビューで、ガヴァン・マコーマックは、2004年の小泉純一郎首相の(郵政)民営化問題を掲げた再選運動に、アメリカ合衆国通商代表部(USTR)のゼーリックが介入したと主張した。

 

マコーマック氏は、「米国通商代表部は、200582日に国会に提出された日本郵政公社の民営化法の起草に積極的な役割を果たしてきた。ロバート・ゾエリックから日本の竹中平蔵財務相への200410月の書簡には、竹中氏を褒めるゾエリック氏の手書きのメモが同封されていた」と書いている。以下省略。(英文中のfinance ministerは間違い)

 

この米国による重要で明らかな内政干渉の噂は聞いていたが、その詳細に関する報道は殆どなされていない。櫻井議員による質問など今まで知らなかった。竹中平蔵氏の偽証の罪についての議論も、私自身はしらない。勿論、当時は理系研究者としての日々を送っており、関心がなかったのかもしれない。

 

ただ、日本語版ウィキペディアには、ロバート・ゼーリックという項目はあっても、この件の記述はない。この国家反逆罪と言って良い小泉内閣の日本統治、その中での竹中平蔵氏の国会における偽証など、きっと詳細は大きくは報道されなかったのだろう。政治の問題の第一は、このマスコミの問題である。

 

補足:

 

1)フィリップ・ボビットが2003年に書いた「アキレスの盾」(Philip Bobbitt The Shield of Achilles: War, Peace and the Course of History)という本に、「市場国家」と書かれているようだ。昨日公表のチャンネル桜の番組で、山岡鉄舟氏の概説(動画41分から始まる)の最初にある。山岡氏の解説は、この動画(一時間少ししか見ていないのだが)で最も有益な情報を含むと思う。

 

(2月28日早朝、編集あり)

 

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