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2022年3月2日水曜日

ウクライナのゼレンスキー大統領は英雄なのか?

西側諸国の多くの報道では、ロシアのウクライナ侵略で毅然と戦うゼレンスキー大統領を英雄と呼んでいる。確かに立派に見える。しかし、本当に英雄だろうか?

 

FNNプライムオンラインで、フジテレビ解説委員の二関吉郎氏も「“英雄”に大化けしたゼレンスキー大統領とウクライナ国民に最大限の敬意を表す」という表題の記事を載せている。https://www.fnn.jp/articles/-/322326

 

二関氏は、米国ワシントンポスト紙に掲載されたウクライナのジャーナリストAnna Myroniuk氏の言葉を引用している。それによると、ゼレンスキー大統領はアメリカ側から国外脱出を打診された時、「私が必要としているは弾薬だ。脱出の為の足ではない」とウクライナ脱出を拒否したという。https://www.washingtonpost.com/opinions/2022/02/27/ukraine-russia-zelensky-president-changed-my-mind-inspired-millions/

 

そして彼女は、国家指導者に求められる今や最大の責務である国民の保護の為に、彼は敢然と立ち向かっていると語ったという。ゼレンスキーが必死に戦う姿は、確かに英雄のように見える。しかし、彼はその原因を作った一方の責任者である。

 

そのワシントンポストの記事でMyroniuk氏は、ゼレンスキー大統領が“キャプテン・ウクライナ”とか“初めての真のウクライナ大統領”とか、呼ばれるとは思っても見なかったと書いている。彼女が2019年の選挙のとき、ゼレンスキーに投票しなかった理由を以下のように語っている。

 

彼は政治の経験がなく、大統領という仕事に適しているとは思わなかった。彼の選挙運動での言葉は理想主義的で現実的ではなかった。ロシアに対しての大統領としての立ち位置を気にしてはいたが、彼の話は曖昧だった。彼には強力な億万長者の後援者がいた。彼をスターにしたテレビ番組「民衆の僕」の放送局を所有する億万長者である。 そして、ゼレンスキーは圧倒的な勝利を収めた。

 

彼の統治に良い印象を持たなかった。腐敗と戦うと約束しながら、彼は十分な対策をしなかった。ゼレンスキーは彼の支持者や同僚を重職につけ、彼らがスキャンダルに巻き込まれてもまともに対策をとらなかった。彼の就任後の3年間は、真にポピュリスト的であり、大衆に愛されることを希求した。彼はメディアの批判を大変気にしていた。(かなり意訳です)

 

ゼレンスキーの「ロシアは侵攻しない筈だ」という侵攻直前までの言葉を信じなかったMyroniuk氏は一旦キエフを離れたが、現在立派に国を守るべく戦うゼレンスキーを高く評価し、舞い戻って共に抵抗することを考えているという。記事は「ゼレンスキーは、国と世界の大部分の信頼を得ています。 彼が現在の姿勢を続けてくれることを願っています」と言う彼女の言葉で終わっている。

 

この記事は、全体を客観的に読むべきで、Myroniuk氏の言葉であっても、ゼレンスキーに対する最終評価のみを鵜呑みにするのは間違いだと思う。当初抱いたゼレンスキーへの懐疑論は本当に間違いだったのか?

 

知的なMyroniuk氏も、現在は“熱く”なっている。彼女もゼレンスキーも、そしてロシアのプーチンも熱くなっている。熱くなってからの言葉はそのまま受けとる訳にはいかない。それが戦争の恐ろしいところの一つだろう。

 

2)ミンスク合意を守らなかったゼレンスキーは英雄か?

 

戦いの渦中にあるウクライナの人たちや渦の外にいても近視眼的な大衆は、現在のゼレンスキー氏の姿を見て英雄と思うかもしれない。しかし、サブタイトルの命題の可否は、今日のウクライナとロシアとの戦いに至る長い経緯を考慮した上で冷静に判断すべきである。

 

ソ連崩壊後、2004年にはヤヌコビッチの大統領選勝利を取り消したオレンジ革命、2010年に政権についたヤヌコビッチ大統領をウクライナから追い出した2014年の親米派クーデターなどで、米国の深い関与が確認されている。それに続いて起こった親ロシア地域(クリミヤと東部ドンパス地域)での独立を巡る戦い、ドンパス地方での内戦を収めるための2015年のミンスク合意なども含め、ロシアと欧米の代理戦争的な歴史があった。

 

そして、それらを含めた大きい背景に、ソ連解体後の米国資本の介入(IMFなどの援助を含め)などにより、ロシアやウクライナ等旧ソ連諸国で新財閥(オリガルヒ;多くはユダヤ系)が多数誕生したこと、そしてそれらの周囲に蔓延した汚職など腐敗政治などがある。(補足1)

 

歴代のウクライナ大統領は、政治の腐敗を無くすと公約した。しかし、大統領になる為にオリガルヒと仲良くなり、彼らの支配するTVを利用するなら、最初から政権は矛盾を含む。そんな中、その大統領になる秘訣をフルに使って誕生したのが、理想主義で現実曖昧主義(上記ウクライナジャーナリストの言葉)のゼレンスキー大統領であったとすれば、簡単にはウクライナの英雄と呼べないだろう。(補足2)

 

「キャプテン・ゼレンスキーのウクライナという名のボートは、その指揮下でどう言う訳か大嵐の中に突っ込み難破した。しかし、その後のキャプテンは乗員乗客の救助を勇敢に行った」というのが実態だろう。その勇敢に戦っているという部分だけを切り取って、ゼレンスキーを英雄と呼べるのか? 大いに疑問である。

 

 

3)ゼレンスキー大統領はウクライナの地政学的運命に逆らったのか?

 

人もその共同体である国家も、運命には逆らえない部分がある。ウクライナの地政学的位置と歴史的経緯からは、現在の時点で反ロシアの姿勢を明確にすべきでは無かったと思う。早くても、プーチンと米国民主党政権との対峙が終わった時点にすべきだったと思う。

 

歴史の先生によれば、ロシアはウクライナの土地にあったキエフ公国から発祥した。ウクライナ語とロシア語は、東北弁と標準語位の差であるとか言う位近い言語であり、民族も同じスラブ系で非常に近い。https://www.youtube.com/watch?v=jsN2smDyuc0 

 

その兄弟国を反ロシアの軍事同盟と化したNATOに入れるという画策は、おそらくプーチンのロシアを丸裸にして、潰すための下準備なのだろう。ロシアの金融経済支配を潰された米国大資本家のプーチンへの恨み、ソ連時代に多くの仲間を殺された恨みなどもあって、米国の政治を陰で操る勢力(政治任用のESSESと呼ばれる高級官僚、CIA、巨大資本家、軍需産業、など)とロシアとの争いは、和解のない特別で長期的な争いだろう。

 

その熊と龍の戦いのなかに飛び込むようなことは、国家と国民を悲惨な境遇にする可能性が当然高い。NATOへの加盟が、ロシアに喧嘩を売ることになると考えなかった筈はない。NATOに入ることを政権の看板にするには、親ロシアであった国家の歴史と血統、地政学的位置、そしてその時の国際情勢を十分に考慮する必要があった。ゼレンスキー政権はそれらを十分理解していなかったのか、或いは、その争い(更に大きい世界の枠組みをリセットする企み;補足1引用の動画参照)の中で作られたものか、のどちらかだろう。

 

 

終わりに: 

 

この戦争の分析には、これまでの世界の歴史全体を考慮する必要があるのだが、日本のTVなどではその様にほとんど放送していない。戦争の悲惨さだけを、見せ物のように流す番組や、極めて短期間の経緯のみを放送する姿勢に非常に大きな違和感を感じる。

 

ウクライナの置かれた状況は、日本のそれによく似ている。我々日本人は、この戦争を冷静に分析し、今後の日本を考える必要があると思う。素人がこのような文章を書くのには非常に慎重であるべきだが、日本の将来を思うと、自分なりに分析しておく必要があると思い書いた。意見をいただければ、ありがたい。

 

補足:

 

1)その一端に、オバマ政権の時のバイデン副大統領とその息子ハンターバイデンによる収賄疑惑がある。ウクライナのオリガルヒとバイデン大統領の息子とのスキャンダルの捜査を、米国大統領時代のトランプが新しく大統領になったゼレンスキーに要請した(2019年)が、彼は捜査しなかった。https://www.cnn.co.jp/usa/35142945.html

 

2)本文には書けないが、ゼレンスキーはロシア語を話すユダヤ人である。ソ連崩壊でIMFなど様々な欧米資本との絡みで作り上げられた新興財閥(オリガルヒ)の多くも、ユダヤ人である。ロシアでのオリガルヒの多くはプーチンにより潰された。ゼレンスキーもウクライナのオリガルヒの一人に応援され、支配下のTVを利用して大統領になった。ユダヤ大資本家のジョージソロスのウクライナを反ロシアに育てる努力などを含めて、これらのことを考えるとこの戦争の地下の部分はあまりにも大きく、簡単には上記フジテレビ解説委員の解説には同意できない。

 

https://www.youtube.com/watch?v=yAwNtRh1SB4

 

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