新型コロナの流行は徐々に収まりつつあり、1月18日に発令された蔓延防止等充填措置も3月21日に解除された。しかし、21日には未だ4万人余りの新規感染者を出しているので、再度の感染増が心配される。そんな中、気になるニュースがネットに掲載された。日本のコロナ関連死者数の値が政府発表のコロナ死者数より遥かに多く、10万人以上(政府発表の4倍)であるという記事が東洋経済ONLINEに掲載されたのである。https://toyokeizai.net/articles/-/540044
その記事が引用したのが、米国の一流医学ジャーナルのLANCETに掲載された論文である。その中に発表されているのが、2020年1月から2021年末までの政府発表の新型コロナで死亡した人数、その国の人口動態の発表数などから計算した同期間の超過死亡の人数、そしてそれらの比である。論文タイトルと掲載サイトは下の表に添えられている。オープンアクセスなので、誰でも見ることができる。(補足1)
ここで過剰死とは、それ以前の人口動態データから計算した平年値としての死亡数データと、注目する年の死亡数との差である。生死に係る主な出来事が新型コロナ肺炎の流行なら、その期間の超過死亡数は、新型コロナが直接的或いは間接的に原因となった死亡数と考えられる。
上の表によると、日本の2020/1/1~2021/12/31の間のコロナ死と発表された人数は、18400人である。同期間の超過死亡の人数は、約111000人である。誤差範囲としては、103000~116000が与えられている。(多分±2σの範囲だろう) 超過死亡の数がコロナで死亡したとされた数の6.0倍ある。日本のこの比例係数は、世界各国に比べて異常に高い。(補足2)
この比(コロナでの死亡数と超過死亡数の比)が日本においてが例外的に大きいのには幾つかの原因が考えられる。その一つは、この期間に自殺数が相当増加したことである。論文には、自殺数が目立って増えたのは日本だけであると書かれている。更にもう一つ重要な原因として、日本の新型コロナの検査体制が十分では無かったことが考えられる。
兎に角この結果は、改めて日本が世界の中の例外国であるとして注目されるだろう。
2)2022年の感染者数の過小評価
2022年からオミクロン株の感染が本格的となり感染者数が急増しため、死亡数もこれまでのアルファ株やデルタ株などの時よりもかなり多くなっている。しかし、死亡率がかなり低いこともあり、病床確保のために検査対象を絞ることになった。そこで、検査を受けた人に対する感染者の割合(陽性率)が非常に大きくなっている。
これは、本当の感染者を多く見逃していることを示している。そのため、おそらくデルタ株までの上記結果同様、新型コロナでの死亡者を多く見逃しているだろう。
日本は欧米に比べて、新型コロナの死者が非常に少ないことになっていたが、その一方でコロナ死亡者の数をかなり見逃していたことになるだろう。(補足3)これは先進国ではあり得ない恥ずかしいことである。更に、その期間の超過死亡数のかなりの部分が経済的困窮による自殺によるとしたら、日本の厚生労働行政は病的とさえ言えるだろう。
最後に、超過死亡数がコロナ死亡数の何倍かという比で世界を色分けした地図を示す。これも上に紹介したLANCETの論文から引用した。途上国の中に取り残された”先進国(?)日本”を確認し、危機感をもってもらいたい。
補足:
1)この論文は新型コロナ超過死亡共同研究者(COVID-19 Excess Mortality Collaborators)の著作となっている。その氏名のリストには、米国の大学や研究機関をはじめ世界中の研究者の名前がある。日本からも何人もの人(東大や慶応などに所属)が参加している。その筆頭に米国シアトルのワシントン大学にあるグローバルな研究機関Institute for Health Metrics and Evaluationの研究者が書かれているが、連絡先著者(corresponding author)の表示はない。
2)コロナ死亡数と超過死亡数の比(表のB/C)が幾つかの地域でマイナスになっている。その原因としては、その地域で非常に厳格な感染防止措置がとられ、且つ、感染予防の考えが市民の中に浸透したため、他の病気による死者数も減少したことが考えられる。日本でも2020年の3月頃には、超過死亡数がマイナスになっている。それは、インフルエンザの流行なども抑えられたからと報道された。
3)以前から日本は新型コロナの感染数などを誤魔化しているという疑いが外国から提出されていた。それについて記事を書いたことがある。
(3/22/11:59 編集、補足3追加;3/23/10:00過剰死亡数は超過死亡数に改め、前後の文も修正)
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