ウクライナでの戦争は長引いている。それに応じて、兵士や市民と街の被害が大きくなっている。こんなひどい戦争は即刻止めるべきだ。しかし、当事国二つの指導者にはなかなか止められない。自分の名誉と自分と家族の命は自分の地位と直結していることも、その大きな理由だろう。
主権国家体制の究極の弱点は、トップの指導者も一人の人間であることである。トップと言えども、一つの生命であり、自己と家族を国家の犠牲には簡単に出来ない。自分たちと国家など外の世界を比較して、どちらが大事かと言えば、平凡な生物の一個体なら自分である。従って、国家のトップは非凡でなくてはならない。(追補1)
ウクライナのゼレンスキーも、自分の名誉(補足1)と自分と家族の生命を考えれば、ウクライナに残って戦うしか道はないだろう。ただ、長く頑張ればそれだけ、ウクライナ市民の犠牲者が増加する。それにも拘らず、ヨーロッパ諸国はスイスまで含めて、ウクライナを軍事支援している。
その一方でNATOは、ゼレンスキーの要請を受け入れず、ウクライナ上空を飛行禁止区域に指定しなかった。これは、ウクライナ人民の犠牲者は増加しても良いから、ヨーロッパに戦火が及ばない形でウクライナに頑張ってもらい、なんとかロシアのプーチンを失脚させたいという考えがあってのことだろう。https://www.sankei.com/article/20220305-GXQIRWSDHNJVVEGNC7UF4PBLLM/
防衛省防衛研究所・防衛政策研究室長の高橋杉雄氏は、「私の考えはまさに、ゼレンスキー大統領が諦めるかプーチンが諦めるかどちらかだ」「諦める理由は、自分たちの社会がどれだけ大きな打撃を受けているか(についての正しい理解)だ」と話す。
更に、「ウクライナもロシアも、これから時間が経てば経つほど、弱くなる。ロシアが本当に弱くなるまでウクライナが耐え切れれば、そのときに、プーチン政権が倒れるかもしれない。そうなれば、戦争は終わる。そうでなければ、ウクライナのゼレンスキー政権が諦める、あるいはキエフが焦土になって諦めざるを得ない状態になる。そのどちらかしかない」(一部省略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/639798048641a5b194cadbde0d7dea86e2d6ae91
つまり、米国や米国に同調するNATO諸国は、そのような最終的にどちらも崩壊する程度に弱体化しても良いから、ウクライナでどれだけの犠牲者が出ても構わないから、とにかくプーチンがいなくなり、ロシアが弱体化すれば良いという考えだろう。(補足2)その考えに従って、ヨーロッパ諸国はウクライナに支援しているのである。
プーチンもロシアからEU向けのガスパイプライン:ノルドストリーム1を閉鎖せずに、ドイツ等に天然ガスを送り続けている。それも、EUを巻き込んだ戦争を避けるためである。プーチンは、おそらくパラリンピック開会までに、ゼレンスキーがNATO非加盟や東部の独立を認める形で、戦争にキリがつくと考えていたのだろう。その見当違いが悲劇を大きくした原因の一つである。
しかし、現在ロシアが全世界を相手に戦う構図となっており(追補2)、上記ガスパイプライン閉鎖や核兵器による電磁パルス発生などのオプションまで考える可能性が出てきた。第三次世界大戦である。この悲劇の発生確率は低いと評論家の誰もが考えている。しかし、そもそもロシアのウクライナ侵略の可能性も低いというのが、実際に侵略が起こるまでの有識者の分析だったことを思い出すべきだ。
2)ウクライナはNATO加盟を諦めるべき
ここで前回と同じ主張を再度持ち出す。もし、ウクライナの悲劇を最小限にするという人道的見地に立つなら、ドイツやフランスは強引に即刻和平の仲介をすべきである。その際、プーチンが乗ってくるように、NATOの東方非拡大を両国が引き受ける形で確約すべきである。
ゼレンスキーにはウクライナの地政学的位置とウクライナとロシアの歴史を考えて、説得すべきだと思う。それが自然である。だいたい、ウクライナがNATOに加盟し、今後ロシアと対立することで安心できる市民がどこの国がいるか考えてほしい。兎に角、ウクライナと中国以外の全ての主権国家は、その力のバランスの構図に不満がない筈である。(補足3)
それは米国のグローバリストを裏切ることになるかもしれないが、今やそんなことを言っている段階ではない。
( https://www.youtube.com/watch?v=Skvf_csubT0;ここで話す渡辺惣樹氏は、米国のグローバリスト(フランクリン・ルーズベルト)を批判する米国フーバー元大統領の回顧録を翻訳された方である。最初の5分までにこのことに言及している)
また、ウクライナにはロシア系住民が多いので、ロシアと対立することは内戦の危険と同居することになる。それにも拘らず、何故ウクライナの前大統領ポロシェンコや現大統領ゼレンスキーはNATO加盟にこだわるのか。(補足4)
世界中の国々が、世界の覇権国である米国に逆らわない形で、グローバリスト勢力にとっての障害であるプーチンを取り除こうとしている。その尖兵がゼレンスキーだろう。プーチンのロシアは、グローバリスト勢力にとって最大の障害と考えられるのは、様々な国際会議でのプーチンの演説を考えてもわかる。
プーチンは家族関係や民族文化や主権国家体制に関して、伝統的な考え方を持っている。それはグローバリストが敵視するものである。(補足5)
グローバリストの米国民主党対トランプをはじめとする民族主義の対立の構図は、中間選挙や2022年の大統領選挙の図式である。それは、ウクライナ戦争にも当てはまる。と言うか、以前も書いたように、ウクライナ戦争の原因の一つだと思う。
中国は以前から書いているように、グローバリストたちの味方であったのだから、昨年まで世界中が中国を敵視するという構図は、彼らが考えている本来の構図とは全くことなる。この事態をひっくり返すことが、グローバリストたちにとっての今回のウクライナ戦争の二つ目の目的であると思う。
(本稿は、世界政治に関心を持つに至った素人が、自分の理解のためにネットで調査し、書いたものです。注意してお読みください。)
追補(12:20追加)
1)日本の政治の欠陥は、戦後ほとんどの期間凡人が政権トップだったことであると思う。何せ、政治家が代々の家業なのだから。
2)今年はじめ頃までは、人権無視の中国が全世界を相手に苦戦?していた。今回の戦争は、バイデン親中政権がウクライナを使ってプーチンを刺激し暴発させ、中国への世界の関心を逸らすことも目的の一つだろう。売電は、中国と対立しているようで、大事なときにケリー(オバマ時代の国務長官)を中国に派遣してきた。ケリーの娘婿とバイデンの息子は、ウクライナと中国で事業を展開して巨万の富を得た。トランプが就任したての2019年、ゼリンスキーに調査を依頼した件である。
補足:
1)ゼレンスキー大統領はアメリカ側から国外脱出を打診された時、「私が必要としているは弾薬だ。脱出の為の足ではない」とウクライナ脱出を拒否したという。これは前回ブログで紹介した。このワシントンポストの記事の深い意味は分からない。つまり、何故アメリカがそのような打診をするのか? ゼレンスキーは私が疑うように、米国支配層の要請に基づいてウクライナの大統領に立候補したのなら、理解可能である。
2)スイスが永世中立国の体面を捨てて、ロシアのプーチン大統領らの資産凍結など欧州連合(EU)と同じ内容の対ロシア制裁を科すと発表した。クラウス・シュワブの世界経済フォーラム(WEF)活動の拠点がスイスにあることを考えれば、このスイスの変質は自然と理解できる。
https://www.sankei.com/article/20220301-VMQ6CMFLJRLRFEP2IRUG4HZLZY/
3)ウクライナがロシアと仲良くなるのは、一帯一路の中国には本来面白い話ではない。ヨーロッパでの大事な親中国を失う可能性が高くなる。ロシアと中国は、シベリアに長い国境線を持つ潜在敵国同士である。極東での領土問題も中国の心の奥底に残っているだろう。
4)ウクライナ最高会議は2019年2月、EUと北大西洋条約機構(NATO)へのウクライナの加盟路線をウクライナ憲法に明記する憲法改正法案を可決した。https://globe.asahi.com/article/14291695 (本ブログの筆者は、ウクライナ憲法を直接読めないのでこの記事を信用します。)なお、この憲法改正案は、2014年の政変(米国が強く関わっている)で政権を得た勢力が提出したものである。
5)グローバリストたちは国境などなくなれば良いと思っている。それはメキシコから際限なく不法移民を流し込むバイデン政権の姿勢に一致する。彼らは親子関係も社会に従属すべきだと考えている。それはプーチンの考えと全く反する。以下の記事に引用した動画の多くがyoutubeで消去されていることがそれを証明している。
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