追補:
以下のネオコンの説明は、6月4日アップされた馬渕睦夫元ウクライナ大使によっても解説されています。つまり:
「レーニンの考えを受け継いだ(トロツキーらの正統派)ボルシェビキらが米国でネオコンになったという話は、今徐々に明らかになりつつある(要約)」と明確に語られている。
(6/5/19時追加)
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米国の世界政治が議論される際、ネオコンとかディープステートなどの用語が頻繁に現れる。つまり、ネオコンがディープステート(深層政府)を形成して、米国の政治そして世界の政治を支配しているという具合に用いられている。
ここでネオコン(neocon)は、 新しい保守主義(neo-conservative)の短縮形で、米国で”新保守主義”を看板に掲げる人たちを指す。この用語が、最近youtube「もぎせかチャンネル」において、茂木さんと日本人ユダヤ教徒である吉岡孝浩さんにより解説されたので以下に簡単に紹介します。
https://www.youtube.com/watch?v=a-bdqTNCqRI
茂木誠さんによるネオコンの説明:
ロシア革命のあとレーニンが亡くなり、世界同時革命を目指すトロツキーと一国社会主義革命を主張するスターリンの対立が起こった。スターリンがこの権力闘争を制し、トロツキーとその一派の多くは殺され、一部が米国に逃げた。彼らのほとんどはユダヤ系であった。
米国の中心層は、アングロサクソン&プロテスタントの白人(WASP)の移住者だったので、彼らロシアからのトロツキストのユダヤ人達は米国でも差別を受けることになった。かれらの多くはマイノリティの味方に見えた民主党の支持者となった。WASPの多くは共和党を支持者であった。
カーター政権(1977-1981)の頃より、米国はソ連に宥和的になった。彼ら元トロツキストユダヤ人は、そんな民主党に反発して共和党に寝返った。そして、自分達を新保守(ネオコン)と呼ぶことになった。
この解説に吉岡さんが補足をした。ドイツから流れたユダヤ人、例えばジェイコブ・シフ(Jacob Henry Schiff)などは、それほどの差別を受けないで伝統的に共和党を支持していた。彼らも民主党の対ソ宥和政策を批判し、ネオコンと歩調を共にした。(補足1)
2)以上の定義を用いた米国政治の考察を少し:
このトロツキーの支持者が米国に流れ込んで、ネオコン勢力となって大資本家共和党ユダヤ人に合流したという話は、共和党には二つの勢力が存在することの理解を容易にする。一つは米国は孤立主義を採るべきだとするWASPの勢力であり、もう一つはグローバリストのネオコン勢力ということになる。レーガン政権以降の他国へ干渉する共和党政権の理解を容易にする。
他国への介入は、グローバリストのほかに軍産共同体と呼ばれるネットワークも密接に関係協力して進められたのだろう。他国に米国の価値(自由と民主主義)を輸出するという形で、政治と金儲けの境界を曖昧にして”グローバル化”が進められたと考えられる。
グローバリストとは、現在の主権国家体制を消滅させ、彼ら米国の大資本家を中心にした世界帝国を創ろうとする人たちである。彼らは、国境の意味を消滅させ、世界を不安定にしている。この活動は、その主体が様々な人たちで構成されていることもあり、金儲けと政治的理想主義の本音と建前が交錯した玉虫色をしていると思う。建前は、旧トロツキストの理想主義者が、金儲けの現実主義は、大資本家が受け持っているのではないだろうか。(この二つは同一人が持つことが多いだろう。)
トランプが大統領になって以降、共和党のネオコン勢力が薄まることとなり、グローバリスト民主党と主権国家体制を守る共和党の対立の図式が鮮明になった。その結果、日本などにもトランプ支持者が大勢生まれることになったと思う。
3)マイノリティの世界支配と複雑な権力構造:
グローバリストの地球国家建設構想は、トロツキーの世界同時共産革命同様、現実的視点に欠ける。彼らは、西欧が築いた近代の政治外交文化である主権国家体制を否定する。その国家を否定する心の中に、ヨーロッパで迫害を受けた民族の黒い恨みの感情が混ざり込んでいるように思う。
マイノリティとしてその国の中に見えないように溶け込むには、彼らとそのネットワークは優秀すぎたのだろう。小さい自分達勢力がマジョリティを誘導しまとめ上げ、その中で民族の恨みの解消を図るには、複雑な構造の権力を作り上げねばならない。それには近代西欧が作り上げた明解な政治文化は否定されなければならない。
その近代西欧文化の上に国家を作り上げた諸国民にとっては、彼らの“近代法を超えた価値観”の強要には辟易とする。(補足2)
なお、陰に隠れて政治を支配しようと考える人たちは、公的組織(補足3)の他に、秘密結社なども形成してネットワークを広げている。フリーメイソンやイルミナティなどの世界的な組織からイエール大学のスカル&ボーンズ(補足4)のような狭い組織まで、人脈を作り上げて秘密裏に活動することが彼らの常である。彼らは、世界を複雑怪奇にしつつある。
(6月2日に一旦投稿しましたが、その後全面的に改訂しました。6/3 6:00; 表題変更9:06/4/5:00編集あり)
補足:
1)Jcob Schiff らが第二派として米国移民をしたと言う説明があったが、第一派が旧トロツキストだとすると、時代的に話が食い違う。何故なら、シフは1865年に一文なしで渡米したとウィキペディアに解説されているからである。トロツキーらがスターリンにより弾圧されたのは20世紀に入ってからである。このあたりは単なる思い違いだろう。
2)米国の有力な圧力団体であるサイモン・ヴィーゼンタール・センターのアブラハム・クーパー副館長の新潮社編集部の取材に対する言葉は、ユダヤ人グローバリストらが近代西欧文明の価値を否定する姿勢を如実に証明している。「率直にお話ししますが、個人的に言うと、私は原爆投下は戦争犯罪だと思っていません」(「新潮45」2000年12月号) 。その他、事後法で第二次大戦後の戦争犯罪を裁くなど、この21世紀をジャングルの法の支配に戻すのは彼らではないのかと思ってしまう。
3)大統領に直接任命される上級官僚の組織のSES(Senior executie service)が、ディープステートの実働部隊としてカーター政権の時に作られたという解説があるので引用しておきます。https://www.youtube.com/watch?v=EHeuNIQ9i68
4)歴代のCIA長官は、殆どエール大学の同窓生が創るスカル&ボーズのメンバー(ボーンズマン)である。トランプ政権の時に指名されたマイク・ポンペイオ(その後トランプ政権の国務長官)は、例外的にボーンズマンではない。
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