張陽チャンネルは日本からのニュース解説としてはトップクラスの質を維持している。彼は、ウクライナ戦争の今後についても素晴らしい解説をしている。ある情報によると、張陽さんは中国北京生まれの方で、現在は日本に帰化されていると言う。 https://gakumaji.com/archives/411
以前の当ブログサイトで、キッシンジャー元米国務長官がダボス会議で行った、ある意味で不思議な演説を紹介した。「ウクライナは、この2月のロシアの侵攻以前に支配下にない地域(東部ドンパス地域やクリミヤ)の領有を諦めるべきだ」という言葉である。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12745583759.html
「ある意味不思議な演説」と言うのは、キッシンジャー氏は、“ウクライナを利用したロシア潰し”という米国ネオコンの政策の中心に居る人物と思って居たからである。実際、キッシンジャー氏はロックフェラーの代理人という言葉を良く耳にする。(補足1)
今日の張陽チャンネルでは、ウクライナのゼレンスキーに対しての同じ様な厳しい発言を、あのヒラリー・クリントンが行ったことに言及している。それを聞いて謎が解けた感じがする。それは、張陽氏の言葉にあるように、米国ネオコンもこの戦争の幕引きを考えているということである。https://www.youtube.com/watch?v=y_p0n0HGOnM
つまり、今回の長引くウクライナ戦争の責任をゼレンスキーに負わせるために、「ウクライナがNATOとロシアの間にある緩衝国であるという、地政学的運命をゼレンスキーは十分理解して居ない」と言っているのである。(補足2)
そして、「我々が対峙すべきは中国であり、ロシアではない」と共和党が言っているセリフを横取りして、自分達の”罪逃れ”を始めたのである。ヒラリークリントン氏が同種の発言をしていることは、その「ネオコンによる幕引き開始のモデル」が裏書されたことになる。
米国民主党政権は、今回これほど深くロシアを追いつけることは考えて居なかったことを示す出来事がこの戦争の最初の段階にあった。それは、戦争が始まって数日後、米国はゼレンスキーにキエフからの脱出を勧めたことである。
その提案をゼレンスキーは、私が必要とするのは逃げ場ではなく武器だと言って拒絶した。この言葉は彼を世界の英雄に仕立て上げた。しかし、その結果、多数のウクライナ市民の犠牲者を出し、且つ、世界を食糧危機や経済危機に陥れようとしている。
米国は、ウクライナを使ってロシアを潰す戦略を、民主党政権が盤石になってからのこと(つまり、トランプを完全に潰した後のこと)と考えていたのだろう。今回は、ロシアに宥和的だったトランプと共和党をこの秋の中間選挙で打ち負かすことに役立てば十分だったのではないのか。
トランプ潰しの武器にするだけなら、ゼレンスキーがキエフを脱出した段階で、ロシアに「主権国家を侵略する極悪国」の烙印を押すことができる。今回のロシア潰しのステージは、それだけで十分である。しかしゼレンスキーの予想外の抵抗が、世界を食糧とエネルギーの危機に導き、且つ、米国を深刻なインフレに導いており、バイデン政権側に不利になってきたのである。
自分は生贄になりたくないとゼレンスキーは考えているのだろうが、欧米などから援助があって当然だと考えて戦っている姿はやはり異常である。長く持たないのは当然だろう。
2)岸田首相の愚かさ:
このウクライナ戦争の複雑なメカニズムを全く知らない、そして、知らされて居ない岸田首相は、馬鹿なことを昨日の記者会見で語っていた。今後も、ロシア制裁にとことん付き合うこと、そのためにNATOの会議に日本の首相として初めて参加すると語ったのである。
ロシアは、中国を抑えるための本当の意味での味方になりうる唯一の国である。それに、エネルギーの供給元でもある。NATOの構成員でもないのに、NATOの尖兵のようにロシア制裁に精を出す馬鹿さには呆れる。
ウクライナ国民の命と引き換えに自分の名誉を守りたいゼレンスキーと同程度あるいはそれ以下である。ロシアが北海道を、そして中国が沖縄から本州までを支配するという日本の未来地図の実現に、自分が精を出していることに気がつかないのだろうか?
これは付け足しだが、岸田総理の「新しい資本主義」も、クラウス・シュワブの「ステイクホルダーの資本主義」の真似をしたのだろうが、ひどい内容のようだ。その謳い文句を以下に記す。
様々な社会の課題を成長のエンジンに変え、持続可能で力強い成長を実現する、それが新しい資本主義である。実現するためには、企業が保有する320兆円の現預金、個人が保有する1100兆円の現預金を、しっかりと分散して投資に向けることが大事です。。。(補足2)
岸田総理は、個人や法人のお金を社会の様々な活動に投資すると言っているのだが、それは中国習近平がアリババの資産を貢がせたことが羨ましくて思いついたのだろうか? そのお金は、政府の無駄遣いのため発行した国債が民間に流れ、それを日銀が回収した結果なのに、この厚顔無恥なセリフに呆れる。(補足3)
課題をエンジンに変えるというのは、天才技術者の言葉でなければ、単なる言葉遊びか何かだろう。それは「プラスチックゴミを材料に」と同じだからである。(補足4)通常、ゴミは焼却して熱エネルギーに替えるのがもっとも経済的である。
個人や企業の現預金について、投資に向けるべきなどと政治家が軽々しく言うのは、本当に愚かだ。何とか庁を新設して対処するという官僚のポストを増やすことで、政権安定を狙うのも愚かだ。そんな愚かな発言のなかでも、最大のものが上記NATO会議への参加である。
(9:10編集、補足3追加)
補足:
1)キッシンジャーはハーバードの政治学専攻で、卒業後同学部の教官から、外交問題評議会(CFR)に入った。1960年の大統領選挙から、ロックフェラー家との付き合いが深い。(ウイキぺディアより)
2)なによりも大事なのは、政治の質の向上である。そのためには、日本のマスコミの質の向上が大事である。その後の質問の貧弱なこと、目を覆うべきレベルである。最後までは聞いていないが。。。
3)政府の無駄遣いのためだけではありませんという声が聞こえそうだ。尤もな意見だが、大量の国債発行をした結果の現在の日本の姿を見た時、このような評価は当然だと思う。
4)プラスチックの再利用のためには、光学的に瞬時に機械で分別可能にするための目印をつける必要があると思う。例えば、塩ビは青色に、ポリエチレンは赤に、ポリスチレンは黄色にするとか。
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