ブリンケン米国務長官が11日、タイ訪問後急遽来日した。安倍元首相が暗殺されたことに対して弔意を表わす為である。また、イエレン米財務長官も今月12-13日に来日予定だったが、急遽予定を前倒しして、11日の通夜に参列した。https://news.yahoo.co.jp/articles/3bf5015882f87405d6f560a4f38b201c710d864c
安倍元首相の通夜に参加することが目的とは言いながら、本当は別に重要な目的があった筈である。米国による日本への正式な弔意表明は、バイデン大統領が日本大使公邸を訪問し記帳することで為されるからである。
1)米国の世界戦略への日本の協力:
安倍元首相は、在任中、憲法改正のための国民投票法を成立させた他、安保関連法や特定秘密保護法、テロ等準備罪を新設した改正組織犯罪処罰法など、日米安保体制を現実的なものとする為の法整備を行った。あと憲法を改正し、敵基地攻撃能力を持てるようにすれば完成する。(補足1)
今後米国民主党政権が日本に期待するのは、そのような法改正が威力を発揮する形での協力だろう。具体的には、ロシアに対する制裁をこれまで以上に強化することや、中国の台湾侵攻に対する対応のかなりの部分を肩代わりすることなどである。(補足2)
米国は、現在ウクライナ戦争においてNATO諸国を巻き込むことに一定の限界(補足3)を感じており、日本により一層の関与を強く要請(つまり欧州諸国の肩代わり)するだろう。米国に言われるままにロシア制裁を続ければ、戦争が東アジアに飛び火する可能性もある。
米国側から見た日米安保条約の目的は、日本の若者が米国の世界戦略のために血を流すことである。現在、ウクライナの人達が祖国防衛だと思って行っていることと同じこと(つまりロシアと戦うこと)を、米国は日本に期待しているだろう。
ウクライナ戦争の真っ只中、しかも台湾有事が予想される時期での憲法改正などの準備は、特攻へ飛び立つ直前に、2週間ほどの教習を受けることに似ている。憲法制定後75年間、一度も改正の本格議論を国会で行ったことが無かったにも拘わらず、何故今始めるのか? 国家の基本は、もっと冷静に議論すべきではないのか? https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12739095349.html
また、前FRB議長で財務長官のイエレン氏も、対ロシア経済制裁の約束をするために来日した。何故財務長官が国際政治の話をしに来るのだ?12日の鈴木財務大臣との会談では、円安が進む為替市場に関して協議した他、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえた経済制裁の強化を約束し、共同宣言の形で残した。何故単なる閣僚同士で異例の共同宣言など発表するのか。https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/convention/dialogue/20220712.pdf
それは今後、ロシアへの経済制裁強化のための金融面での準備を日本にさせるためだろう。ロシア制裁への協力は、既に通知済(指令済)なので、今回は財務大臣レベルの出番なのだろう。更にウクライナの復興が始まれば、日本に全面協力を強制するつもりだろう。どちらかと言えば敵対国だったウクライナの戦争と復興に、日本国が借金を重ねて資金を提供することになるのだろう。
結果は、更なる円安とインフレである。このまま進めば、国民の生活は数年で一挙に途上国並みになるだろう。
2)米国盲従路線への国民の反発は?
今回の銃撃が、米国に対して資金面と軍事面の両面から従属姿勢を明確にする自民党政権への反発の結果ではないのかとの疑いが、ブリンケンの心の中に生じたと私は考える。それに対する回答を、ブリンケンは自分の五感で確認したかったのだろう。今後、日本人の若者に血を流す形での仕事に参加して貰うには、日本国民の反発に対する配慮が大事なポイントである。
ブリンケンの危惧に反して、日本人は家畜のように大人しく(補足4)、上記のような悲惨な状況になっても暴動などにはならないだろう。ハリー・S・トルーマンは、「日本人は米国の家畜であるので、相応の調教をしなければならない」と解釈される発言を戦後したという。その占領支配の成果なのだろう。
今回、安倍さんが殺害されたことで、日本人が目を覚ました可能性を危惧して来日した彼らは、安心して帰っただろう。北朝鮮の核実験のあと、日本に飛んできたかライス国務長官を思い出す。彼女は、「日本は米国が守る」と啖呵を切った。勿論、米国との同盟は、”お守り”として日本の玄関脇に貼ってはある。それは、極めて高い値のお守りである。
安倍さんは唯一ロシアとパイプを持ち、これまで完全に米国の思い通りには動かない唯一の有力政治家だった。その安倍元首相が暗殺されたことで、米民主党政権は日本の裏切りという悪夢から解放されたことになる。
安倍さんが米国に逆らった例を一つ上げる。二島返還で日露平和条約を締結する試みである。この件の地政学的関係は、今回のウクライナとロシアの敵対の図式とよく似ている。つまり、NATOを日米安保に置き換えれば、ドンパスは北方4島に相当する。北方4島に米国の力が近づけば、プーチンの国家防衛の姿勢が強まる筈である。(補足5)
米国に帰ったあと、ブリンケンとイエレンという二人のユダヤ人同志は、今回の件でどのような話をしただろうか?
国際政治評論家である田中宇氏は、大胆にも安倍氏暗殺の背後に米国ネオコンが居るという説を、ブログ記事としてアップした。安倍さんは政府与党内で唯一骨のある政治家であり、ネオコンにとって、つまり現民主党政権にとって、今後強力な邪魔者になる可能性があると考えてのことだろう。
田中氏は、今回の暗殺劇はケネディ暗殺の時とよく似ていると書いている。もし、犯人の山上を背後であの諜報機関が操っていたとすれば、この次に起こり得るのは、山上の不自然な死である。もし、山上が殺されたら、田中氏の推察が正しかったことになるだろう。
https://tanakanews.com/220710abe.htm
もし、田中氏の説が正しいのなら、その諜報機関がSPなどの警備担当も抱え込んでいたことになる。そうすれば、犯人が2発撃つまで何もしなかった謎が解ける。まあ、ちょっと考えにくいのだが、意外なところに真実があるかもしれないので、最後に簡単に紹介させていただいた。https://www.mag2.com/p/news/545467
補足:
1)日本国憲法は、日本国の在り方を記述する基本法である。戦争放棄が日本国憲法にあったとしても、そしてそれを無視して戦争に及んでも、国際法的には違反にならない。従って、外国は自衛隊を日本軍と見ている。
2)安倍総理は、昨年末「台湾有事は日本の有事、そして日米同盟の有事」と言って、中国をけん制した。この発言に中国は当然のことながら、「安倍元総理が台湾について誤った発言をした」として、中国駐在の日本大使に強く抗議した。https://www.youtube.com/watch?v=F51WZXkZj8k
3)欧州経済は完全にロシアの天然ガスに依存している。現在ロシアからドイツへのパイプラインのノルドストリーム1がメインテナンスに入っており、ドイツなどはその後ガス供給が再開されるかどうかを恐怖心を抱いて注目しているという。https://www.youtube.com/watch?v=kHsOdQ4CTGY
4)1945年4月から米国大統領になった民主党のハリーSトルーマンは「日本人は猿であり、家畜である。そして、我々の役にたたせるのだ」と言ったという。https://www.youtube.com/watch?v=4KQGpAcs7Zw
5)日本にとって最も危険な国は中国である。中国による日本侵略を牽制するには、日本がロシア(そしてインド)と密接な経済(可能なら防衛)の協力体制を築くことが有力である。それを妨害し続けたのが、米国ネオコンたちである。彼らと日本の自民党政権は、北方四島が日本の領土であると国民に信じ込ませ、日ソ平和条約や日露平和条約の締結を妨害した。国後と択捉はサンフランシスコ平和条約で放棄した千島に含まれることは、戦後の吉田茂首相と西村条約局長が国会答弁している。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516678.html
そのネオコンの強い反日反露の姿勢を覆そうとしたのが、安倍元首相の日露平和条約への挑戦だった。色丹に米軍基地など置かないと安倍さんが言っても、今回のウクライナ戦争の原因となったNATOの東方拡大のように、米国はそれを内政に干渉して覆す。その次には、ウクライナの代わりに日本を使ったプーチン・ロシアを潰す戦争を始めさせる可能性が高い。プーチンは更にそのような問題を抱えることは出来ないと考えた筈である。
(15日午後8時30分、数か所の語句、文章を分かりやすくしました)
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