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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

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2022年10月25日火曜日

グレートリセットと中国の台湾侵攻

1.習近平第3期政権と近づく台湾侵攻
 

20回共産党代表大会が1022日中央委員会のメンバーなどを議決して閉幕し、翌日の23日第一回の中央委員会全体会議(一中全会)が開催され、新しい常務委員7名が決定され発表された。記者会見の様子は、以下のデジタル新聞で報道されている。(補足1)https://www.asahi.com/articles/ASQBP7K1QQBPUHBI044.html

 

中央委員会常務委員のメンバー第一位は、総書記三期目の習近平、第二位が習近平の元部下だった李強(国務院首相)である。習近平以外の常務委員6名のうち、趙楽際と王滬寧は留任組だが、李強、蔡奇、丁薛祥、李希の4名は何れも習近平の元部下だという。

 

ここまでの一ヶ月は習近平にとって、或いは苦しい戦いの時間だったかもしれない。17日の記事に書いたように、続投を阻止する動きが長老からあったのは事実だろう。それは、党代表大会の最終日の閉会式のときに胡錦涛前総書記が退場させられた光景が証明している。

https://www.youtube.com/watch?v=qV8sAlAXU5I

習近平は、偉大な指導者を自演して、異例の第三期総書記についた。(補足2)その約束を果たすには、歴史に残る「偉業」を成し遂げる必要がある。一帯一路構想や中国製造2025等が当分進展しないのは明らかだろうから、台湾併合に対する強い意思を明言したのである。
 

これが空手形に終わっては、体制が再び危うくなることは十分に意識している筈である。欧米が民主主義とか人権とかを持ち出して妨害しても、強く跳ねのけるのみである。戦狼外交は、西欧の価値観と真正面から衝突する習近平政権の必然である。

 

それは鄧小平の韜光養晦の時期を過ぎたと考える中国習近平政権の真の姿である。先日は、英国領事館で香港系の英国住民を領事館に連れ込んで暴行した。国際法など全く頭にないのではなく、それに配慮する余裕すら、習近平政権の中国には無いのである。
 

英国政府に召喚された駐英臨時中国大使は、「騒ぎを起こした人物が領事館に不法侵入したのだ」と発言した。政府高官からして嘘のつきたい放題であることも、それを証明している。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR18DOU0Y2A011C2000000/


 

2.台湾侵攻の有無と時期を読む為の二つのモデル
 

台湾侵攻の有無と時期に関する予想は、ウクライナ戦争に対する考え方で二つに分かれる。ウクライナ戦争が、米国民主党や世界経済フォーラム(WEF)のシュワブに代表されるグローバリストが仕組んだものなら、台湾侵攻がもうすぐ発生する可能性が高い。
 

また、グローバリストによる企みとは考えない場合、前回も紹介したMotoyama氏の考えにあるように、ウクライナとの戦争でロシアが苦戦している現況から考えて、そして完全政権掌握&独裁を完了した早々には、台湾侵攻は急いでやる必要がないという予想になる。理想は、台湾で多少のインチキありの住民投票をするという方法だろう。

 

グローバリストが仕組んだとする場合のモデル:

 

ウクライナ戦争の件で面白い指摘がある。それはNATO諸国によるウクライナ支援等のプログラムが、プーチンのウクライナ侵攻前に既に決定されていたのではないかというもの。それは、「プーチンを煽りウクライナ侵攻させた“真犯人”は誰か?炙り出された悪魔の構図」と題する記事の中に以下の様に書かれている。https://www.mag2.com/p/news/531017/2

 

この反ロシアの急先鋒となっている欧米諸国とその仲間は、プーチン大統領をいろいろな方向から煽り立てて、ウクライナ全土の侵略も予測したうえで、前もって対応策のパッケージについての協議を行い、綿密に練られたスケジュールに沿って、淡々と執行しているようにも見える。(短縮前の文章を望まれる方は原文参照のこと)

 

記事の著者は、島田久仁彦氏(1998年国連の紛争調停官;2005年環境省国際調整官)であり、この分野のプロフェッショナルな意見である。この記事が書かれたのは、ロシアの侵攻から二週間ほどしか経っていない37日である。

 

1019日、米国海軍の制服組のトップであるマイク・ギルデイ米海軍作戦部長は、米シンクタンク「大西洋評議会」のイベントに出席して、台湾有事が今年か来年の可能性があると語った。https://www.jiji.com/jc/article?k=2022102100699&g=int

 

この時事通信の記事だけではその真意はわからないが、世界にそのための準備をすべきと主張しているのだろう。そのようなセリフはウクライナ戦争が始まる前にもバイデン大統領の話にあったような気がする。ひょってして台湾侵攻についても、既に米国とその同盟国(日本や韓国も?)の間で準備が整いつつあるのではないだろうか。
 

そして、米海軍制服組トップの上記警告も、習近平の中国を煽っているという風にとれなくもない。ペロシ下院議長の台湾訪問も、台湾の味方をする振りをして、中国共産党政権の台湾侵攻を煽っている様に見えた。米国のこの姿勢は、本ブログの関連文章に一貫して書いてきた。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12755499543.html

 

グローバリストの戦略とは無関係なら:

 

繰り返すが、現在習近平政権は独裁体制を整えた。必要なら政敵は今までのやり方の通りに葬り去れば良い。それには西欧諸国の干渉は無い筈である。普通に考えれば、ここ12年で早々に台湾に侵攻して、欧米や日本などと戦うのは、愚かな戦略に見える。

 

ロシアのウクライナ侵攻で、欧米が一丸となってウクライナ支援に乗り出し、ロシアが苦戦を強いられていることから、」習近平は台湾侵攻を躊躇う筈である。もし、実行した場合、西側が結束して台湾支援をし、習近平はプーチンの二の舞になると考える筈である。

 

Motoyama氏は、この地域で台湾支援に中心的な役割を果たすべきなのは日本であり、日本の強い台湾支持の姿勢が習近平に台湾侵攻を思いとどまらせるのに有効であり大切であると語る。これは、私には日本に中国と対決をさせるための扇動に聞こえる。
 

それは、国際法無視を日本側から行って、中国に日本攻撃の口実を与えることになる。つまり、日本は日中平和条約において台湾を中国の一部と認めている。その条項の無視は、国際法無視にあたるので、完全な防衛戦争の一部を形成するとの論理が無くては、話にならない。(補足3)

 

台湾有事は、シーレーンが確保できず、日本にとって死活問題であると言われる。しかし、台湾海峡を迂回する航路が存在する(開発出来る)限り、こじ付けにしかならない。米国のように圧倒的な軍事力があれば、国際法無視などやりたい放題だが、日本にはそのような軍事力は無い。

 

その一方、中国に日本攻撃の口実を与える。つまり、私は安倍さんの「台湾有事は日本有事、日米同盟の有事」は、日本国民にとっては迷惑な発言であったと思う。このことについては727日の記事に書いた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12755499543.html (米中戦争に日本も積極的に参加するのか?)
 

私は、ロシアによるウクライナ侵攻がグローバリストらにより仕組まれたものだと考えている。(補足4)それは、ソ連崩壊後の米国のこの地域への干渉、オレンジ革命やマイダン革命におけるジョージソロスらのグローバリストの深い関与を考えれば、自然である。その考え方は、213日のブログ記事に書いて以来、一貫している。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12726626308.html

 

このような方向では、日本と台湾はまとめてロシア対ウクライナの戦争におけるウクライナの役割を米国に押し付けられることになる。

 

 

3)グレートリセットとの関係:
 

WEFの提言するグレートリセットは、地球を有限の資源と考えて、それに相応しい規模に人間社会を作り直すことを想定している。つまり、人間社会全体を地球の規模に合わせて縮小するのである。以下は私のオリジナルであり、誰かに権威付けされているものではない。

 

グレートリセットは、企業活動の割に巨大なバランスシートを抱える会社のリストラのように、人間社会を作り替えるという発想である。彼らの価値観で将来の地球に不要な部分(つまり不要な国々)をまるで不採算部門である工場や営業所を閉鎖整理するように整理する計画だろう。
 

不要な部分とは、彼らの中心に居る人たちにとって憎きロシアがその筆頭であり、次に日本や韓国を含めたアジアやアフリカの“劣等民族”の国々だろう。

 

リセットは最初の何もない状態(空っぽの状態)にする意味なので、グレートリセットの隠された意味は、地球表面を仮想的に“掃除”して、新たにそこに相応しい民族として彼らの支持する者たちを住まわせ、永遠の安定した地球上の生命システムをつくるという意味ではないだろうか。

 

WEFの「グレートリセットは、関与者の為の資本主義(stake holders capitalism)を実現することである」などの言葉はレトリックに過ぎない。リセットとは、計算機の桁を全てゼロにする行為を思い出せばわかるが、土地を更地にするといった凄い意味が込められていると私は思う。食糧難や疫病などがその手段だろう。

 

食糧難とグレートリセットの関係については、マイケルヨン氏(補足5)の話を引用します。

 

https://www.youtube.com/watch?v=kfYGkrXk0zQ

 

その場合、中国潰しも計画の一つである可能性が高い。日本がMotoyama氏の説を取り入れて、台湾侵攻直前の中国と正面から対峙すれば、大きな犠牲を出す可能性が高い。日本や台湾と中国が、ウクライナとロシアの役割を夫々演じるのである。

 

米国はこれから徐々に、真珠湾攻撃前の日本に対するように、中国を半導体などの禁輸措置で締め上げる。石油や鉄くずを求めて南方を目指した日本のように、富を求めてそして欧米との対決の象徴としての台湾に攻め込む危険な事態は直ぐそこまで迫っていることになる。


 

補足:
 

1)共産党代表大会やその後の人事決定のプロセスなどは、以下の日本国際問題研究所の記事に詳しい。https://www.jiia.or.jp/research-report/china-fy2022-02.html

 

2)習近平は、中国は世界のリーダーとなり、米国の民主主義の時代は終わり、中国の共産主義が取って代わるべきだと言っている。中国は、米国がアラブなどを混乱させる為に輸出した民主主義に並べて、中国の共産主義を世界に宣伝しているのである。ただし、民主主義の欠点は既に良く議論されており、その欠点を補う工夫で補われた西欧諸国の民主主義は、中国型共産主義よりは遥かに良い政治制度であることを既に証明している。それは中国の若い世代は既によく知っている筈。

 

3)中国は憎いと言ってみても、条約は条約である。国際法無視を犯さないつもりなら、条約破棄はその条項があれば可能である。台湾とともに戦う前に、その決断をすべきだろう。憲法改正も出来ない国に、そんなことが出来る筈はない。いい加減な覚悟で、「台湾有事は日本有事」等と言うべきではない。

 

4)イタリアの元首相のベルルスコーニもプーチンの考えを代弁している。ウクライナとロシアの戦争は、イラク戦争同様に米国により計画されたものである。それによれば、戦争の目的はNATOのウクライナ迄の拡大を防止することや、ドンパス地域でのウクライナによるロシア人虐殺を止めさせることである。https://www.youtube.com/watch?v=7nQ78JQyB00

 

5)マイケルヨンさんは、「慰安婦の真実」(育鵬社刊2018年)の著者で、元米国特殊部隊所属の米国従軍記者である。2008年の著書「Moment of Truth in Iraq」は全米ベストセラーになった。

 

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