NHK夜9時のニュースによると、安倍政権が企業の内部留保が多すぎると文句をつけている。テレビ放送された麻生副総裁の発言は、異常である。「金を溜め込んで企業は一体何をしようというのか?」というのが、私企業に対する自由主義国であるはずの財務大臣兼副総理の公的発言である。
自由主義国では、私人も私企業も経済行為は独自の判断で行なって良い。もちろん、その姿勢を私人や私企業が非難するのも自由である。しかし、政府要人が政府を代表して、あのような発言をするのは、おかしいとしか言いようがない。
もちろん、要請はありえるだろう。しかし、要請をする場合、日本語には“お願い口調”の言葉つかいが用意されている。あのように非難するような口調では要請にならない。つまり、あの口調は社会主義か共産党一党独裁国家の要人の言い方なのだ。
内部留保が350兆円あると言っても、借金も同程度以上ある。日本の代表的優良企業のトヨタ自動車でも、資本48兆円の2/3は短期及び長期負債(借金)である。成長企業として代表的なソフトバンクは総資本の80%以上が借金である。もし、金利が急上昇するような事態になれば、恐ろしいことになる。
勿論、昔から貯金を溜め込む習性の企業もあるが、それらには投資する知恵がないのである。知恵がない不利を、貯金でカバーしていると言えなくもない。知恵のある企業も国内で投資する企業は少ないのではないだろうか。国家が直接的に、内部留保を減らせという前に、企業がその気になる環境を作るにはどうしたら良いかを考えるべきである。
「このような規制を撤廃するから、このような投資チャンスがある」という様な、要請なら分かるが、「一体企業は金を溜め込んで何をしようというのか」と政府要人が脅し口調で言うのは、さっぱりわからない。
企業が投資をできないのは、更に理由があると思う。それは、国家経済の将来が読めないことである。つまり、1000兆円を超える赤字を持つ政府が運営する国家には、将来何が起こるかわからない。増税と経済収縮、あるいは、年100%を超えるようなインフレなど、異常な事態が将来発生することを恐れるのは、我々年金生活者だけではなく、企業も同じではないだろうか。一億総活躍社会というのは、「年金が将来払えないかもしれないので、年寄りも活躍してください」に聞こえる。
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