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2016年10月5日水曜日

トランプ氏の節税は合法であり、それ自体は非難の対象にならない:今朝の読売編集手帳のインチキについて

今朝の読売新聞の編集手帳は、米国大統領候補ドナルド・トランプ氏が税金を長期に亘って逃れていた事実を批判するために、西武の創業者堤康次郎が死後相続税のかからないように工作していた事実を書いている。しかし、それは誤解を招く内容である。

トランプ氏の場合は巨額の損失を出したので、次年度以降にその持ち越しにより所得税免除を受けていただけである。これは合法的であるが後ろ指さされることであると、この編集手帳の主は言いたいらしい。その話の筋を通すために上記堤康次郎氏のケースを引き合いに出したのである。しかし後者の場合、私は違法行為が含まれると思う。つまりこのコラムは、堤康次郎の違法で卑怯な行為の黒いイメージをトランプ氏の行為にかぶせようとした悪質な内容だと思うのである。

具体的には、堤康次郎氏は持ち株を他人名義にするなどして、相続税の納税額がゼロになるよう生前に対策を済ませていたという。その話を息子の堤清二氏が康次郎氏と親交のあった池田勇人首相に話した時、池田首相は「清二君、それは無理だよ」と言下に叱責されたというのである。

この編集手帳の主は、叱責の意味を理解しながら、読者を騙してトランプ氏の評判を日本においても下げようとしている。池田首相は、「違法だ」という意味で「無理だよ」と言った筈である。なぜなら、株を他人名義にするのは贈与であるから、贈与税の申告と納税がなければならない。それは通常相続税より高くつくので、堤康次郎氏は明らかに政界での高い地位に隠れて、違法行為を働いた筈である。

それを知ったなら、池田勇人総理は追徴課税を税務当局に指示しなければならない。それを怠ったのは、堤康次郎氏が同じ自民党の大物議員(衆議院議長もつとめた)だったからであり、清二氏はその息子で池田首相と懇意にしていたからだろう。その事実が広く知れた場合、そのままに放置すれば首相という自分の地位も危うくなるから、池田首相は叱責したのだろう。その話は清二氏が読売新聞に連載した回顧録に記載されているという。そして、「いくら理屈の辻褄があっていても、非常識はいかん」と池田首相が言ったというが、そんな回顧録を書くだろうか。(補足1) 世の中に非常識だが合法だと言い切れることは、税金に関しては非常に少ないと思う。

一方、トランプ氏の場合は損金の次年度以降への持ち越しであり、報道された範囲では完全に合法であり、道義的責任も全くない。(補足2)大統領候補としてマイナスになるのは事実だろうが、だれでもどこの会社でも利用している筈である。以上、編集手帳の主が堤康次郎氏の件で事実を書いていると仮定して批判した。

新聞はインチキが多い上に、肝心なことをほとんど書かない。読売新聞などは、政治ニュースにおいては完全に米国とその下の日本政府の御用新聞状態である。一般に、日本のマスコミの発表するものは、独自取材などの努力がたりないのか、非常に内容が貧弱である。

補足:
1)堤康次郎氏の遺産は現在の貨幣価値では、おそらく数百億というレベルだろう。それを少しづつ非課税の範囲で贈与して、その額に積み上げるのは不可能である。もし、贈与税を支払って贈与をし、その結果相続財産がなかったのなら、「無理だよ」とか「辻褄があっていても、非常識はいかん」などの発言は出ない筈である。
2)年ごとの収入がプラスになったりマイナスになったりする事業の場合、プラスの時だけ普通の税率で課税したのでは、収入が安定してプラスである事業との間で不公平が生じる。そのため、例えば株取引のような場合には、損金は一定期間内で翌年の利益にたいする控除に使える。このような控除にいちゃもんをつけるのは、おかしい。単に、揚げ足取りにクリントンがやっているだけであり、それに同調して従来のレジームで利益を得てきた層の一員であるマスコミが、反トランプのプロパガンダに利用しているだけだと思う。ただし、新たに不法行為が出れば別である。

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