1)トランプ大統領の東アジア諸国訪問の大きな目的の一つは北朝鮮問題であり、もう一つは対外貿易不均衡の解決だろう。その二つは、密接に関係していることは、日本に米国製軍需品を買うべきだというトランプ発言で明らかである。
大事なことは、北朝鮮の核兵器は日本にとって脅威でも、米国特にその支配層にとっては脅威ではないことを日本は知るべきである。その結果、北朝鮮の核兵器は米国にとって足枷というより、日本を始め近隣諸国との折衝の武器となっている。
そのような理解に基づけば、日本は外交関係において主な交渉窓口を米国だけとするのは非常に危険だと思う。今朝のテレビ「スッキリ」において、ロバート・キャンベル氏が言っていたように、安倍総理が機嫌よくトランプ大統領と話をして、北朝鮮問題は米国に協力しておれば大丈夫だと思っていても、中国へ行き習近平主席と話し合った途端に日本での話がひっくり返る可能性がある。
トランプ大統領は8,9月に北朝鮮が日本列島を超えて打ち上げたミサイルを日本が迎撃すべきだったと語ったという。https://jp.reuters.com/article/idJP2017110401001904
また、最近のAFPの報道によれば、「トランプ大統領は11月2日、中国に対し、北朝鮮の脅威に適当な対処がなければ「武士の国」である日本が自ら事に当たる可能性もあると警告した」という。http://www.afpbb.com/articles/-/3149247
つまり、北朝鮮を非核化させるための攻撃は日本や中国にやらせて、日本にはそのための武器を売りつけ、中国は消耗させたいということである。それは、「アメリカ第一」で国際政治を進める米国にとっては確かに賢明な方法かもしれないが、東アジア諸国にとっては迷惑な話である。何故なら、何度も本ブログで書いている(下にも書いた)ように、朝鮮戦争の終結責任、そして終結が遅れたための北朝鮮の核武装に対する責任は、米国にあるからである。
2)中国共産党の最高機関である中国共産党全国代表大会(中共党大会)が、今年10月に開かれ、新しいチャイナ7が選ばれた。李克強を除く5人の中央政治局常務委員のうち、江沢民派だったのは韓正一人だが、現在韓正氏も習近平に忠誠を誓っているという。(補足1)
その中共党大会の2ヶ月程前に、北戴河会議という長老を囲む秘密会議が慣例に従ってひらかれた。通常、そこで中共党大会での決議事項の原案が決まる。その内容について、元警視庁通訳捜査官の坂東忠信氏が、あるネット記事の内容として紹介している。
https://www.youtube.com/watch?v=4wJc3Mb5dGU&t=3213s
その信憑性についての判断は慎重でなければならないが、以下のようなものである。
1。ロシアとの関係強化し、ロシアにヨーロッパや日本など他国を近づけるな。
2。北朝鮮と米国との間は消耗戦をさせろ。飛び火してこない様にしろ。
3。インドとは今はあらそうな。
以上は実際に北戴河会議で話あわれたかどうかと関係なく、中国の姿勢として合理的であり、従って信憑性が高いと感じられる。
夫々、非常に重要であり、東アジア外交の鍵となるような項目である。ここでは、短期的に北朝鮮問題を考えるために注目すべきは2。で、中国は北朝鮮問題に積極的に関与したくないと言うことである。北朝鮮への制裁決議があっても、制裁する振りだけは十分するが、実質的には殆ど何もしないことなど、今までの中国の対応を考えると、2。は一環した中国の姿勢だと合点が行く。
この件を考える上で、朝鮮戦争の歴史を振り返ることが必須である。つまり、国連総会は1975年に朝鮮戦争の休戦協定を平和条約に置き換え、国連軍を解散することが望ましいと決議した(ウィキペディア参照)。国連軍というが、実質的には米軍であるので、北朝鮮は国家体制の承認を米国に要求したが、米国はイエスとは言わずに、北朝鮮問題を温存した。
もし、韓国を休戦協定に参加させ、その後平和条約に休戦協定を書き換えておれば、今日のような事態には至ってなかっただろう。従って、今日の北朝鮮問題は米国が解決する責任があった筈である。
中国や最近ではロシアも、北朝鮮が核大国化するのに協力したのは確かだろう。中国の動機は、上記2。にあるように、北朝鮮問題を大きくして利用することだろう。ロシアも北朝鮮に味方し、且つ、日本と協力して千島開発をするなどして、西太平洋に覇権を拡大したいのではないだろうか。
東アジアにある4つの核保持国の内、一つが制御不能だというのなら、残りの3つの核保持国がその解決に当たるべきであり、日本と韓国はその責任の外に有る筈である。それにも拘らず、日本を巻き込もうとしているトランプ米国大統領とそれに協力する安倍総理の方針は、日本国を崩壊させる最初のステップとなる可能性がある。
ここは、石破茂氏が言うように日本が核技術を持つなり、核兵器を持つなりして、独自に北朝鮮の核の脅威には屈しない体制を築くべきだという姿勢を周辺諸国に示すべきである。http://www.sankei.com/politics/news/171105/plt1711050026-n1.html
そのためには、外交の表舞台では中国やロシアとも、もう少し親密な関係を築くべく演出すべきだと思う。
補足:
1)5人は、栗戦書67、汪洋62、趙楽際60、王滬寧62、韓正63である。夫々についての詳細は、ニューズウイークの記事にある。李戦書は古くからの有人で、王滬寧は前政権時から中枢で仕事をしてきた知恵袋的存在だという。中国に詳しい川添恵子氏は、この二人が習近平の両腕だと表現していた。同氏によれば、趙楽際は、習近平の祖父と趙楽際の祖父の兄弟が関係深い間だという。また、韓正は江沢民はだったが、北朝鮮利権がなく、習近平に忠誠をちかっていると言う。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/10/post-8767.php
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