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2019年7月27日土曜日

竹島周辺での中露爆撃機などの領空侵犯事件についての日韓の対応の比較:

1)7月23日早朝、中国のH6爆撃機2機とロシアのTU95爆撃機2機が、日本海の竹島(韓国名独島)上空の韓国防空識別圏(KADIZ)内に入った。また、それとは別にロシアのA-50空中早期警戒管制機が独島上空を侵犯し、スクランブル発進をした韓国機が威嚇射撃をした。詳細は、以下の中央日報日本語版に詳細に記載されている。 https://japanese.joins.com/article/851/255851.html?servcode=200§code=200&cloc=jp|main|inside_left

この件に対して河野太郎外相は23日午後の記者会見で、「竹島はわが国の領土だ。領空侵犯をしたロシアに対しては日本が対応するものであって、韓国が何か措置を行うのは日本政府の立場と相いれない」と主張した。 菅義偉官房長官もこの日午後記者会見で「韓国軍用機が警告射撃を実施したことは、竹島の領有権に関するわが国の立場に照らして到底受け入れられず、極めて遺憾だ」とし「韓国に強く抗議して再発防止を求めた」と話した。同時に「ロシア軍用機が二度にわたり、島根県竹島周辺を領空侵犯した」として「(ロシア側にも)厳重な抗議を行ったところ」と明らかにした。 https://japanese.joins.com/article/840/255840.html?servcode=A00§code=A10&cloc=jp|article|related

韓国の記事を引用したのは、日本の新聞では真相も事実も分かりにくいからである。例えば中日新聞の24日の朝刊の記事では、韓国を抗議先の先頭においた領空侵犯事件でしかない。二面記事の解説でも、日韓の対立を探るというトンチンカンな内容である。まともな記事は、国際問題の専門家のブログに頼らざるを得ない。田中宇氏は、ブログ記事(及びメルマガ)で、「中露戦闘機の竹島周辺での領空侵犯は意図的になされた。韓国は威嚇射撃をしたが、日本は何もしなかった。そして、米国も何の動きも見せなかった。竹島や対馬海峡などで日韓の領空や防空識別圏にわざと入ることで、米国や日韓の政府や軍がどのように反応するかを見る作戦が含まれていたのでないか」と書いている。(田中宇の国際ニュース解説 無料版 2019年7月24日 http://tanakanews.com/

特に、トランプ政権のボルトン補佐官が来ている時だったが、この件には何も言わず、米軍に何の動きもなかったことに注目している。ボルトンは、日韓の対立を仲裁するためという触れ込みで日韓を訪問したが、対立の仲裁を全くやらず、イランの件のみ喋って帰ったようだ。韓国の政府や軍は、威嚇射撃や、大使を呼び出して叱責するといった、「きちんとした対応」をしたが、日本は口先だけの形式的抗議をするのみだった。

非常に参考になるyoutube動画があるので紹介したい。ある人が、外務省と防衛省に問い合わせたのである。両方の広報部門が対応したのだろうが、しどろもどろであった。https://www.youtube.com/watch?v=L5SUjSqNynE

2)この領空侵犯事件で、日本の新聞や日本政府の視野の中に存在するのは、「韓国がどう反応したか、どのような姿勢をとるか?」ということであり、日韓の領土問題という視野からほとんど出ていない。読売新聞の25日の社説でも、主たる視野は日韓領土問題であった。https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20190724-OYT1T50340/

その視野を超えた内容としては、米韓両国は大規模な合同軍事演習を中止したこと、日韓の防衛当局の関係も冷え込んでいることに言及し、そして、「この間隙を突いて中露両国が日米韓の対処を見極めようとしたのではないか」と最後の方に書いているのみである。そこに独自な分析は全くない。

  そして、「ともに米国の同盟国である日韓両国は、アジア地域の安定を担う立場である。韓国はその責任を自覚し、日本を敵視するかのような行動を改めるべきだ」と結んでいる。なんという貧弱な内容か。

日本を代表する新聞でも、この程度である。考えるべきは、江戸時代に竹島で日本人が漁をしたこと(読売社説)ではなく、今後この領域が米国の覇権から中露の覇権に入った時、どのようにして日本が独立国としての立場を守るかということの筈。そんな視点は日本の新聞にはないし、日本政府にもない。(順序が逆?)

最初に引用した中央日報の記事は、韓国の元空軍関係者の言葉を紹介している。日本政府の責任者には、この言葉を真剣に反芻してほしい。キム・ヒョンチョル元空軍参謀次長:

「中露両国の戦略爆撃機があらかじめ設定した韓国や日本の目標物を共に核攻撃する手続きを演習したとみられる」。 
この記事では更に以下のように書いている。 中露編隊が東海上空を飛行する際、中国の戦闘艦2隻は離於島南側と浦項(ポハン)東側で航海中だった。訓練状況をモニタリングしたと推定される。

最後に、田中宇さんの記事の中の一節を紹介して、今回は記事を終わる。

極東や日本海は、中露の覇権下に入る。対米従属しか頭にない日本の影響力は低下する。今回の中露軍の飛行演習は、中露の日本海支配の強まりを見越したものだ。中露軍機は今後ますます日本海を飛び回り、独島周辺も通るだろうが、韓国軍から警告射撃を受けない範囲での接近を心がけるだろう。韓国軍は今回、体を張って独島を防衛した。中露は、それに敬意を表しそうだ。対照的に、竹島に対する日本の政府と国民の主張が口だけ(外交重視)であることが露呈した。日本が「素晴らしい平和主義」の国であることが示された。

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