3年に及ぶ新型コロナ肺炎の流行に加えてウクライナ戦争により、世界は経済活動の停滞と資源価格上昇のダブルパンチに見舞われている。その結果、世界中がもの不足とインフレに苦しんでいる。日本も、10年来の円安政策もあって、高度なインフレの恐れが現実化してきた。
それにも懲りず、自民公明両党政府は更なるばら撒き予算を組み、安易な方法による国民感情の宥和策ととっている。それは上記インフレに拍車がかかることになり、日本国民は悲惨な将来を向かえることになるだろう。そのような指摘が幸福実現党という新規弱小政党によりなされている。https://www.youtube.com/watch?v=kmKtTK4-gjE
自民党&公明党政府のばら撒き行政は、2018年まで内閣参与だった京大工学部教授の藤井聡氏やその知人の経済学者の三橋貴明氏らの主張してきた「財政拡大策でデフレ脱却を図る」政策を採用したものだろう。
この方法は、日本の景気拡大策としては間違いだと思うと過去のブログ記事に書いた。
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516187.html
デフレとは需要が供給能力を下回るから生じるのだが、需要不足は国民の収入が低いから、生じるのである。その日本の過剰な供給品を海外に安く売るために日銀は円安誘導し、更に政府が購入(公共工事など)する為に財政を拡大してきた。
しかし、円安は輸入品の価格上昇から製造原価を上昇させ、売れない国内企業にとっては利ざや減少と給与の引き下げ圧力の原因となり、益々苦境に陥る。それは労働賃金の減少となり、非正規雇用の拡大などからデフレ不況を深める。
また、政府が財政赤字を続ければ、ある時点でインフレにスイッチが入り、低所得者層は益々購買力が低下する。それは政府にとっては借金の実質減となるので、国民の利益と相反する。国民を犠牲にして、政府財政を救うのは下の下の政策である。
2)国民の預金
国民は1000兆円を超える貯金を持っているのに、使わないのが不況の原因だという人がいるが、それは間違いである。何故なら、国民は現在の稼ぎで食っていくことが不可能だからと言って、将来の充てなく貯金を取り崩すことは出来ないと思うからである。それは正しい感覚である。
国債発行して財政拡大路線をとるという藤井元参与らの主張する政策は、現在は危険である。円安とそれに伴うインフレが進み、実質的な国民の預金が半分から三分の一と減少することになる。
この政策は、「自国通貨で国債発行ができる国は、幾ら国債発行しても財政破綻しない」という、米国左翼の近代貨幣理論(MMT 理論;補足2)を唯一の頼りにして、無知な民意に迎合する形でなされてきた。確かに財政破綻はしないだろうが、途上国のように円安となり、国民の半分は貧困に苦しむことになる可能性が高い。
このMMT理論は、ニューヨーク州立大学、ストーニーブルック校のステファニー・ケルトン教授が主唱するのだが、それは民主党でも左翼が支持しているものの、共和党はあまり支持していない。ケルトン教授は、藤井氏らの招待で来日し講演している。
MMT理論は基軸通貨を持つ国など自国通貨で国債発行ができる国で用い得るとされる。新規産業が次々と生まれ、基軸通貨発行国であり、且つ、貧富の差が異常に大きい米国では、貧富の差の縮小などの効果が期待されるだろうが、日本では事情が全く異なると思う。
上記の幸福実現党の釈量子氏の講演にあるように、インフレが進むと必然的に金利が上昇する。それは、10%のインフレが予想された場合、金利がそれ以下なら借金して例えば不動産など目減りがしないものに投資すれば、無条件で儲かるからである。つまり、国債金利もそれだけ上昇することになる。(補足3)
上記幸福実現党の動画には、以下のコメントを書いた:
主張されていることは概ね正しいと思う。ただ、生産性向上には規制撤廃だけではなく、同一労働同一賃金の原則や情実人事を無くすることなどで、労働流動性の拡大を目指すことも、日本には必要不可欠だと思います。また、新規産業の創出が無ければ労働生産性はなかなか向上しない。それには、教育により自立した個性を育てるなど、文化的な側面の改善が必要かと思います。細かいことですが、国債残高は政府債務とかなり差があります。
補足:
1)藤井教授は土木工学の専門家であり、その業界への利益誘導としてはその主張は正しい。内閣参与は、国民全体への奉仕が仕事であるから、土建屋だけへの奉仕は正しくない。
2)米国民主党のオカシオ・カルテス下院議員は、MMT理論の推奨者である。氏は左翼のバーニー・サンダースの支持者であり、NY州立ストーニーブルック大教授のステファニー・ケルトン教授らのMMT理論に頼っているのだろう。"https://courrier.jp/news/archives/258139/"
3)金利が上昇すれば、日銀の持つ国債の価値が下落するので、債務超過から日銀の崩壊につながるだろう。それを防ぐためにも日銀は国債を買い取って金利上昇を防ぐ。それが最近の金融緩和策で、景気対策というよりも日銀のための金融ダダ洩れ緩和である。なんか恐ろしい未来が見えるのだが、もしそれが幻想だというのなら、専門家の方の指摘を期待する。
(9:30、補足3を追加)
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