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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2022年8月6日土曜日

台湾有事における日本の役割について:憲法改正に必要な覚悟

 

ネオコンという勢力が、米国の政治を牛耳っているとよく言われる。彼らの今後の政治プログラムに関して、以下の様な流れで理解している。プーチンのロシアを完全に潰し、②中国習近平政権を崩壊させ、➂米国のトランプ一派を消滅させて、米国からグレートリセットを本格的に開始する。

 

最終目標であるのグレートリセット(追補1)とは、米国ネオコンたちを含むあるエリート集団が全世界を統一することである。その障害となるのは現在の主権国家体制であり、それを大事に考える世界の民族主義者たちである。米国ではトランプであり、ロシアではプーチン、中国の習近平(政権;追補2)である。(補足1)

 

ロシアの前身のソ連と中国にとって、世界同時革命を目指したトロツキーは敵であった。米国ネオコン達の素性は、ソ連共産党のトロツキー派であったことを考えれば、その敵対関係がわかる。=>「ネオコンとはどのような人たちなのか:世界の複雑化との関連」: https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12746100027.html

 

これまで米国ネオコンは、トランプとトランプ配下の共和党勢力を潰すために、何でもありの作戦を実行してきた。共和党の支配地域であるテキサス州などに大勢の難民や不法移民を入れたのも、その一環である。

 

上記の作戦として、米国の民主党政権は、ウクライナを傭兵的に用いたロシア潰しを行っている。それに西欧各国は嫌々ながら付き合っている。

 

これらは、欧米における主権国家体制(民族主義)の根を枯らす作戦と考えれば、一貫した戦略の下に行われていることが分かる。

日本の岸田政権は愚かにも、西欧より積極的にロシア制裁を行っている。米国民主党政権への完全追従は、近い将来、日本国を致命的な情況に追い込む可能性が高いことが解っていない。

 

最近、安倍氏が銃撃された事件も、国際政治評論家の田中宇氏が言うように、米国ネオコンの仕業かもしれないと思うようになった。(補足2)安倍氏は、2015年の安保法制(補足3)の整備に努力した日本の保守系のリーダーである。

 

安倍氏は、米国ネオコンにとって自衛隊を米軍の傭兵的に用いる為の法整備をした功労者の筈である。ただ、日本の国益を考えて、2018年の訪中などロシアや中国とも独自路線を執るべく行動する柔軟性も有する政治家だった(補足4)ので、米国民主党政権には信用されてこなかった。

 

ペロシ下院議長の8月2日の台湾訪問は、長い目でみればの作戦のとっかかりだろう。台湾と日本を使っての習近平政権潰しである。本当に台湾のためを思うのなら、今回のようには習近平政権を不必要にイラつかせたりしない筈だ。台湾や日本はそのとばっちりを現在受けている。

 

2)米国の台湾政策

 

米国は一つの中国政策を公にしている。それでも、1979年に台湾関連法を成立させ、中国が武力で統一することに反対の姿勢を公表している。一方、日本は台湾関連法を持っていない。従って、日本自身は、自国の危険を犯してまで台湾防衛に自衛隊を使う根拠はない。

 

ただ、日米相互協力及び安全保障条約(以下安保条約)と2015年に整備された安保法制により、米国の国益のための戦争でも、日本の施政下(沖縄海域など)で米軍が攻撃を受けたら、日本の自衛隊はその戦争に参戦しなければならない。

 

日本は、ロシアーウクライナ戦争における米国の戦略を学ぶべきである。つまり、「台湾戦争」においても米国はウクライナ戦争と同様、出来るだけ他人のふんどしで相撲を取ろうとするだろう。そして、その戦争の目的は台湾防衛ではなく、習近平中国の弱体化だろう。

 

この点をもう少し詳しく以下に書く。米国は、ニクソン政権の対中政策変更により、そして様々な度を越した中国支援策により、(補足5)巨大な共産党支配の非人権国家を育て上げた。毛沢東の大躍進運動や文化大革命を知らない筈はないので、計画通りなのだろう。

 

一度資本主義の蜜の味を政権幹部に味わせて、その後経済制裁や、香港人権法やウイグル人権法などによる政治制裁などで中国を追い詰めている。人権問題が問題の中心なら、64天安門事件の時に徹底的に問題化した筈である。(補足6)

 

つまり、この地域に政治介入する手段として、人権問題を利用しているのだろう。

 

習近平政権がその蓄積された巨大な不平不満怒りなどのエネルギーに耐えきれなくなれば、台湾は戦場になり、米国は台湾を軍事的に支援することになるだろう。その場合、米軍は当然参加をするだろうが、加えて日本や出来れば韓国などを巻き込むことを考えている筈である。

 

そのようなになれば、中国と東アジア全体が、今のロシア、ヨーロッパ、ウクライナと同じ図式で、弱体化するだろう。

 

以上が、グレートリセットの東アジアでの下準備:の作戦だろう。

 

これは日本の国難である。日米安全保障条約は、そのために準備された米国の為の条約であったと気付いても遅い。韓国は米国の作戦を理解しているので、大統領はペロシ議長との直接面談を避けた。そして、それは中国政府から評価されたようである。

 

最近、国際政治評論で頭角を現わしている川添恵子さんにより紹介されたトルーマンの言葉が思い出される(下の写真中の文章)。日本の復興と発展は、この台湾戦争の様な事態の道具作りのために米国により支援されたと言うのだ。 https://www.youtube.com/watch?v=vlwHfzTmfcc

 


 

3)日本は現状では憲法改正すべきではない。

 

彼らグローバリスト達を抑えることが出来るのは、トランプとロシアのプーチンである。彼らを利用して、米国ネオコンの作戦に巻き込まれないように準備をすべきだった。

 

20世紀の内に、ロシアとの平和条約締結とより広範な経済協力を実現できた筈だ。それが出来なかった原因の一つは、米国から北方領土問題に対し間違った教育を受けたからである。

=>北方4島領有権についての日本政府の不毛なプロパガンダ https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516752.html

 

食料と資源の大国であるロシアとの協調関係は、もし日本が政治的に少しづつ成長していたなら、米国との同盟関係を維持しながらでも出来ただろう。多くの方向で自国の安全保障を模索するのが、本来の独立国の姿である。

 

それが出来なかったもう一つの原因は、日本では無能者が議会に居座るからだ。日本人は俳句で代表されるように論理のない世界を好む。(補足7)そして、有名人の二世や三世というだけで、彼らにしたがう習性を持っているのである。

 

勿論、トランプが政権を執り、米国のグローバリストを潰すことになれば、日本は21世紀を通して、存続することが可能になるかもしれない。その場合、中国が共産党独裁を続けても、トランプはその主権を尊重するだろう。勿論トランプも共産主義は好まないので、中国は自由主義圏から徐々にデカップリングされ、地球上で棲み分けるしかないことになるだろう。それがベストだと思う。

 

そのような目途がたつまで、日本は憲法を改めるべきではない。世界からグレートリセットの嵐が過ぎ、主権国家体制と緩やかな国際協調の路線に戻った時、日本も自国軍を持ち、出来れば核武装までを実現して、中国とのトラブルを避けるのである。

 

そして、米国ともイコールパートナーとしての付き合いが可能となる。安保条約5条には、「自国の憲法上の規定及び手続に従って、共通の危険に対処する」と書かれている。憲法が現状のままなら、日本は台湾侵攻する中国と戦うことを拒否できる。


 

4)台湾有事と存立危機事態

 

中国習近平政権に台湾侵攻を思いとどまらせるような能力は、軍事的にも政治的にも日本にはない。従って、中国首脳が台湾に侵攻すべきという気持ちにならないように、日本が出来ることをするのみである。

 

つまり、ペロシ下院議長や米国の議員たちによる台湾訪問、武器の供与などでの台湾の防衛能力向上への支援、などは米国にしか出来ない。その後のケアをする能力が米国には存在するからである。

 

日本は米国に対して、自分がまいた種の収穫は、自身で行うように要求すべきである。

 

日本は、中国習近平政権を刺激するそのようなことはやらない方が良い。まして、台湾にまで国会議員たちが出かけて、応援するような政治的パーフォーマンスをすべきではない。日本には、台湾を中国共産党政権から守り抜く実力など皆無なのだから。(補足8)

 

日本の最高裁判所は、行政から一応独立していることを自覚して、安保法制に憲法違反があると考えれば、その様に判決すべきだ。統治行為論(補足9)を持ち出して逃げることは止めてもらいたい。論理的に違憲なら、明確に違憲判決を出すべきだ。

 

日米相互協力及び安全保障条約(安保条約)の規定では、日本国憲法に違反する場合は除いて、米国が仕掛けた戦争或いは米国の世界における覇権維持の為の戦争においても、日本の施政の範囲なら、日本の自衛隊が米軍支援をする義務がある。

 

この米軍支援は、安倍内閣制定の「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」(事態対処法)を根拠にして、内閣の存立危機事態の認定を経て行われる。(補足10)

 

以上から、米国が関与する形での台湾有事の場合、仮に一方的に米国が誘導した戦争であっても、自衛隊或いは日本軍は米軍とともに戦わなければならない。もし、米国に無謀な企みがある場合、自衛隊が参戦拒否できる根拠は、日本国憲法にしかない。

 

従って、台湾有事が近づきつつある今、憲法を改正するのは日本に多大な被害が出る方向に改憲することになるので避けるべきである。台湾有事を米国のペロシ下院議長らの無分別な行動が誘発したのなら、米国が独自に収拾すべきである。

 

繰り返す。米国が何処かの国を攻撃すれば、その国から反撃を食らう。それを存立危機事態と認定したのでは、自衛隊は米国の覇権主義のための無料の傭兵となってしまう。それは裏を返せば、米国の傀儡政権である岸田内閣は、憲法9条の改正案を、このような自衛隊の出動を可能にするように提出する可能性が高い。


 

終わりに:

 

日本国民は、以上のことを良く知って、国民投票に臨まなければならない。

 

ただ、米国の属国である国が、自国の利益を優先する行動をとれば、それが日米同盟崩壊の危機となるだろう。その一方、日米同盟を最優先すれば、2015年制定の安保法制の規定に基づいて、米国軍の支援のために自衛隊は行動しなければならない。それは、太平洋戦争よりも大きな人的経済的損害を日本に与える可能性がある。

 

それが現在の日米安保体制の本質である。そのような事態になることを薄々かんじていたのが、1960年と1970年の日本の大学生たちによる日米安保反対闘争だったのだろう。それが日本人が独立国的な気概を示した最後の姿だったのだろう。

 

一般論として、日米同盟を解消すれば日本国の存続が危ういというのなら、それは同盟関係というより、米国との主人&奴隷関係、或いはトルーマンの表現を用いれば飼主&家畜関係だと言うことである。ある国がその奴隷国或いは家畜国と「相互協力及び安全保障条約」を締結するというのは、笑い話の中にしか無い。

 

従って、日本という国には根本的な欠陥がある。その欠陥に言及し、その修復作業を一切しないで、「台湾有事は日本有事、日米同盟の有事である」なんて、真顔で言う神経がわからない。

 

追補:

 

1)グレートリセットは世界経済フォーラムが用いる概念で、株式関与者による資本主義と定義しているが、中身がよく分からない。社会主義による世界革命と近い考える人が多い。

 

2)中国の周近平氏は、3期目の任期が実現すれば皇帝になったと言える。その場合、米国ネオコンの殲滅すべきは、周近平氏ではなく、周王朝である。胡錦涛政権までは、次の政権のトップを現在のトップが決定できないシステムになっていた。現在のトップが決定できるのは、次の次の政権トップであった。周近平氏が皇帝になれば、そのルールも当然無くなる筈である。

 

(9:50 表題の一部変更、10:30追補1;15:10 追補2の追加;以上は、素人による想像を交えたメモです。念のため。)
 

補足:

 

1)米国ネオコン勢力にとって、共産党政権下の中国は、彼らの目標であるグローバルな共産革命(グレートリセット構想)には親和的であるとの認識があったと思う。しかし、ネオコンの背後にいる大ボスのジョージソロスは、ここ2-3年になって中華民族的傾向の強い習近平体制をダボス会議などで強く批判した。

 

2)この事件についてそのように考える様になった背景には、あのような散弾銃で心臓や首周辺を適格に銃撃できるのだろうかという疑問、そして銃声が3回聞こえたという現場の証言などに加え、事件から一ケ月経とうとしているのに、事件の詳細が一切漏れてこないなどの疑問点がある。https://www.youtube.com/watch?v=VKdoaSMmQlg

そして、警備の不備などで責任者が処罰されたという話も一切聞かない。政府は国葬に向けての準備はするが、事件の真相は隠ぺいするつもりではないのか。

 

)安保法制は、自衛隊を集団的自衛権の行使に使えるように2015年に安倍内閣が成立させた。この基本形は、2003年に制定され武力攻撃事態法である。これは、安倍内閣下の20159月に成立した「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律」(平成27年法律第76号)に伴って改正され、名称も「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」

(事態対処法)と改められた(20163月施行)。

 

4)中国の 習近平国家主席は9日、安倍元首相の死去について、深い哀悼の意を示す弔電を岸田首相に送った。「安倍元首相は在任中、中日関係の改善を進めるために努力し、有益な貢献をした。突然の死去を悲しみ、惜しんでいる」とあった。https://www.yomiuri.co.jp/world/20220709-OYT1T50165/

 

5)中国企業の米国ニューヨークの株式市場への上場を、投資家に大きな損失をもたらす可能性があるにもかかわらず、米国式の会計監査を免除した形で許している。更に、50%以上の外国資本での企業設立を中国政府は認めないが、そのような条件でも資本の双方向移動を許している。

 

6)香港と中国本土の間で緊張が高まったのは、香港で自由化運動が高まったからだろう。つまり、香港から自由を失わせる効果的な運動は、自由化を要求するデモを煽ることである。ウクライナの2014年の政変もそうだが、デモを煽る方法は米国ネオコンの得意技だろう。

 

7)日本人は集団で生きるからか、主語を明確に意識しない。従って、責任や契約という近代の権利義務の関係が解っていない。その一つの証拠として、原爆碑の文章「二度と過ちはくりかえしませぬから」が存在する。「広島に原爆を投下し、市民10数万を殺害した」人物も、その経緯も明確には意識しない。そして、戦争全体を自分の責任として被爆者に謝罪している。

 

8)石破茂氏は727日、自民党2人と日本維新の会1人を引き連れて、台湾を訪問した。その様な政治的パーフォーマンスは危険性を増大させるだけであり、日本の政治家はやることではないということが分からない政治屋なのだろう。https://sakisiru.jp/32918

 

9)「国家統治の基本に関する高度な政治性」を有する国家の行為については、法律上の争訟として裁判所による法律判断が可能であっても、高度の政治性ある事柄に関しては司法審査の対象から除外するという理論。

 

10)存立危機事態とは、我が国と密接な関係にある他国(つまり米国)に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいう。

 

 

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