2017年3月8日水曜日

中国やロシアが、韓国のTHAADシステム配備に反対する理由について

1)中国やロシアの韓国や日本へのTHAAD配備に関する声明:
韓国国内へのアメリカのTHAADシステム(Terminal High Altitude Area Defense)配備に対して、中国とロシアが強く反対している。その反対の論理は、“THAAD配備は地域の緊張と軍拡競争を誘発させるもの”である。ロシア系の日本語サイトで紹介された、ロシア外務省声明を引用する。

“このような行為は、米韓がいかに根拠を並べ立てようが、グローバルな戦略的安定に、最も否定的な影響を及ぼすだろう——米政府は、グローバルな戦略的安定の忠実な支持者であるとよく言いたがるにもかかわらず。またこの行為は、地域の緊張を高める危険をはらみ、朝鮮半島の非核化をふくむ複雑な諸問題の解決をいよいよ難しくする”と述べている” https://jp.rbth.com/politics/2016/07/09/610097

中国の考えもほとんど同じである。稲田防衛大臣の声明によれば、現状では日本にその計画はないにも拘らず、外交学院国際関係研究院の周永生(ジョウ・ヨンション)教授は、日本がTHAADを導入するのではないかと疑って、以下の声明を出している。

”日本はすでにパトリオットミサイルを保有しており、THAADは必要ない。日米がTHAAD配備で一致すれば、北東アジアの一部の国の利益を脅かす可能性が高い。THAAD配備による日米同盟の強化は中国とロシアの安全や利益を損なうことになる。中露は、自国の防衛力を高めることで対抗するしかないだろう”http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20161124/Recordchina_20161124022.html

2)これら両国の意見はどういう意味だろうか:

THAADは防衛システムであり、攻撃システムではない。それにも拘らず、ロシアの外務省や中国の関係者の声明では、地域の緊張を高めるというのである。 つまり、“自国の軍事力が隣国の国民を皆殺しにする能力を維持することが、その地域の政治的安定に必要である”と勝手に言っているのである。その論理の身勝手さに気づいてこのような発言をしているのだろうか?

ただ、この論理がほぼ正しい場合も存在する。それは、そのような発言をする国が、①政治的にも経済的にも周囲に比べて安定しており、他国を危険に陥れる可能性が無いこと;更に、②異常事態が生じたとしても、他国民に犠牲を強いてまで自国民が生き残るという利己主義を持ち合わせていないと断言できる場合;である。

中国とロシアに、上記①および②を主張する資格があるだろうか。中国にとってのウイグルやチベット、旧ソ連(ロシアはその中心だった)にとっての東欧や中央アジア諸国などを考えれば、そのような主張にふさわしくない国と言えるのではないだろうか。また、経済状況を考えても、両国は日本や韓国に比べて、現状安定しているとは言い難い。

つまり、ロシア経済は、石油や天然ガスの輸出に頼っているのだが、価格の低迷でこの数年苦境にある。中国経済も、鬼城(33億人が住めるくらいだそうだ)の建設でGDPを押し上げているが、外貨の逓減は経済危機の危険性を暗示している状況である。勿論、そのような主張にふさわしい国があるのかと問われれば、それにもNOと答えざるを得ない。

国際社会は、有史以来弱肉強食の関係が支配してきた社会である。現在も、多少の国際法や国際機関があるものの、中国やロシアはそれを無視する傾向にあるのは周知の通りである。その両国が、隣接する小国が攻撃兵器ではなく防衛兵器を整備するだけで、上記のような攻撃的な批判をする姿勢を見ればわかるように、100年前同様現在も弱肉強食の世界であると断言できる。

そのような世界において、国境が人類を区分けする最も明確な壁だとすれば、自国民が今後生き残るための最も重要な手段は、他国を圧倒する軍備を持つことである。中国やロシアの声明は、上記のような理由から身勝手にすぎると言える。しかし歴史を考えれば、特別に非難すべきことではなく、真理を再確認しただけのものである。従って、その声明を出す権利は当然あるが、それ以上の暴力的手段を取るのは自分の論理を自分で否定することであると、特に両国には自覚してほしい。(つまり、地域の緊張をたかめているのは、中国やロシアである。20:00追加)

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