1)昨日日本記者クラブにおいて石原慎太郎元東京都知事の会見が開かれた。そこで、豊洲市場への移転問題についての石原氏の責任について議論された。この件、私には石原氏の言い分がほぼ正しいものと思えた。
先ず、築地市場の老朽化などがあり、新しい市場の建設が必要であることに異論はないことを確認したい。http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/faq/01/
その上で、どこが引越先にふさわしいかなどの検討と、その際にどの程度の予算を組む必要があるかなどの検討を東京都の職員がそれぞれの専門知識を用いて検討する。
予算案を決定する最終責任は都知事にあり、それを議会に提出し、議論の上で決定されたのだろう。その手続きに不正がない限り、都知事にその後責任問題は生じない。繰り返すが、決定責任は都知事にあるが、責任問題は生じないのである。
ここで、上記「都知事」と言う言葉を一般が正しく理解しているかが気になる。ここで言う「都知事」は、当時知事を務めていた石原慎太郎氏個人ではない。(補足1)
会見で石原氏が言っていた言葉を私流に理解して再現すると:夫々の専門家が自分の知識や技量を用いて、その地位に付随する責任を果たす形で決めたことに、口を挟む必要を感じなかった。そして、それを総合した移転案が当時の知識と知恵で適当であると判断したのである。
このように受け取ったので、私は石原慎太郎氏個人に対して責任追及する理由は何もないと思った。
2)購入土地に関する瑕疵担保責任について:
豊洲市場の土地を東京ガスから購入したのであるが、その際に瑕疵担保責任を外した形で購入したことが一部に問題視されている。しかし、これも手続き上、全く問題はないと思う。瑕疵担保責任を外して購入すると言うことは、それだけ安く購入することを意味しており、主として予算の問題である。
東京都は、その予算を節約して、将来土壌汚染が大きな問題にならないと判断したのである。もし、その思惑が外れたとしても、それは不運であったと言うことに過ぎない。
3)盛土の問題:
盛土の問題は、どこかに手続き上の不備がある可能性が高いと思う。その責任は、責任部署の誰かが、上に上げるほどの案件でないと判断してしまったのだろう。その責任を追及するのは、実りあることならすれば良いと思う。
しかし、専門家の意見では、盛土をしないで地下に空間を残す方が地下水の水質や建物の腐食の度合いなどの調査などに便利であり、且つ、建物の強度には全く影響がないと言う。それなら、盛り土をしなかったことに関する手続上の問題を調査しても、利益にはならないだろう。
4)豊洲に移転をしないでランニングコストを無駄にしている責任:
これは、明確に現在の知事の責任であると思う。これについてはすでに書いている。豊洲市場の建物の地下空間から、ベンゼンが飲用水用に設定された環境基準の79倍検出されたのが、まるで大問題の様に言うのは間違っている。それが地上に漏水で出てきて、空気中に環境基準を超えるレベルのベンゼン濃度を記録すれば別である。そんなことになる筈がない。長年化学の研究者としてやってきたものの一人としてそう思う。http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42953114.html
補足:
1)都知事には二つの意味がある。都知事というポストと、その地位にある個人である。豊洲移転とそれに関係したことを決定したのは都知事というポストであり、石原氏個人ではない。つまり、その決定の責任は都知事というポストにある。したがって、仮に都知事に私人に対する賠償責任が生じた場合、決済をするのは現都知事である。石原氏個人の責任問題に発展するとしたら、その決定の際に手続き上のミスがあった場合である。
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