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2017年3月9日木曜日

中国やロシアが、韓国のTHAADシステム配備に反対する理由について(II)

追加:(3/14)THAADシステムはミサイルを撃ち落とす能力はあまりないとのことです。地域の軍事バランスを崩すという中国とロシアの意見は、THAADシステムのミサイルでの地域での攻撃能力増加にあると思われます。この件、十分な情報が無かったため、見過ごしました。この情報は以下の記事にあります。http://tanakanews.com/170314korea.php

1)北朝鮮のミサイルを対象にして、米国からTHAADシステムが韓国に導入されようとしている。このことに中国は激しく反発していることが、非常にエゴイスティックであると一昨日非難した。しかし、何か別のメカニズムで中国が不利になることがないのか、素人であるが考えてみた。

あるサイトに、THAAD用に米国の高性能レーダー(AN/TPY-2)が韓国に設置されると、中国のミサイルに対する米国の探知能力が飛躍的に向上すると書かれている。つまり、中国と米国の戦略兵器のバランスが崩れ、中国は高性能のミサイルの開発を急ぐ必要に迫られることになるというのである。http://www.huffingtonpost.jp/ian-armstrong/thaad-china_b_11763794.html

上記記事には専門的な記述であり分かりにくいが、ざっくり言うと中国から米国に発射されたICBMが韓国で探知され、より確実に撃ち落とされるという意味だろう。そのうち、日本にも配備されるとの話もあり、何段にもTHAADが配備されると、中国の現状の戦略核兵器が、対米国という意味では無力になるというのである。

そうなると、米国に対して屈辱的な外交しかできなくなる。現在のような世界の二大覇権国として振る舞うには、戦略兵器において米中間のバランスを維持する必要がある。それには、中国は極超音速ミサイルや多弾頭型のミサイル(MIRV)を急いで開発し、それらに置き換える必要がある。

それには多大の経費を必要とする。従って、財政に対する重荷を覚悟してミサイル開発を急ぐか、北朝鮮に本気で核開発を止めるように圧力をかけて、THAADの配備を止めさせるか、どちらかが必要になる。しかし、北朝鮮に圧力をかけ、北朝鮮が暴発したり崩壊したりすれば、難民が大量に中国になだれ込み、非常に深刻な事態になる。どちらにしても大変なことになるので、韓国に強く反対の意思表示をしたのだというのである。

2)以上の筋書きが正しいとすると、米国がTHAADを米国内のみに配備しても、中国から発射されたICBMを撃ち落とせないと中国は考えていることになる。

ICBMは、地球の裏側まで届かなくてはならない。そのため、かなりのエネルギーで上空に打ち上げる必要がある。詳しい計算は簡単ではないが、恐らくロケットに地球周回のエネルギー程度を与える必要があるだろう。そうすると爆撃地点に高速、例えば7キロ・毎秒(第一宇宙速度程度)くらいで落ちてくると思う。真上からに近い角度で、そのような高速で落ちてくる物体を打ち落とすのは至難の技だと思う。

例えば、元外交官の孫崎享氏は、迎撃ミサイルでは撃ち落とすことは無理だと言っている。https://www.youtube.com/watch?v=fgEgdXuXsvk 

また、北朝鮮からソールを攻撃するには短距離ミサイルで十分であり、その防御にほんとうにTHAADが必要なのだろうか。この点を韓国はどう考えているのだろうか。

兎に角、以上の理由から、米国が韓国に配備するTHAADの本当の目的(米国の)は、北朝鮮のミサイルの迎撃でなく、中国の戦略核兵器を韓国で検知し、そこで落とすことだと思う。(補足1)

そう考えると、中国が非常にナーバスになるのも分かる。バランスが崩れるのは、米国と中国の軍事バランスであり、地域の緊張を高めるので反対だというのは、お互いに建前で話をしているのだろう。或いは、中国の言う地域の緊張とは、中国が本気で北朝鮮に干渉しなければならず、それにより北朝鮮と中国の関係が緊張するという意味だろう。

補足:

1)ロケットが上昇するとき重い燃料を搭載しているので、最後の燃料を燃やすときに最大加速度になる。従って、上昇中のミサイルの方が、落下するミサイルよりも圧倒的に撃墜が簡単である筈。そして落下して来るときも上空では幾分速度は遅く、着弾するときの速度が最大である。ウィキペディアによると射程200km; 高度は40-150km;弾頭速度2.5 km/sだと書かれている。同じくウイキペディアのICBMの最高高度の1000-1500kmから計算すると、落下してきて射程に入った時のICBMミサイルの速度は、優に4km/sを超えている。それを2.5 km/sの速度の弾頭で撃ち落とすことになり、その難しさが容易にわかる。(補足を3/10/7:00に追加)

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