森友学園問題は、非常に深刻な問題を提起している。不公正な国有財産売却の問題も重要であるが、もう一つ、その学園の経営する塚本幼稚園で行われていた教育を、多くの政権与党の見学者が賞賛していたことも、それ以上に重要である。つまり、この問題に関わった人たちに共通するのは、日本会議という所謂右翼組織に参加していることである。そして、その幼稚園の教育は日本会議の本質を明確に示していると思われるのである。
具体的には、その幼稚園では教育勅語を暗唱させる教育をしており、そのことに政権中枢の議員たちは感心し歓迎しているのである。教育勅語にある、「もし危急の事態が生じたら、正義心と勇気をもって皇室の運命を助けなさい(一旦緩急あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし)」が、彼らの描く日本人のあるべき姿なのである。
その事実は、現在政権中枢にある与党メンバーの多くは、天皇は戦前の様に国家元首として日本人を束ねる存在でなければならないと考えていることを示している。そして、かれらの理想は、その天皇の権威で自分たちの統治が簡単になることなのである。これは明治維新の薩長下級士族の姿勢であり、彼らがあの戦争から何も学んでいないことを意味している。
その考えが既に発表されている自民党の憲法原案に反映されているが、それに基づいたシミュレーションの一つが塚本幼稚園での教育だったのだ。
今上天皇が“象徴としての天皇”の役割を深く考えておられることを、昨年国民へメッセージとして出された。それにもかかわらず、彼らは戦前の憲法にあるように、天皇を国家元首とする憲法草案をまとめた。
国民のほとんどは、この自民党憲法草案を読んでいないだろう。憲法改正に関しては、9条第二項の改正(自衛軍の保持)のみ強調されているが、それと天皇元首制とを組み合わせば、戦前の憲法に近くなるのである。私は、日本国は独立国として自衛軍をもち、核武装もすべきだと考えている。しかし、その軍は天皇を元首とする国家にはふさわしくない。従って、自民党原案を元に議論を開始するのなら、現在の政権による憲法改正に反対する。
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