2017年8月25日金曜日

中国の習近平は何を目指しているのか?:一帯一路構想と腐敗追放の目的

1)先日の「世界は今、21世紀の新しい勢力均衡に向けて最終局面に入ったかに見える」と題した読売新聞のコラム記事の中で、JR東海の葛西敬之氏は中国の一帯一路構想は新しい中華共栄圏の構築を目指すものであるとしている。

そして、一帯一路構想の実行によりインフラ支援の名目で、周辺国へ失業者と在庫の排出を行う一方、戦略的に重要な港湾などをその経済支援のプロセスの中で、中国の支配下に置いている。更に、西太平洋とインド洋への海洋進出に乗り出し、いわゆる第二列島線までを中国の覇権下に置く計画のようである。その時尖閣はおろか沖縄まで中国の支配下にする計画のようである。

また、これらの中国の世界戦略構想について、葛西氏は国内の矛盾から目を逸らせることが主要な目的であり、国際的にトラブルの種になる可能性が大きいと見る。この記事について、このブログでも議論した。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43383117.html 純粋に国内問題なら、別の解決手法がある様に思う。

何故、中国はこのように拡大しなければいけないのか。

それについて明確な答えが、石平氏がある動画で語った話の中にあった。 https://www.youtube.com/watch?v=fTKYx5hfoIs (32分から) それは、習近平が中国の毛沢東以来の英雄になること、そして長期独裁体制を目指しているというのである。

中国共産党の最高指導部には、68歳で定年というルールがある。それによれば、習近平は2022年の政権2期終了時点で定年となる。その定年制の枠を超えて更に長期の独裁政権を習近平は目指していると言うのである。そのためには、習近平は毛沢東に並ぶ実績をつくり、それを習近平思想の実践という形に作り上げたいのである。それは、鄧小平の改革解放路線で国を富ませたという実績以上のものでなくてはならない。それが葛西氏が言う、新中華共栄圏構想、つまり一帯一路構想や西太平洋での覇権拡大である。

その前に、もう一つ重要なことを達成する必要がある。それは、政敵の追放である。

2)中国は現在、集団指導体制にある。現在7人いる中央政治局常務委員会の常務委員が、集団で国を率いている。この常務委員は江沢民時代に7人から9人に増やされ、2012年までチャイナ9と呼ばれていた。習近平が主席になった5年前に、それが二人減らされチャイナ7に戻ったのである。

今年9月には5年に一度の共産党大会があり、そこで習近平と李克強以外の5人が定年になるが、そこで定員が7人のままなら、入れ替え組の5人の内出来るだけ多くを習近平派で抑えたいのだ。常務委員には、現在18名いる政治局委員の中から選ばれるとすると、その有力候補で習近平が気に入らない人を追放して置く必要がある。

今回も共産党大会の前に、長老を集めて行う長老会議、「北戴河(ほくたいが)会議」が開かれた。この会議で人事の概略の了解を長老から得て、公式の会議である共産党大会で決定するのである。

その北戴河会議が開催される直前に追放された人物がいる。次期国務院総理の最有力候補(李克強の後任)と見なされていた孫政才である。追放の理由やはり腐敗である。全てのお偉方は腐敗しているので、事実上周囲の人間の強い反発を避けることができれば、罪状は既に準備されている。(補足1)北戴河会議の前にそれを実行したのは、そこで孫政才は政権の中枢に引き上げられる可能性があるからである。

習近平は江沢民とその派閥により引き上げられて、主席の地位を得た。そして、自分が江沢民の操り人形にならないために、習近平は江沢民派の有力者まで腐敗追放運動の一環で追放した。石平氏は、「権力闘争では恩人一派こそ、早めに追放するのが鉄則だ」という。

遠藤誉氏によると、江沢民派は元々腐敗の巣窟だったので、単に共産党政権の安定のために追放されただけだと言う。その考え方の正否も十分考察しなければならないので、石平氏の「」内の言葉を受け入れるのは、もう少しあとにしたい。http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-8058.php

その共産党幹部の腐敗摘発運動を指揮したのが、政治局常務委員の王岐山(党中央規律検査委員会書記)であった。そのため、王岐山は江沢民派など粛清の対象になった人たちとその周囲の恨みを買う一方、影で大きな権力を得た。そこで、習近平は王岐山を腐敗しているということで追放する動きを始めているという。

王岐山の腐敗情報の発信は、既に米国に住む元中国共産党幹部関係者からだという。今回の党大会での人事の焦点は、王岐山にある。上記遠藤氏の理論では、この動きは説明できないだろう。

敵対者とライバルを追い落とす一方、習近平は自分への向心力をつける必要がある。そのための偉大な構想が一帯一路構想であり、西太平洋やインド洋への海洋進出など、新中華共栄圏の建設である。そして、それを習近平思想の具現化とすることで、習近平は毛沢東以来の偉大な指導者になれるというのである。

以上、素人であるが、中国の政治を考える取っ掛かりを得た気がする。今後もう少し、勉強したい。
 (以前、腐敗追放運動の元祖薄煕来の失脚について書いた記事を引用しておきます。 http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2015/10/blog-post_10.html) 補足:
1)遠藤誉氏のブログでは、孫政才の腐敗はそれほどひどいのだと書かれている。石平氏の考えと全く異なっているようだ。 遠藤氏は、次の様に書いている。「習近平がやっていることは、腐敗によって、共産党の一党支配体制が崩壊するか否かの闘いに過ぎない。ラストエンペラーになりたくないだけだ。だから一帯一路やAIIBなど外に向かって突っ走り、人民の不満をかわそうとしている。それを見誤ると、中国の大局を見間違え、日本の国益を損ねる。」
しかし、遠藤氏は習近平自身が腐敗しているという事実をどの様に説明するのだろうか。習近平の腐敗摘発を人民は応援している筈である。それなのに、人民の不満をかわすために対外進出するという論理は、私にはわからない。 https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20170718-00073393/

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