1)グアム近海への軍事ミサイル発射計画の意味:
北朝鮮は昨日、グアム島近くの公海上に四発のミサイルを打ち込む可能性を公表した。そして、アナウンスした北朝鮮高官は、金正恩主席の命令があれば、その計画を実行に移すと宣言した。
軍事ミサイルをグアム島から30-40km離れた公海上に落とすという脅しが、予告の上で実行に移されたとして、それは軍事攻撃なのかどうか明確でないという人が多いだろう。しかし、落下点の予測精度が狂った場合にはグアム直撃の可能性もあるので、米国は迎撃を考えているだろう。
テレビ番組“ひるおび”で、今回の場合公海上へミサイルを落とすのだから、米国による迎撃は国際法に違反すると弁護士の人が言って居た。しかし直感的には、この弁護士は間違っている。国際法はこのようなケースを想定していない可能性もある。つまり、単なる飛翔体を飛ばすということではなく、敵対行為として軍事ミサイルを発射すると、北朝鮮が宣言しているのである。そのことを、その弁護士は判断材料にしていない。
米国は、「公海上に落とす予定と宣言しておけば、国際法の直接的解釈では迎撃は違法になるので、迎撃を避けることができる可能性がある」と北朝鮮側の考えを推測するかもしれない。そこで、「元々彼ら北朝鮮側は、グアムを直撃する予定であり、公海上に落とすという宣言はその爆撃効果を高めるための策略だろう」と推測する権利を米国は持つだろう。つまり、国際法はこのようなケースを想定していないと思う。
それに国際法など第二次大戦以後、違反しながら何の制裁も表向き受けなかった事例が山ほどある。(補足1)国際法など、米国やそのほかの超大国にとっては紙切れのように軽くなっている。
2)迎撃作戦とその効果:
何れにしても、その推測に基づいて米国は日本へ迎撃要請する可能性もある。そして、発射されたミサイルを日本海で迎撃し、日本がミサイルを撃ち落とす可能性も出てくる。その場合、北朝鮮は日本を敵国とすることに成功する。
その結果、主戦場は38度線付近やソウルではなく、米軍基地のある日本という可能性もある。(補足2)その後講和の話になったとしても、日本側の多大な人的並びに諸施設の被害は、植民地支配の酬いであると北朝鮮や中国は主張し、韓国も賛成し、米国は口先だけの日本応援演説をするにとどまるだろう。その結果、北朝鮮とともに多大の損害を受ける国は、韓国ではなく日本となる可能性がある。
平和の時が訪れたとしても、日本国は消滅の危機を物心両面から迎えるだろう。
北朝鮮は既に、韓国を吸収合併することも考えている筈である。韓国の大統領はそれには反対しないだろう。米国と対立して戦端を開くのなら、近い将来自国の一部となる38度線近辺はふさわしくない。
その結果、北朝鮮は威嚇を続けることになるが、万が一戦争になるとしても、その攻撃相手は韓国ではなく日本を選びたい。今回威嚇のために発表した作戦は、そのために工夫されたものではないだろうか。
補足:
1)例を挙げる:広島長崎の原爆による攻撃、都市部の無差別爆撃、ベトナム戦争介入、ウクライナへの介入やクリミヤ問題、イラク問題、南シナ海埋め立てによる軍事基地建設など。
2)共同通信によると、米国共和党のリンゼー・グラム上院議員は8月1日、トランプ大統領が北朝鮮の核弾頭搭載のICBM開発を阻止するため、北朝鮮との戦争も辞さないと述べたとNBCテレビの番組で発表した。グラム氏が話したことによると、トランプ氏が「戦争が起こるのなら向こうでやる。大勢が死ぬが、米国ではなく向こう側で死ぬ」と語ったという。
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