1)「何故トランプ大統領は北朝鮮を挑発するか:3つのシナリオとその共通項」と言う題目の話を、国際政治学者の六辻彰二という方が、ヤフーニュースに書いている。https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20170812-00074441/
3つのシナリオとは、ロシア疑惑などの国内問題の比重を小さくさせる、ミサイル防衛システムのテストを含めて改良の機会とする、姿勢の異る二人で北朝鮮を話し合いの座につかせる計画で、トランプ大統領が硬派を受け持つというもの。それらの共通項として、北朝鮮はすぐに米国本土をミサイル攻撃しないという目算が存在するという。
素人の私には一番最初のシナリオ以外は、可能性としては無視できると思える。それよりも、これを機に、ミサイル防衛システムの売上をあげようという目論見の方をシナリオに加えるべきだろう。その視点からは、ミサイル防衛システムの実践的試験はやりたくない筈である。
米国の基本的戦略は、自国の防衛は敵地核攻撃能力で達成し、ミサイル防衛システムの整備はそれを補完することと軍需産業の育成が目的だと思う。日本や韓国などの同盟国にミサイル防衛システムを高値で売りつけ、設置したシステムを共同管理して、仮想敵国のミサイルのレーダー検知能力を高めるのである。
「北朝鮮を米国との話し合いのテーブルにつかせる」のが、本当の目的なら、この数十年間何時でもできた。北朝鮮が米国との直接話し合いを要求してきたにも拘らず、それを避けるために、6カ国協議を作ったことを、米国は棚上げにしている。ICBMらしきものを発射したからという理由で、急に「北朝鮮を話し合いのテーブルにつかせる」なんて、よくも言えたものだ。
その言葉を借りて、硬軟二人組の刑事役の硬派をトランプ大統領が演じるなんて、そんなことを言う国際政治評論家がいることが不思議だ。
2)「北朝鮮にとって最善の策は、これ以上アメリカを脅さないことだ」とトランプは米ニュージャージー州にある自分のゴルフ場で記者団に語った。「彼(北朝鮮の金正恩党委員長)の脅しは常軌を逸している。北朝鮮は世界が目にしたことのないような炎と怒りに直面するだろう」
この話を聞いて、そのまま受け取る人は全くこれまでの経緯に無知な人だろう。このような言葉をゴルフ場で語ったことが全てを象徴している。米国民はもっと真面目にこの事態を、歴史的事実の復習から始めて考えるべきである。
ティラーソン長官は「我々はあなた方の敵ではない。我々は体制転換を求めておらず、体制の崩壊を求めておらず、半島の再統一の加速を求めておらず、38度線の北側に米軍を送る口実を求めていない。我々はあなた方の敵でなく、あなた方の脅威でもないが、あなた方は我々を受け入れがたい脅威にさらしており、我々は対応しなくてはならない」と述べたという。そして、どこかの時点で対話をしたい考えも示したという。http://www.bbc.com/japanese/40798738
しかしである。下線部分で、北朝鮮との見解が全く一致しないということを、ティラーソン国務長官は認識している筈である。つまり金正恩に言わせば、「これまで脅してきたのはどっちなのだ」というに決っている。軍事力で言えば、北朝鮮は未だに火縄銃であり、米国は機関銃で装備している。北朝鮮は中国と組んで、38度線近くで毎年演習をしているわけではない。韓国と組んで、毎年演習を繰り返しているのが米国の方である。
因みに、日本国はアメリカ親分の庇護のもとにある。強い親分の下にいることは差し当たり安心だが、その親分が倒れた時、或いは、親分に見放された時には、周囲からのイジメは過酷を極めるだろう。また、親分が行けと言ったら、地獄の中にも飛び込まなければならない。兎に角、親分が一目置く位の存在感を持つ子分に早くならなければ、未来は真っ暗である。
3)同盟国である韓国と日本が、北朝鮮の核ミサイルから受ける脅威について、米国もようやく考えてくれるのなら歓迎である。本当は、日本にも核武装の権利を認めてくれるのなら、もっとありがたい。しかしその前に、北朝鮮との互いに鉾を相手に向むけた対決の姿勢から、両方とも鉾を納めて、話合いにつくのが良いかもしれない。(補足1)
ところで、話し合いのテーブルに就くつもりなら、鉾を先に納めるのは強い方であることが、米国に分かっているだろうか。それは、農村で生きてきた日本人の文化では当たり前のことだが、遊牧民の文化を持つ米国などでは理解不能かもしれない。
日本では、相手の面子を考えて、姿勢を低くして相手が望むものを差し出す文化がある。空腹である人に食物を裾分けする時などには、「もし良かったら、貰っていただけませんか?」と言って差し出す。それは、欲望を満たす行為は動物と同じ行為であり、人間であるというプライドを保持できない瞬間を作ってしまう可能性がある。自分のその瞬間を想起させるような形で、食物を差し出されたのでは受け取れないからである。
つまり、トランプ大統領が吠えるのは、ティラーソン国務長官の一見優しい話し合いの申し出を、「お前が屈服するのなら、話し合いの開始始も考えないわけではない」という言葉に翻訳しているのである。米国が、話し合いなどやりたくないのでなければ、日本人の文化、農村の文化に学んでもらいたい。
このままではトランプ大統領の吠え声は、「ティラーソン長官の言葉は、世界に向けたメッセージであり、北朝鮮向けの言葉ではない」という意味であると、世界は受け取るだろう。
(以上、素人の分析です。適当に読み飛ばしてください。)
補足;(17:20追加)
1)「かもしれない」としたのには訳がある。それについては既に論じた。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43365154.html
再度エッセンスをここに書く。北朝鮮と米国が無事講和した場合、必然的に朝鮮半島は連邦制かどうかしらないが統一に向かう。その結果、核保有国で中国よりも遥かに反日的な国家がすぐとなりに出来る。北朝鮮とは日朝基本条約をその前に結び、経済協力金をたんまりむしり取られる可能性が高い。更に、朝鮮半島中のバスの中に慰安婦像を載せて、ゼロから作り上げた慰安婦問題の風化を防ぎ、「歴史認識が足らない」と脅すことで、必要な時に上納金を脅し取られる羽目になる可能性もある。米国は東アジアに居残る根拠(=朝鮮戦争)をなくし、グアムより東に後退しており、日米安保条約も存在するのかどうか怪しい。日本国民はそれでも、非核三原則と非武装こそ平和への道だと議会と放送局を抑えた半島系の人たちのプロパガンダを信じているだろう。
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