ニュースやその解説において、「米国は」とか「中国は」とかで始まる文章を使い、まるで国家が単一の人格的存在のように扱うが、それは間違いである。その間違いを今回の北朝鮮危機で犯してはならない。
ヤフーで配信されたBBCnews Japanの記事「北朝鮮と米国との緊張、しんぱいすべきか?」でも、夫々の国家に対しても、大凡そのような扱いが為されている。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170810-40883753-bbc-int
記事の中で、3つのポイントを上げてこの問題を解説している。最初のポイント(1.戦争をしたい人など誰もいない)では、「北朝鮮政府が主に目指しているのは、生き延びることだ。米国との戦争は、その目標を深刻な危険にさらすだろう」と最初に楽観論の根拠を述べている。北朝鮮政府のこれまでの姿勢はその通りである。米国の大統領も、「戦争などしたくない」と言うだろう。しかし、米国は「北朝鮮の生き延びたい」という話し合いを拒否して来たから、問題はこのように大きくなったのである。それについて何も述べないこの文章は、記事というよりプロパガンダである。
「生き延びたい」という、いい加減な表現を用いているが、それは朝鮮戦争の終戦とその後の講和条約&国家承認のことである。その話し合いを米国は拒否し続け、六カ国協議という朝鮮戦争と無関係なメンバー国を加えた訳の分からない組織を作り、そこに北朝鮮の非軍事化という命題を丸投げし、その解決を遅らせた。しかし、その歴史は米国歴代大統領の意見に基づいたのかどうかは分からない。おそらく、朝鮮戦争終結の方向で動きたかった大統領も居たと思うが、動けなかったのだろう。
また、現在の情勢だが、トランプ大統領の強硬論的発言とティラーソン国務長官の話し合い路線の発言が、単一の人格的存在である米国の硬軟両方の意見であるとの解説も真実なのかどうか怪しい。また、北朝鮮の今回の「グアム周辺へのミサイル発射の準備は出来た。金正恩の命令があれば何時でも発射する」という発表は、金正恩の指示のもとに出されてのかどうかわからないのだ。金正恩の意向を「忖度」するフリをし、金正恩に究極の選択を強要すると同時に、ある勢力の利益を考えてだされたかもしれない。
つまり、国家とは単一の人格的存在ではなく、幾つかの意思ある勢力が国家の方向へ力を発揮し、そのベクトル和で国の方向が決まるキメラ的存在なのだ。従って、国家のとる方向は常に予測不可能な部分が存在し、それが国家の状態により大きくなったり小さくなったりする。米国は典型的なキメラ的存在であり、現在の北朝鮮も殆ど予測不可能な情況なのかもしれない。それを念頭において、観測と分析をしなければならないと思う。
最後に、日本はミサイルが上空を通過したとしても、迎撃すべきではない。北朝鮮は公海に落とすと言っているのだから、もし米国からの要請があっても、国際法を重視して迎撃しないという姿勢を米国に通告すべきである。(補足)米国にとことん付き合うのは危険である。ある時点でゴミのように日本を捨てるだろう。米国の戦後の戦略は、日本を徹底的に無力化するためであり、その一つの道具が朝鮮戦争の継続である。つまり、米軍が東アジアに駐留することである。アホな政治家ども、もっと複眼的にものを考えろと言いたい。
補足:これは前回の記事で言及したように厳密には準攻撃とみなして、迎撃することは国際法に違反するわけではないと思う。(しろうとなので、責任持てないが)
しかし、北朝鮮は攻撃ではないというだろうし、それと同じように日本もミサイルのテストであるから、迎撃できないというべきである。米国はグアム近海で迎撃するだろう。日本は、何とかこの機会に自立すべきである。韓国もその路線を現在模索している。日本の方が困難なのは、政界与党には米国の犬状態の人で占められているからである。
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