最近3週間程で中国株(上海での上場)は、30%も値下がりした。昨日かなり持ち直したが、取引中止の銘柄が再び取引を初めて見なければ、本物の回復かどうかわからない。この株価の暴落を、マスコミは390兆円消えたと表現しているが、それは嘘であるという指摘が経済評論家の小笠原さんのブログでなされている。
http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/archives/51635950.html
株価が上がったからといって、GDPに算入されるわけではないとか、過去上がった時に儲けた人がいるとか、を根拠としてあげているが、今一つ解り難い。そこで、もうすこし解り易く説明したいと思う(成功するかどうかは解らない)。
より正しい表現は、「上場している株式全体への市場の評価が390兆円分減少した」である。株式の値打ちは正確に決定できる類いのものではないし、”実際の価値”は誰もわからない。 平均として投資家が、これまで考えていた程の値打ちが無いと考えて株を売り払い、その金で他の株を買わなかったのである。(注釈1)
つまり、それまで(安い値で買って)株を持っていた人が株を売り払い、その代金が株式市場から去ったことを意味している。具体的には、その”390兆円”が証券会社の口座に残るか、或いは銀行に移るだろう。つまり、株を売買する人たちの証券会社の口座残高や銀行口座の預金残高が、全体として390兆円分上昇している筈である(注2)。
株の取引は売買だから、ある人がある株を売れば、必ず別の人がその株を買う。株がある程度高くなってから株式市場に参入した人の中には大損をした人はいるだろうが、2年程前の安値の時から参加している人は、市場から退場した人もそうでない人も、大もうけしているのである。
大衆は他人が幸福になる姿よりも、不幸になる姿を好む。従って、テレビはこれで財産がゼロになったという、悲しむ姿を映し出す。
株価が低下したとしても、マクロに見れば全て上記の様に帳簿上の数字の変化であるが、いろいろな形で経済に影響するだろう。海外の人や企業が売った場合は、最終的にはその金額は元から例えばドルに両替されて海外に流れるだろう。会社の場合は子会社などの株式評価額が減少して、資産額に変化を生じる(注3)かもしれない。すくなくとも担保価値が減少して、銀行が融資に応じない場合も出てくるだろう。兎に角、社会に浮遊するお金の額が減少するのだから、景気に良い筈はない。
ただ、390兆円消えたという表現だけで、その報道を済ませてしまうのなら、誤解を招く。 (午前11:40修正)
注釈:
1)安くなった株を買う人が当然取引には必要だが、その額は他の株を売った金額より平均として少ない。株価の下落は、株の現金化が進むことである。
2)信用取引の場合には、証券会社の投資家への貸し付け残高の減少となる。
3)帳簿価格は低く抑えてあるだろうから、帳簿上の資産額低下にはならない場合が多いだろう。 正しい表現は、「上場している株式全体への市場の評価が390兆円分減少した」である。株式の値打ちは正確に決定できる類いのものではないし、”実際の価値”は誰もわからない。平均として投資家が、これまで考えていた程の値打ちが無いと考えて株を売り払い、その金で他の株を買わなかったのである。(注釈1)
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