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2015年7月27日月曜日

戦後70年談話と”積極的平和外交”に対する懸念

安倍総理の戦後70年談話のための有識者懇談会は21日、最終会合を終えた。 最終的には安倍総理が判断する事だが、その内容がどうなるか、侵略や謝罪といった文言が入るかどうかが注目されている。既に私は、今年1月にこの件について、「村山談話を基本にすべき」と本ブログに書いた

歴史に関する安倍総理の考えはいろいろあるだろうが、日本国民の利益を代表する立場であることを十分考慮して、談話の中身を詰めてもらいたい。一番気になるのは、侵略とか謝罪とかを政治家の視点ではなく、歴史家的視点で語りたいという欲求が安倍総理にあるかもしれないと言う点である。総理に要求されているのは、歴史の究明ではなく、現実主義的視点で、未来に向っての国民の安全と国家の繁栄を考えることである。

哲学者の鶴見俊輔氏が先日亡くなった。氏は「くに」と「国」を使い分けしていたということを新聞記事で読んだ。私流に解釈すると、「くに」は民と土地、更に文化などを含めた、過去から継続した存在であり、「国」はその「くに」を統治する政治機構である。つまり、安倍総理は飛行機とその中の乗員乗客などを含めた日本という「くに」のコックピットである「国」の長なのである。

そのように考えると、以下の様な談話を出す場合に、過剰な抵抗を感じることはないだろう。(注釈1)

”昭和の始めに、日本国が誤って大陸を侵略し、朝鮮半島、中国大陸、及び自国民に多大の損害と苦痛を与えた。連合国の占領を経て、大日本帝国政府から全く新しい体制になったとは言え、その延長上にある現在の日本政府の指導者として、被害を受けた半島及び大陸の民に対して、謝罪の意をここに表明する。”

また、もう一つの気になる点は、安倍総理の積極的平和主義である。それは、中国の南シナ海での違法と思われる海洋進出などを、周辺諸国及び米国と協力する形で、牽制することを意味しているように感じる。しかし、日本の領土を護る場合には、日本の軍隊である自衛隊は使えても、南沙諸島を中国から護るベトナムやフィリピンに協力する形で、自衛隊を使ってはならない。

集団的自衛権行使を可能にすることには賛成であり、それは日本防衛に役立つ筈である。しかし、日本の集団的自衛権行使を可能にする法制に関して、米国の思惑と日本の思惑は微妙に異なるだろう。

安倍内閣の支持率が今日ニュースで流れていた。読売新聞の調査で、支持が38%と大きく低下し、不支持が50%を越えていた。集団的自衛権行使が可能になれば、安倍内閣は米国の下働きを喜んでするのではないかと、国民は疑っているのである。

日本は軍事力を用いて、自国以外が関与する国際紛争に関与することがあってはならない。それは、米国を喜ばすことになっても、日本国民の安全に寄与しないと思う。

安倍総理の積極的平和主義が戦後70年談話に入ることを、私は大いに懸念する。

(以上は、一有権者としての考えです。批判等歓迎します。)

注釈:
1)昨日の記事で、ドイツが戦後とったヨーロッパ諸国からの信頼回復の方法を、ドイツの狡賢さとして書いた。つまり、ドイツの全ての負の遺産をナチスとヒトラーに帰属させて、ドイツ国民一般の罪滅ぼしとしたことである。上記提案はこのドイツの考え方に似ている。

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