注目の投稿

人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2018年3月30日金曜日

日本人なのに日本語が難しい

母国語で一応流暢に喋れる筈の日本語だが、未だに十分理解していないことに出くわす。それほど日本語はわかりにくい言語だと思う。その一例として、私はときどき助詞の「は」と「が」の使い方を間違える。そこから話を始める。
助詞「は」=https://dictionary.goo.ne.jp/jn/172815/meaning/m0u/%E3%81%AF/
助詞「が」=https://dictionary.goo.ne.jp/jn/34931/meaning/m0u/%E3%81%8C/

「私はバカです。」という文章に主語があるのかないのか? この質問に答えられる日本人は少ないだろう。上記辞書によれば、「私は」は「私について述べれば」という意味であり、英語の主格「I (アイ)」と同じ意味ではない。「犬は哺乳動物である。」の「は」も同様である。厳密に言えば、これらの文章には主語は表に出ていない。

「は」は上記のサイトを参照すれば分かるが(当然、広辞苑第二版も同じ記述である)、係助詞であり、体言を受けて主格にする働きはない。 「が」がその働きをする助詞なのだが、「私がバカです。」と言う場合、その前に「誰がバカですか?」という疑問文に答えるという場面がなければ不自然である。

通常の動詞を伴う文章、例えば「私は、これから勉強します。」のなかの「は」も同様である。このような場面でも「私が、これから勉強します」という文章は、単独では使わない。(補足1)

つまり、日本語は主語を嫌う。「AがBをする」などという行為の主体を単一の文章の中に入れるのは、現実の会話の中ではないだろう。それが、対話や議論に極めて不向きな言語である理由だと思う。 対話とは主体と主体の情報交換であり、議論は主体と主体の意見交換だからである。対話や議論という(言語の機能を発揮する中心的な)場面において、二人の間の空間に投げるような日本語の言葉は、不向きである。

「私はバカです」の「です」についても、私は十分わかっていない。「です」を辞書で引くと、”助動詞で、体言、副詞、形容詞、一部の助動詞の連体形、助詞「の」に付く。「である」「だ」の丁寧表現で、相手に対して改まった気持ちを表す。”と書いてある。単に「I am a fool」と言うのに、何故相手に対して改まる必要があるのか。

バカは形容詞又は名詞である。しかし、「私はバカです。」に動詞がない。「です」を英語のbe動詞と考えれば良いかもしれない。しかし、そのアイデアは、「私は、本当にバカだったのです。」の文中の「です」を考えれば、もろく崩れる。「です」をBe動詞とすれば、後の方の「です」は別の品詞として区別する必要があり、日本語文法が益々ややこしくする。

私の言語の構造についての知識は、英語に関して中学校で教わったものである。SVO, SVC, SVOC, SVOOなどの分類は、頭の中に焼き付けられている。Sは主語サブジェクトのSで、Vは動詞(バーブ)のV、Oは目的語(オブジェクト)のOであり、Cは補語(コンプリメント)のCである。

それなのに、日本語の文法の知識は殆ど何もない。小学校で6年間(幼稚園がない山奥だった)、中学校と高校で6年間、国語という日本語の授業を受けたはずである。「は」と「が」の文法も十分しらない。

明治初頭に後の初代文部大臣森有礼が、また、終戦直後に「憲政の神様」尾崎行雄が、国語を英語にすることを主張したという。(補足2) 私も、国語が英語であったらと思う。今はせめて、学校でもう少し日本語の基本をしっかり教えたら良いと思う。現在のような敎育では、日本で日本語がまともに話せる人や書ける人は少数派だろう。いったい学校で国語の時間に何を教えているのだ?

補足:

1)格助詞「が」は、主格だけでなく、目的格や所有格もつくる。「私は猫が好きだ」の「猫が」は目的語であり、「我が妻」の「我が」は所有格である。格助詞「が」についても、何が何だか訳がわからない。 2)志賀直哉は国語をフランス語にしたらどうかと、言ったそうである。「国語外国語化論」で検索すれば、そのような話が出てくる。

振り出しに戻ったのか? 北朝鮮の非核化

 金正恩の訪中とトランプによる中国などに対する報復関税の決定により、米国を始め世界の殆どが参加して行ってきた朝鮮半島非核化の動きは、横座標的には殆ど振り出しにもどり、縦座標としての危機は大きく膨らんだ。

今回の北朝鮮問題は基本的には、朝鮮戦争の当事国である米国、中国、北朝鮮、韓国(形式上は、当事国でない)の四カ国の図式の中で考えるべきだと思う。そこで、縦座標を緊迫のエネルギー、横座標を非核化の動きと定義する。

北朝鮮がどれだけ真剣に非核化を考えるかは、金正恩の米中二カ国からの距離に大きく依存すると思う。文在寅が米朝会談に道を開くまでは、金正恩は中国からも米国からも遠い距離に居た。そして、非核化をある程度真剣に取引材料として考えた。

しかし、米朝会談がセットされると、思考の単純なトランプ大統領は周辺を強硬派で固め米国の怖さを演出することで、北朝鮮の非核化が可能だと考えてしまったのだろう。その間違った自信が、次の問題である対中国の貿易赤字に手をつけ始めてしまったのだろう。

この動きで、中国こそ米国の最大の仮想敵国だという本音を中国や北朝鮮に見せてしまった。その瞬間を見事に捉えたのが、金正恩である。習近平に会談を申し込んだ。張成沢と金正男で、自分を葬り去ろうとした習近平に、朝鮮戦争以来の兄弟国に戻ろうと提案したのだろう。

文在寅韓国大統領が行った米朝会談の橋渡しは、一時尾根伝いにしても平和への道に見えたことがあったが、今は蜃気楼だったかのようである。その蜃気楼に惑わされた安倍総理は、日朝会談を行うつもりになってしまったのは、非常に危ないことだろう。モスクワ在住の北野幸伯氏の記事では、日中国交回復の時のニクソンとキッシンジャーの言葉を思い出すと書かれている。 http://diamond.jp/articles/-/165366?page=1

このブログの筆者は、日本は最後まで蚊帳の外であり、最初からそれで良いと考えてきた。そして、独自の核抑止力などの防衛体制を考えるべきだと書いてきた。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43573275.html そのような考えでいれば、文在寅の熱意で南北会談が開催されることになっても、米朝会談が開催されることになっても、自国の防衛に思考を集中できた筈である。

そもそも、今回の米朝会談などは朝鮮戦争の延長上の問題であり、それに参加しなかった日本は蚊帳の外なのは当然である。何故、焦って日朝会談など米朝会談がどうなるかさっぱり分からない段階で言い出すのだろうか。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43594363.html

上記ダイヤモンドの記事で、北野氏は「自己顕示欲の強いトランプ大統領は、安倍総理の抜け駆けを許さない筈」と書いている。なんという情けない内閣と日本の政治だろうか。西部邁氏の言葉jap.comが思い出される。

安倍総理が英国人アグネス・チャンの息子の結婚披露宴に出席!

安倍晋三と言う人が理解できない。こんなときに、日本で稼ぎながら日本と運命をともにしたくないアグネス・チャン(補足)の子供の結婚式披露宴に出席したのだそうだ。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180329-00000506-san-pol

一般人なら別に何にも言うつもりはないが、安倍晋三氏は日本国総理大臣であり、日本外交は大変な情況にある。まだ日本は滅びていないので、一般には忌引の必要はない。しかし、日本は国難なのだ。

アグネス・チャン一家は北朝鮮からミサイルが飛んで来そうになれば、カナダかどこかに行けば良い。しかし、多くの日本人はそんなことは出来ない。

披露宴の行われた28日といえば、北朝鮮金正恩の中国訪問をどう分析するのか、今後日本はどう北朝鮮と付き合うべきかなどで頭が一杯だと思っていた。しかし、どうも違うようだ。森友といい、加計といい、何かとプライベートが国政と二重写しに見える人のようである。

トランプは強硬派で周囲を固めて米朝会談に望む。北朝鮮は中国を味方につけて、防備をかためている。米朝の間に会談が開かれてもスンナリとはいかないだろう。その場合は、かなり強い衝突の場面が来るかもしれない。そこで、トランプというマッドマンは切れる可能性もある。

その時、米国の某大学がシミュレーションしたように、韓国と日本で210万人の死者が出る事態に成らないとも限らない。そうならない場合は、日本にとって今後核武装した朝鮮と対峙することになる。佐藤優氏がいうように、トランプが日本に「白紙の小切手を北朝鮮に渡せ」と言う可能性がある。https://www.youtube.com/watch?v=hCfTwnS03ug

佐藤氏がいう”日本外交大敗北”の夕方、総理は中国系英国人家庭の披露宴に出席するのか?それが安倍総理にとって普通なのか?

補足:
アグネス・チャンはイギリス籍で、子供は米国で産んで米国籍だと思う。父祖は中国人で、美齢と言う本名は宋美齢(蒋介石の妻)を思い出させる。

2018年3月29日木曜日

金正恩は核保有国のトップとして米国トランプとの会談に臨むだろう

1)金正恩は、訪問した中国で「南朝鮮(韓国)と米国が善意をもって応じ、平和実現のために段階的、共同歩調の措置を取るならば、非核化の問題は解決できる」と表明したと報じられている(3月28日午前13時の毎日新聞)。https://mainichi.jp/articles/20180328/k00/00e/030/257000c?inb=ys

このセリフは、「北朝鮮は核保有国であり、朝鮮半島が安定的平和の地域となるように、米国と非核化を目指して核軍縮の話し合いを行う」と言う意味である。つまり、核保有を認めるとか認めないとか言う話の段階はもうおわったと言いたいのである。

今回の金正恩の中国訪問に関して、3月27日の午前にブログ記事を書いた。(補足1)そこに、中国の要請で金正恩が習近平にあったのだろうと書いたが、それは間違いだった。金正恩にそれほどの自信があるとは思えなかったからである。北朝鮮側から中国に要請したことが3月28日配信のBBCニュースにも書かれている。http://www.bbc.com/news/world-asia-43564834

上記記事の表題「Why Xi’s still the one he needs to see」は、日本語版では「金正恩氏が習近平氏と会わなくてはならなかった理由」となっているが、この訳は正確ではない。上記英語表題は、”今でも北朝鮮が中国の影響内にあり、外交上最重要な相手国であることを金正恩が明確に示した”ことを表現しているが、日本語訳にはそのニアンスは全く欠けているからである。

金正恩の方から中国に要請し、彼の思った通り会談が成功したことは重要な意味を持つ。その一つは、金正恩は北朝鮮を完全に掌握しており、外国訪問してもクーデターの危険性が無いことを、諸外国に示したことである。

中国が、訪問団の歓迎の様子を世界に公開したのは、習近平中国と金正恩北朝鮮というその地域の政治地図と、両国が現在でも兄弟国であるということを明確にするためである。それは、習近平が北朝鮮の指導者としての実力を金正恩に認めたことを意味し、今後北朝鮮への経済制裁を徐々に縮小することを意味している。

現在中国は米国と経済戦争的情況にあり、金正恩は利用価値のある対米交渉の切り札になるだろう。それが、習近平が訪中団を歓迎した大きな理由の筈であり、上記BBCニュースの日本語表題は、主語と目的語を入れ替えてもそのまま成立するだろう。

2)この中朝会談前までは、4月に開催される朝鮮南北会談や5月に予定されている米朝会談を有利に進める上で、金正恩はかなり弱い立場に立たされる可能性があった。しかし、今回これまでの歴史的な(朝鮮戦争以来の)中朝関係を確認出来たことは、この二つ会談に臨む金正恩に大きな力を与えたことになる。

BBCニュースでは、「2月と3月は韓国の文大統領が北朝鮮への対応で主導権を握っていたが、その時期はもうすぐ終わりを告げるかもしれない」と書いている。今回の北朝鮮の非核化問題の主人公は米中朝であり、その開始のベルを鳴らすことで今回の文在寅の仕事は終わりだろう。そして、今後韓国が主役になることは無いだろう。

トランプ大統領は28日のツイッターで「中国の習近平国家主席から昨晩、金正恩氏との会談は非常にうまくいき、金氏が私と会うことを楽しみにしているとのメッセージを受け取った」と書き込んだという。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180328-00000043-jij_afp-int

以前の「金正恩との会談を楽しみにしている」という姿勢にどのような変化があったのか、どこにも書かれていない。会談が困難になることは確かだろう。この件、ロンドン在住の木村正人という人の「北朝鮮の食い逃げ外交を許すな」という記事は、それを危惧しているという内容である。 https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20180328-00083254/

金正恩は、6月にも日本との話し合いをするつもりだと報じる記事もあるが、米朝会談が動き始めた今、日本に慌ててすべきことは無いと思う。(補足2)北朝鮮の話になると、直ぐに拉致問題を出す人が殆どだが、日本外交が拉致問題に“拉致”されている。

拉致被害者を取り戻すべきなのは当然だが、それは日朝外交正常化或いは日朝戦争で解決すべき問題であり、取引の目的物ではない。日朝外交正常化は、朝鮮戦争が終結して米国と北朝鮮の関係が定まらない限りあり得ない。

補足:
1)その時には訪問した北朝鮮要人が金正恩かどうかは不確定だった。明らかになったのは翌日である。https://mainichi.jp/articles/20180328/k00/00e/030/194000c
2)米朝会談の橋渡しをすべきと3月7日に書いた。しかし、その役割が無い以上すべきことは無いと思う。政治家には、日本は韓国を半島唯一の政府と認めた上で、韓国に対して経済協力をした経緯を忘れないでほしい。軟体動物のような得体のしれない外交はすべきでない。

2018年3月28日水曜日

春日井市落合公園の桜

春と言えば桜、気象庁が夫々の地方に標準木を定め、天気予報のときに三部咲き、五部咲き、満開などと紹介する。今の時代でも、桜の下会社員が夕方親睦と慰労のための宴会をする。昔の会社では、花見の場所取りは、新入社員の仕事であったが、今では場所取りの業者が居ると先日テレビで紹介していた。私は、このような騒ぎを馬鹿馬鹿しい日本の風習だと思っている。

それでも、美しいものはやはり美しいので、今年も落合公園の桜見物に30分ほど出かけた。平日の午後(3月28日)にも関わらず、駐車場はほとんど一杯(管理事務所側)で、改めて日本人の桜好きを実感した。


見事な大木のソメイヨシノが並木となって、桜の花のトンネルを作っている。


しだれ桜と池が作る景色もなかなか美しい。


最後の写真は群生したユキヤナギと池の向こうの桜並木である。

春日井市にある落合公園は日本の公園100選の中の一つ。種類の異なる桜が1000本以上あるという。落合公園の面積は20ヘクタール位あるのだろう。中央の大きな池の水は、独自のタワー状のプラントで浄化される。その最上部は展望台になっていて、各階毎に水浄化のプロセスを見学することが出来る。

強制不妊手術と基本的人権:新たな毎日と朝日の反日キャンペーン?

遺伝性精神疾患者等に対する強制不妊手術の実施は、優生保護法(1996年に事実上廃止)を根拠に行われていた。それに対する賠償キャンペーンを毎日新聞、朝日新聞などが行っている。
https://mainichi.jp/articles/20180319/ddm/005/070/019000c

優生保護の考えは、健常者でも食うに困る時代には常識的だっただろう。豊かな時代になり、「強制手術は何が何でも」と人権を優先すべきということになった。1996年のことである。 基本的人権は、生存権、思想信教などを指す。憲法13条には、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とある。優生保護法に基づく強制不妊手術は、憲法によれば、公共の福祉ということになるのだろう。

このような悲しい法律が廃止出来たのは、仮に遺伝性精神疾患の患者が結婚して、精神疾患の子供を産んだとしても、国家の直接的又は間接的関与により、その面倒を見る事ができるからである。ただ、この国にそれだけの余裕がなくなれば、我々は悲しいが再度その法律を定めることになるかもしれない。今後も、この国が今程度に豊かで、個人の権利を現在の程度保障できる国家であることを望みたい。

そのためには、日本は諸外国の中で名誉ある地位と、一定の経済力を持たないといけない。そのような観点で、報道活動をしているか怪しい新聞が、この種の報道をしていることに国民は気付くべきである。

3月19日の毎日新聞社説では、優生保護法を根拠とする不妊手術を受けた人たちのリストアップ調査と、彼等の救済を訴えている。今年になって、宮城県内の女性で初めて国を提訴したという。同社説では、「民事の損害賠償権が20年で消失するなど、救済を阻む壁は高い」と書いているところを見ると、法的賠償が可能だという主張をしているのだろう。

しかし、その根拠を明確に書いていないところを見ると、本音では優生保護法が違憲であるとは毎日新聞も思っていないのだろう。恐らく、この運動を展開する新聞社などに詳細に法的根拠を聞けば、実際の優生手術のプロセスに何らかの過失を発見して、その賠償をすべきだと言うのだろう。
https://www.asahi.com/articles/ASL3T4K7DL3TUTIL011.html

そのような特殊なケースであるということを隠して、国家が違法に基本的人権を無視して大量の断種手術をしたとして、国家の犯罪を宣伝したいのだろう。兎に角日本国を貶める新たなキャンペーンを始めたということらしい。

補足:

強制不妊手術を受けた人に対して、何らかの支援や見舞金はすべきだと思う。違法や違憲でなくても、悲しい事件や災害にあった人たちに支援するのは、国家の一つの役割である。その考えは、従軍慰安婦として日本軍兵士とともに戦いに参加した人たちに対して見舞金を送るというのと同様の根拠を持つだろう。従って、保障という言葉を主張するのは、一部の不法なケースに限られる。この種の言葉「保障」「見舞金」の使用については、国民に十分説明すべきである。

2018年3月27日火曜日

金正恩の中国訪問の理由と動機は何か?

金正恩が中国を訪問した模様である。各紙も報じているらしいが、富坂聡氏のラジオ番組でも紹介されている。金正恩の突然の習近平訪問は衝撃的である。米国を始め、韓国など関係国は事実確認と分析及び対策に余念が無いだろう。日本国も、恐らく外務省の一部だけだろうが、頭をつかっているだろう。内閣官房は、佐川証言のことで頭がいっぱいかもしれない。

上記番組で中国を專門とする富坂氏は、今回の金正恩の中国訪問は北朝鮮側の発案だと思うと言っている。中国側にはそのような力がないからとしている。(補足1)そして富坂氏は、北朝鮮側の動機として、北朝鮮はこれから米国寄りの姿勢をとるので、中国を宥和するために訪問したのだろうと言っている。https://www.youtube.com/watch?v=0J7R0tFa_vE

私には、この富坂氏の考えがわからない。金正恩は何度も習近平に逆らっていたではないのか?中国に乗り込むには、北朝鮮内でクーデターが起こる危険性や中国国内で何か起こる可能性があるので、相当バリアが高いと思うのである。

金正恩が仲良くしていたのは、旧瀋陽軍区の江沢民派ではなかったのか?習近平は、張成沢と組んで、金正男をトップに挿げ替えて北朝鮮を支配しようとしたのではないのか? http://news.nicovideo.jp/watch/nw3107593

私は、金正恩の中国訪問は、中国側の強い要請に従う形で行われたのだと思う。中国は、北朝鮮の非核化の話が、米国、北朝鮮、韓国の三国間で進むことに不快だった筈である。今回の金正恩の訪問が事実なら、中国は歓迎するだろう。最近の米中間の貿易摩擦が、中国にとって北朝鮮問題に介入する動機として加わったと思う。つまり、中国は米中の貿易戦争の武器として、北朝鮮を使いたいのだろう。

今回の会談で、金正恩の北朝鮮は中国の支援の約束を得ることになるだろう。そして習近平の中国から、将来韓国を飲み込む形での朝鮮半島統一を支持及び支援するという約束(密約)を、得るのではないだろうか。金正恩は中国の背後支援を得て、米国の脅しに屈する必要はないとの姿勢で米朝会談に臨むのではないだろうか。

具体的には、今後の核廃絶の要求を完全には履行しないだろう。そして金正日が行ってきたように米国と西欧諸国に対して核廃絶を約束しながら、実際には嵐が去るのを待つような姿勢を取ることになると思う。

ボルトン氏を安全保障担当官にするなど、トランプ大統領は強硬姿勢を印象つけるようにしている。しかし、実際に北朝鮮を攻撃するまでには至らないだろう。

以上、素人なので遠慮なく仮に報道されたことが真実ならという前提で、書いた。読まれた方は、このことを考慮して判断してほしい。

(編集あり:13:30) 補足:
1)中国は貿易問題で米国と張合っており、北朝鮮問題で積極的に動けないと言う意味だと思う。

2018年3月25日日曜日

日本の政治と「官僚の無謬性」について

          (3月25日午前7時、一部編集)

今朝(3/25)のサンデーモーニングで、寺島実郎氏は、“官僚は気の毒な職業だ。このままでは、日本の行政が官邸レベルになり、日本が官邸レベルになる”と言う趣旨の発言をした。内閣人事局が官僚人事を握ることになり、内閣官房の機嫌を損なわないようにしなければいけないことに対する発言である。

その場面に先んじて、近畿財務局が安倍総理周辺の意向を忖度し、森友学園へ不正に国有地を払い下げたのではないかという疑惑をめぐる国会質疑や、その中での自民党和田政宗議員の質問に対する財務省の太田充理財局長の必死に怒りを抑えて答弁する場面が放映されていた。(補足1)

しかし、行政が内閣官邸の意向を反映するのが、日本の政治システムの根幹である。寺島氏は、官僚独裁こそあるべき政治の姿だと思うのだろうか。官僚は、あくまで行政システムのエンジンであり歯車であり、司令塔であってはならない。従って、高級官僚を行政のトップが選任することは、米国でも当然のこととして行われている。

行政トップと行政府の職員の関係は、日米に原則的にはあまり差はないと思う。内閣の判断が下位にある官僚に伝達され、それを円滑に実行するのが官僚の役割である。勿論、実行が困難な場合は、その困難が官邸にフィードバックされて方針を練り直すことはあっても、官僚が独自判断で行政トップの意図に反することをするのは厳禁の筈である。

官僚が独自判断出来るのなら、所謂「官僚の無謬性」は成立しない。この表題にもあげた「官僚の無謬性」は官僚の役割に関する原則論であり、“公務員は誤りを起こさない”という意味ではない。その点については、全く異なったことを主張するサイトがあったので、それを紹介して置きたい。

2)先ず、上記原則論という解釈を取らない人の意見を紹介したい。小池都知事の誕生と同時に有名になった音喜多駿都議のブログに、“なぜ政治・政策はゆっくり・少しずつしか変わることができないか?—官僚の無謬性神話—”と題する記事がある。その政治が少しずつしか変われない理由の説明に、音喜多議員は「官僚の無謬性」を使っている。http://otokitashun.com/blog/daily/9141/

この根底に横たわる重要な概念が「官僚(行政)の無謬性」と呼ばれる、我が国に根強く存在するものです。つまり我が国では、官僚・公務員・行政は間違いを起こさないということになっているのですね。

その後、「官僚の無謬性」に関する説明が始まる。

官僚が行う政策には、長期スパンで行われるものが多く存在します。よってその影響も、何百万・何千万人にも及ぶことが予想されます。これだけ影響力が大きい政策を実行する官僚部隊には、万が一にでも間違いを犯してはいけないという強烈な圧力がかかるわけです。この強迫観念やプレッシャーが高じて、「官僚は間違えてはいけない=官僚は間違えない」という恐ろしい発想に飛躍していくことになります。

政治がなかなか動かないということには同意するが、「官僚の無謬性」の解釈は間違っていると思う。

これとは全く異なった解釈が、元経済産業省官僚の原英史氏によってなされている。ここでは、官僚の無謬性の原則の下での円滑な政治実現の鍵は、政策決定プロセスの可視化だいう議論を展開している。

戦前は、「最終的には天皇陛下がご裁断されたこと」という建前が、責任の所在を覆い隠し、checkをおよそ排除し、「無謬性」原則を形作っていました。現在ではそこに、「みんなで決めたこと」、「最後は国会で決めたこと」、「最終的には、政治家を選んだ国民の判断」といった建前が入り、「無謬性」原則を生かし続けています。

鍵は、一言で言えば「政策決定プロセスの見える化」だろうと思います。

その中で、どこまでが政治家の責任で、どこまでが官僚の責任なのかを明確にしていくことも求められます。その意味でも、きちんとした「政治主導」体制の確立は重要です。「何でもかんでも政治家が決めるのだ」といった類の無邪気な「政治主導」(補足2)ではなく、かといって、旧来の「官僚主導」に回帰するのでもなく。


ここで、「官僚の無謬性」として「官僚は本来無謬であるべき、つまり、政治の責任は政治家にある」という意味で使っていると思われる。http://www.fsight.jp/5752 

3)ここまでの三人の議論は全て、日本の政治をどのように改善するかという話である。寺島氏の批判する官邸レベルの日本の行政(政治)は、日本の政治の原則論を批判していることになり、全くおかしい。何かの勘違いかと思う。内閣人事局の批判は、別の角度から別の根拠で行うべきである。

音喜多氏の政治が微速でしか動かない理由の解釈もおかしい。官僚にその原因を求めるとした場合、しっかりとした歯車として機能していないことである。また、政治家にその原因を求めるとした場合、民主主義における大衆のあり方や役割、そしてそこから優秀な議員を選び出す選挙制度の方向に話をすすめるべきである。

原英史氏の意見にある政策実行プロセスの可視化は、一見その通りだろうが、政治の世界が「清濁併せ呑む世界」なら、理想論にすぎると思う。その方向では、最近の内閣機密費の使い方も可視化すべきということになる。それでは諜報活動など出来はしない。

私は、日本国民の不勉強と劣悪な政治家に政治を任せていることに、日本の政治の停滞の原因があると思う。その克服には、もっと根本から総合的に問題を考えるべきである。それこそ、日本の文化、言語、宗教、歴史それらを総合する視点が不可欠だろう。

その一つの提言として一昨日ブログ記事をかいた。そこで、日本政治の停滞の原因として、一つには選挙民の不勉強とそれを許す文化があり、更に、選挙民の意志を十分汲み取らない日本の一票の格差や選挙制度があると書いた。

補足:
1)民主党野田総理の秘書官をやっていてため、「安倍政権をおとしめるために意図的に変な答弁をしているのではないか」と問いかけた。不適切発言として議事録から削除された。何故、削除するのだろう?残しておいた方が議事の詳細がより生き生きと分かると思う。議事録と議事要旨とは違うと思う。
2)無邪気な政治主導の意味は、おそらく実務的プロセスにおける判断まで政治家に依存するという意味だと思う。ただ、その後の発言は「官僚の無謬性」の原則を否定していて、寺島実郎氏と同じ考えのようにも読める。

2018年3月23日金曜日

日本衰退の一因は“知識人層”が無いことである

1)大前研一氏の「中国にボロ負けして400年の衰退へ向かう日本」と題するmoney voiceに掲載メルマガ記事を読んだ。そこには、その主因として日本の教育制度の貧困さが挙げられている。大前氏は:「今の日本の教育制度は20世紀の大量生産・大量消費時代における中の上くらいの人材を大量につくるものでしかありません。エッジの効いた変わった人材、尖った人材をつくり育て21世紀の経済をシェイプしていくような仕掛けが全くないのです。」と嘆く。

「打つ手がなければ変わった人材を外国から呼び込む方法しかない」が、その議論も進みそうにない。そして、「世界の優秀な人材はみな日本に来たがっているのだ」と、「未だうぬぼれている」と続ける。更に「政治家や役人の状況からみて、日本の病が治る可能性はない。そこで、自分の会社やプライベートにおいて抜本的な改革を行うべきだ」と説く。ただ、その方法は次号と言うところで記事は終わっている。 http://www.mag2.com/p/money/412000/2

以上の日本診断の、“外国人の呼び込み”以外の部分全くその通りだと思う。しかし、その国家としての日本を見捨てる姿勢、プライベートな生き残りに走る姿勢には反対である。本当に日本を憂える気持ちがあるのなら、日本にも大勢いる知識人には、知恵の結集と目に見える行動をしてもらいたいと思う。プライベートな対策では、結局海外に逃げるべきだと言うくらいの答えしか出てこないだろう。

大前氏は、日本再生は人材次第だと考えながら、その問題を殆ど追求していない。私は、素材としての人材は日本にも豊富に存在すると思う。ただ、適材適所に登用する文化がないだけだろう。日本の会社は就職する新人に、未だに封建領主の様な会社と労働者の関係を求めている。

その証拠に、日本では向いていない職場に、鬱病になるまでへばり着いて自殺するケースが多く報道されている。(補足1)つまり、人材の不適切配分と浪費である。「就職とは社畜になること」という現在の労使文化を破壊し、人材の流動性を高めるだけでも、日本社会の空気は一変するだろう。勿論、ネックとなっているのは政治である。その解決法は最後のセクションで考える。

2)文化的な面でもう少し考える。原因の背景に、日本の悪しき平等主義がある。日本は、収入も何もかも平等では無いという人もいるだろう。しかし、経済待遇において個別に多少の差があっても、或いは局所的に差があっても、日本社会を牽引すべき知識人層など経済的配慮の面では存在しない。(補足2)つまり、そのような意識を持つ人間は個人として存在するのみであり、社会が或いは文化において、意識される程度の層を形成していない。

「厚切りジェイソン氏」(芸名)がVoice4月号に「意識高い系」で何が悪いという表題で、日本診断をしている。その考えを私流に解釈すれば、それは日本に知識人層が存在しないということになると思う。そのため、その層に入るべき人たちが社会の大多数の非知識人の中にばらまかれ、知識人層であるという自覚、役割を果す動機や義務感もないのである。それが大前氏のような発言を生む。

その結果、「アメリカ人は成功するために働いている。それに対して、日本人は失敗しないために働いている」という、厚切りジェイソン氏の指摘したような労働文化が主として知識人層に入るべき人たちの間で蔓延ることになるのである。その代表的人種が霞が関の官僚たちである。

知識人層に属するべき人がいても、日本にはそのような階層がないため、取っ付きにくい相手とか、理屈屋とか、学校秀才とかいう言葉で、多数派から煙たがられたり馬鹿にされたりする。(補足3)勿論、本当の理屈屋で役立たずの人もかなりいるだろうが、悪しき平等主義文化の保存のために、知識人層全体を馬鹿にするためのラベルに用いられている。日本で知識人と認識されているのは、単にマスコミに乗った人物である場合が多く、多少の知識とずる賢さや芸を持っている人たちである。

厚切りジェイソン氏の言う「意識高い系」が、「知識人層」と言える社会的階層に成長するだけで、日本は再生の道を歩むだろう。そして、知識人層に属さないような政治家は日本から消える筈である。官僚も、たまたま国会答弁などで表に出た場合、各人がもっと個性を表に出せる、個人として威厳を持った人たちになるだろう。そして、知識人層に属さない政治家が本来知識人層に属する筈の下野した官僚を呼び捨てにしたり出来ない社会になるだろう。

そのための方法には側面ごとに考えねばならないが、鍵となるのは労働の流動性を増加させることである。労働の流動性が実現するためには、年齢給的給与体系を廃止することを、労使の間を契約の際に必須条件とする。それらが実現すれば、自然と資格や仕事の質に対する報酬が十分支払われることになるだろう。それは、知識人に自信と威厳を取り戻させることになるだろう。(補足4)

日本の問題の多くは、西欧的政治経済システムを導入しながら、その本質を理解していないことに起因する。

3)更に、政治改革について少し述べたい。西欧の民主政を導入したのだから、一票の格差は完全撤廃すべきである。大前氏も述べているように、現在の与党の政治家を含めて多くの政治家は家業として政治家をついでいる。それが政治家のレベルの低い第一の原因である。彼等は田舎に地盤を持ち、組織化された少数の票で国会に出てきている。それを劇的に変えるのは、一票の格差の完全撤廃である。

現在の政治家は、家業が継げなくなるので反対だろう。しかし、それをやらなければ日本は潰れる。それを目指す運動を大前氏ら著名人らが、著名人であるという責任(高貴なるものの責任)を感じてやってもらいたい。

道は2つある。一つは最高裁に一票の格差の完全撤廃をさせるために、総選挙の際に全ての最高裁判事に☓をつけるのである。その運動を展開するだけでも、最高裁判事の意識が変わるだろう。☓をつける理由は、彼等は三権の内の司法を担当せずに、行政の下に従属することで、独自の判断を放棄し利己的怠惰な姿勢に浸かっているからである。一票の格差が二倍までなら良いなんて、憲法のどこに書いてあるのか?そのような判断は、彼等最高裁判事の国民を裏切るサボタージュである。

もう一つは、大選挙区による国会議員の選出である。全国を、例えば北海道、東北、関東、北陸、中部、近畿、四国、九州、沖縄&奄美の9選挙区に分けて、完全に人口当たりの定員をつけるのである。現在、国家の政治において小さい選挙区の事情を考慮する必要は少ない。それに、コミュニケーションは全国同時に均一に可能になっている。そこで、この案を提出すれば、反論は困難だろう。小さい選挙区の政治は地方自治体の議員から吸い上げることが可能である。

この考えは、橋下徹氏の道州制に似ているが、政治単位として道州を設けるのは、時間がかかるようなら、取り敢えず国会議員選挙のみ“道州制”を導入すれば良いと思う。日本の知識人、特にその中の有名人には、この日本国の危機に際して、責任を果たしてもらいたい。嘆くのは簡単だ。行動するのは難しい。

補足:

1)東大卒の電通社員の自殺について書いた事がある。彼女は何故退社して、出直さなかったのか。それを邪魔しているのは何か考えるべきである。また、本当に彼女が不向きではあるが電通の仕事がしたかったのなら、労災保険の適用はすべきでない。
https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43005301.html
2)同じ国立研究所に勤務した普通の高卒公務員の年金よりも、博士号を持ち海外留学(ポスドク)を経て、25年以上研究公務員で働いた人間の年金の方が低い。高い研究実績を上げても、それではnoblesse obligeも誇りも持てる筈がない。
3)厚切りジェイソン氏は“少なくとも「あなたは人生で何が大事で、何をやり遂げたい?」と聞かれたときに、自分の答えを語れなくてはいけないでしょう。日本ではそのように向上心を持つ人が何故か「意識高い系」と馬鹿にされがちですが、その意識こそが他の動物にない素晴らしい部分だと私は思います。”と書いている。(Voice 4 月号174頁)このような背景が、本来知識人のクラスに入る知的な人でも、若い頃考えるべき上記「?」を、まともに考えた経験がない場合が多い。
4)19日の参院予算委員会で、自民党の和田政宗氏が財務省の太田充理財局長を攻撃し、太田氏が気色ばんで反論する場面があった。あの失礼な知的でない発言に対して、あのような抑制した反撃しか出来ないのが気の毒だった。

2018年3月20日火曜日

森友疑惑の正念場:真実は意外な所にあるだろう

3月23日: 追補をいれました。 (昨日の最後の記事は詳細に書いた。読みにくい可能性があるので、短く内容をまとめた)

森友問題も正念場となった。今日、葛飾区議会議員の立花孝志氏が公表したyoutube動画に非常に有力な説がアップされた。https://www.youtube.com/watch?v=mpcEdg11SgU

当初財務省は、森友学園が開校を目指す瑞穂の国記念小学校が、日本会議だけでなく安倍総理夫人(そして安倍総理自身)の支援があると勘違いしたことで始まるという説である。そして、その開校を異なった意図から応援をしたのが、大阪維新の会であり、更に建設会社の藤原工業や京都の設計会社である。

当時大阪維新の会の橋下氏や小学校開校の許認可権を持つ松井大阪府知事は、安倍総理と近い関係にあり、財務省はこれら全て(つまり森友学園、大阪維新の会、藤原工業など建設屋の三つのグループ)を安倍総理の意向を汲んで動いていると考え、法を無視してまで全面的な協力を始めた。それを利用して、これら全部あるいは一部が最終的にはゴミ処理費用として8億円を敷地購入費として値引きさせることを画策した。

もちろん、その全てではなく、かなりの部分を学園側が負担するとすれば、利益はその残りのグループが得るので、三方(あるいは二方かもしれない)数億の得という計算になる。(立花氏が維新側関係者として名前をあげて居るのは、橋下氏や松井氏ではなく、もっと下位の安倍府会議員である。)

ところが、国会で8億円値引きの話が取り上げられ、安倍総理が「自分または夫人がこの件に関係したとすれば、総理だけでなく議員も辞める」と言ったことで、財務省は安倍総理周辺の意向ではないと気づいた。その動きをいち早く察知したのが、上記三つのグループの間を取り持っていた、森友学園の顧問弁護士の酒井氏である。

酒井氏は籠池氏に、「このままでは大変なことになる」と言って、小学校開設願いを大阪府から取り下げさせた。近畿財務局の理財部では、これまでの証拠を隠すための書類書き換えに走った。それは不正に加担した自分たちを守るためのものであり、本省の理財局などは直接関係ない。(もちろん、書き換えの事情を話した可能性は高い。本省は財務省防衛のためにそれを許可した。) 以上が立花孝志氏の推理である。これ以上の詳細は、酒井弁護士の証言がなければ明らかにならないだろう。(補足1)今日は国会で集中審議がなされていたが、堂々巡りで何も新しいものは出なかった。与党側は佐川理財局長の証人喚問を延期した。

以上の話は安倍明恵夫人にも立花氏から知らされているので、新しい人が証人として呼ばれるかもしれない。また、この問題で正念場を向かえた人も居る可能性が高く、第3の犠牲者が出る可能性もある。そのようにはならないことを祈りたい。

追補(3/23): https://www.youtube.com/watch?v=dVoTSMZnbgQ

補足:
1)佐川氏の喚問では、上記モデルを想定して誘導すれば、近畿財務局の事情を喋る可能性があると思う。

2018年3月19日月曜日

森友事件の国会審議は真実究明の方向とは程遠い

追補:このブログ投稿直前に足立孝志氏による解説がyoutubeにだされた。その考え方と以下は全く同じです。 https://www.youtube.com/watch?v=mpcEdg11SgU

森友事件の国会審議が続いて居るが、それは事実究明の方よりも財務省の公文書改竄に重点が置かれて居る。昨年変死した田中造園土木の秋山社長は、自殺とされているが、何故自殺しなければならなかったのか?それに、今年の1月に自殺したとされる、森友学園用地の売却担当の財務省近畿財務局金融監督第三課上席調査官の赤木俊夫氏も、何故自殺する必要があったのか?

これらは国会の審議の方向、つまり安倍総理と財務省の責任を追求する方向では、全く解明されない。何故なら、予め政府中枢の支援で計画されたものなら、もっと単純な話であった筈で、恐らく何も明らかにならずに、今頃は森友学園は小学校を開校していただろう。

国会は、公文書改竄の追求よりも事件全体の真実解明を考えた方が、より短時間で財務省の責任なども明らかにできるだろう。その鍵は何かについて元NHK職員で東京都葛飾区の区会議員の足立孝志氏がyoutube動画で発信して居る。 https://www.youtube.com/watch?v=mpcEdg11SgU

「森友事件」の大きな流れは、以下の様に考えられる:
①大阪府松井知事が、森友学園名義で敷地を持たないのに学園側に小学校開校認可適当という通知を、ルールを無視してまで行った。(これは、単なるミスではすまされない。)
②その通知を根拠にして、小学校開設認可が降りるのなら、随意契約で国有地売却が可能だという判断を財務省がした。
③財務省が森友学園に実際に国有地を売却するのなら、瑞穂の国記念小学校の開設を大阪府は認可することができる。
④その一連のプロセスを森友学園側にあって手続きをしたのが、酒井康生弁護士であったが、昨年3月に籠池氏に小学校開校願の大阪府からの取り下げを勧め、取り下げられたことを確認した後、顧問弁護士を辞めた。

つまり、大阪府松井知事の離れ業で小学校開校とその用地の財務省による売却が可能になった。この辺りを徹底的に追求すべきである。開校申請の取り下げた後、籠池氏が「松井知事にはしごを外された」という類の話をしていたことが思い出される。

③と④の間に、
⑤財務省による敷地内で発見されたゴミの撤去費用として数千万円が支払われた。
⑥3m以上の深部でのゴミの存在を主張し、その撤去費用として9億円あまり必要だと藤原工業が虚偽の試算をした。https://mainichi.jp/articles/20171116/k00/00e/040/280000c
⑦その虚偽の試算をもって、売却予定敷地の8億円値引きなどの決定を理財局がする。
⑧8億円値引き問題が表面化したので、安倍総理による「関与したのなら議員も辞める」との無関係宣言がおこなわれた。

財務省は、恐らく大阪府の知事や前知事の橋下徹氏らと安倍総理が一緒に食事するなどの関係があること、瑞穂の国記念小学校の名誉校長の名前に安倍総理夫人の名前があることなどから、①〜⑦のプロセスに安倍総理の強い関与があると勘違いした可能性があり、そのために⑤〜⑦の主として業者側が仕組んだことも総理周辺が背後にあると考えていた可能性がある。

ところが⑧の安倍総理の強い非関与の発言で、自分たちが総理周辺の意向と思って行っていた特例的なことが、安倍総理周辺でなく自分たちと森友学園、その背後にある工事業者による犯罪行為であることに気付いた。背後に安倍総理が居ると思って行った破格の学園側への配慮の責任も、自分たちがとる必要があることがわかった。

そこで書類の改竄を行なって、全く最初から合法的で一点の曇りもないものとして、処理をしようとしたのではないか。

従って、その真相を明らかにするには先ず上記①〜④の解明がなければ明らかにならない。書き換え疑惑の本当の動機や犯罪性も、上記①〜④の解明がなければ明らかにならない。上記①〜④のプロセスと深い関係があるのは、死亡した藤原工業の下請け会社である田中造園工業の秋山肇社長と財務省の赤木俊夫氏、そして、藤原工業の経営者や担当者、松井大阪府知事、それに森友学園の顧問弁護士だった酒井康生氏などである。(参考:https://www.youtube.com/watch?v=mpcEdg11SgU
http://trd.111e.jp/index.php?QBlog-20170418-2

これらの人、特に酒井弁護士の証言があれば、真相が明らかになる可能性があると、足立孝志氏が動画で発言して居る。是非、真相究明してもらいたい。鍵となるのは酒井弁護士の本当の立場である。森友学園側の利益のために働いていたのか、それとも藤原工業などの金儲けを企んだ側の人であるのか?後者の可能性を上記立花氏は考えている。それから松井知事は何を考えていたか? 彼らが、正に鍵を握る人物である。

なお、今日の森友問題関係の国会審議を見たが、野党議員はほとんど出ていない。この事に関連して、元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏は、「決済資料の書き換えからこの件への総理の関与を裏付けるものは出てこないからである。また更に追求すれば、あの辺りの土地取引の真相究明に向かい、そこで問題として出てくるのは、日本会議以外の日本の強力な政治団体の関与があり、やぶ蛇的なことになる」と言っている。 https://www.youtube.com/watch?v=s12HlYKbx7k(8分30秒以降)

法治主義の欠陥に気づくべき:森友問題の行く末は?

1)法治主義(補足1)を背景に統治を行う国家が、法治国家である。国家の構成員とその構造、機能、構成員間の関係、及びそのあり方などについての全てを法律で定め、それに基づき国家を統治する。一方、統治者の徳で国を治めるのが徳治国家である。西欧の近代国家は前者であり、昔の中国や日本など東アジアの儒教国家は後者であったとされる。

東アジアも、産業革命をいち早く成し遂げた西欧諸国の法治主義を模倣して、現在は法治国家らしくなっている。しかし、東アジア諸国では徳治主義の残像が残っている。森友問題などは、法治主義と徳治主義の混在がその原因の一つなのだろう。「徳治思想を残像として葬り去って良いのだろうか?」が、今日の主題である。

海外で森友問題は「アベゲート」と呼ばれ、日本よりも事件性が強調されている。日本では安倍総理を守るべきとの主張も強いが、「厳格な法治主義者」を演じる野党の言葉の方が生き生きとしている。それは亡国のシナリオの可能性が高い。(補足2)

そのように考えた時、私の脳裏に「法治主義は万能なのか?」という疑問が湧く。東アジア文化圏に生きているので、答えはすぐ「NO」と出る。そして、「法治主義を万能と考える政治システムの欠陥に苦しんでいるのが、世界の実相ではないのか?」という疑問が新たに湧く。

2)人間は機械ではない。それと同様に、人間が作る社会も機械ではない。それを機械のように考えて社会を統治しようというのが法治主義である。「主義」であるからイデオロギー(理想論)であり、頭の硬い連中がハマり易いドツボのようなものである。機械の歯車はルールつまり法によって規則正しく動くが、社会を構成する人間は歯車ではなく、ルールに従うとは限らない。法治主義を厳格に追求すると、人は生きる空間を失う。(補足3)

「悪法も法なり」と毒杯を仰いだソクラテスは正しかったのか?おそらく古代ギリシャでは正しかったのだろうが、現在の世界では正しくないだろう。ここで言いたいのは「悪法」と「善法」があったとしても、それは状況により異なるということである。

社会の大多数の人間と子孫にとって幸せとなるように、法は制定されなければならない。そして、その判断は漠然とした概念ではあるが「徳」によってなされるべきである。つまり、優れた知性が徳で判断して書いた法により統治するのが、さしあたり善い法だろう。我々人間はそのような言葉にできない存在であり、その人間が社会をつくって生きていることを知るべきである。

その知性に欠けているのが、野党の連中である。野党構成員の多くは元社会主義者であり、良いルールを定めれば楽園ができるという思想に縛られた「楽天主義者」である。その「楽天」は、悲惨な結末に至るまで脳を支配する薬物のように作用することは、既にベルリンの壁崩壊以後の歴史が証明している。

法は言葉にしたルールであり、言葉にした瞬間に何か大事なものを失う。徳とか善とかいう漠然の中に、人は生きて居る。そのような面を、西欧一神教の世界は失って居る。

3)西欧社会の原点に聖書がある。何度も引用するのだが、ヨハネによる福音書の冒頭に「はじめに言葉があった。言葉は神とともにあった。言葉は神であった。この方ははじめに神とともにおられた。全てのものはこれによってできた。」とある。

ここで言葉とは「ロゴス」でありキリストのことであると協会の方々は言う。Logosはギリシャ語で概念、思想、理由などを意味し、論理(logic)と語源を共有する。素人っぽい漠然とした感覚だが、法(legislation)も同じ語源だろう。つまり、神のこの世界の設計書を言葉にしたのが、西欧社会の法に対する感覚だと思う。

その思想は、「人間は精巧にできた機械であるという考えから、それが作る社会も機械であり、それは一定のルールで動かなければならない。何か異常があればそれを直すのが、法である」という法治主義に至るのである。

人は当然、神の言葉に従わなければならない。神の言葉に従わないものは人ではない。そこに西欧文化の恐ろしさがある。神の言葉が、何時の間にか自分たちがつくった法に入れ替わっているとしたら、法治主義の行き着く先は何か?

機械論は科学として自然現象の解明方法として取り入れられ、大きな成果を得た。それを元に、西欧は産業革命を成し遂げ、蒸気船から原爆まで開発して世界を制覇した。今、立ち止まって考えるべきである。人は機械なのか、人間社会は機械なのかと。

中途半端だが、今日はここで終わる。(補足4)

補足:
1)この知恵、或いは政治文化は、ヨーロッパで生じた。その背景にあるのが、一神教であると思う。韓非子などで知られる中国の法家も法治主義を説いたというが、それは現在まで継続していない。
2)法で国家を治めるには、権威と権力、そして、権力に付随した行政力がなければならない。権力だけで、恐怖政治的に法を適用したのでは、治めるということにはならないと思う。おそらく地検特捜部がリークした情報により深刻化した政権は、佐川氏の説明次第ではさらに追い込まれる可能性もある。https://news.yahoo.co.jp/pickup/6275454
なお、「地検特捜部の前身は”隠匿退蔵物資事件捜査部”であり、それは米軍占領下で日本の何処かに隠された資産を探し出すために米国により創設された。この部署は検察庁法にも明確な規定されない隠れ組織であり、徹底的にワシントンの利益のためにつくられた組織である」という指摘がある。勿論、事件の解明と法による処罰をするのは当然としても、日本国民はこの問題と政治の問題を考えるべきだろう。 http://www.mag2.com/p/money/410045/4?l=usr08bcbff
3)自動車の制限速度が道路ごと場所ごとに決められている。それを厳格に守れば、不自然な運転となるだろう。また、信号が黄色になれば交差点に入ることは禁止され、交差点に居る車は交差点から出なければならない。しかし、信号を見てその判断をするのは生身の人間である。黄色に変わった瞬間にブレーキを掛けて交差点直前で止まれば、間違いなく追突されるだろう。本当は、「黄色になってから零点何秒後かには、交差点に入ってはならない」に改めるべきだろう。しかし、その秒数は年齢や人によりことなる。それらを考えて、幾分曖昧にルールを適用している。その曖昧さが、人に生きる空間を与える。
4)私は、昨日まで持論の法治思想から、今朝突然徳治思想に鞍替えした格好になって居る。しかしその議論を中途半端(曖昧)にして、後に残して一応ここで終わる。

2018年3月17日土曜日

日本は戦後最大の危機にある

現在、日本は戦後最大の危機にある。その中心にあるのが北朝鮮問題なのは、誰しも分かる。しかし、その危機を煽る背景として森友疑惑もあるとしたら、我々国民はどうしたら良いのか。(補足1)「福山さん、福島さん、立憲民主党の皆さん、野党の皆さん、日本国民の生命の安全を第一に考えて下さい」というしかない。

しかし、日米関係と同様、特定の人や政党を盲信しては身の破滅に至るかもしれないので、地道に北朝鮮問題に戻って考えてみる。丁度、事の本質を正確に議論していると思われるyoutube動画を見つけたので紹介したい。参議院予算委員会3月13日の青山繁晴氏の公述人を招いての質疑である。

1)3月13日参議院予算委員会において、有識者から意見を聴く公聴会が開かれた。青山繁晴氏はその中で、米朝会談について公述人として招聘された小此木政夫氏と前泊博盛氏の意見を聞いた。以下話の順序は、理解し易い様に入れ替えたので、実際の進行とは異なる。 https://www.youtube.com/watch?v=pmBP9urIGjI

その中で、小此木氏は米朝会談が間違いなく行われるだろうと語った。その理由として、「北朝鮮はそれに賭けている」という表現で、現在彼の国は相当危機的情況にあることを示唆した。素人ながら私も全体の様子から、全く同じ考えでこのテーマに関してブログ記事を書いてきた。(https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2018/03/blog-post_87.html;補足2)

青山氏は、小此木氏が「文在寅政権は親北政権というよりも、左派民族政権であって、基本政策は南北の統一である」と指摘していることに言及した上で、「トランプ大統領と金正恩の話が行われるのなら、核兵器撤廃ではなく(南北統一の場合不要になる)在韓米軍の撤退が第一(本当)のテーマになるとお考えでしょうか?」と質問した。

これに対して、小此木氏は「南北が現在のところ目指しているのは統一ではなく、共存だと思う」と答えた。つまり、在韓米軍の撤退を求めるという話にはならないだろうという意見である。続いて、米朝会談の結果として米朝和平の話が進む可能性があり、それは日本では衝撃的に受け取られ「日朝の国交正常化の話をしなくては良いのか」という議論が起こるだろうと証言した。(補足2,3)

また、核兵器の廃絶に関して、「短期的に北朝鮮からの核廃絶を考えれば米朝開戦以外にはないので、具体的にどのように折り合いをつけるかは、話し合ってみなければ分からない」(補足4)と答えている。また、同じく参考人であった前泊博盛氏は、「北朝鮮の核廃棄の問題は、“中国等の核保有国を含めて、この地域で核兵器に頼らない外交をどのように実現させるか”という大きな問題の一つとして、最後に残る」と答えた。

筆者は、前泊氏は“北朝鮮の核武装を現状のまま認めるという話になる”と意識してこの発言をされたのか判断しかねる。(補足5)ここでは議論は進まなかったが、この方向の先において日本がすべきは、日本も核抑止力を持つべきであるという議論である。この議論が出来る雰囲気に全くないのが、表題の「日本の戦後最大の危機」の一つである。

2)更に青山氏は拉致被害者の救出について、どのようにお考えかと参考人に聞いている。この点について、小此木氏は日朝国交正常化と拉致問題解決については、「小泉政権のときの(一部)成功もあり、日本の独自外交で達成すべきだ」と答えた。前泊氏も、基本的に日本が独自に交渉すべきだと答えている。

国会などで拉致問題が出るとき、筆者は何時も“何故、拉致被害者をどう救出するか”という問題の立て方をするのか不思議に思う。何度も書くのだが、国民を全く外交関係のない地域の人(或いは動物)に拉致された責任は、日本政府にある。国境警備や外交を正しく行って来なかったからである。

相手は外交関係のない北朝鮮であるから、外交関係を樹立するか戦争で奪回するかしか解決する方法はない。つまり、拉致被害者の問題は北朝鮮との外交関係樹立と別に考える問題ではない。(補足6)政治家も国民が理解できるように話すのはわかるが、本質を曲げて話すのは背信的である。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/41726113.html

更にこの問題について前泊氏は、「日朝国交正常化の話は、米国には余分な干渉をしないという約束を得て再開すべきである」と答えた。しかし、日朝国交正常化の問題は、米国の朝鮮半島政策と密接に絡んでいるので、これまでの米国政府を念頭においたのなら上記前泊氏の発言はあり得ない。

つまり、米国の伝統的政治勢力が東アジアの覇権維持のために朝鮮戦争とその休戦状態を必要としてきた。小泉政権のとき、日朝の国交正常化がこの米国の基本政策に合致しないので干渉したのである。しかしトランプ大統領はこの伝統的米国の政策自体に反対であり、本心で動けばそれ(日朝関係に不干渉)を聞き入れるのに何の抵抗もないだろう。

つまり、トランプ大統領は、全ての国家は夫々独自に国益を考えて行動すれば良いという考えであり、米国に伝統的なグローバル政治経済政策という米国一国覇権制に批判的である。一方、多くの米国の政治家や政府関係者は、ティラーソン前国務長官を含めて、その伝統的な勢力の中にいる。それが、トランプ政権が安定しない本質的原因だと思う。

従って、トランプ大統領の内心には、北朝鮮も一定の核武装をしても当然であるという考えがある。それを政治家や外交専門家は知らない筈はない。(補足7)その考え方に最も遠いのが、現在の日本の政治に関わる政治家や官僚である。その考えを、まるで火の粉をはたき落とすかのように嫌うのが、彼等米国盲従派である。ここからの脱却を考えているのが、安倍総理でありその近くにいると思われる青山繁晴氏だろう。そして、その応援団の中に居るのが上記馬渕睦夫氏らである。

その安倍外交に反対している勢力が、温存してきた森友問題の核心的部分を武器に安倍政権倒閣の攻撃を始めたと考えるのは、間違いだろうか。公文書を改竄してでも時の政権に盲従する公務員組織を持つ日本の姿は、もう一つの「日本の戦後最大の危機」であり、第1の危機の原因でもある。その2つの危機に挟まれて、日本国と日本国民は非常に危ない情況に追い込まれていると思う。

根本的な治療は無い。差し当たり、安倍総理が森友問題の核心にはないことを祈るしかない。長期的には、本音を喋る関西地方か中部地方に遷都すること、公務員採用法の新卒一斉採用という方法の廃止などを提案したい。新しい日本は、新しい人材でつくるべきである。一票の格差の完全撤廃を通して、薩長などの田舎の票田勢力から政治を取り返すことしか最終的に日本再生はないのではないか。

補足:

1)公文書改竄は民主主義の根幹を揺るがす事態である。そのような話があったのなら、何故もっと早くださないのか。今、日米韓が密接に連絡を取り合わなければならないときに合わせて、何故だしてくるのか。
2)米朝会談に向けて韓国側から出た北朝鮮側の考え、「北朝鮮に対する軍事的脅威が解消され、体制の安全が保障されるのなら核保有の理由はない」という文中の「体制の安全」を拡大解釈して、米朝会談を破壊したい人達、つまり対米完全従属派が日本に多い。テレビ出演度の異常に高い政治評論家の宮家邦彦氏も「北朝鮮は何も言っていない」と形式論に固執している。(補足7に引用した動画9:00〜)一方青山氏は、その考えを否定している。https://www.youtube.com/watch?v=IhsgcS7m-cQ
3)この国会質問は13日のことだが、その後16日午後、韓国文在寅との電話会談で安倍総理は日朝会談に意欲を示したと韓国側報道官から説明があったと報道されている。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180316-00000063-reut-kr
4)ジョン・ホプキンス大学が、米朝開戦がどの様な人的被害をもたらすかを試算したという。その結果は、ソールや東京などで死者210万人、負傷者770万人だという。https://www.asahi.com/articles/ASKB6560WKB6UHBI02J.html
5)通常の言語文化下であれば、前泊氏は「はい、北朝鮮は今回の会談の結果として核廃絶はしないと思います」と答えるだろう。何故、日本語でこのような答弁が可能になるのか?それは日本語表現が、話し手や聞き手の感情が大きく入る構造になっているからだと思う。このあたりについては、ブログやホームページに何度も書いてきた。山本七平の言う空体語と実体語への分裂も、日本語のこの特徴が関係していると思う。
6)拉致の被害にあった人は、戦争で捕虜になった人に似ている。戦争終結や講和と別に、捕虜救出問題を考える人は、政治家や外交専門家には居ないだろう。

7)「ティラーソンは、トランプは馬鹿だと言ったことを一度も否定しなかった」と、宮家邦彦氏は言っていた。宮家氏もそのように思っている米国追従派の一人である。小此木氏らの話の動画と以下の動画(9分以降)を聴き比べて欲しい。https://www.youtube.com/watch?v=fMyLNLA6ocA&lc=z23nh52hgviwulsxb04t1aokgwheldmnqorfyjy2ojlxrk0h00410
上記動画では、宮家氏は「役人の本音は自分の権限と組織を守ること」と言っている。この人は、それを本当に当然のことと考えているのだろうか。

2018年3月15日木曜日

公文書改竄は命令系統を外しては行い難い:森友問題

公文書偽造(森友学園用地売却に関する決裁書)に関して、藤井聡内閣参与が怒っている。しかし、その偽造の動機や発生メカニズムなどについては語らずに、ただ怒っている。理系人間が生まれつき持つ、政治&歴史音痴の典型的症状である。https://www.youtube.com/watch?v=WEtRbtFzIyA (補足1)

森友問題は、最終的に内閣官房まで燃やすだろう。独裁国なら別だが、大火事で何故か火元だけ焼け残ったなんてありえないのだから。つまり、当時財務省理財局長の佐川氏などが知らないうちに、文書の書き換えが起こった筈がない。先日自殺した近畿財務局金融監督第三課上席調査官の赤木俊夫と言う方は、「本省の指示で書き換えに関与した」というメモをのこしていたという。
http://newsplusalpha.net/archives/7696518.html
https://brandnew-s.com/2018/03/09/akagitoshio2/

もしそれが真実なら、その指示は組織の命令系統を下って赤木氏に至っただろう。何故なら、誰だって違法行為は身の破滅に繋がるので、やりたくはないからである。国家公務員なら、公文書改竄の罪は知っている。それを行うのは、自分の身の安全を保障する何かがある場合である。それは、通常業務の場合と比べて上司の命令で行うことが実証可能な場合である。公務員という職種の取得は、身分の安定が唯一と言っていいくらいなのだから。

仮に違法行為の決済文書の改竄の指示が、佐川理財局長から直接来たとすると、「先ず、上司に指示を出してください」と言って躱せることができる。したがって、上の組織図にあるように近畿財務局長、理財部長、金融監督第三課の系統を下った指示の筈だと思う。その系統を外れて、そのような重罪となる(補足2)可能性の指示は伝達できないだろう。

そのように考えると、その最初の指示が出せるのは財務大臣ということになる。国会答弁に合わせるように最初からデザインされた公文書改竄だろう。時間の前後なんか関係ない。そして、佐川氏はその組織の功績により、国税局長に出世できたのだろう。

佐川元理財局長の罪が問われるのなら、当時の財務大臣と近畿財務局長こそ、先ずその責任を問われなければならないと思う。

何故、赤木上席調査官は自殺したのだろうか。この疑問は残る。おそらく技官なのだろう。組織の命令に従うしか、何も為しえなかった自分の不名誉を雪ぐためのものなのだろうか?それは今後明らかにされるだろう。

この問題が再燃したように見えるのは、検察庁特捜部のリークだという話が佐藤優氏によりなされている。よくわかる説明である。https://www.youtube.com/watch?v=GNV3LIEnJks

補足:

1)最近のブログに書いたように、現代は歴史というゴミ山の上の楼閣に過ぎない。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43572309.html 公文書偽造(改竄)にそんなに怒るのなら、古事記や日本書紀などの歴史の偽造についてはどう思うのか。まさか、日本つまり大和朝廷の歴史は、2600年前に遡るということを信じているのだろうか?
2)この重罪という点は、藤井内閣参与の考えの通りである。近代民主政治の基礎の基礎が、公文書の保存にある。しかし、その保存の原則が日本にはない。佐川理財局長が国会で答弁したように、「契約成立をもって、決済文書の役割が終わる」という詭弁というかインチキがまかり通る国である。

2018年3月13日火曜日

森友学園事件再考察

1)近畿財務局が2016年6月、安倍総理夫人が名誉校長になっている森友学園に対して、豊中市の敷地を破格の価格(地下埋蔵物の存在などの理由で8億円値引き)で、随意契約で売却したことを、朝日新聞が報じたのが2017年2月9日である。この土地は2012年1月に大阪音大が7億円で購入申し込みをしたが、時価9億円を下回るとして拒絶された(2012年7月)経緯がある。(補足1)

その売却の背後に、森友学園経営者が日本会議のメンバーであり、安倍総理または総理夫人との関係を利用して不正に廉価で取得したとの疑いがある。日本の国会がこの一年、もう一つの加計学園問題とともに占拠された感じである。両方共、自民党は必死に火消し役に回るが、煙は消えることが無かった。安倍総理の関与が極めて濃厚だと言うのが国民一般の理解である。

その審議の際に、森友学園との契約時に財務省理財局長だった佐川宣寿氏は、「契約満了を以て関係書類の必要性が消えるため、関係文書(追補1))は廃棄され残っていない」との主旨の発言をしたと記憶する。森友学園問題の経緯が複雑であり、後々問題になることを見越して、廃棄したのだろうと思うのが普通の感覚である。何故なら、正当な理由があって8億円の値引きをする様な場合、後で問題になった時の証拠書類として、契約交渉関係書類は保存するのが普通だからである。

しかし、その後文書が残っていて開示されたのだが、その時点で既に佐川氏は偽証したことになる。この件の決裁文書が、今回、オリジナルなものから数百カ所改竄されていたことが明らかになった。また、森友学園側との値引き交渉を思わせる音声テープがあらわれたりして、現在大きな事件となっている。証拠はないが、この森友問題の経緯は全て、財務大臣も内閣総理大臣も知っていることだろうと思う。

2)その価格交渉に用いられたのが敷地内にゴミが埋まっているという話である。最初のゴミ処理で全て終わった筈だったが、その後更に深くにゴミが存在するとデッチ上げ、その処理費用が8億円値引きの根拠の大部分である。正にその問題でゴミ処理に関与したと言われる田中造園土木という会社の社長が、昨年春に自殺した。

そして、先日森友学園問題で二人目の自殺者がでた。財務省近畿財務局金融監督第三課上席調査官の赤木俊夫と言う方で、森友学園用地の売却を担当したそうである。地検の聞き取りを受けた晩のことだったという。 https://www.youtube.com/watch?v=YMi1_IteYx0

遺書には森友問題の記述はなかったと言うが、それは当たり前である。口に出して言えるのなら、死にはしない。それについては以前簡単にブログに書いた。 https://blogs.yahoo.co.jp/hetanonanpin/64921265.html

麻生財務大臣は、佐川理財局長の国会答弁に矛盾しない形に決済書類の書き換えを行ったと説明している。しかし報道されたような国家の枠組みを破壊するような書類の改竄行為を、一局長のためにする筈がない。責任者でありながら、その取引に関して国会で偽証した当時関西財務局長の佐川氏は、当然偽証罪で告発されるべきである。退職金をもらって無事でいることは許されない。

その動機を明らかにすれば、理財局で話が終わるはずがない。理財局だけの話なら、そのような大胆なことをする動機として不十分である。こんなところで足踏みするなら、日本が法治国家でないことを例証することになる。

3)(この部分:https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43482680.html)
 加計問題や森友問題は、安全保障などの問題に比べて小さい問題である。しかし、日本国の政治のあり方(安倍政治のあり方)という、根本に関する問題である。この件、優れた政治評論家である馬渕睦夫氏などでも、大きな問題に目が眩むのか、何の疑念もないと言い放っていた。

どんな大きな装置でも、ネジの規格が合わなければうまく組み立てられない。日本においても、公平性は政治と日本国民全との間を繋ぐネジのようなものである。森友問題と加計問題は、その国民と政治を繋ぐネジが中世アジア的なコネなのか、日本や欧米のような法令に基づく公平性なのかに疑念を抱かせる問題である。ネジが混在していては、大きな装置である国家全体の政治が組み立てられなくなると思う。

最高裁は、行政のすることに違法性や違憲性の判断をすることのない、サラリーマン的判事が構成しているので、この国では司法は正常に機能していない。それも、最も近い国とよく似ている。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43453611.html 従って、国会で追求するしか方法がないのかもしれない。

安全保障という大問題を持ちながら、くだらない議論をしなければならないのはこの国の不幸である。

追補:(3/16) 1)当初決裁文書と書いたが、決裁文書は相当期間保存される。http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/gaido_1.html

補足:
1)2012年1月に大阪音大が同じ土地を買い入れたいと大阪航空局に申込み、3月に大阪航空局から近畿財務局に大阪音大への売り払いを内容とする処分を依頼した。価格面での折り合いがつかず、大阪音大は買受要望書を7月に取り下げた。http://barelo.hatenablog.com/entry/2017/04/29/065343

2018年3月11日日曜日

北朝鮮問題では日本だけが最後まで蚊帳の外だろう

トランプ大統領が北朝鮮問題を一挙に解決すべく、5月にでも首脳会談をする意向を発表した。(補足1)日本側は圧力一辺倒しか言ってこなかったので、あっけに取られただろう。私は3月7日の段階で、おそらくこの様な展開になるだろうと考えて、ブログ記事「日本政府はこれまでの経緯に固執せず、韓国と協力して米朝対話をトランプに進言すべき」を書いた。(補足2)

トランプ大統領は、3月7日の時点でツイッターに「北朝鮮との対話を巡り、進展の可能性がみられている。過去数年間で初めて、関係各国すべてが真剣に取り組んでいる。世界中が注目し、待っている!肩透かしとなる可能性もあるが、米国はどちらの方向に向けてもハードに対応する用意がある」と書き込んでいる。

それでも日本側は、トランプ大統領の決断は予想外だったというから驚きである。その証拠に、外務省の担当課に誰も出勤しておらず、パニック状態になったと報道されている。本当に情けない。北朝鮮や韓国だけでなく、諸外国に「犬には吠える役しかない」ということを証明してしまったのである。

時事ドットコムの今日配信のニュースは以下の様に書いている:
日本政府は「ほほ笑み外交に目を奪われるな」と慎重な対応を米国に促してきた経緯がある。外務省高官は米朝首脳会談への大統領の意欲について「事前に伝えられていた」と強がったが、少なくとも9日の発表や5月の期限設定が、日本政府にとって想定外だったのは間違いない。政府関係者の一人は「電話会談は朝になって急きょセットされた。外務省の担当課が誰も出勤しておらず、パニックになった」と証言。外交・安全保障政策を統括する国家安全保障局幹部も「展開が早い」と驚きを隠さなかった。 https://www.jiji.com/jc/article?k=2018030901279&g=prk

昨夜のテレビ(どの番組だったかは忘れた)に出演していた女性ゲスト解説者(中林美恵子さんだったと記憶する)が、米朝首脳会談を日本で開催するように出来れば良いとか何とか言っていた。しかし、そんなことを言い出す人なのかとびっくりした。文在寅韓国大統領が仲介したのだから、米朝会談は韓国で行うことになるだろう。金正恩は文在寅を信用してこの話に乗った筈である。

具体的には、文在寅大統領の意見を汲んで、ソールで行うことになるのではないだろうか。外国に出るときに、金正恩なら命の危険を考えるだろう。板門店では首脳会談の場所としてふさわしくないし、米国大統領も嫌だろう。また、金正恩もビクビクしていると取られて格好悪い。韓国の首都であるソールの青瓦台が最も適切だと考えると思う。勿論、素人の予想なので、韓国以外の第三国で開かれる可能性もある。何れにしても、最後まで日本は蚊帳の外だろう。

補足:
1)トランプ大統領が会談を急ぐのは当然である。何故なら、北朝鮮に核開発を進める時間的余裕を与えたくないからである。勿論、国内での意見集約や朝鮮南北首脳会談の進展など未定部分が残っているので、開催されてももっと遅くなる可能性がある。
2)本ブログでの政治的話題は、普通の素人の考えとして書いてきた。それが外務省の方々よりも正しく予想ができたとしたら、それは素人には偏見がないからだろう。この分野では玄人になる北野幸伯氏(クレムリンメソッドの著者)も、今日のメルマガでトランプ大統領の決断は当然のことであると書いている。その理由は簡単で、圧力を掛けるのは平和的解決のためであり、北朝鮮の暴発を期待してのことではなかった筈だからである。http://www.mag2.com/m/0000012950.html 何故、その簡単なことが日本の外務省には読めなかったのか?深刻な事態である。

大衆の洗脳は、表向き民主政治の要諦である

米朝会話開催を報じるCNNとBBCの報道に対する日本読者の反応を例に考える 

1)トランプ大統領の米朝会談提案を受諾するとの声明までの経緯:
3月6日、平壌で開かれた南北会談で、韓国代表団と金正恩は4月末に板門店の韓国側で首脳会談を開くことで同意した。2日経たずして、韓国から報告を受けた米国トランプ大統領は米朝対話を行うと表明した。これは文在寅の思惑通りであり、オリンピックへの北の招待などもその計画の一環だったのである。今のところ、第二次朝鮮戦争回避に繋がる可能性があり、大きな成果である。

7日午前にこのブログ・サイトで「日本政府は米朝対話をトランプに進言すべき」と題して記事を書いたが、日本政府の姿勢は最大限の圧力一辺倒だった。日本では過去のように北朝鮮の時間稼ぎに使われるという警戒感に囚われるあまり、政治家やTV等に現れる評論家にはポジティブに評価する人は殆ど居なかった。木曜日と金曜日のBSプライムニュースでの議論の一部によく現れている。(前回記事など参照)

世界中に驚きをもってこのニュースは報じられたが、日本とは違って概ね歓迎の言葉が多かった。その差は何によるのだろうか?戦争になれば日本にも多大な犠牲者が予想されているのに、政府や官僚、元官僚、評論家達は何を考えてあのような否定的見方をするのか、私にはわからない。

北朝鮮相手の外交の場合、約束が単に時間稼ぎと制裁解除に使われることを警戒するのは当然である。しかし、警戒だけして何も積極的に動かなければ、事は最悪のステージに向かうだけである。言葉の裏を細かく分析して、マイナス面の批判に終始するのは、自分で行動する能力がない政治屋の常である。幸い、トランプ大統領はそのような政治屋ではない様だ。勿論、米国には自分の利益を考えた好戦派がおり、その影響下の人間も日本に大勢いると思われるので、注意が必要である。

ここで韓国中央日報の日本語版の記事を紹介したい。そこに以下のような記事が掲載された:

CNN記者が米朝首脳会談の妥結について伝えながら「トランプ氏と金正恩(キム・ジョンウン)氏を同時に導いた文在寅(ムン・ジェイン)大統領を称賛するべきだ」と話して話題だ。
同じ記事で、BBCが報じた以下の文章が紹介されている:
文大統領は平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)開催前に南北対話を始め、トランプ大統領にボールを渡して「対北朝鮮制裁を継続する」と話すなどトランプ氏と共和党の懸念を払拭させたと分析した。
更にBBCはもし文大統領が核戦争の脅威を減らすのなら、ノーベル平和賞を受賞するかもしれないとも報じている。

私が興味をもったのは、この日本語記事に対する感想の投票結果である。それらは、興味深い:25;悲しい:7;すっきり:5;腹立つ:573;役に立つ:4、であった。(3/10; pm5:20) http://japanese.joins.com/article/417/239417.html?servcode=200§code=200&cloc=jp|main|breakingnews

この腹が立つが全投票数の90%以上を占める投票結果には非常に驚いた。それがこのブログ記事を書く動機である。なお、私は興味深いに一票をいれた。

2)日本語でこの記事を読んだ人たちは、第二次朝鮮戦争になれば良いと思っているのだろうか?話し合いでの解決がなければ、米国による軍事攻撃が行われる可能性が高くなる。その時には、北朝鮮による米軍とそれに協力する勢力への捨て身の攻撃があるだろう。日本人数十万人の命が失われる可能性も出てくる。

それを避ける糸口が、文在寅政権の綱渡りのような外交により見つけられたのである。それを何とか、米国と北朝鮮の和平(正式には国連軍と北朝鮮との和平)につなげるべく、周辺諸国の一つとして日本も協力すべきではないのか。そのように考えるのは普通ではないのか? しかし読者の反応は、兎に角韓国政府が憎いということのようだ。日本のマスコミで報道されている「文在寅政権が、北朝鮮に迎合し金正恩政権(補足1)の存続に手を貸している」という評論家や政治家の意見に洗脳されている様だ。

韓国に対する日本人の反感は、簡単に説明可能である。これまで、例えば怪しげな面もある慰安婦という存在を偶像化し、サンフランシスコなど外国にまで手を広げて反日キャンペーンを展開するなど(補足2)、韓国人とその政府は日本人にとって非常に腹立たしい存在である。

それらの反日運動を報じる言葉に乗せられた感情により、日本人一般の心に反韓感情が醸成された。その感情に支配された結果、日本が多大な被害を受けるかのしれない大問題解決の糸口さえ、それを見つけたのが文在寅政権であると言うだけで、否定することになったのだろう。(補足3)

大衆は洗脳に弱い。そして、民主政の下での政治家は津波のような大衆の感情の動きに弱い。(補足4)この民主主義という怪しげな(理想主義的)培地に、健全な政治を定着させるためにはどうすれば良いか。ギリシャ時代に破綻した民主政治であるが、20世紀の先進国にその名前がかなり長期に亘って存在するのは、政治権力者による大衆の洗脳工作が一応成功しているからだろう。

何度も同じ話を用いてしまうのだが、民主主義の旗頭であるはずの米国も、支配層が大衆を洗脳することでその形式を維持しているのである。インターネットなどの情報伝達システムの発達により、その洗脳がし難くなったと大統領補佐官を務めたブレジンスキーが感じた。つまり、政治的に困難な情況に追い込まれることを危惧したブレジンスキーは、「知識をもった100万人をコントロールすることより、その100万人を殺す方が容易である」と言い放ったのである。https://www.youtube.com/watch?v=Gc9rsvBIh9U 

勿論、一般市民の一人一人がもっと知的で、政治に対する理解と関心が高くなれば、夫々が独立した姿勢をとることにより民主政治が看板通りに機能するだろう。しかし、知識を得られる機会と道具が揃ってきたとしても、それをまともに使い切れなければ、上記のようなアンケート結果になると思う。それは、ブレジンスキーの危惧が正しいことを示しているのだろう。

(3月11日6時改訂)

補足:
1)金正日政権のときに、政府内で後継者としての十分な地位を長期に経験せずに、金正恩は北朝鮮を率いることになった。後見人となった伯父の張成沢に裏切られ、トップの座に金正男を据える工作もあった。https://news24-web.com/north-k/ それらを乗り越えて、6年間以上政権維持ができたのは、一定の能力を証明していると思う。
2)「親日反民族行為者財産の国家貴族に関する特別法」など、反日は韓国の国是なのである。韓国の一般市民も洗脳されており、そのような愚法を廃止できないのだろう。馬渕睦夫氏の「国難の正体」には、米国による東アジア政策がかなり詳細にかかれている。日韓の間に、核の部分で敵対関係を構築しながら、表面での協力関係を定めているのは、その一つである。また、朝鮮戦争は東アジアに米軍を置き日本や中国などの目付役とするための口実に使われている。これらは、朝鮮戦争がアチソンの朝鮮半島は防衛ラインの外という発言とともに起こったこと、マッカーサーは朝鮮戦争を勝利で終結しようとしたが、トルーマンに解任されたこと、そして日本封じ込め(瓶の蓋論)政策などから明らかである。馬渕氏は、トランプ政権でこの米国の東アジア政策が変化することを期待している。
3)日本や韓国など東アジアの言語の出来が悪く、会話における論理の伝達が正確にできず、感情の伝達が優先してしまう。(http://island.geocities.jp/mopyesr/kotoba.html )そして、TV, internet, SNSなどの発達は、会話の量的拡大をもたらし、一般人は相互洗脳に追い込まれるようだ。理系人間は、論理的思考の訓練を受けるため、比較的その傾向が少ないようだ。
4)大衆の感情の波が押し寄せると、内閣官房は国民栄誉賞で融和しようとする。フィギュアスケートの羽生選手はオリンピック二連覇で国民栄誉賞ということになった。感激した大衆は、客観的評価などという物差しには無関心である。http://www.news24.jp/articles/2018/03/02/04386979.html (もし、逆の感情の波が少しでも現れれば、中止になる可能性もある。)

2018年3月9日金曜日

BSプライムニュースでの南北(朝鮮)会談の評価について

1)昨夜のゲストは、佐藤外務副大臣、武藤元駐韓大使、黒田産経新聞客員論説委員であった。議論の中心は、先日行われた韓国代表団と北朝鮮首脳との会談についての分析である。

その中で、最初に佐藤副大臣が言った様に、「北朝鮮が非核化などに関して具体的に何もやっていない段階で、圧力緩和に動いてはならない」のは、当然である。また、途中で話に出た様に、「今回の南北会談は韓国が米朝会談の仲介をするために行われた」という解釈も当然である。昨日と一昨日書いたこのブログ記事も、完全にそのような解釈で書いている。昨日の記事では以下のように書いた。

「これまで、北朝鮮は米国と水面下で交渉をしてきたが、核の放棄ということは一切言わなかった。そして、これまでの経緯を考えれば、この北朝鮮の言葉を信じるのは愚かである」という意見もある。確かにその通りだろうが、今回大きな違いがある。それは韓国が本気で仲介の労を取るという点である。金正恩にとって、文在寅は世界中を探して最も信頼できる最高の仲介者である。 

しかし、合意事項を箇条書きにした上の文章に関して、武藤氏の「非核化とは、核兵器放棄を必ずしも意味しない」とか、黒田氏の「昔(金正日時代か?)もそのような発言をしていた」とか、佐藤氏の「北朝鮮は韓国を上手く取り込んだ」とかいう発言に象徴される、“斜めから”見る分析などには、辟易とする。(補足1)

おそらくゲストたちは、「北朝鮮と韓国の話し合いだから、斜めから見るべきだ」という、日本の空気に無意識に迎合しているのだと思う。そのような言葉を軽視する日本文化にどっぷり浸かって良しとする姿勢では、外交などできないのではないか。

それに続いた議論のかなりの部分は、合意事項の中の「非核化」及び「体制維持」などの言葉の解釈に費やされた。合意文書中にある非核化というのは、朝鮮半島からの非核化であり、それは核の傘もあってはならないと彼等は言ってくるだろうと、昔の話を掘り出して黒田氏が言っていた。そんな解釈が許される筈はないし、そんな古びた議論を今する理由など無い。

米国の核の傘が韓国を覆っていることをどのように実証するのか。実証できないことを重大な合意の条件にすることなどある筈がない。あまりにも言葉を軽視した議論である。そのような言葉の定義が問題になる筈がない。”斜めから見る”態度の典型である。ちなみに、在韓米軍は核兵器を20年以上前に撤去したことになっている。 https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM08H88_Y7A400C1MM8000/

この番組でも、日本が何をすべきかではなく、南北談話と米朝会談の進行の予想などについての分析が中心であった。話が慰安婦問題に対する文在寅の話などに移ったので、重要な部分は終わったと解釈してテレビを切った。

2)いずれ行われる韓国仲介の米朝交渉において気になるのは、北朝鮮、文在寅政権、及び米国が、北朝鮮の非核化の話を進めたことにして、北朝鮮の中距離核までの核武装を差し当たり黙認することに成らないかということである。

つまり、北朝鮮問題の解決を急ぐあまり、米国は核廃棄の予定について時間と方法を明記する形での約束をしない可能性である。それは必然的に、北の核保有をイスラエルのような形で認めることになる。

それを防ぐのは、日本が独立国家として目覚めて、北朝鮮問題の解決に間接的でも深く(米国に介入する形ででも)関与することだと思う。北朝鮮に「最大限の圧力を掛ける」という主張ばかりしていては、従属国家として外交を米国に丸投げしていることになる。日本は北朝鮮の核兵器の脅威の中にいるのだから、言葉と事実が一致する形で合意形成されるように、朝鮮半島からの非核化に関与する資格があると(同盟国)米国に主張すべきであると思う。

慰安婦問題など日本の歴史問題を取り上げ、日本の過去の悪事として南北一緒になって世界に告発していこうと文在寅が言っているという話が、番組の後の部分ででた。日本は、文在寅が狂っていると言って済ますのではなく、日本政府の外交にそれほど力がないと考えるべきだと思う。日本が国家としての体裁を整え、威厳を再獲得すれば不合理な発言は慎む筈だと思う。

兎に角、韓国歴史問題にしろ、北朝鮮非核化問題にしろ、日本は”斜めから見る”ような分析や批判だけで済まさず、自国の重要な課題と考えるべきだと思う。そして、日本の成果として具体的に歴史に残すレベルの活動をすべきだと思う。

補足:
1)「斜めから見る」と表現したのは、韓国や朝鮮の姿勢を何かにつけて小馬鹿にする姿勢である。慰安婦問題や反日法などに対して、韓国を批判するだけで十分な対策を取らず、自尊心を満足させることに終始する姿勢を形容する表現に用いた。それら韓国の姿勢は、相手国を馬鹿にしていることが原因である。両国の、互いに馬鹿にしあって感情的敵対を深める姿勢は、両国とも言語が不完全で、その必然として言語の地位が低いことが原因であると思う。両国は、西欧諸国にyellow monkeyと馬鹿にされ無いようにまともな会話をすべきである。(補足改訂、3/9am)

2018年3月7日水曜日

北朝鮮は本気で核放棄を取引の材料にしていると思う

   北朝鮮は核を放棄するか? 今日7日のNHKのニュース9(午後9時)において、慶応の准教授がこの質問に対して、「核兵器は、金正恩にとって(軍事的)抑止力だけでなく権威付けの意味を持ち、益々重要性をましている。従って簡単には放棄しないだろう。また、体制の維持が約束されるのなら、核を放棄するというが、それを約束する信頼性のあるシステムを作るというと、壮大な話になる。」と答えている。 

核兵器の重要性は言わなくても分かっている。体制の維持の約束は、単に米国との平和条約の締結位の意味だろう。つまり、米国の軍事的脅威に関する部分だけの話だと思う。北朝鮮が自律的に変化する部分は、約束の範囲外の筈である。 

兎に角、何らかの合意をしないで米国と正面衝突することは、金正恩は殺され、国家が崩壊することを意味している。何処かに着地点を探したいのは、金正恩(北朝鮮)の本音だと思う。この准教授はそれらのことをあまりにも軽視している。 

この問題、二人の首脳がマッドマンを演じてチキンレースをやっているとよく言われる。しかし、これは本当のチキンレースではない。何故なら、トランプ大統領には命の危険も国家崩壊の危険性もない。最後まで両者が降りなければ、多数の死者がでるとしても、それは日本と韓国の市民&軍人と米国等の軍人である。米国市民の死亡数はあまり大きくはないだろう。 

「これまで、北朝鮮は米国と水面下で交渉をしてきたが、核の放棄ということは一切言わなかった。そして、これまでの経緯を考えれば、この北朝鮮の言葉を信じるのは愚かである」という意見もある。確かにその通りだろうが、今回大きな違いがある。それは韓国が本気で仲介の労を取るという点である。金正恩にとって、文在寅は世界中を探して最も信頼できる最高の仲介者である。

  このチャンスを逃しては、これまで通りの片務的チキンレースを続ける必要がある。それには、自分が生き残るシナリオはない。金正恩はそのように考えるだろう。金日成のときや金正日のときと違って、緊急性&緊迫性は比べ物にならないほど高いレベルである。 

リビアのカダフィが、核放棄をした後に殺された。それと同じ危険性を金正恩は深刻に考えてきただろう。しかし、国家の中央集権体制はリビアよりもしっかりしていると思う。そして、核兵器開発で箔をつけた金正恩は、それを使って別の大きなものを手に入れれば、権威失墜にはならないだろう。 

それは、体制維持の約束とその後の朝鮮統一の道筋である。つまり、米国との平和条約締結である。韓国との条約では将来の統一を盛り込むが、実際には平和共存を目指す。米国と韓国とは、朝鮮戦争の再開に備えた米韓軍事演習は取りやめるだけで、同盟関係を維持する。 

北朝鮮は江沢民派との関係は崩れているが、習近平政権の支援を受けると言うかたちで、中国の面子も立てることができるのではないだろうか。 

日本政府はこれまでの経緯に固執せず、韓国と協力して米朝対話をトランプに進言すべき

1)昨日は朝鮮の南北対話が大きなニュースになった。文在寅大統領の特使として北朝鮮を訪問した大統領府の鄭義溶国家安保室長(閣僚級)は6日記者会見で、4月末に板門店で南北首脳会談を行うことに合意した。

以下に、北朝鮮が表明したことと、各国の南北会談と合意事項についての評価をまとめる。

北朝鮮側が表明したこと:
①朝鮮半島の非核化に対する意志。鄭氏によると、金委員長が「非核化の目標は先代の遺訓であり、先代の遺訓に変わりはない」と明言したという。
②北朝鮮に対する軍事的な脅威が解消され、体制の安全が保証されるのであれば核を保有する理由がない。
③非核化問題の協議や米朝関係正常化に向け米国と対話する用意がある。
④対話が続いている間は核実験や弾道ミサイル発射を凍結する。
ソウル総合ニュース:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180306-00000072-yonh-kr

米国の反応:
トランプ大統領はツイッターに、「北朝鮮との対話を巡り、進展の可能性がみられている。過去数年間で初めて、関係各国すべてが真剣に取り組んでいる。世界中が注目し、待っている!肩透かしとなる可能性もあるが、米国はどちらの方向に向けてもハードに対応する用意がある」と投稿した。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180307-00000001-reut-kr

米国のペンス副大統領は6日、北朝鮮が非核化に向けた措置を講じるまで、最大限の圧力を掛け続ける方針を表明した。同氏はホワイトハウスの声明で「北朝鮮との対話がどの方向に進もうとも、われわれの決意が揺らぐことはない」と述べた。また、北朝鮮に関して「すべての選択肢を検討している」とも述べた。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180307-00000006-reut-kr

日本の反応:菅義偉官房長官は6日午前の記者会見で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国特使との会談について「北朝鮮との過去の対話が非核化につながっていないという教訓を十分踏まえて対応すべきだ」と述べ、韓国政府に慎重な対応を求めた。

河野太郎外相は会見で、「経済制裁で困っているから必死にほほ笑み外交をやっているのだろう」と指摘した。河野氏は会談内容に関し「韓国側からしっかり説明を受けたい」と述べるとともに、「日米韓で緊密に擦り合わせをしている」と強調した。https://www.jiji.com/jc/article?k=2018030600405&g=prk

中国の反応:外交部報道官は6日、「朝韓間の連動を、朝米を含む各国間の連動へと拡大し、南北関係改善の努力を朝鮮半島の非核化と恒久平和の実現に向けた共同努力へと拡大することを希望する。中国側もこのために積極的な役割を発揮したい」と表明。 http://j.people.com.cn/n3/2018/0306/c94474-9433701.html

2)以上のまとめについての私の考えを以下に書く。

米国副大統領や日本の官房や外務省は、金正日時代の時間稼ぎ外交の延長であるとの見方である。一方、トランプ大統領はそのような予断はないようである。中国も同様にポジティブな評価をしている。戦争になれば我が国でも膨大な人命が失われる可能性があることも十分考え、日本政府が過去の経緯を乗り越えて、朝鮮半島の非核化を目指しこの新しい動きに協力すべきだと思う。

官房長官の言う様に、米国の従来の勢力の忠実な犬のように行動すれば、日本の国際的評判は地に落ちるだろう。北朝鮮の”微笑み外交”は、時間稼ぎの可能性もあるが、少なくとも一般論としても、両方の道を睨みながら対応すべきだろう。

ペンス副大統領は、北朝鮮が自発的に核放棄を始めるまで圧力を掛けるべきだと考えているのだろうが、それは非常に愚かな考えである。それが可能なら、すでに問題は解決して久しいだろう。まるで米国と北朝鮮の軍事衝突を望んでいるような発言である。日本国民は、日本側に膨大な人的被害が出る方向でも、日本政府が米国の犬として行動するつもりなら、内閣を不信任すべきである。

考えるべき点は、現在は金正日の時代ではなく金正恩の時代であること、それに、金正恩は西側留学の経験もあり、西側諸国の様子を知っていることである。更に注目すべきは、金委員長が「非核化の目標は先代の遺訓であり、先代の遺訓に変わりはない」と明言した点である。

つまり、金正恩は朝鮮半島の非核化を先代に遺訓として、自分がその方向に進む根拠を明確にしている。勿論、核保有国としての国際的地位は、今後の外交を考えると非常に欲しいだろう。しかしそれに固執すれば、むしろ自分の体制が崩壊することを知っているのだと思う。 また、話し合いの間に核実験などはしないこと、更に、非常に早い時期に南北会談をセットしていること等も注目される。時間稼ぎなら、もう少し引き伸ばした設定をするだろう。

日本側では、金正恩のことを狂犬とか狂人のように言って、独自に分析思考することを放棄し、米国の犬になっている。しかし、そのように言う評論家や政治家は、あの国のトップとして6年間君臨するという困難を乗り越えた人間であることを、忘れているのだと思う。

彼等は、「自分なら、6年間あの国のトップに居れるだろうか?」と自問してみれば良い。確かに異母兄弟を殺害するなどの行為は異常に見えるだろう。しかし、中国の江沢民派と組んだ張成沢は、金正男をトップにつけて自分の立場を確立すると企んだことを忘れては成らない。(追補) トランプ大統領もそのように見ているだろう。

繰り返しになるが、情況がこのように急展開した今、これまでの経緯に拘らず、日本側は韓国文在寅大統領に協力して、米側が米朝対話に動くように説得すべきである。

追補:(3月10日) 1)この記述は筆者の思い違いの可能性大です。張成沢は習近平と組んで、金正男をトップに据えようとしたというのが通説のようです。訂正させていただきます。(https://news24-web.com/north-k/)

2018年3月5日月曜日

理想主義を錦の御旗に反日活動をする人たち

1)食料&エネルギー確保と理想主義:
食とエネルギーの安全保障は国民の命を守る必須であり、そのため、食料とエネルギー供給源の分散化は必須である。原発反対運動を中心となって推進する人たちは、それを理解しないか無視する。知性に乏しい人たちではないとすれば、彼らは日本の脆弱化を目指す外国の人たちか、その協力者だろう。(補足1)

ここ数日ヨーロッパでは寒波に見舞われている。その中でウクライナは寒さに震えている。ロシアが約束通り天然ガスを供給せず、寒さを利用して嫌がらせをしているのである。詳細は以下の記事をご覧いただきたい。 http://www.afpbb.com/articles/-/3165934?utm_source=yahoo&utm_medium=news&cx_from=yahoo&cx_position=r2&cx_rss=afp&cx_id=3165956

地政学的なファクタももちろんあるが、天然ガスをロシアに頼るウクライナの脆弱な体質がこのようなことになった原因である。日本では現状このような事態は考えられないかもしれないが、将来に備えてエネルギー源である石油や天然ガスをアラブ諸国に頼る体質を改善すべきだと思う。その有力な対策が、原発再稼働でありロシアからの天然ガス輸入などである。 前者の障害になっているのは原子核アレルギーであり、後者の障害になっているのは北方領土問題だろう。何れに対しても、米国の影響が背景にある。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42955852.html

現在、日本は多くの原発を休眠状態においている。その原因は、国民の間に原発反対の空気が蔓延しているからである。東日本大震災の際、原発の燃料棒がメルトダウンした事故に過剰反応して、大きな反対運動が起こった。勿論、大きな事故であったが、今後そのようなことは絶対に起こらない様に設計することは可能である(補足2)。また、原発を狙ったテロなどに対する対策としては、原発警備の他に軍事や外交という国家の必須要件の整備が何より大事である。

人類は有史以来、食料やエネルギーを巡って争い、多くの命を犠牲にしてきた。将来出るかもしれない自国の犠牲者を最小にするという努力をせず、理想主義を掲げて大衆に迎合し、自分の当面の利益を優先する政治を続ければ、突然カタストロフィックな悲劇に見舞われる可能性が高くなる。

将来の悲劇を避ける政治は、大衆に過剰反応を慎ませる一方、目先の我慢と将来への備えを要求し、個々の問題を小さい内に解決する努力を惜しまない保守政治によりなされる。理想主義や原理主義の旗をかかげることで解決できるほど、それぞれの問題は単純ではない。

それらの障害として日本の空気に古くからあるのは、核反応や放射線に対するアレルギーだろう。また、それは日本の至る所に居る反日勢力による、日本国民の洗脳工作が大きな原因である。もし、政府や議会の中に紛れ込んだ反日勢力の所為だとすれば、それは最早国民の結束以外に対処する方法はない。差し当たり、安倍政権を守ることが現実的だろう。

2)幾つかの理想主義
ここでは理想主義を、理想的な形態に直線的に向かう原理主義と定義する。その典型が20世紀の共産主義である。美しく理解し易い“単純な「主義」”を錦の御旗(補足3)のように掲げ、それを武器に反対派制圧に向かうことを特徴とする。一方、現実主義は現状をこれまでの歴史の結果として重視し、理想を方向として持つが目標は小刻みに設定する姿勢と考えられる。その理想にある程度近づいたとき、それが「地面」から離れていたと分かることもあるだろう。

人間は生き物であり、そこを離れては存在し得ない条件がある。社会の改革もその条件によって束縛され、許されるのは全方向ではない。それが、あたかも「地面」の様に未来に向かって広がっていると考えられる。「能力に応じて働き、必要に応じて取る」という共産主義は、この地球という限られた空間に棲む人間という束縛条件の中で、文明の究極の姿として存在し得るかどうか明らかではない。貧しい時代に「地面」を離れてこの理想を目指す共産主義運動は、原理主義の典型である。(補足4)

その理想「能力に応じて働き、必要に応じて取る」は理解しやすく、その世界を想像すれば楽園のように心に浮かぶ。従って、理想主義は反体制派として大衆を動かす場合には利用しやすい。しかし、共産主義を標榜する勢力が実権を握れば、現実主義のように地に足を着けて進む事ができず、社会(国家)は急角度で地面に衝突するだろう。そして、これまでの歴史の教訓も捨て去った社会(落ち込んだ谷間)が、現実の共産主義社会である。豪邸に住む「皇帝」を同志と呼ぶ社会(国家)が、共産主義という理想を掲げた政治の成れの果てである。

現実主義をとる民主国家では、政治全体に責任を持つ体制派を理想論で攻撃することは容易である。人間の知性に限りがある中で、更に、最優秀とは言い難い人たちが実権を握っているのが、これら国家の現実である。「そうは単純ではないです」という大衆受けしない反論しか出来ない場合が多い。それが、理想主義政党が一定数の議席を保有する理由だろう。

政治体制以外にも色々理想主義がある。人権最優先、自然保護、動物愛護などである。人間は有史以来、互いに縄張り争いで殺し合いをし、動物を殺して食料とし、自然を破壊して農地として生きて来た。理想主義者(原理主義者)は、その歴史を軽視して、自然保護、動物愛護などの美しい言葉を記した「錦の御旗」をかかげて、他者を攻撃する。シー・シェパードなどはその分かりやすい一例である。
これら理想主義者は、無知の輩でなければ、何らかの権力の兵士である。

3)平和ボケ日本人たちは、誰かのばら撒いた「一人の命は地球より重く、“健康が長生きの目的”」という逆立ちの理想主義に毒されている。それら理想論の罠に支配されている日本人の軽薄さを指摘したのが、先月自殺した西部邁氏だったと思う。日本人をジャップ或いはJAP.com(ジャップドットコム)と呼び、警鐘を鳴らした西部氏の言葉(遺言?)が耳に痛い。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43560975.html

この体たらくを、WGIP(補足5)の所為として、済ませる時代はもう終わっている。ここで注意すべきは、日本には数千人以上の反日勢力やスパイが、理想主義の背後に正体を隠しながら活動していることである。最近、ケント・ギルバート氏の書いた「いよいよ歴史戦のカラクリを発信する日本人」という本にも、詳しく書かれている。

日本のテレビ局の解説者や中国大使だった商社マン(補足6)などが、中国のピンクトラップやマネートラップに掛かった反日分子だろうという推測がある。その話なら、それほど驚くに値しない。しかし、同じ商社の会長を長く務めた自民党の重鎮瀬島龍三氏が、スパイであった可能性が高いことなどは初めて知った。

その東芝ココム違反事件で、瀬島氏の関与を指摘した当時内閣安全保障室長だった佐々淳行氏の意見を握り潰したのが、自民党重鎮で元警察官僚の後藤田正晴内閣官房長官であった。とにかく、自民党政府中枢まで共産系(中国系)スパイが居たとすれば、米国Fルーズベルト政権と似ている。米国と違うのは、日本では秘密は永久に暴かれないということである。

労働者の味方の振りをしながら、労働者とは程遠い豪邸に住んでいた元共産党委員長の話は有名である。http://www.sankei.com/premium/news/161029/prm1610290015-n4.html ご本人も、本心では自分の生活が平等主義を原点に持つ政党幹部にふさわしいとは思っていないだろう。

「目覚めよ」https://www.youtube.com/watch?v=IIOH2sCW13U

補足:
1)国際政治は本質的には野生の原理で動いている。弱体化した仮想敵国は自国には何かにつけて有利である。 2)東電福島原発の事故は、炉心冷却のシステム上の不備と津波予測を過小評価していたことが原因である。この件、今後の原発利用を考える際の教訓とすればよく、多くの死者を出さなかったことをむしろ幸運だったと考えるべきだと思う。
原発だけでなく、あらゆる文明の利器には通常デメリットが存在する。それは携帯電話、自動車、飛行機、原発全てに当てはまる。もし原発事故が起こった場合、大量の放射線を受けて死亡する人も出る可能性もあり、そして広い範囲の住民にCT撮影やガンマナイフの時の健康被害レベルを超える被曝も考えられる。それによる利益と、科学的被害予測との相対的比較により、建設計画を立てるべきである。核アレルギーの人の意見を聞いて、科学や統計学などを用いた議論を全否定することは馬鹿げている。なお、諸外国では議論を経て原発は増設の傾向にあることを指摘したい。
3)明治政府となる薩長を中心とした倒幕派は、偽物の錦の御旗を掲げて幕府軍の戦意を消失させクーデターを成功に導いた。その背後で、錦の御旗の旗印である筈の孝明天皇が薩長と組んだ下級貴族に暗殺された可能性が高い。実際、孝明天皇を祀る官弊社は長く存在せず、民間人が立てた神社は明治政府の支援を全く受けなかった。それは、政権が天皇家を利用したが実際は軽視したことを強く示唆する。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43461422.html (他に、https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42249167.html;https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42241483.html;https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42160759.html)
4)男女同権やセクハラなどの問題も、地面をはなれて議論されている傾向がある。何故、刺激的な服装で公の空間を女性は闊歩するのか。何故、イスラム圏の女性はベールを纏って外を歩くのか。男女共同参画の社会を目指すのなら、何故女性はあのような化粧をするのか?
5)War Guilt Information Programのこと。GHQの日本人洗脳政策である。詳細は下に引用のケント・ギルバート氏の本や、次のサイトを見ていただきたい。http://www.sankei.com/life/news/150408/lif1504080003-n1.html
6)中国大使だった2012年、丹羽宇一郎氏は雑誌Willでの深田祐介氏との討論において、「将来大中華圏の時代が来る。その時、日本は中国の属国として生きていけば良い」と語ったという。 http://abirur.blog.jp/archives/1000669323.html

2018年3月1日木曜日

韓国は、太陽政策の大きな成果を収穫する時期が近づいた?韓国の深層心理

1)前々回のそこまで言って委員会だと思うが、北朝鮮問題の議論をyoutubeで聞いた。https://www.youtube.com/watch?v=E3QqnOFrlqY その議論を聞いて、パネラーの長谷川氏、須田氏、門田氏、竹田氏、舛添氏ら、日本人評論家の理解と、ゲストである朴一氏ともう一人の朝鮮系女性学者(金恵京氏?)の間の認識に大きな違いがあることがわかった。朝鮮半島出身のゲストたちは、自分たちの民族の問題として考えているようで、より本質に近い話をしているように聞こえた。 

舛添氏の「金大中や盧武鉉の太陽政策は失敗だった。その間に北朝鮮の核開発は進んだ」という言葉に対して、在日女性の解説者が「太陽政策の目標は北朝鮮の非核化というより、統一にある」言っていること(4:40)を十分に理解すべきである。そして、「太陽政策は失敗だったのか?」自体も、日本側は再考すべきである。 

つまり、日本の解説者や政治家は、「太陽政策の失敗」を真理のように思い込み、北朝鮮問題を考える際の前提としているのは大きな間違いではないのか。文在寅を含め韓国の多くの人たちは、「金大中や盧武鉉による太陽政策で育てた韓国と北朝鮮の関係を一挙に前進させるべきである。今両国は、南北を統一して真の独立国朝鮮を完成する入り口にある」と考えているのではないのか。言葉には出さないが、おそらく核兵器は将来重要な統一朝鮮の武器となると考えているだろう。 

少し、歴史を振り返るべきである。朴正煕は韓国を真の独立国にすべく核武装を考えたが、アメリカに潰された。(ドイツのアデナウアーも同じだった。)私は、韓国の多くの人にとっても、核武装は朝鮮民族の統一と真の独立国建設の鍵であり、民族の悲願だと思う。北朝鮮は米国(&中国、ロシア)の核に対する抑止力として核を開発した。そして、貧しさに耐えてようやく核保持ができた。一旦核兵器を捨てても、その技術と知識は北朝鮮に残ることを、平和ボケの日本人と違って韓国の人たちは十分知っている。

今、核戦争を防ぐという大義名分を120%用いて、北朝鮮の非核化を目指す振りをする。そして、米国とは一定の距離をおき、中国やロシアの支援を得て話し合いの席を設ければ、なんとか和平は可能だろう。そして、南北が現代までの歴史認識と未来の半島の姿を共有できれば、一旦は北朝鮮に非核化を説得できるだろう。和平を実現して、北朝鮮の経済発展邁進を手助けすれば、その後はなんとか成るだろう。金正恩は、西欧社会を知っているのだから。

連邦的な枠組みで暫定的平和を達成し、その後30年位かけて統一すれば良い。多少は北朝鮮の経済復興のために韓国は経済的に苦しくなるだろうが、それは民族の悲願実現に向けて耐えられるだろう。本当の統一の話し合いは、北朝鮮が徐々に冷静さを取り戻してから始めれば良い。それまでは、笑顔につぐ笑顔で、現在半狂乱的な心理にある金正恩を落ち着かすのだ。 

有史以来、ようやく、本当の意味で独立した国家としての朝鮮を建国できるのだ。日清戦争までは、宗主国中国と野蛮国日本の谷間にあって、緩衝国として苦しんだ。その後は日本に併合された。更に、戦後は米国と中ソの間の覇権の谷間で、米国の企みである朝鮮戦争がアチソン演説から始まった。同一民族間で殺しあうという耐え難い苦しみを、彼らは朝鮮民族に味わせた。 

その有史以来の「悲劇の半島」から脱却できるのだ。小型核と核搭載ミサイルを完成すれば、中国や米国からそれぞれ完全独立できるし、日本から金を脅し取ることも簡単だ。あの国は、非武装国家で非核三原則を看板にしている腑抜け国家なのだから。

  2)文在寅など多くの韓国人は、そのように考えていると日本人の私は想像する。このまま圧力強化の路線を貫けば、最終的に米国は軍事オプションに頼ることになる可能性が高い。そうなれば、日本、韓国、北朝鮮に夫々百万人レベルの犠牲者を出すだろう。

おそらく米国は北朝鮮の非核化を諦める場合のシナリオも考えている。大統領補佐官や国務長官を務めたコンドリーサ・ライスはずっと前にそれに言及している。トランプ政権もそれを考えている可能性が高い。オリンピック開会式のとき、副大統領は北朝鮮と話し合いを持つことになっていた。おそらく、その中でそのもう一つの道の話し合いや、探り合いが行われる予定だったのだろう。(補足1) 

日本の内閣官房は、日米の連携は完全であると言っていたが、明らかに菅官房長官の言葉に焦りか不安が感じられた。(補足2)米国は日本に核武装論が起こり、それが日本で本気に議論されることを警戒している。一部に日本の核を容認する考えもあるだろうが、それは個人的なもので、まだら模様的に存在するのみだろう。米国から聞こえてくるその種の声の大部分は、日本に向けた観測気球だろう。 

日本は、その個人的にまだら模様として存在する日本の核容認論を発掘すべきである。トランプ大統領の心の中には未だ日本の核容認論が存在するだろう。そして、米国をなんとか説得して、その任期中に戦術核による自衛を達成するべきである。それが唯一、安心な日本と極東の犠牲なき平和を実現する必須条件だと考える。 

現在議論すべきは憲法9条改訂では無いと思う。現行憲法9条の範囲で、自衛の核を持つことは可能である。(内閣法制局)NPT第10条によれば、核の脅威にある国は条約から脱退できる。韓国が北朝鮮の核を将来確実に手にいれるだろう。日本は今、北朝鮮の核の脅威を利用すべきである。忠実な米国の犬のように振舞ってでも、安倍総理は自衛核を米国から提供してもらうべきである。独自開発は、米国に余計な警戒感を持たせるので、後の問題として残すべきだと思う。 

補足: 

1)副大統領と北朝鮮の金与正との話し合いが予定されていたことを知った官邸は、米国大統領と安倍総理との電話会談(2月14日)をセットした。その電話会談で、①北朝鮮側から完全かつ検証可能な形での非核化を前提に、対話を求めて来るまで日米が連携して最大限圧力をかけ続けること。②米韓合同軍事演習の実施が大事だということ、そして、③延期していた軍事演習をパラリンピック後に予定通り実施する必要があること、などを日米首脳は確認したという。 https://www.youtube.com/watch?v=hVtpMZyPYkk

2)記者に「日本政府が米朝会談の予定を事前に把握していたか」と問われた官房長官は、「安倍晋三首相とペンス副大統領は十分な時間をかけて、訪韓する北朝鮮代表団への対応などについて綿密にすりあわせを行い、必要な情報共有はしている」と述べるにとどめた。https://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/180221/plt18022117490012-n1.html