1)昨日は朝鮮の南北対話が大きなニュースになった。文在寅大統領の特使として北朝鮮を訪問した大統領府の鄭義溶国家安保室長(閣僚級)は6日記者会見で、4月末に板門店で南北首脳会談を行うことに合意した。
以下に、北朝鮮が表明したことと、各国の南北会談と合意事項についての評価をまとめる。
北朝鮮側が表明したこと:
①朝鮮半島の非核化に対する意志。鄭氏によると、金委員長が「非核化の目標は先代の遺訓であり、先代の遺訓に変わりはない」と明言したという。
②北朝鮮に対する軍事的な脅威が解消され、体制の安全が保証されるのであれば核を保有する理由がない。
③非核化問題の協議や米朝関係正常化に向け米国と対話する用意がある。
④対話が続いている間は核実験や弾道ミサイル発射を凍結する。
ソウル総合ニュース:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180306-00000072-yonh-kr
米国の反応:
トランプ大統領はツイッターに、「北朝鮮との対話を巡り、進展の可能性がみられている。過去数年間で初めて、関係各国すべてが真剣に取り組んでいる。世界中が注目し、待っている!肩透かしとなる可能性もあるが、米国はどちらの方向に向けてもハードに対応する用意がある」と投稿した。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180307-00000001-reut-kr
米国のペンス副大統領は6日、北朝鮮が非核化に向けた措置を講じるまで、最大限の圧力を掛け続ける方針を表明した。同氏はホワイトハウスの声明で「北朝鮮との対話がどの方向に進もうとも、われわれの決意が揺らぐことはない」と述べた。また、北朝鮮に関して「すべての選択肢を検討している」とも述べた。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180307-00000006-reut-kr
日本の反応:菅義偉官房長官は6日午前の記者会見で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国特使との会談について「北朝鮮との過去の対話が非核化につながっていないという教訓を十分踏まえて対応すべきだ」と述べ、韓国政府に慎重な対応を求めた。
河野太郎外相は会見で、「経済制裁で困っているから必死にほほ笑み外交をやっているのだろう」と指摘した。河野氏は会談内容に関し「韓国側からしっかり説明を受けたい」と述べるとともに、「日米韓で緊密に擦り合わせをしている」と強調した。https://www.jiji.com/jc/article?k=2018030600405&g=prk
中国の反応:外交部報道官は6日、「朝韓間の連動を、朝米を含む各国間の連動へと拡大し、南北関係改善の努力を朝鮮半島の非核化と恒久平和の実現に向けた共同努力へと拡大することを希望する。中国側もこのために積極的な役割を発揮したい」と表明。
http://j.people.com.cn/n3/2018/0306/c94474-9433701.html
2)以上のまとめについての私の考えを以下に書く。
米国副大統領や日本の官房や外務省は、金正日時代の時間稼ぎ外交の延長であるとの見方である。一方、トランプ大統領はそのような予断はないようである。中国も同様にポジティブな評価をしている。戦争になれば我が国でも膨大な人命が失われる可能性があることも十分考え、日本政府が過去の経緯を乗り越えて、朝鮮半島の非核化を目指しこの新しい動きに協力すべきだと思う。
官房長官の言う様に、米国の従来の勢力の忠実な犬のように行動すれば、日本の国際的評判は地に落ちるだろう。北朝鮮の”微笑み外交”は、時間稼ぎの可能性もあるが、少なくとも一般論としても、両方の道を睨みながら対応すべきだろう。
ペンス副大統領は、北朝鮮が自発的に核放棄を始めるまで圧力を掛けるべきだと考えているのだろうが、それは非常に愚かな考えである。それが可能なら、すでに問題は解決して久しいだろう。まるで米国と北朝鮮の軍事衝突を望んでいるような発言である。日本国民は、日本側に膨大な人的被害が出る方向でも、日本政府が米国の犬として行動するつもりなら、内閣を不信任すべきである。
考えるべき点は、現在は金正日の時代ではなく金正恩の時代であること、それに、金正恩は西側留学の経験もあり、西側諸国の様子を知っていることである。更に注目すべきは、金委員長が「非核化の目標は先代の遺訓であり、先代の遺訓に変わりはない」と明言した点である。
つまり、金正恩は朝鮮半島の非核化を先代に遺訓として、自分がその方向に進む根拠を明確にしている。勿論、核保有国としての国際的地位は、今後の外交を考えると非常に欲しいだろう。しかしそれに固執すれば、むしろ自分の体制が崩壊することを知っているのだと思う。
また、話し合いの間に核実験などはしないこと、更に、非常に早い時期に南北会談をセットしていること等も注目される。時間稼ぎなら、もう少し引き伸ばした設定をするだろう。
日本側では、金正恩のことを狂犬とか狂人のように言って、独自に分析思考することを放棄し、米国の犬になっている。しかし、そのように言う評論家や政治家は、あの国のトップとして6年間君臨するという困難を乗り越えた人間であることを、忘れているのだと思う。
彼等は、「自分なら、6年間あの国のトップに居れるだろうか?」と自問してみれば良い。確かに異母兄弟を殺害するなどの行為は異常に見えるだろう。しかし、中国の江沢民派と組んだ張成沢は、金正男をトップにつけて自分の立場を確立すると企んだことを忘れては成らない。(追補) トランプ大統領もそのように見ているだろう。
繰り返しになるが、情況がこのように急展開した今、これまでの経緯に拘らず、日本側は韓国文在寅大統領に協力して、米側が米朝対話に動くように説得すべきである。
追補:(3月10日)
1)この記述は筆者の思い違いの可能性大です。張成沢は習近平と組んで、金正男をトップに据えようとしたというのが通説のようです。訂正させていただきます。(https://news24-web.com/north-k/)
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